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[食堂で紅茶に口をつけているとすぐに入ってきたナサニエル]
お互い災難だったな。
…ここはどうせ人も少ない。本気で全員を殺す気ならあんな堂々とやることはないだろうさ。
あいつらが大げさに騒ぎすぎるんだ。
[ナサニエルも妙に落ち着いているように見えて。ぼそりと呟くように語りかけた]
―一階:玄関前―
[ハーヴェイに手をとられたシャーロットは、ゆっくりと起き上がった。
綺麗な二重の瞳は、真っ赤に腫れており、しっかり前を見据えられない。]
「シャーロット、立てるかい?」
はい……
[小さくそう呟くと、ハーヴェイやカミーラと共に、食堂へと向かった。]
[ ……扉に磔にされた人形。
こんなにも、可哀相だと思うのは何故だろう。
ふと、昔を思い出す。
メアリーは、壊れた人形を可哀相だと言って泣いていたっけ……]
[ギルバートの声に頷きながら、ゆっくりと茶を一口]
…ふふ。災難か…わたしは何もみてはいないよ。
[と、目を伏せながらくぐもった笑いをこらえて]
殺す気…か。確かにな。
仰々しいことだ。ここの主人の趣味だろう、とわたしは思ったがねぇ。
あの人形といい、執事といい…
[また一口茶を口へ運びながら答える]
きみは、ここへはどうして?人形師か?
/*
瓜科国の赤発言って一寸怖いですねw
怨念こもってるって感じで。ついでにどうやってお互い話そうか考えてなかったりします(まがお
俺のいう災難ってのはあのやたら騒ぐ小娘やらシスターやらだ。
あいつらが騒ぐと逆に向こうを逆撫でするだけだろうに。
とばっちりなんぞうけたかない。
[紅茶はもう一口で飲み干して]
どうせ前から人殺しの噂はあったんだ。それが事実だっただけだろう。噂しておきながら実際目前にすると泣き喚くのは勘弁してほしいな。
ついでに俺自身は人形そのものには興味ない。少し用事があってな。
あんたは?
―一階:食堂―
[ハーヴェイに連れられ、食堂へと入ったシャーロットは、既にギルバートとナサニエルが言葉を交わしてるのが目に入った。
あれから、どれだけの時が流れたのだろうか。
エントランスに掛かるからくり時計が、ぼーんと時を鳴らす。
その音は、食堂の中まで響き渡るのだった。
シャーロットは、ギルバートとナサニエルから少し離れたところへ腰を下ろす。
暫し、そこに居る人と言葉を交わした後、ハーヴェイは部屋に戻るとシャーロットに告げる。大丈夫かい、と問われれば、こう答えるだろう。]
大丈夫、です……
少しは、落ち着きましたから。
[――大丈夫、である筈がない。
しかし、シャーロットはそう言うと、ハーヴェイを見送った。]
[ギルバートの率直なものいいには、可笑しそうに微笑んで]
ククク…なるほどね。向こうの神経を逆撫でする…と。
[ふむ、と頷きながら、また一口、紅茶を呑んで]
人殺しの噂か…
わたしか?わたしは、同じく噂の人形を見にきたのさ。
仕事でスランプにあっていてね。どうにも人形芝居のアイデアが浮かばない。
不気味な噂も、ものともせずにこの屋敷にやって来るくらいだからね。どれほどの人形狂いかわかるであろうよ。
ククク…
[と自嘲気味に笑って返すのであろう]
芝居を打つ前にここの人形に芸でも仕込んだらどうだ?
結構鞭でも振るえば動きそうだぜ、ここの人形。
でもって人形狂いの中から是非俺は外してほしいもんだ。
[ハーヴェイを見送るシャーロットには面倒くさそうに言葉を投げた]
あんまり強がりいっても意味無いぞ、小娘
少し用とは…?
[キロリと一瞬、眼を光らせたけれども、ギルバートへそれ以上追求することもせずに]
言っておくが、当方はしがない旅芸人。
金目のものなど、持ち合わせておらんぞ。
[つと、紅茶のカップをソーサーに置き]
荷物は大きいが、中には錐やら小刀やら針金やら木片やら…
そんなものばかりさ。
[そう、注意の言葉だけ放つ。ギルバートの雰囲気は
旅中で出会った誰かに似ていて、その経験が自分にちょっとした警戒を与えたのかもしれない**]
[ナサニエルと言葉を交わしていたギルバートが、シャーロットに言葉を投げる。
その言葉は、相変わらず刺々しい。]
(小娘って、あなたと然程年は変わらないわ。)
[そう言いたげな表情で、ギルバートを見つめた。
シャーロットは、ギルバートに言葉を返すことはせず、無言のまま食堂を後にした。
去り際、ナサニエルとカミーラには、小さく頭を下げ――。]
ははは…人形に鞭だって?
[思わず声をあげて笑ってしまった]
そんな人形師がいたら、お目にかかりたいねぇ。
人形ってのは、作り手の分身のようなものだと…
わたしは勝手に思っているのだけれど。
[そう考えるギルバートの方がきっとまともなのかもしれないとも、考えて]
そうだな。確かに君は、人形狂い…ではなさそうだ。
ははは…不思議なものだが、かえってそれが俺には心地よい。
ふ…同属嫌悪ってやつかね。
君と話せてよかったよ。
これからしばらくは、閉じ込められている仲だ。
よろしくな。
[そういってギルバートへ微笑んだ]
[ぴーぴー泣く女は皆小娘だとからかい半分の視線を返したことだろう。ナサニエルの自嘲気味の笑いには少し疑問を感じながら]
人形が分身?俺には縁のないこった。知りたくもない。手をかけるのは自分の世話で十分だ。分身欲しさに殺されてたまるか。
さっきも言っただろう。俺自身は人形にそこまで興味はないんだよ。
よろしくするのもいいが俺の邪魔はしてくれるなよ。
ところで…人形芝居なんてやってると人形の気持ちってのもわかるようになるんかね?さっき貼り付けにされたあの人形、あんたはどう思った?
[ギルバートとシャーロットの様子を眺めて]
ふぅん…
[呟きながら、何かを思う。シャーロットが頭を下げるのをみれば、こちらもわずかに頭を揺らして会釈しただろう]
かわいらしい子だね…髪が長くて素敵だ。
どうやら君の連れではないらしいな。
[シャーロットが去るのを見送りながら、相変わらずなギルバートの言葉に喉を鳴らして笑う]
邪魔…?
[キロリと一瞬、眼を光らせたけれども、ギルバートへそれ以上追求することもせずに]
ふふ…邪魔など…
するつもりは毛頭ないさ。こちらこそ、おかまいなく。
[つと、紅茶のカップをソーサーに置き]
貼り付けにされた人形…?あぁ。そうだな。
[空に目をやり答えるだろう]
…犠牲。哀れな犠牲者、と、俺はみた。
みせしめに吊るされるなんて、まるでイエス様のようじゃあないですか。
と、思う俺はおかしいのかもしれないがね。
ふふふ…そうだな。長く人形とつきあっていると、時々聞こえるのさ。人形の声が…ね。
[そう目を伏せて呟いた]
さて、そちらのお嬢さんはどうお思いなさるかな?
[老執事に食ってかかっていた黒髪の女性がその場にいたら、そう尋ねたかもしれない]
*
[女性はなんと答えただろう。答えずとも、自分が興味深げに彼女をみていたことは確か。
芝居を生業とする身、人形作りに携わるものならば
人間観察はかかせない。
その仕草や言葉遣いにも注意を払って話しを聞いていたことだろう**]
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