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過去、そう、過去ね。
そういうことになるわね。
砂時計がひっくり返って同じなのは見た目だけだもの。
実際、6組分の力を得た時、聖杯はどうなるんだろう。
私にも分からないわ。
だって、はじめてのことだもの。
「塔」の運営にはそれなりに魔力がいるの。
でも、もちろん、魔力は有限だわ。
その魔力を生み、吸い上げるシステムが用意されてはいるけど、そのシステムが経年劣化起こしてるのよね。
それで、聖杯は苦肉の策として8組を組み入れたのかも。
推測でしかないけど。
[幼い声がする。押し殺したようなそれは、小さなノイズとともにいつも聞こえていた。
「 元気ないね」
「覚えるの大変?」
「私の方と変わってあげられたら良かったのに。だって、 の覚える魔法と違って簡単なんだもん」
「大きくなったら、一緒にご飯食べられるかなぁ?」
「今度ね、会ってもいいって! 何して遊ぶ?」
「 、ゆりね、上手になったねって褒められたんだよ」
いつも明るい声だった。
いつも元気だった。
いつも、優しかった。
でも、いつも泣いていたのを、知っている。
姉しか呼ばなくなったケイの「名前」は、5年前から誰も口にすることはなくなった]
[クレティアンの口から出た「異質」と言う言葉に、しばし思いをめぐらせる。]
本当かどうかは知らないが、俺が見た片翼のマスターは、ここを作った者の子孫だとか言ってたな。
それ故、破壊を求めているとか、何とか。
そのマスターにうまく会えれば、何か聞き出せるのかね。
あと、聖杯を破壊したら、ここの住人はどうなるんだ?
片翼は解放されるとか言っていたが……。
[そう言って、管理人の反応を見た。]
なん、だと・・・・・・?
[あの範囲発火魔術を食らっても無傷。
幸運スキルだとすれば、あまりにも強力。
一方、こちらは火球の連続で何とかかわしている状態。
宝具の真名解放と同等に争うのは厳しい。
そして、次の攻撃がもう迫っている。
早く、射程が長く、そしてあの出鱈目の打ち方でありながら狙いは的確。
あまりに相性が悪い。]
『雅楽溢れる天上の神輿《おわりのはぐるま》』よ!
[槍兵が静かに見つめる中、確かに彼女の意志は帰ってきた。羽衣が消える。同時に――令呪に従い、かぐやは『最後』の宝具を使った]
いやだ。
[ランサーはもしかしたら、槍を止めていたかもしれない。それでも余波となる蒼い炎は確かにあるじに迫っていた。それすらもなお。かぐやと兄里ケイを乗せた神輿は、一切空と言わんばかりに届かせなかった]
死ななければ――――掠り傷とそう変わらん!
死ねば後先ももはや関係がない……!
[この宝具の出力は随分抑えられている。流れ込む魔力はかなり衰微している。この場が戦場ではないからだろうか。魔術の乏しい自分にそれを知る術はない。
それでもなお本来とさして変わらぬ―――いや、下手をすると本来以上の射程を保っているのは、おそらく相手の幸運が低いからだ。
それも、おそらくは並大抵のサーヴァントの比ではなく低い。
考えるべき事は、宝具が宝具としての機能を保っている間、そこで決着をつけてしまう事だけ。それ以外の思考は、今は面倒という以上の害悪でしかない。
羽を散らしながら、白い刃が禍々しく輝き、己の目前の翼を貪らんと食い掛かる]
Ακούστε, ο θεός του ανέμου της εποχής του μύθου.
Ανεξάρτητα χτυπώντας τα φτερά του αυτό!
[彼の周囲に羽が舞い、その周囲は大風に囲われる。
空を浮遊していた彼は、その斬撃を振り切ろうと音速に迫る勢いで加速する。
空中を飛べば視界が開けてしまうと、建物に潜り込むように低空飛行へと切り替え、次の詠唱を始める。]
いやだ……ッ! これには、乗りたく……!
[気の抜けるような雅楽が奏でられている。暴風も、炎も。飛び交う竹すらも、何もかも。花弁になって散っていく]
いやなのに……。でも、ぬしさまは、人の世に、生かして帰すと決めたもの。
[これは、月の車だ。月の軍勢が、かぐやを取り戻すためによこした車だ。あらゆる武器はここに届かず。ただただ彼らを『連れ戻す』]
κατάρα
[彼の羽からまた数多の羽が飛び散り、それがふわりと空へと舞い上がると。
その1枚1枚がガンドの魔弾となり、セイバーへを降り注ぐ。
時間を稼がなければ。決死のセイバーに対抗する為に、真名解放をする隙を作らねばならない。]
[姉が幼い頃から祝術を覚える為に耐えていたことを、ケイはその声を聞いていたから、知っている。
「後継者」が早世なのはかかる負担が大きいからだ。
それは、二人に分けても同じ事だった。
神の声を聞き、~の祝福を示すその代償は、術者の寿命なのだから。
「今度令呪、見せてあげるね」
最後に聞いた言葉だ。
剥がされる時の叫びも痛みも伝わっては来たけれど、自ら口にすることはなかった]
さくら……!
[かぐやの言葉と同時に現れるのは天の神輿。
月からの使者。それは、かぐやが天へと帰ることを示しているのか]
この「町」の人たちがどうなるか、って話を、
―――ま、そうね。
あなたたちがそれを知ってどうするか、あなたたちがそんなに深刻に考えることじゃないのよ。
そういう前提で聞いて。
聖杯が当たり前に働く限り、この「町」の人たちは平穏無事に「次」の朝を迎えることになるわ。
だって、この「町」の人たちこそは、「塔」に組み込まれたシステムそのものなんだもの。
だから、例えばあなたたちが勝ち残って願望機を使っても、この「町」の人たちはどうともならないわ。
その片翼のクソ野郎がそうしようとしてるように、願望機を使う刹那、聖杯そのものをぶっ壊しでもしない限りはね。
くっ・・・・・・!
[音速で飛行しながら、小さく詠唱する。]
Δομική ανάλυση, την ενίσχυση της δομής
[全てをかわせているわけではない、翼だけではなく肉体も傷を負っている。
それを、逐次構造解析しながら構造強化により何とか保っている。
彼は受肉している身。英霊と同等に競るには常に強化と負荷に対しての治癒を繰り返さなければならない。
その上でこの執拗な攻撃。シェムハザの魔術回路は焼き切れんばかりに稼働していた。]
[神輿の中で、泣いているのか、何かを幻視したのか――>>436]
・・・ ・・・・・
いいえ、さくら。わたしの名前は、かぐやです。
帰るのは私じゃない。さくら、貴女が、帰ってください。
[にこりと笑って、トン、と神輿を蹴り降りた]
行きなさい。
[神輿が、光に包まれて、ケイごと消える。ケイが何か叫んでいた。涙が伝った]
―西区 教会―
砂時計が…ひっくりかえる……
貴女にも、分からないこと……
[>>435吟遊詩人も砂時計の存在は知っている。]
経年劣化してしまうほどに、
「繰り返して」いるのですね。
――終わらない螺旋階段のように。
昇っては降り、降りては昇り。
―――、片翼の?それは、それではまるで、
天使――いえ、堕天使のようではないですか。
[>>437 赤竜の言葉に、少しばかり眉を跳ね上げる。――嗚呼、しかし、そうか。より古い、聖書に描かれた何者かもまた戦いの場にいるかもしれないのか。
聖杯の破壊。不穏な言葉に、詩人もまた管理人を見た。]
く……陰に隠れおったか!!
[建物の影に飛来する翼が隠れる。骨喰は「斬りつけるる真似をする」ことで負傷させるのだ。視認できない状態では、斬ったことにはならない]
おのれ、猪口才だな……!
[相手は宝具も使っていない事は分かる。このままではいくら宝具を使っているとはいっても自分が不利だ。ガンドの魔弾をまとめて空振りで薙ぎつつ、相手の動きを追おうとする。
狙うのは、動きが止まる一瞬。でなければ、確実に手ごたえのある一撃を叩きこむことはできない]
リリン……!意識はあるか!
[現状では撤退するだけの隙も見出すのは難しい。視線で黒翼を追いながら、背後にいるだろう彼女に叫んだ]
あのくるまは、乗っている人をその人の家に帰します。
[通常であれば、拠点に帰れるのだろうが、まるで今は違うのだと言わんばかりに、呟いた]
これは最後の、私の『五つの難題《わがまま》』。
『さくらの命はわたしのものです』
[朗々と、3Fに居る者に響き渡るように。物品ですらないその要求は、およそ力として効果があるとは思えないものだった]
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