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音で空間干渉を防ぐとはどのような理屈か。
まぁ、構わぬ。
Einsatz
Kontinuität
Linie
Punkt
Vermischung
[四方から線と面での空間干渉魔術を連続して放つ。
竹の壁総てを削り取らんと。]
[リリンの前方13メートルという言葉に頷き、竹に魔力を流す。]
ヒュン!
ヒュンッ!!
[風切り音が耳を掠め、数本の竹が真剣で切られたように音を立て斜めに崩れ落ちた。]
――早くっ!もっと早くっ!!
[魔力を注ぐ手に力が篭もり右肩が酷く痛んだ。地下から飛び出す竹は槍のマスターを射抜けただろうか…]
空間干渉自体じゃなくて、魔術の構成段階の照準に干渉してるのよ。
[感知で拾った小言に返答しつつ、次の攻撃にも妨害を放つ。
所詮は詠唱一小節の魔術。ホンモノの魔術師が放つ強力な魔術に、真っ向から挑んでは対抗できない。
必要なのは機先とタイミング。そして相手の魔力の波長を感じ取り、そこに割り込むリズム感。
とはいえ、標準を逸らすだけ。当然、好きに操ることなどできない。
四方から同時に攻撃されれば、満足に対応しきれはしない]
くぅ……!
[竹の防壁が易々と裂かれ、逸らしきれなかった魔術に肩と首筋が浅く斬られる。鋭い痛みが走り、血が噴き出した。
首に走る動脈……頸動脈から]
…っふ、…、
[吟遊詩人を眇め、口の端から血を流す。
ランスロから受けた跳ね返り――ああ、されど何と甘美な痛みであることか。三日月宗近に抉られ未だ血を滲ます傷口もまた然り。
クレティアンは笑みを浮かべた。
――己は今、物語を紡ぐ英雄と対峙している!]
えーとアレだ。
魔術刻印が命をつなぎ止めようとする、とか何とか設定があったはずだ。持ってて良かった魔術刻印!
「今のは効いたぞ…!!」
[ランスロは真摯に向かい合いながらも
喜ばしさを滲ませるのは
神話の英雄と切り結べる故だ。
>>203キャスターの炎が弾丸のように放たれ。
僅かに生じた隙を見逃さず、一閃、肉を断つ]
「光栄、だ――!!!」
[血飛沫がさながら花のようだ。
今度押されるのはランスロのほう。
一撃、凌ぎ、二撃、穂先が僅かに食い込む。
三撃、わき腹をざっくりと貫いた。赤に新たな色合いが混ざる。ランスロの飛び散った端から若葉色の光と変る]
「ちい…!!」
[しかし、倒れない。円舞の如く回り込み、己も突きを放った]
地下茎が…止まった!?
[リリンを見れば首筋に…頸動脈から血が噴き出す。
心臓の鼓動と共にどくどくと止めどなく…]
リリンっ!!
[首筋に右手を置いて止血する。止まれ止まれと叫ぶように祈った。
何かしなくちゃ!!何か出来ないか、必死に考えた…
槍のマスターの魔術は「空間干渉」…リリンが言っていた。
――空間が無ければ干渉も出来ない! ]
リリン!凄い無理なこと頼むけどやって!!
ヤツの周り空間干渉が及ばない周りを竹で囲むからっ
火を、火を付けて欲しいんだ。
[意識はある!リリンの止血をしながらもう片手を地に付けて魔力を送った。]
[三撃目。穿った箇所から飛び散ったはずの赤は光と還り
ランスロ自身もまた、ランサーの視界から消える。
気配は背後。
軽業のように回り込む騎士は、返礼のように突きを放つ。]
――――突きは体重をかけ過ぎるな。回避が困難になる。
[振り返り、剣の一撃を受けるは槍ではなく、無骨な左の掌。
――易々と肉を、骨を貫通した刃を、傷も気にせず握り締め、右手に握っていた天狼星の一撃が、ランスロの肩を貫かんと奔る。
それが彼の騎士を貫けど貫かねど、――一撃の後、キャスターの火焔弾を薙ぎ落としながら大きく距離を取る心積もりで後方への跳躍も始め。]
――――束ねし者よ。自らが騎士として立つ戦は。
やはり楽しいか。
[血塗れの姿で。常あった灰色を赤く汚しながらも。
――星の輝き宿す槍の兵は、なおも静かな声で問う。]
[頸動脈から血液が噴出する。脳に血が行かず、意識を失いそうになる―――宿主の生命の危機を感じ、魔術刻印が身体の維持と補修を開始する。
刻印を宿した魔術師は、そう簡単には死ねない……そんな、今まで試したこともない知識を実感した]
大、丈夫……。
……前に、集中しなさい!
[ヒイラギの手が首筋に添えられる。彼の腕が自分の血で染まっていく。
火を付けろ、と言われれば、自分にそんな魔術はなかったが―――キャスターの火炎弾。ランサーの蒼炎。戦火の階の残り火。
火種ならいくらでもあった]
わかったわ……やりなさい!
戯けが、私の干渉は物理的な空間ではない。
[周囲に空間を埋める用に生い茂る竹。
しかし、関係はなかった。
空間干渉の本質はその空間の塗り替えである。
故に竹が生えようが面で干渉してしまえば意味はなくなるのだ]
Einsatz
Oberfläche
[盾を展開する要領で一部分を開き脱出しようとする。]
[槍のマスターの空間干渉の及ばぬ周り
ドンッ!!
音を立てて一斉に竹が二重三重に取り囲むように生え、
瞬く間に竹は花を付け立ち枯れて行く…]
リリンッ!!
今だぁーーーーーーーーーーーーっ!!
[その声はリリンに届き火は放たれた]
「―― っ!!!」
[ランスロの見開かれた眸はすみれ色。
[穂先でなく、柄ではなく、避けるわけでもなく。
なぜ、その掌で受け止めた――!!]
「……何故!! ―― ッ!!」
[>>211 武術の指南のような言葉は恐ろしいほどに静かな声、冴えたそれに違わない蒼い星炎がランスロの肩を鋭く穿つ。
咄嗟で首をそらすも肉が抉れて血色と若葉色の二色の光を散らした]
あ、あ―― っ!!!
[クレティアンの肩からも血がぞろりと噴出した。
三日月宗近につけられた傷口に重なる。
ああ、それでも―――。
静かな、静かなこえが確かに問いかけた。
灰を赤に染めて、神を討つ英雄が立っている。
乱れた息に、されど旋律は途切れず]
……ええ、……――とても。
この奇跡、己が立つことに、意味が、ある……
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