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[筍を掘り出すときに、声が聞こえた…]
あぁ、そうだね…君達に聞けば良かったんだ。
[青々とした若い竹に手を添えて・・・
――…頬に一筋の涙が伝わる。
そっと、竹から手を離すと]
…ありがとう。
良い兄でも、悪い兄でもなかったわ。
というよりそもそも、わたしには興味がなかったんだと思う。
遊んでもらったこともないし、会っても家族らしい会話はない。兄と言うより、血の繋がった他人ね。
何を考えてるかもよく分からない人だった。
ま、わたしの兄姉はだいたいそんな感じだったけど。
[席を立ち、会計を済ませる。
店を出てから、目立たない場所に移動した]
あなたの兄弟は?
やっぱり仲良しだった?
― 5F城塞都市・城前→ ―
[此処まで来た道筋を手繰るように、家々の狭間を歩く。
徐々に徐々に、気配の濃密なる方へ。
何かの店であったのだろう家屋を過ぎ、小さな階段を越え、更に少しした頃。都市の中心部が見え始めた。]
――――……。いるな。
[石造りの家の中心。屋根の上に、手を繋いで立つ影が見えた。]
あれは、……キャスターと、みちるか。
[未だ霊体化は解かぬまま、アルフレートのするがままを見守る。]
ーおじさんといっしょー
[筍ご飯のおにぎりには焼き目をつけて、焼きおにぎりにした。
昨日の味玉の残りと、朝の白和えとなますの残りをパックに詰めて、
今日はキャスターに荷物を預けることにした。
猫耳のフードのパーカーはまじかる☆まろんのオフィシャルアイテムで、みちるのお気に入り。
丈が長くって、尻尾も付いていてチョーかわいいのだ]
…またひとつうえにきたんだねえ。
[パーカーの下、ワンピースのポケットにはこっそり黒い羽根。
雑然としたあの場所で、キラキラして見えたそれはまるで秘密の宝物]
[風に乗って聞こえる声、姿は見えずとも感じる気配。]
…ああ、ええと
[名前を知らなかった。
しr、
と言い掛けて止めた。本能的に。]
ランサーのマスター…。
何だ貴様、怪しい奴であるな。
いきなり動揺とは何かを隠しているのか。
[いきなり慌てる相手がまさか呼び名で悩んでいるとは思わない。
故に疑いの視線を送る。
何かの情報を隠しているのではないかと。]
―3F システィーナ大聖堂―
[夢中になると、気をつけていたことまで
口走ってしまう詩人である。――悪い癖だ>>58]
……ええ、本当に。
ああ、あれが、……あの時見たノアの……
え?
[ヒイラギが何かを掘っている。
横から覗き込み、しげしげと見つめた]
いつのまにシャベルを。
若芽、……?
[まじまじと見て指先でつつく。未知との遭遇だ]
かたくて、大きいのだけれど…若芽?
ー???ー
師直を……殺したそうだな。南朝に下ってまで。
[紙燭に灯が灯されただけの真っ暗な部屋のなか、自分は弟と二人、屋敷の中で顔を会わせていた。会うのは久しぶりだ。弟は敵方に下っていたのだから。]
そんなに師直は憎かったか。…分からん。
わしにはお前が分からん。わしは誰も憎いと思うた事がない。殺した者達を憎いと思ったことが一度もない。
それなのに、お前は…憎いというだけでそうも易しく人を殺すのか。…情のないやつだ。
『これは…おかしな事を。情がない?それは兄上の事ではありませんか。人は兄上を人徳の方だ、欲のない方だ、敵を許す慈悲の方だという。
……笑わせる。兄上ほど人の心のわからぬ方はこの世にない。兄上は人間というものに関心がないのです。兄上には、この世で本当に大事なものが何もない。そればかりか、自分というものが抜けている。だから平気で後先考えずに敵を許すことも、命を惜しまぬ真似もできるのです。』
違う。わしは…ただ。
『では、兄上は何のためにこうして戦っておいでなのだ。兄上に、命を懸けるほどの譲れぬものがあるのですか。
…答えられまい。』
―3F システィーナ大聖堂―
―――ヒイラギ?
[ヒイラギの魔力が外へ向かい、
「竹」に通っていく。
“声”に、耳を傾けているようだった。]
……、彼らは、なんと?
お名前を知らなかっただけです。
ランサーのマスター。
以前――、図書館で一度お会いしているのですが、
ランサーが何故か肩にあなたを担ぐようにして休ませていたので
お顔もあまり見れなければ、名前もお聞きでませんでしたから。
[肩をすくめながら、そう補足を加える。]
…隠し事はありません。
むしろ、助言を頂きたいものを持参しています。
あっ!おしりのおにいさん!
[こんにちわー、と手を振った。
ランサーはまたどこかに隠れているのだろうかときょろきょろきょろきょろ辺りを見回しつつ]
…おにいさんまいご?
貴様、しり等とはしたない言葉で私を表すでない。
[みちるを睨み付けた後、キャスターへと向き直る。]
ほう、助言が必要とは如何なる事だ。
魔術師として劣るつもりは無いが、
魔のサーヴァントが私に助力を求めるとは如何なる事だ。
[興味ありげな視線だった。]
貴様、しり等とはしたない言葉で私を表すでない。
それに迷子等ではない、我々は目的を持って歩いておる。
[みちるを睨み付けた後、キャスターへと向き直る。]
ほう、助言が必要とは如何なる事だ。
魔術師として劣るつもりは無いが、
魔のサーヴァントが私に助力を求めるとは如何なる事だ。
[興味ありげな視線だった。]
…………。
[どうやら、お互いにマスターの教育方針について思うところがあるらしい。申し訳なさそうな顔をするキャスターに、ランサーは非常に申し訳なさそうな顔を返した。だが霊体化したままなので伝わらない。悲しい風が城塞都市を過ぎていく。]
『兄上が何をなさろうとも、私はもはや構わん。
ただ、私の邪魔をなさるなら、兄上とて容赦は致しません。師直亡き今、私に着く者の方が多いのです。その事、お忘れになるな。』
………それ以上言うな。わしとて幕府の長だ。
わしは、お前と争いとうはない。
[そうして出ていく弟を見送り、一人残された室内で、自分はただ嘆息した。長い思索の時間。そして、誰にも聞こえぬまま、呟きを漏らした]
誰も憎いと思わなんだ。誰も殺しとうはなかった。
これが、その報いなのか。
………わしは、弟を殺さねばならん。
それに、息子も。
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