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大地、峻厳なる山脈とも称された、巨竜。
巨竜が村を潰し、唄い手なるか弱き英雄、否、【偉大なる英雄】により巨竜が動かされた話は、"季節の変わりを数度迎えた後"も、尚、人々の記憶に新しい。
今漸く「国」の原型ほどに発展を見せつつある、人間達の中心地。
後世には「中央王国」と呼ばれる事になる営みの場。
神々をまつる幾多の祀所に神殿群、偶像達。
華やかなる黄金時代を思わせる、人間達のみの手では豊かさを得られず、神々の祝福と加護あってこその繁栄の地、「王国」。
今此処に、一柱の天使が神の令を告げんと舞い降りる。
(Alchemist) 春の英雄 アデライドは、村人 を希望しました。
─ 王国/神殿 ─
[祭事執り行う神殿に水の波紋のように広がる天上の音色。
詩たる力そのものである翅に、英雄は天使の到来をみる。]
御用でしょうか、神々よりの使者たる天使。
或いは、我が神に何事か告げにいらっしゃいましたか。
[春の神の加護を享けし英雄アデライドは、神殿を種々の花で彩る手を止め、天使を仰ぎ見る。
この神殿に、大神春の神はおらず。だが希めば降臨もしくは声を降らせることも出来よう。尤も、天使が春の神に直接向かった方が早いに違い無いが。]
一枚翅の天使 が参加しました。
(kkr_2ID) 一枚翅の天使は、智狼 を希望しました。
[天より舞い現れたるは片翼の天使。
片翼の翅は灰色に仄か光り、重さなど感じさせることなく、細い体つきをした天使の身を軽々と運ぶ。
翅の末端まで満ちるは「詩」の力。天使の体もまた、「詩」そのものに近いだろう。]
春の英雄よ。
[樹の枝と木の皮、柔らかき蔦で編まれた吊り椅子へと、重さを感じさせない所作で留まると、吊り椅子より芽吹き咲く香り良き花へ指伸ばし、撫でるように愛でてから、天使は漸く春の英雄へ眼差しを向ける。]
[彼女は主神に従順に従う天使。
天使の唇から生まれるのは天上の音色。
音色は言葉であり、灰白銀色の水の波紋のように広がり、人が造りし建造物や人々の体を通ってゆく。それは英雄も例外ではない。
天使は美しい眸をアデライドに向け続ける。]
英雄達に、神は令を下しました。
ここより北東の僻地に、滴り落ちしものがあります。
神々をまつろわぬ愚(ぐ)なる生き物と言えるでしょう。
[掌を翻すように宙へと差し伸ばせば、当たり前のように「徴」が浮かび、その後、幻影の【太陽の雫】の姿がとって代わる。砂岩が多く、礫砂漠の境界に近い地。辺りには、緑は見えない。]
かのものが滴り落ちた地の傍には、
神の加護受けぬ、か弱き人間達の「集落」があります。
この侭では、その集落もまた、燃え尽きることでしょう。
[溶解した岩、粘性を帯びる其れは、火山口を覗きこめばよく見るもの、その印象を受けるものだったか。【太陽の雫】周辺は、大地こそ燃え尽き地の底へ底へと【雫】が落ちてゆく事こそ無いが、辺りは溶解の痕を、そして、大地が冷えた後には何らかの作用か結晶と思しきものが見られる。
そして恐らくは、【太陽の雫】に人、もしくは生物が近づけば一瞬にして黒い塵となり、家屋の類は一瞬で消えるであろう。]
英雄達よ、貴方がたの行いを神々は見守っています。
令を受け、【陽の雫】を討伐するのです。
既に、冬の神の加護享けし英雄、
【凍れる英雄】は集落へ向かいました。
[天使の掌の上では【太陽の雫】が幻影として映し出されていたが、陽炎のように揺らめくと、【凍れる英雄】が映し出される。「王国」の英雄であれば知る者は居るだろう、大神(たいしん)冬の神の加護享けし、強き英雄。されど、その心は凍てついた英雄。]
我こそと言う者。
【偉大なる英雄】のよう、
神の寵愛と名声を欲さんとする者は、
此度の令を受け東北の僻地へと向かうのです。
[天使の眼差しは澄みきっており、そして哀れみの色は無く冷えきっていた。令を伝え終えれば、天使は一度*目を閉じる。*]
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
吟遊詩人 アメシスト が参加しました。
(akimomiji) 吟遊詩人 アメシストは、おまかせ を希望しました。
ー王国ー
[未だ人類が神々に支配されるこの時代。
人類が村と呼ばれる小さな寄り合いを作る中に、一つだけ大きく発展した土地があった
誰が呼んだか。いつしかその土地は国と呼ばれるようになり、他方よりも立派な神殿が造られ、神々からの庇護も篤くなっている
そんな土地には自然に人が多く集い、行き交い、時に往復する
その"王国"と呼ばれる場所の中心部には広場がある。
その広場で、音楽を奏で歌を歌う者が一人いた]
枯葉とマントが戀をした その筈だ
枯葉とマントは同類で 枯葉が男でマントが女だ
或時二人が海に身を投げたが
マントは重いが風を含み 枯葉は細いが軽かったので
崖の上から海面に到達するまでの時間が同じだった
ある神様がそれを見て 全く相大会の事件だと言って
天空で手紙を撒いた
二人がそれを見てお互いの幸福であったことを知った時
戀は永久に敗れてしまった
[紡ぎ終わると締めとばかりに、手に持った木に糸を張った楽器をジャランと鳴らした。
それは後々の時代でリュートと名がつくものの原型だった
糸を揺らす爪は抽出した花の汁で紫色に染められている
そして大仰に腕を開いてみせ、周囲に何人か集まっている群衆に語りかける]
ーーーさぁ皆さん。この歌を悲惨ととりますか。それとも、二人の行く先は幸福と信じますか。
異なるものは交わりうるか否か。そんなことを暇つぶしに考えてみるのも、良いかもしれません。
[群衆はうーんと首をひねったり、頷いたりと思い思いの反応をする
その反応を見てこてり、と首を傾げてみせる]
うーん…。今日のは難しすぎましたか。
それなら、至極わかりやすい物語を紡ぎましょう。時間が許すなら、お付き合いください。
[糸はじゃらん、とまた揺れた]
/*
中原中也「タバコとマントの戀」より。
タバコは葉巻という形でもまだ無いと思うので枯葉という苦肉の索(笑)
ビラっていう俗語もまだないだろう。
─ 神殿 ─
………。
[アデライドは天使の言葉を無言で聞いていた。
神々が望みしは、【太陽の雫】の討伐。
加護を授けし春の神、かの神の意思の在処を理解するには、神という存在は巨きなものであり、人間には計り知れない。だが、アデライドは何も聞いてはいない。神々は気紛れであるが故、声を降らせるもまた気の向く侭であるが……]
(主神の令であることは確かでしょう。)
[【陽の雫】……紅き姿、おおよそ生き物と呼ぶには躊躇いを覚える、可変する異様な生き物。神へとは別種の、畏敬の念を呼び起こすような其れは、遠隔の幻であっても気後れを齎す。]
村の設定が変更されました。
ある大地にひとり ぽつんと植わった木があった。
その木は周りに誰もいなかったので 光の加護を一人で受けた
やがてその木は大樹となり 大きく大きく枝葉を伸ばした
ぐんぐんぐんと 枝葉を伸ばし 光へ向けて 伸びていった
ついにはその光の光源を 手に入れようとその腕を
光源に向かって 一心に伸ばしていった
そしてまさにその手が触れようとした瞬間
枝葉は焼かれ 燃え広がり 大樹は一晩で灰と化した
…まあ、欲を張ってはいいことはない、ということです。
なので今日も神々に感謝して、慎ましく楽しく朗らかに過ごしましょう。
それでは、お粗末さまでした。
[じゃらららん、と再び糸を揺らし、群衆に笑みを向ける
男の細い眼は一見笑っているように見えて、感情を語らない
終了の合図をすると、群衆は各々ちりぢりになった
一部はそのまま残って話をしたり、男に「良い暇つぶしになった。またよろしく」と物資を渡す物もいた
彼ーーーアメシストの生活は概ねこの歌で成り立っている。
そこに、とある男が声をかける]
吟遊詩人 アメシストは、狂人 に希望を変更しました。
『…あんた、少し前に向こうにいた巨竜に対峙していた"英雄"の一人じゃねぇか?
その英雄がこんなところで何やってる。』
[アメシストには憶えがない男だった。そもそも巨竜に対峙した時には周囲の人間の顔を見る余裕などは無かったのだ
ただ、あの時を思い返すと今の命があることは一種の奇跡だとアメシストは感じてもいた
だがそれは目の前に人間には語る必要もない]
いや。人違いだよ。似てる人間ってのはいるものさ。
特に、僕みたいな風来坊だとね。だいたい流れ者ってのは同じような容姿だろう。
『だとしたら、なんでここに居ついているんだか…。もしお前さんが英雄だったら神殿でも造って良いんじゃねぇのかな。
まぁ、それは俺には関係ねえか。じゃあな』
[ああ、じゃあねと男を見送って、空を見上げる
相も変わらず白い雲がゆるりと運行している
そして男が見えなくなると]
そもそも"大気の神様"は自由を好む。
神殿って堅苦しい場所は嫌いだと思うんだよね。間違いなく。
[誰にも聞かれない声量ではあるが、庇護の篤きこの地では、アメシストに加護を与えし神は何処かで聞いているかもしれない
繕った呼び方で、ぽつり、呟いた]**
─ 神殿 ─
………。
[無骨な手、………に深みある声を思い起こす。]
凍れる英雄が向かったと言うのであれば、
彼ひとりでも事態を収めることは出来るのではありませんか?
[アデライドは注意深く問いを天使へ*向けた。*]
─ 神殿 ─
………。
[無骨な手、深みある声を思い起こす。]
凍れる英雄が向かったと言うのであれば、
彼ひとりでも事態を収めることは出来るのではありませんか?
[アデライドは注意深く問いを天使へ*向けた。*]
/*
さて、エピったら全く関係のないToDoのお時間です。
・巨竜跡地へ赴き、今どうしてるか描写
・巨竜の行く末に想いを馳せる
・あつい。雨季にはまだ早いのに
・花の影が濃く、長く伸びている
エルラム が参加しました。
(tayu) エルラムは、おまかせ を希望しました。
― 時の巡る昔、さる愚かな乙女にまつわる小口伝 ―
英雄ならず傀儡たる運命の杯を負い、永なる狂気と加護を得たその末路。
ある名もなき狩人の三人の娘達、末の乙女は強い「詩」の力を備え、白く輝くような容貌と、生まれながらに美しく囀る類稀な喉を持っていた。
萌え出づる小神の祀所から大地へ出た乙女は、美しい喉の音色と萌芽の詩の加護のために、「萌の英雄」として敬われた。
萌の英雄は人間達に請われ荒れ野を巡っては歌い、神の「徴」を札へ借り記して、貧しき民へ授けた。
彼らが豊穣の萌しに歓び、
『小さき人の中にあっては、これこそ最も美しい歌声よ』と英雄を讃えると、しかし彼女は憂えて首を振った。
ある日、萌の英雄は東の僻地、歪んだ灰の森で渇きの為に泉を訪れた。
渇きは堪え難く、ついに泉の水を掬って口にすると、天使が現れて彼女へ告げた。
『至上と讃えられるお前の歌声を捧げないならば、神の水を盗んだ罰を賜るでしょう』
萌の英雄はひれ伏し、畏れながら歌を捧げた。
明くる日、英雄は歪んだ灰の森にあり、泉の水を掬って口にすると天使が現れた。
『お前の妙なる歌声を捧げないならば、神の水を盗んだ罰を賜るでしょう』
萌の英雄はひれ伏し、畏れながらよろこんで歌を捧げた。
それから八十と七の日、英雄は歪んだ灰の森にあり、泉の水を掬った。天使は日毎に現れ、彼女は日毎に神へ歌声を捧げた。
八十と八の日、萌の英雄は泉の水を掬い、ひれ伏して言った。
歪んだ灰の森の神は願いを聞き、気紛れに寵愛を賜った。
六と一日の長い時の間、神は戯れに祝福を与え、
乙女は乙女でなくなった。
六と一日の短い時の後、神は代償に正気を求め、
英雄は英雄でなくなった。
愚かな女は狂気の神の傀儡人形となり、命の短さを奪われ灰の森で永劫狂い歌う幸福を得た。
時の巡りて今も、大地の東の僻地、歪んだ灰の森の奥からは、
詩も旋律も無惨に歪み狂いてなお 美しい 、妙なる囀りが聞こえるのだという**
エルラム は肩書きと名前を 狂詩の落とし子 エルラム に変更しました。
― 小さな村 ―
[疎な破屋の点在する集落の、はずれ。
茂みの傍らに膝をつき、恵みを収穫する者があった。
男は赤い果実を丁寧に摘み、蔓を編んだ籠へ入れる。繰り返す作業。
やがて籠が甘い香りで満ちると、僅か顔を上げるようにした。
くすんだ灰緑の虹彩の中央で、洞のような黒い瞳孔が真円を大きくする。西の空]
『英雄さまー!』
[村の子の声が遠くから聞こえた。
籠を手に立ち上がる男の肩で、服の布地が土であるかのように生えた若緑がふくりと揺れる]
[振り返ればころころと駆けて来る子に、笑み向けて。
迎えるように片腕を広げ抱き上げる。
そのまま軽々と肩へ担ぎ座らせれば、肩の上に生えた植物の芽がするりと消えた。
幼子と籠を両手に、集落への道なき野原を帰りだす。
踏み込み、歩む足の裏、男の重みに凹んだ土跡の一つ一つへ、淡く子葉が芽吹いて薄緑を咲かせた]
『英雄さま、明日おうこくに行っちゃうの?
次はいつ帰ってくるの?』
[足跡に若芽の萌色を残しながら、男は首を傾げる。
西の空へ視線を向けた。王国の中心地のある方]
/*
それは駄目、みたいなのは言ってくれるだろうと思って野放図しよう
恐らくこの村で、参加者は萎縮するべきじゃない(とおもう
村の設定が変更されました。
/*
元チップがマーブルなので、
marble → el-ramb エルラム
聞いたことない感じの名前にしようと思ったのに、ぐぐったらエルラムってもういた。
狂詩の落とし子 エルラムは、聖痕者 に希望を変更しました。
― 神殿へ ―
[翌日の日の出と共に、粗末な屋を出て男は王国の中心地へ向けて起った。
老いた山羊の背に荷駄を負わせ、徒歩の歩みは速くはない。
道すがら人の住む村があれば立寄り、頭を下げて屋根の下で眠らせて貰う。
神々の加護に遠く、地の恵み貧しい村を通れば、彼らの為に萌の徴を用いた。
植物に新たな芽を吹かせ、野を耕す営みを僅か豊かにする手伝い]
[男は、己が身に宿る【詩】の力を徴に乗せ、人々へと惜し気なく振るう。しかしひとりの「英雄」のもたらす恵みなど、神々の大いなる慈悲に比べれば一時しのぎ程度にしかなりはしないのだろう。
かの【偉大なる英雄】が巨竜を動かした、との先の英雄譚は、男にとって大きな驚きの一つだった。
大陸に聳える竜を去らせるのに比べれば遥かに小さな、ほんの足元の奇蹟を施して、それでも感謝を述べてくれる民へ笑んで、彼らの幸福を願う]
[徒歩の歩みは速くはない。
しかし山羊と共に歩む足跡に若葉を萌しながら、いずれ名もなき英雄は春の大神を祀る祭事の中心地、神殿の開かれし門へ辿り着きそれをくぐった]
春なん英雄、アデライド方へ
[取り次ぎを頼む声は柔らかく甘やかだが、どこかひずみ孕む響き、そして短い。
子葉の浅緑が纏わりつく襤褸外套を脱ぎ、山羊や荷と共に外へ預け。
様々に花で彩られた神殿内を*行く*]
/*
なんで山羊って、たしか北欧神話のトールだっけかが乗ってた戦車かなんか、山羊が引いてたよね?非常食兼用の。みたいなおぼろげなきおく
馬でもいいんだろうけど格好良過ぎるしその、"高そう"みたいな。農耕馬とか神話の時代にもおったんかいの
/*
この方は英雄タユエモンのようですか……。
(萌の英雄、というチョイスを見て思ってはいたのですが)
実は、>>0の神殿は、王国の神殿群の一角にあるもので、春の神に連なる神々の大小の建物がある、というト書きも当初考えていたのですが、面白いものです……>春の大神に連なる【萌え出ずる小神】の加護を受けている英雄。
貴方を歓迎しましょう。
[そこで初めて、天使は敢えて冷ややかなる眼差しで、出すまいとしていた哀れみの色を浮かべた。]
或いは、かの英雄ひとりでも成し遂げるやもしれません。
であれば、貴方がたは【凍れる英雄】へ助力を行う。
その道をとるのも宜しいでしょう。
[この世界の神々は傲慢であり残酷である。中にはそうではない者も居るが、心底人を想い御業を見せ、世界から力を取り出す事の出来る「徴」を与えようとする神は、極稀であるか、気紛れである。]
[そこで初めて、天使は哀れみの色を浮かべた。]
或いは、かの英雄ひとりでも成し遂げるやもしれません。
であれば、貴方がたは【凍れる英雄】へ助力を行う。
その道をとるのも宜しいでしょう。
[この世界の神々は傲慢であり残酷である。中にはそうではない者も居るが、心底人を想い御業を見せ、世界から力を取り出す事の出来る「徴」を与えようとする神は、極稀であるか、気紛れである。]
[それでも、小さきか弱き存在である人は神を崇め奉る。
それが、哀れだと。主神に仕えるこの天使は人々を哀れんでいた。
神の祝福に加護受けずとも【詩】の力強き人間達、生まれながらの英雄のような者でさえ、神々の前では、大海の中に呑み込まれる木の葉のようなもの。
凍れる英雄も、またそのような英雄のひとりであったか。]
[天使にとっては瞬きのうちの過去、巨竜が村を潰したおり、遠き東の砂漠の地に移住した者達に、新たな加護と祝福を与えた神があった。
其れは、狂気の神である。
契約は為された。子々孫々のみではない。
東のその地に住まう者の正気は必ず喪われる……捧げられる代償の代わりに、絶大なる加護と大いなる繁栄と富は約束された。
確かに砂漠には水が地中深きところより溢れ、季節がひとつ巡らぬうちに緑が溢れ、乾きと飢えに悩まされることもなくなった。更には装飾貴金属の類の鉱石も、その場に住まう人間達が望む限り地中より齎されるに違いない。
恐らくは、喩え狂気の神の肉体が滅んだ後であろうとも、加護と祝福は永劫、その地に住まう者達に贈られ続けるであろう。]
[砂漠の地の者達が、狂気の民となる代わりに。
かの集落より詩の力強き者が排出されようと、その力は捻じれ狂う結果を齎すだろう。彼らは己が狂気の侭、神にも判らず、人には理解出来ぬ存在と成り果て続けるのだ。神々を愉しませる道化として。
尤も、彼らはその悲劇にすら手を叩き歓び、愉快に暮らす哀れさであろう。*]
/*
うむ、何か言われてる気がするけどよくわからない(
入村発言の口伝は、目撃者がいないはずなのになんでわかるの系の、信頼性が低い怖い話と同じレベルのやつです
― 神殿 ―
[神を崇めるために作られた神殿は、花と讃歌で満ちていた。
初めて訪れた頃も今も、常春と紛う祝福の庭。
英雄エルラムにとっては、此処は神の祀所であるだけでなく導きを与えてくれた学府でもあったから、人に行き交うたびに深々と頭を下げもした。
「徴」は技術であり知識でもある。詩の力を授かってあろうと知らぬ徴は扱うことは出来ず、男が少年であった頃、知っていたのは萌の徴ひとつだった。
そしてまた、この神殿を初めて訪れた頃の青年は詩を口ずさむことも出来ず、自由に歌ってご覧と促されれば狼狽えて青褪める始末だった。
師となった神殿の者達にとってはさぞ頭の痛いことだったろう、と思い返す]
[緊張の混じる足取りで進んでいた男の視線が、ふと天を仰いだ。
「詩」そのものの波紋>>30。天上の音色が胸へ響き、体を通って広がって行く]
……
[くすんだ色の髪の間から、淡い緑が伸びて耳の上に小さな双葉を幾つか開く。
まるで不似合いな髪飾りのように芽を萌させながら、男の足が速まった。波紋の中心へ]
[やがて、
春の英雄の姿を認めれば笑みを浮かべ、吊り椅子に留まる片翼の天使を仰ぎ見た。
灰色に仄か光る輪郭、美しい眼差しへ、崇敬の念を表情と仕草に込めて送る]
望まぅるらな…
[柔らかくもひずんだ抑揚の声は、討伐への助力を名乗り出る。
歩みは速くないけれど、この日、神より令が下されるを、目指して英雄エルラムはここに立っていた。
我こそ と、名声や寵愛を欲する自信はない。
偉大なる英雄の物語は、野にある名もなき英雄に奮う勇気を与え、
『授かったこの力を、神と人々の幸福の為に役立てたい』と、少年の頃から願う通りに]
[とはいえ。
捧げる右手の甲から、幼芽が萌え出ずる。
剣術ではなく、土を掘り収穫をし、あるいは水汲み運ぶ労働によって、節くれの立った無骨な手]
……
咲きろぶつまつぼみ
はるをおみ はるろうみ
いつ恋うぼやしき君なん におゆ
[捻れて歪む奇妙な歌は、甘い声に狂った調律。
しかし歌の奇蹟はごく率直に芽吹き、手のうえへ瞬く間に爛漫を咲かせた。春色に縮れた可憐で小さな花弁の群を、そっと春の大神の祭壇へ捧げる。
闘う術を欲したことのなかった男はアデライドを振り返った]
はあし…私にも、扱えう武器は、ある と思ぐ?
[陽の雫というものを前にして、何も出来ぬ弱き者では仕方がない。
春の神の加護をうけし英雄へ、助力を、あるいは助言を期待するように]
─ 神殿 ─
………、来訪者ですか。
この神殿は誰にでも開かれていますが……私に?
[どの時点で男は訪れた>>28のであったか。
この神殿で共に祭事を執り行う者、神を拝し奇跡を学ぶるものが、エルラムの言葉を聞きアデライドに話を通せば、拒む素振りは無く
元より、神殿に訪れる者達を害そうとせぬ者であれば、誰でも立ち入れよう。神への畏敬の念と共に。]
[……やがて現れたのはひとりの青年だった。]
エルラム。
[アデライドは青年の名を呼ばう。
この王国では彼の名など無名。
何も成し遂げておらねば、名声などあろう筈も無い。
甘やかに萌し孕む声は、けして芽吹かぬ種さえ目覚めさせるとさえ思しきもの。肌が粟立つものを感じるは、春の大神に加護を享けている為か。
アデライドは密かに眉を顰めた。彼の声ではなく、彼が望むものへ対して。それはアデライドの誤解であったが、何時かの凍れる英雄の姿を思わせて尚、誤解出来ぬ等出来ようか。]
貴方は、本当にゆくと言うのですか?
死ぬかもしれませんよ。
それに、……、いえ、かの地は恐らくは【陽の雫】により、
[そして凍れる英雄により]
荒れ果ててゆくでしょう。
貴方が向かうのは、良いきざしなのかもしれません。
本当にゆくと言うのですか?
志半ばで死ぬかもしれませんよ。
それに、……、いえ、かの地は恐らくは【陽の雫】により、
[そして凍れる英雄により]
荒れ果ててゆくでしょう。
貴方が向かうのは、良いきざしと言えなくもありませんが……。
[ゆく、と。一見には迷いなく頷く。
しかし死という単語へ怯えるように、髪に咲いた双葉がするりと潜り消えた。
死とは、枯れ果てて二度と芽吹かない灰]
…怖い
[春の英雄は言い淀んだように思えたが、続く言葉へ表情を引き締める]
荒れ野へ、あたらな春告ぐら
はあしなん役目なら、それを
[ひずんだ抑揚は懸命に、小さく弱い志を告ぐ。
陽から滴り落ちたものが大地を灼いてしまうのなら、
その地へ神々が憐れみを下さるように。哀れに咲く芽が神々の興味を引いてくれるように]
成し遂べたい
…………。
[アデライドはエルラムの言葉に更なる煩悶を覚えた。
一度、眉根をきつく寄せたが、それ以後は内心を表情に出さずに、]
分かりました。
鍛冶の神鍛えし剣をここに。
[エルラムより目を逸らさず近くの者に声をかける。
戸惑いなどの声が上がろうとも、アデライドがその者を振り返ることは無い。]
ここに、鍛冶の神が鍛えし剣(つるぎ)があります。
[アデライドは一振りの剣を示す。
装飾が施された鞘は、到底、人の手では生み出せるとは思えぬ美しさ。一度引き抜けば、柄と刀身には、人には見慣れぬ徴が隙間なく刻まれている。美しくも畏怖の禍々しさすら感じさせる、神の手により生み出された、人の為の剣。
アデライドは、剣を受け取ると、軽々と持ち上げた。事実、長剣ではあるが重さを感じさせない。剣は横に、両掌の上に乗せ、エルラムに下賜する姿勢をとる。]
………。
[エルラムを見据える。]
[剣。
緊張と共に、男の表情は明るくなる。
膂力ならば常人よりも秀でていたが、剣を振るうことが出来るのか、わからずとも信じるまま]
[一目で人智の範疇を超えているとわかる長剣を見つめ、またアデライドへ視線を向ける。くすんだ灰緑の眼に寡黙な光。
膝を折り、捧げ持つように下賜をいただく姿勢]
鍛冶神
……私に、尊き力なん枝を葉を お貸し下さい
ともに春告ぐ道あゆぶれな
聞けかし──小さき人子、慶びなん声を
これを貴方に。
貴方であれば扱えましょう。
貴方の歌を響かせいっそうに世界を孕ませるかと。
この国で鍛えし武器はあれど、
神の加護無くして、あのような生き物の前に溶け去らぬものは稀に思えます。
[エルラムが加護ある物を持たぬならばいっそ。
アデライドの知る最高の物を渡そう。]
これを貴方に。
貴方であれば扱えましょう。
貴方の歌を響かせいっそうに世界を孕ませるかと。
この国で鍛えし武器はあれど、
神の加護無くして、あのような生き物の前に溶け去らぬものは稀に思えます。
[エルラムが加護ある物を持たぬならばいっそ。
春の英雄アデライドの知る最高の物を渡そう。]
王国にありし春の英雄アデライドは、
この者エルラムを英雄と認めます。
[大きくは無いが神殿にアデライドの声が響いた。
剣の名は、告げずともエルラムが自ずと知るだろう。
剣を渡せばアデライドはエルラムに立ち上がるよう促した。]
[春の神の声は在らず。そして先に【凍れる英雄】が向かったのはそういう事であろうとアデライドは漸く心中で結論付けた。]
東北の村までの道は分かりますか?
分からなければ、私がそこまでの案内を致しましょう。
["春の"英雄が手を出す意味は恐らくは無いのだ。喩え、主神の令であろうと、"冬の"神に、委ねられているのだろう。]
旅支度は出来ていますか?
足りぬものがあれば用意しましょう。
[故に、春の英雄は、討伐には加わらず助力のみを行う。*]
[下された剣が重い。
質量でなく、驚くほど指へ馴染む柄と鞘に、宿る加護のおもさ。
響く宣への感謝の意は言葉ではなく表情と仕草に示す]
……
[立ち上がり、神の御剣を握れば、触れた手のひらから長剣へと若葉が萌え伝い、一振り全体を新緑が覆い尽くした。
艶やかに慎ましく映えた芽は刀身へ吸い込まれるように消え、隙間なく刻まれた徴が淡く光を放つ。
その恐ろしいほどの神々しい怜悧に、どこか穏やかな静謐を息衝かせて]
[頷いたり首を振ったり。
声よりも身振りがよほど多い寡黙で、春の英雄の助力>>50に感謝を。
旅の支度ならば、みすぼらしいなりに、過不足なく。
歩く大地に道を迷うことはほとんどなかった。
そして、天上の音色を降らせる主神の使いへ、丁寧に頭を下げた。
望みは叶う、という言祝ぎはいつか必ず男の力の源になるだろう]
……
[神殿を辞する最後には笑んで、アデライドの手へ小さな、くすんだ薄紅の花を一輪手渡した。
春の大神に捧げる為でない卑小な花を*]
村の設定が変更されました。
― 王国中心・広場 ―
[腕の長さを超える長剣は、襤褸外套の破れ目から美しい装身を覗かせる。不器用に腰に提げられてしかし、最初からそこにあったように馴染んでいた]
[山羊をひいて歩く男の足跡には、ふくりと新緑が萌える。
張った糸の弾かれる豊かな音は響いていたろうか。
見上げれば白い雲がゆるりと運行していた。
くすんだ緑の虹彩は、今度は北東の空を向く*]
[カーン、カーン、カーン、と鐘の音が鳴る。
いつしか王国には簡略的な日時計が作られ、影が一定の方向を示した際に鐘を鳴らす時刻当番という職ができた
しばらく物思いに耽るように空を見上げていた男はその鐘の音により、はっと意識を戻す]
………。そろそろ、いつもの場所に行こうか
[演奏の報酬として民衆より賜った品を眺め、麻袋にしまう
目的地へと何歩か踏み出した所で、腰に下げた剣に異変が起きた]
《ーーーーーーキィィィン》
[その剣は鍛冶の神と対を成す金属の神より賜ったもの。
抜けば徴が刻まれているが、その徴はまだ不完全であった
神から聞いた話には"剣が真に主を認めれば徴は完成し、剣は完全となる"とある。
その時は剣から名を教えて貰え、斬るものを選ばぬ神剣となるのだという
だが、アメシストの持つ剣は未だ真の姿に至らず。故に巨流と対峙した際にも通常の剣でしかなかった
その剣が何かと共鳴するように振動している]
……………?
…君、ちょっといいかい?その剣、どこで手にいれた?
[周りを見れば、自らの持つ剣とよく似た装身を下げた後ろ姿が目に入る。
駆け寄って後ろから声をかける]
[かけられた声に振り返る表情は、眸の輪郭を丸くしたもの。
自分にか、と伺うように身じろぎして、片手を持ち上げた。
神殿を指差す]
……
[視線は、人と建物の多いこの土地でよく見かける出で立ちではない、旅に慣れた姿を撫でる]
─ 神殿 ─
(もし叶うのであれば彼を殺せと伝えるのは酷でしょう。)
[秘める心は言葉にはならず。そして、その言葉を仮に口にしたとて、それだけでは唐突さのみが浮き彫りとなる。
春の英雄アデライドは、エルラムの仕草>>51>>53に感謝と敬意を感じた。甘きひずみ、そして無垢さすら思わせる心を。]
貴方に神々の加護と祝福が垂らされんことを。
……貴方がたが旅立つ時、貴方がたの為に祝福の歌を歌いましょう。
[卑小なる花を受け取る。くすんだ薄紅の花は、アデライドの髪を後程飾ることとなろう。*]
[男は声をかけられたことに少し狼狽して見えた。だがその片手は持ち上げられて、ある場所を指す
そこは王国に点在する神殿の一つであり、アメシストが次に向かわんとする場所でもあった]
………春の、神殿。
[そうなれば春の神の加護受けし英雄、アデライドが授けたのだろう。
だが、あの英雄は争いを好まない。何故戦の助力をしたのだろうかと、アメシストの中で疑問が渦巻く
そこでやっと、目の前の男の視線に気づく]
男の視線を辿って足元を見やれば、足の周りに若葉が芽吹いていた
その新芽に詩の気配を感じ取ると、姿勢を正して向き直る]
…失礼。貴方も英雄でしたか。……こういった旅慣れた格好は貴方にとっては珍しいですか。
私は大気の神の加護受けし、アメシストと言います。よければ貴方の名前も、お教えください。
…して。その剣を携え、ここから何処へ向かわれますか。
[それは暗にその剣の使い道を問うものであったが、男には伝わったろうか]
[腰で、借受けたばかりの剣が鳴っている。
指先に宿る紫色の爪をじっと見る。
貴方"も"と相手は言い、続けて大気の神と口にした]
……
[頷いて、次に曖昧に首を振る。王国の外れ、いまだ街をなしえない辺境たる集落から来たのだと服装や老いた山羊を示した。
姿勢を正す仕草>>61を写すように背筋を伸ばし、喉のあたりへ手をやった]
英雄アメシスト、光栄です
はあしはエルラム
[首を離れた指先で宙へ萌の徴を描く。
相手の荷だろう麻袋が薄茶から柔らかな緑へ色を変じ、瑞々しい草の匂いを漂わせた]
令を識にりここへ
これひら、
[奇妙にひずんで聞きにくいだろう言葉の端先、北東の方角を指差した]
…「神は英雄達に【陽の雫】の討伐を望みました」
[男はアメシストの紫色の爪をじっと見る。好奇心で始めたものがいつの間にか定着したものだ。
最初こそ、王国の者には奇異の目で見られはしたが
そして、男の指先を辿ると老いた山羊と、辺境の村でよく見るような出で立ちをしていた。
王国ではない辺境から来た者だと言いたいのだろう。了承するように、一つ頷いた]
エルラム。
……ほぅ。なるほど。お見受けしたところ、春の神に連なる神に加護を受けたと見える。
[手持ちの麻袋が褪せた薄茶からみずみずしい緑色に変わり、朝の空気のような瑞々しい草の匂いを纏った
男の声は歪んでいたがそこにはあえて触れずに。興味深そうに目の前の事象を観察する
そして男は北東の方角を指差して"令を識った"と告げる]
【陽の雫】。…聞いたことのない名前ですね。
その討伐を神が命じたと…。
[口元に手を当てて、少し考える仕草をした後、思いついたように顔を上げる]
…貴方はこれからかのものの棲まう地に向かうという訳ですか。
それでは、先ほどのお礼に助力を致しましょう。
神々が英雄達に命じているのであれば、私も無関係ではありませんし…ね。
[そうして先ほどの緑色に染まった麻袋から歌の報酬として得た一枚の布を取り出す。
それは細長く首に巻きつければ丁度良い大きさだ]
《アメシスト・ヨアニスの名において申し上げる。
風と若葉は友であれ。 大気と木の葉は対であれ。
我ら此処に友の契りを結び 大気の恩恵をかの者へ
此の徴を用いて、エフラムへと、加護を分け与え給え。》
[詩を紡ぐと同時に紫色の液体の入った小瓶を開け、指に塗る
それは普段爪を彩る際に使っているものだった。それを布へ塗りつけ、徴を布へと刻む]
…よければ、これを。名前を聞いた限りでは、【陽の雫】とやらは強い熱を帯びているように思える。
これをつけていれば幾分かは私の風が暑さから護りましょう。
[徴を刻んだ布をエフラムへと差し出す。
エフラム自身が望めば、大気の振動の助力を得て声の調律も幾分か良くなるかもしれない
尤も、"寒さ"への防御力は期待はできないものではあったが]**
[加護の主を指摘されて、笑み頷く。
身と血に刻まれた萌の徴は神の加護であり目標、そして母の愛の証。
大気の英雄を見る眼差しは眩しげに、敬いを囁いた]
──はい
[かのものが棲み荒らしていくだろう地へ、そこに住まう村の民のもとへ向かうのだと。
助力をすると続ける英雄へは、興味深く動作を見守った]
お礼?
[なんの、と問うように開いた唇は、
紡がれた詩にほうと溜息をついた。肩に咲く若葉が戸惑うようにゆらと揺れる。
枝を揺らす優しい風のような詩]
……とも
[畏れ多いと思うべきか嬉しいと思うべきか、恐らくはその両方だったが。腰で共鳴する剣の振動が鎮まれば、相好を崩して布を受け取った。
綿の花を紡いで織ったエクリュの布に、紫の徴が奇蹟を纏わせる。示されるように首へ巻けばやはり暖かく、感じられた]
アメシスト…【凍れる英雄】なん名を?
[寡聞の身でも片鱗は知るところである、成し遂ぐ偉業で名を馳せた冬の英雄。
彼の英雄ひとりでも討伐を成し遂げるかも知れない、と、天上の音色が紡いだ>>32を大気の英雄へ伝える。
その凍てついた心までは、識り及ばないまま。
呟くように、ひずんだ声で言ちた]
…災いの討ちぅ、あれ野め立つひとびおらま……
はあしや少しでも力びれなるでしょうかや
[北東、僻地の村への旅路は長いもの。
歩みに迷いはなくとも、そのうちに言葉を用いて意思を伝える術は上達の目をみるだろうか**]
/*
今違う事に気づきましたが、アメシストに名前を尋ねているのかと一生懸命、凍れる英雄の名前を考え続けていました。ただ、付けるとしたらオーリックになってしまいそうな……。(元ネタがある名前なのが難点でしょうか)
/*
後は更に気づきましたが、もしや、アメシストの爪はマニキュア…の走りなのでしょうか?私は普通に文化的(祭儀的)にあるもの(お洒落出来る類のものが少ないので)、と思っていたのですが、強く指摘を行うのも無粋かもしれないので悩ましいですね。
猫仙人 グエン が参加しました。
(*さとこ*) 猫仙人 グエンは、おまかせ を希望しました。
── 王国の外れ ──
[自らの側に寄り添い、その尾で身体を包み込むのは、かつて自分が語りかけたそれとは違い、小さな竜。
眠る竜の硬い皮膚を撫でれば、その手の動きに小さく反応した。そして耳に入る声に一つ溜息を吐く。]
知ってる……
行かなきゃならないのね…
[竜の寝息は神の声を伝える。
東北の地に現れたという『太陽の雫』。
それはかつての自身の村のように、何者かの生を脅かしている、と。
自身の村は竜の被害から護られ、神の加護を受けた。
あれから数年。
村は元の通りとはいかないものの、形を変え、人を変え、栄えている。
自身を取り巻く環境も大きく変化した。
一番大きく変わったのは───側で身を寄せているこの存在だろうか。
目を細め、その日を思い出す。]
猫仙人 グエン は肩書きと名前を 竜の英雄 カルヒ に変更しました。
私に……?
[この大陸の形を変えたその日から暫く、ナジの言うように王国は自分を英雄ともて囃した。
自身にとっては静かな村での生活の終わりであり、落ち着かない日々が続いていた。
そんな時、目の前に現れたのは、美しい女神。
神は敬愛すべき存在と教えられた自分にとって、それはその思考を止めるに十分な出来事であり、与えられたものにはまた更に驚いた───表面上には現れなかったけれど。]
確かに、適役、かもしれませんが。
[竜の子守唄を引き継いできた血筋。
創世の竜と対話し、眠らせたその歌は、母から歌い聴いたものであった。
私の戸惑いなど素知らぬ様で、目の前の大きな卵は間も無く孵る、と女神は告げる。
───竜の英雄。
その名には確かに相応しい贈り物ではあったけれど。]**
/*
戻ってきたかなって思ってましたが相変わらずの日本語の汚さでした…
修正するしたら名前がリセットされてるなんて((
チップがそのままだったから油断した……
ごめんなさい…汚い……
― 閑詩 ―
[エルラムは人の寄り付かない森で育った。
人間が言葉を学び音の調律を育てるのが幼子の頃であるならば、彼の耳はひずんだ音をこそ"かくあるべき"として学んでしまったのだろう]
『歪んだ森の子だ』
『狂った英雄の…』
『萌の乙女が昔── 』 『おそろしい』
『 村… 恩人 ──』
[森を出て、初めて母以外の人間と会った少年には、自分を囲む大人達が言い合う言葉の響きの方が、酷く狂った不気味なものに聞こえていた]
『 狂神の。』
[その地方に残された口伝>>20が真実なのか作り話なのか、少年だった男は知らない。
母を狂人と呼ぶ人間達の言葉に馴染んで、きちんと聞き取れるようになった後も、歪んだ発声──母に習った訛りともいうべき───はなかなか治らなかった]
["母"とは、灰の森の深くで、昼も夜もただずっと狂った詩を歌い続けていた者。
母に抱かれた記憶はない。
母が少年と目を合わせてくれた記憶もなかった。
けれど少年エルラムは常に、母の愛を感じていた。
歪んだ森でひとり、乳飲み子の頃から生きて育つことができたのは、躯へ烙印のように刻み込まれた【萌の徴】の加護あった故。
萌え出ずる小神は幼子へ糧を与え命を守護し、望み祈れば導きを与えることもあった。
神の真意を人の身で窺うことなど出来ないけれど、
春告げる神の憐憫と幼子を結びつけたのは、傀儡と成り果てた母の遺した愛証であるに違いないと信じている*]
― 王国東の町 ―
[広く整備された道は、中心に近く人の多い都にのみ見られる繁栄の証。
それが細く砂っぽいものに変わり、旅路は王国の外れの町でひとつの日暮れを迎える]
…神殿らある
[泊めてもらえるだろうかと同行者を見つめた。
声は、首に巻いた生成りの布を通って柔らかく甘やかに響く。
春の英雄による宣言>>49が彼らの歩みより速く神殿に伝わり、無名の男はいまや神賜の御剣の主として扱われる身になっていたが、
いっそ暢気に、小さな広場で遊ぶ子供の輪など眺めていた]
/*
爪紅は、現代のマニキュアより色ムラがすごいあるイメージだけどね。
エルラムさん(の中の人)手間をかけてすいません、と。
ーー礼というよりはただの、好奇心かもしれません。
貴方がかの地で何を成すのか、見てみたい。
それも似合っていますし、ね。
[エフラムの唇がお礼?と疑問を紡げば、行動の理由を自ら分析するように話す
民から賜ったエクリュの布がエフラムの首元を飾れば、微笑む]
神が討伐を依頼するからには、相当厄介な相手であると見える。
或いはただの気紛れとして命じたのかもしれませんが…まぁ、これを論ずると答えは出ませんね。
只、ひとつ。戦友は多いほうが良い。
[エルラムの濁っているとも、昏く澄んでいるとも取れる眼を見ながら"とも"という言葉にも、返事を]
[エルラムが次に紡ぐ名は【凍れる英雄】の話だった
風来の身でもその偉業は耳に入ってくる。また彼が成し遂げた、と人々の口を通じて英雄譚が紡がれる
人々の間で物語の主人公として創作されることもある、有名な英雄だ
だが伝わるのはその偉業のみ。その英雄がどういった人物であるかは、何故か耳に入ってこない
エルラムの言うには陽の雫の討伐は、彼ひとりでも成し遂げられるかもしれないということだった]
……。わからないね。こればかりは、どうにも。
でも。彼一人でなんとかなる相手であるなら、そもそも神々は彼のみに令を発するはずだ。
それが、英雄全体に発令する事態だ。【陽の雫】とは、それほど侮れない存在なんだろうと予測はしているよ。
…無駄な意思も、意味のない加護も無いと思っている。
そして、君にはその剣がある。
成し遂げる意思がある限り、剣と加護は応え得る。僕はそう信じている。
…ところでその剣、名前はあるのかい。
[少しでも力になれるか、というエルラムの言葉には励ますように力強い言葉を送る
その加護を与える神の意思は測りかねるが、力を行使するのはあくまで人間だ
人間の力は時に思いもよらぬ奇跡を起こす
ーーーあの時のように
そして美しい装飾の施された剣を指差して、問うた]
― 東の町 ―
[王国の広場よりも遥かに規模の小さい、空き地のようなそれ。
しゃがみ込もうとすれば慣れない長剣の鞘先がつかえて、もぞもぞと位置を直した。
手に触れるのは力強く怜悧な感触。
─── ]
「名前は、………」
[尋ねられた銘>>79に答えようとして、唇を開いた時。
困ったように男は首を傾げた]
真名…はあしは口にてしはいけない、と。言ってむ
知りたいらな、──対たぅお前なん剣に聞け…?
対…、
[剣の振動を思い返して、男は自らの剣の柄へ触れ、アメシストのよく似た人の手ならぬ美しさもつ剣へ思考を沈めた。
剣と加護は意思ある限り応え得る、なら。
彼の剣も、意味をもってそこに居るのだろうと。心強さを*]
[問うた剣の名に、男は口を噤んだ>>80
その様子からすると言えなかった、と表現するのが正しいか。
エルラムが呟くように発声した声は、恐らく剣そのものの意思によるもの
アメシストはそう上手くいかないか、と心の中で呟き、下げた剣の鍔に手を置いた]
対たる剣。これは、金属の神より賜ったものだ。
アデライドの持っていたそれは恐らく鍛冶の神によるもの。
それら対となるが、こっちの剣はまだ『目覚めて』いない。
…情けないね。神からの発令が出ているというのに。
さて、君はこれからかの地へ向かうのかい。僕はその前にやりたいことがあるから神殿に寄ろうと思う。…君はどうする?
[肩をすくめて困ったような表情を向ける。
そして、顎を春の神殿に向けて次なる目的地をエルラムへと示した]**
[山羊がいるからきっと歩くのが遅い、と。
すぐに追いついて来られるだろうアメシストへ、先に起つ旨を、短い言葉と身振りで伝えた>>82
もしも馬であれば自分が乗ることすら容易いのだろうが、忍耐強い賢者の目をした老いた獣は男の家族であり財産でもあった]
剣ら眠っていぐなら、それも
意味なんない沈黙でばないと思…れぅよ
[ぽつぽつと呟き伝えたのは、励ましてくれた戦友へ、
情けなくなどない、意思への信頼を示すためだった**]
── 道中 ──
………ねぇ、ダーク。
君はその名を持つのに、私を乗せて飛んではくれないのね。
[らしくない愚痴が飛び出るのは、2年の月日を共にした1匹に対して。
母が亡くなり、長く1人で居たところにやって来た世話の必要なその存在は、一度失った家族を得たような感覚を齎していた。
何度か歌で呼びかけたものの、子竜は嬉しそうに小さな羽をパタパタと震わせたのみで、飛ぶことはなさそうだった。]
まぁ、いいのだけど。
[陽の徴を織り込んだケープを羽織っていても、進むにつれて肌に触れる温度が下がっていくのが分かる。
コツ、コツ、と杖で道を突きながら、後ろには竜を引き連れて。
先に集落が見える。
とりあえず今日は其処で休ませてもらおうか。]**
村の設定が変更されました。
一枚翅の天使は、人狼 に希望を変更しました。
影の英雄 ナジ が参加しました。
(kkr) 影の英雄 ナジは、おまかせ を希望しました。
[祭祀の主の元、神々の声は降り注ぎ、御業知らしめん。
王国は種々の神殿を祀所を建造し神々を讃える。
穢れ無き建造物は神々へ捧げ物をするにも相応しき場所。
神々が望みし贄に人が自ら捧げんとす物は多岐に渡る。]
[美しく何処までも透き通る声で詩を綴りあげる英雄。
誰もが口々に賞賛し時には神の寵愛をも独占し、しかし奢る事なく分け隔てなく慈愛溢れる眼差しを向ける英雄。
それらが光に値するならば、闇とは正に自身を指す。
ナジは、そう思う。それは、大陸を横断せし巨竜の話を経て尚、思うことだ。
”人の歌が巨竜に届く”。その偉業は正に青空に吹く風のように、ナジの心の曇りを、一時は払った。]
[影の英雄とは、他の英雄に影の様に付き従っているのと、容姿から何時の間にか呼ばれ始めたものだと、ナジは思っている。
英雄に付き従い各地へ赴く、或いは、ナジの神への祀りごとを行う、神殿や祀所にて儀の扶けを為す、それら以外の時は、神と人間との関わり合いの探訪……神々と人間の関係の理想的な在りよう……を求め、各地に伝わる物語を口伝を求め、ナジは足を運んでいた。
王国に蓄えられる、種々の口承の一端は、ナジが集めたものもあるが、その行いを褒められたとしても謙遜を行うばかりだ。事実、ナジは、誉れを欲し行動しているのでは無い。]
[エルラムより短い言葉と身振りで、同行者の山羊がいるため歩みが遅いことを伝えられる>>83と、了承の意を込めて大きく頷いた。
此処まで来る過程でも対話には苦労したろうか。と頭の片隅でどこか思いにふける]
わかった。それでは、僕も後から向かうとしよう。
………ありがとう。
そう言われてみると僕は僕のことを、あまり考えてはいなかった
[自身の意向を返して伝えれば、相手から"意味のない沈黙ではないと思う"と、剣を指して言われた。
その言葉を聞くと意味のない意思はない、と自分で言っておきながら情けないと自虐した事を後悔した
それは目の前にいる新たな戦友の為でもあった]
ーーーーまた、会おう
[話が終われば手を上げて、エルラムの元から踵を返し、春の神殿へと歩を進ませる]*
― 東の町・広場 ―
[小さな神殿の前に、小さな広場。
輪になって遊んでいる子供達をしゃがんで眺めていれば、足元に蹴り転がされてくる小石がひとつ]
……、
[石を拾い上げて、駆け寄って来る子供に笑ってみる。
見知らぬ男が神殿を訪なう旅人と理解したのか、外遊びで頬を上気させた少女は、はにかむように笑みを返してくれた]
[ナジが求めるのは、人と神の理想的なる在り方。
全身を覆うローブの下、体に刻まれた無数の徴は、ある神により引き裂かれた小神そのもの。神の戯れにより、幾多の英雄達と同じく生まれつき身に備わる詩の力が強かった者のひとりであるナジは、これらの「徴」を与えられた。
神に愛されることなく、虫螻のように弄ばれ、神々を愉しませる玩具として、ナジは神から直接「徴」を教えられたようなもの。]
[痛苦に身を捩り、虫螻の如く、這いずり回った過去。
その小神が、世界から喪われたことにより、その名は誰からも忘れ去られ、その花は喪われた。その小神が、神の如何なる機嫌を損ねたのか、ナジは知らない。
ナジが知るのは、何処までも人に残酷に残虐になれる神の性質のみだ。]
ー神殿までの道中ー
[ゆるやかに坂になっている道を登りながら、自らのものではない風にはためくマントを見やる
そして、変わらずゆるりと運行している雲に視線を移して、眼を細めた]
ーー友、か。
[何故、そのような言い方を彼にしたのか今ではわからない。
常なら自分の言った言葉に無責任だなと自嘲の笑みなど浮かべようものだが、不思議と力強い言葉をかけたことに後悔は無かった
おそらくは彼があの剣を賜ったことに運命めいたものを感じたのだろうと推察する。
或いは、剣を目覚めさせるヒントにもなり得るだろうかと]
僕も、できる限りは頑張ろうか
枯葉ほどの重さもない命。せいぜい楽しむさ
[たなびくマントの段差に木の葉が引っかかり、するりと落ちていった]
[春の神殿にて祭事の扶けを行っていたナジは、下される令も、そして春の英雄による宣をも聞いており、深い色の双眸は光の中に闇を見るかのように動かず事態の推移を見ていた。]
[美しく花々が彩られ神々への賛歌溢れる神殿。
この神殿に在りし者の多くも、恐らくは神々の輝かしい威光にひれ伏すばかりだろう。
尤も、大神春の神より加護を与えられた英雄アデライドは神々を盲目が如く信じるその限りでは無い英雄だと、ナジは感じていた。
主神に仕えし一枚翅の天使の降臨。
神々の残酷なる貌と思惑の錯綜を薄っすらと感じ、ナジは密かに嫌悪を覚えたが、しかしそれも、ナジの想像の埒外の来訪者が現れるまでのことだった。]
「分かりました。
鍛冶の神鍛えし剣をここに。」
その剣は貴女に与えられたもの。
斯様な野の英雄に譲り渡すと言うのですか?
[あの時>>45、戸惑いの声をあげたのはナジだ。
下賜された剣を渡すと言う春の英雄の言葉は、思い切りが良すぎるもの。これが単なる【詩】の力強き英雄であれば、ナジも黙って春の英雄に従っただろう。]
[名すら知られぬ英雄。
それだけであればナジも何も戸惑いの声をあげることは無かったのだ。
それでも、ナジはアデライドの求めに従い、ローブの袖と香に染まった清い布を使い、長剣の鞘に肌を直接触れさせずに、英雄エルラムに下賜する為の剣を取りに向かっていた。*]
[指の間から、外套の狭間から、若芽が覗いてふくりと揺れる。
男は小さく唇を開いた]
……
はね遊ぶまろこいし
おどろかげに わろたまり
さも たわぶらん夕刻に
[捻れて歪む奇妙な歌は囁くほどの音量。
小さな奇蹟が手のひらの上の小石に宿ると、それはまるで生きているように軽やかに跳んだ。
くるくると弾みながら子供達の輪の中に戻っていく小石。
つられるように広場の中心で次々と石が踊りだし、わっと歓声が上がる。
外套の埃を落としながら立ち上がり、扱い慣れない長剣のおさまりを直した]
村の設定が変更されました。
―神殿―
[三々五々、神の令により、旅支度の為に神殿を去ってゆく者を見送りながら、ナジは目を瞑る。両目を閉ざしてしまえば、フードの下は暗闇ばかりとなる。]
…………。
[目を開き視線を向ければ、まだ吊り椅子に天使は居た。
巨竜のおりにも、天より舞い降りた天使。
天上の音色は、王国に住まう英雄達に響き渡りもしたか。
やがて、ナジも他の者達と同じく神殿を後にした。**]
ー神殿ー
へっくしゅん。
[神殿の周りには花が彩られている。近づくにつれ、鼻がざわざわとする感触に最初こそ戸惑ったが、通ううちに慣れたものだった
指で鼻を軽く拭い、神殿の門を潜る。
そこに"詩"と同等の気配である天使はいただろうか。
いれば傅き、既に飛び立った後であるなら春の英雄に用件を伝えるだろう]
― 日暮れ ―
[やがて陽は沈み双子たる月が空を照らし。
男は神殿の傍、老いた同行者を繋いだ厩小屋にいた。
角と角の間の額を撫で、荷駄を負って歩いてくれた背を労う]
………。
[名を高める偉業など何ひとつ成し遂げていない野の英雄。
長く居を定めていた村や、その近隣──神々の庇護薄く、貧しい辺境地でこそ、徴を頼られ助けになり、多少顔も知られてはいたが、]
……なんらか、落ちつなぁかいえ、なぁ
もしおうけ…のうてや?
[困惑と恐縮の嵐。
知らぬ町の神殿で「英雄」として扱われたことに幼き英雄エルラムは戸惑い、しきりに頭を下げて。庇の下で寝かせてもらえるだけでいいとしどろもどろに歓待を固辞し、小さな祭祀殿へ花と黙祷詩だけを捧げて逃げて来たところ]
これはこれは天使様。久方ぶりです。
先ほどの令、このアメシストの耳にも届きました。
私めも【陽の雫】の討伐の為、また【凍れる英雄】への助力のため。東北の彼の地へ赴きます。
…ですが、その前に。終わらせておきたいことがございます。
そう時間はかかりません。ご安心を
[一枚翅の天使の姿を認めると傅いて、陽の雫の討伐を承った事を簡潔に伝えた
用件を伝え終えると、春の英雄ーアデライトへと歩み寄る]
アデライト。神殿の水を、また貰えますか。
[腰に巻いた布から木でできた筒が三本下がっている
春の神殿の周囲では清廉な水が湧いている。それを何度か筒に入れて、分けてもらっていたのだった]
[地面に萌の徴を描き、一面に生えて来る若葉へ山羊が鼻先を埋めておっとりと食み始めると、
彼の為に水を替え、床藁を整えて厩を出た]
………
[北東の空を見上げる。くすんだ灰緑の虹彩は宵の闇で殆ど黒。
少し広けた空間に立って、鞘ごと、鍛冶の神鍛えし長剣を胸の前へ持った]
─ 神殿 ─
ようこそ、我が神の神殿に。
……、今は歌唄いとして在られるのでしたか。
英雄アメシスト。
[春の英雄はアメシストに微笑する。
先程、エルラムが手渡したくすんだ薄紅の花>>53>>59はアデライドの髪に飾られていた。]
勿論です。
神の恵みは誰にでも分け与えられます。
[アメシストに柔らかな微笑を向ける春の英雄は、人々よりすれば、理想的な英雄の姿にも見えただろうか。]
[心の中で問いかける。
お前は名を口にしてはならないと剣の意思が告げた>>80のは。
それでもこの腰に収まり続けているのは]
……
[鞘から刀身を抜けば、涼しく鋭利な音とともに、隙間なく刻まれた徴の紋が現れる。
貴方が人間の為に在るからですか?
私は人間の為に働けますか?]
………。
ありがとうございます。いただきます。
ええ。名もなき歌唄い。できれば、そのような存在でありたい。
…まあ。今回は、有事です。そうも言ってられなくなってしまいましたね
…?アデライド。頭の飾りを替えられましたか?
[アデライドの微笑に少し苦笑を交えて答える。
目線を合わせれば、彼女の髪が見慣れない薄紅の花に彩られている
少し考えた後に先程会話した、体から芽を咲かせる英雄のことを思い出す]
…そういえば、先程、体から草花を咲かせる不思議な者と出会いました。
エルラム、という男でしたが、彼はここに来ていましたか。
来ていたとするなら、何故あの剣を彼に?
[エルラムの指はここから来たと示していた。
剣を授けた理由を尋ねるは、自らの剣と重ね合わせる意味合いは無く、アデライドが考えている事を知りたいという好奇心の方が大きく出ていた]
/*
ボツト書き
[英雄である身分を悟られず、知られず、密やかに気楽に生きて行こうとするアメシストの今の状況を神の令が打ち破った。
それには特に異議は無い。あったとしても神を相手に唱えられるものでは無かったが]
[頷き、柄を握る。構え方は剣が教えてくれるまま。
腕を超える長さであれど、驚くほどの軽さが片手で支えることを容易くする]
では……どうた力を、お貸し下さい
こなん一時を借るら、験しねあるなぁば…
[構えた切先が揺れる。徴を描く。
足元から噴き上がった火柱は暗く目立たない幻影、それらを足踏み込み、横薙ぎに剣を振るった。
銀の軌跡が優美に半円を描いて火柱を裂くと、
星と月の照らす空き地に薄い緑の葉吹雪が舞い散る]
はあしは……失望せさまい
─ 神殿 ─
彼と会いましたか。
[アメシストの言葉を肯定する。]
彼は英雄エルラム。
過去、この神殿で神の御業を学んだものです。
野に在りて、王国には名もしれぬ者。
私は彼を英雄と認めました。
[春の英雄がエルラムを英雄と認めることの波及は、王国に、エルラムの歩みよりも早く伝わっていただろうか。]
私が彼に剣を下賜したのは、
彼が、此度の令に赴くにおいて、
何も武器を持っていなかったからです。
鍛冶の神鍛えし剣であろうとも、振るわれなければ意味がありません。
[暗にそれは、春の英雄が、神の令であるに関わらず、【陽の雫】の討伐に明確な形で加わらない事>>50を伝えていた。]
…?
[視線を動かした刹那、剣が宿す水面に人影が映ったような気がした。
一度顔を上げ、また見下ろせば、
そこには徴が隙間なく刻まれた金属光沢が、月の光を静かに照り返している*]
―王国東の町・空き地―
灰の森、乙女は狂詩を綴る供物とならん
[空き地に中性的な声の呟きがひとつ落とされる。
今は夜の帳降ろされ月と銀粒のみが天上を支配する。]
……左様でしたか。
彼は、此処で英雄になった訳ですね。
振るわれなければ意味がない。…という事は貴女は剣を振るわない。
即ち、かの地には赴かない、と。
[アデライドの返事 >>110に納得したようにコクリと頷く
そして剣を授けた真意を聞くと顎に手を当てて、その意図を読み解く]
…賢明でしょうね。貴女に何かあれば、ともすればこの王国の秩序が乱れるかもしれない
[アデライドは神殿にいる英雄として、民からの信頼も篤い
素朴ながら美しいその姿と相まって、最近は自然と王国の民の心の拠り所ともなっている
もしも彼女がいなくなれば、悲しみに沈む者は多いだろう]
……さて。私からの話は以上となりますが、貴女から私には何か用事はありませんか。
変わらず、いい風をもたらすまじないはしてから出立はするつもりです。
[頭を下げて、話を切る。アデライドから用が無ければ神殿の水を汲み、その場を後にするだろう]
野宿は…無理そうね……
[集落に近付くにつれ、日も落ち、肌に触れる空気の温度がグッと下がる。
王国にはこの温度差は無い。
自らの育った村にも無かった。
集落が見つかったのは運が良かったのかもしれない。
神の造りし世界は広い訳ね……
それは自身の眼で見た世界がちっぽけであることも手伝って。
子竜が眠たそうに小さく啼く。]
君が示すのなら、此方であっているのでしょうね……
[ぼやぼやとしているうちにまた下がる気温にふるりと身体を震わせる。
竜が導く為に、迷うことはないけれど、まだ子どもの竜のペースで進む旅は決して早いとは言えない。
あとどれくらいで凍れる英雄に追いつくだろうか、そんなことを考えながら、見つけた今夜の宿で夜を迎えた。]**
[抜き身の長剣を握ったまま、頭を廻らせる。
刀身が映した人影>>112の方へ。
僅か眉を寄せるようにして、真円に広がる瞳孔は影に沈む存在を探した]
……誰か
[波打つように肘から肩へ覆う新緑が咲き、
首に巻いた布の下、大気は柔らかな声の形に振動して若葉をなびかせた]
ー王国ー
[神殿を出て右に迂回し、樹で隠れたところに細く伸びた坂道がある。
そこをほぼ山を歩くような心地で登ると、王国をあらかた見渡せる小高い丘に出る
アメシストは、そこに木と藁と動物の皮でできた簡素な住居を作っていた]
《 風は過去より来たりし 未来へ流れし
大気よ 今この場所に集まりて 我が翼となれ
過去の深淵へと 我が身を運べ 》
[住居には入らず、丘の先端で詩を奏でる
唱え終わるとアメシストの身体はふわりと浮かび、宙を舞った
そして、東北とは別の方向に進路を取る。マントが翼のようにたなびいた]
─ 神殿 ─
私が行ったのは、
”春の英雄”として彼を認めただけのこと。
英雄アメシスト、
貴方は英雄とは一体何なのだと思いますか?
[アデライドはアメシスト>>115に問いを向ける。]
ふふっ、私に何かあれば、
秩序が乱れるなどと口にするものではありませんよ。
神々あってこその王国です。
仮に英雄ひとりが喪われようと、
今や【偉大なる英雄】も居るではありませんか。
[これは、民の信頼ゆえに赴かなかった訳ではないことを示そうか。]
私から貴方に用事……ですか。
[まじないについては礼を伝え、思考を巡らせる。]
そうですね…………、
時に、【凍れる英雄】について貴方はどう思いますか?
ー神殿ー
…………。ーーー、。
[英雄とは何だ、というアデライドの問い>>120に口を開きかけて、紡ぐ。
一番最初に浮かんだ言葉は"神の玩具"。だがそれは回答としてはあまりに乱暴に過ぎると、春の英雄とその後ろに控える天使を見やる
しばらくううん、と唸りながら考え、答えを紡ぐ]
…難しいですね。英雄はそれぞれ、色々な事情を抱えて英雄になっていますから。
ただ、矮小な人間の中で神々から力を分け与えられた。光栄な事だと思っていますよ。
[おそらく神々が望むであろう言葉を紡ぐ。天使がいなければもう少し本音が出ただろうか。
そして、アデライド自身の身の心配に関しては]
…それもそうですね。英雄ではなく、神々によって成り立っている王国。此処はそういうところでした
[だがその神々は人を超越した存在であるのも確かで。
存外、人間は俗物だ。神々よりは身近な存在であるアデライドを心の内で好いている人間は王国に少なくない。
尤も、王国での聞こえ話などアデライドは知るところではないだろう]
【偉大なる英雄】。彼女は討伐に向かう意思を示しましたか。
[偉大なる英雄の所在について、問う。
巨竜と対話した者として今や竜の英雄として王国で名を馳せている彼女だが、その身はか弱い。一緒にいた竜もまだ子供だったはずだ
もしも彼女も向かっているのだとすれば助力が必要かもしれない]
【凍れる英雄】…。名前と、武勇は良く耳にします。確か彼の加護は『冬の神』からでしたね。
陽の雫に対してはこれ以上ない戦力と言えましょう。…ですが、神々が彼のみではなく、英雄全体に令を発したことが気がかりです。
相手がそれほどに脅威である、と言えばそれまで、ですが
そして彼自身についても…。武勇が聞こえる度、彼はその力の代償に何を捧げたのか、と。
[凍れる英雄についての質問に対しては、疑問をぶつける。
中には代償など必要とせず寵愛のみを注ぐ神も存在はするが、それは稀な例だ
武勇を轟かせる力の裏に何があるのか。アメシストはアデライトに尋ねた]
―王国東の町・空き地―
[問いに答えず声は続く。
埋まる闇の中より月と星の明かりの下へナジは現れた。]
ある日、灰の森にて乙女は豊穣の血を捧げた
寵愛を欲し歪んだ森に囚われた
哀れに囀り 誰も省みぬ
小鳥の羽根は毟られ 地に堕ちた
神歌の鳥は羽撃きを望まれぬ
揺り籠は甘やかに
腐り落ちても誰も知らぬ
[抑えていた声に狂惑が滲んだ。
隠された口元が歪んだ笑みに捩れるのを自覚する。
途端、口元の笑みはすっと消え、
詩が夜の闇を形にしていたものも、ナジの影が空き地に落ちた薄い緑の葉吹雪を枯れさせていた影響も、全て消えた。]
さて
乙女(それ)は何をうみ落としたのでしょう
[空き地の中央まで来ると、漸く、ナジはエルラムへと体を正面に向けた。声は、体を向ける前には終わっていた。エルラムに向けた双眸が細まる。]
ー王国の外ー
[マントを風に翻しながら、向かうはかつて巨竜が座し地。
かつてあった山脈は消え失せ、跡地はなだらかな坂になっている
だが中心部は谷と言えるほど深くなっており、陽の光も届きにくい暗闇の地になっているだろう]
…………。
[アメシストは徐々に高度を下げ、"そこ"に降り立つ。
其処はかつて巨竜が座し地の端
そしてかつて故郷の在りし地
幸い巨竜が移動した日が浅い為か、それ程深い場所ではなかった
その場所で男は春の英雄より賜った水の入った筒の蓋を開け、中空へと放り投げる
そして次のように詩を紡いだ]
《 風よ 大気よ 我が手の上で舞い踊れ
此処は天上の舞台 我 踊り子なり
大気よ 風の子らよ
いざ 未来の子らへ糧を捧げ給え 》
[紡ぎ終えるとアメシストの手よりごく小さな竜巻が発生し、筒を上空に押し上げた
くるくると筒が周り、上昇し、辺りに水を撒き散らす
その水の行き先である地面には辺り一面若葉が萌えていた
その新芽達に雨のように、春の英雄の加護受けし水が降り注ぐ]
………
[母にまつわり伝えられた口承だ、と思考は理解した。
瞠いた双眸を瞼に閉ざし、また開く。
淡い緑。
肩から首、顔の半ばを隠すほどに乱生した子葉は、また肘から手首、握る柄までを緑で包み尽くし、]
…想 みを
[問いと認めぬままにふるりと呟いた。
剣を鞘に納める頃には萌え出でた芽は溶ける雪のように消えて、男は困惑混じりに、相対した双眸を見返す]
ーいつかの記憶ー
["それ"が無くなってからの故郷の地をアメシストは見渡した。
跡形のない、潰れた家屋の残骸らしき木片、藁、石。そして、白い骨らしきもの。]
ーーーーーー。
[ひとしきり、雫を地面に染み込ませた後は不思議と暴風雨の後のような澄み切った心地が胸を満たした
彼は、故郷のあった地を独りで掘り返した。
家屋だった木片、藁、石、元々は人の形をしていたであろう粉々の白い骨片。
それらを全て掘り返し、集め、もう何も出なくなるとそれらを全て地面に置いて、上から土を被せた]
……遅れてごめん。約束、果たせなくてごめん。
みんな、ゆっくりおやすみ。
[そしてそれが終わると土の上に独り座し、手を合わせて頭を下げ、鎮魂の言葉を口にした]
[その後は英雄ではなく、名もなき人間として王国に居つくつもりであったが、王国には春の英雄がいると聞き及び、会いに行った。
英雄であることを名乗り、種を分けてもらえないかと交渉した。
幾つかの色の花の種と、林檎の種を、ひとつ
アデライドと知り合ったのはその時からだった]**
貴方は…
[最前、王国の神殿で感じ見た人であろう気がした。とはいえ言葉を直接に交わしたわけではなく、相手を特定出来ると信じるほど感覚に自信はない。
ひずんだ調律を風が矯める甘やかな声は、鍛錬と呼べるほどのものではないと控えめな訂正を試みた]
私をご存知、ですか?
/*
いやまあ、相当グロいものも見つかるかもしれないけど、白骨化していた方がいいよね。うん。と。
日が浅いといってもだいたい20年くらい。巨竜の動く頻度として浅い、という意味
[ではやはり同じ人なのだ、と理解して、頭を下げた。
アデライドがエルラムへ下した賜物へ疑問を投げかけていた人]
では貴方も、討伐なん地へ…、
[付き添い、と聞いた言葉を繰り返そうとして、言葉を途切れさせしばし考える。
胸の前で指を組み、ほどくほどの間の沈黙]
そなん口伝は、私に近しいもの
私が【詩】は、狂っていると感じますか
[計り知れない、>>128の意味を僅かに違えて尋ねた]
付き従う英雄が向かうならば。
……私は、今回の令では付き添う英雄がおりませんが。
[問いには、くっと小さく嗤いが洩れそうになった。小さく首を振る。]
誰が狂っていると分かるのです?
詩に正しきも狂いも無い。
聞く側が歪か歪で無いかと感じるのは意味の無いことです。
[聞きようによっては答えをはぐらかされたと聞こえたか。]
ですが敢えて言うならば、神殿で聞いた限り、貴方の詩は私の詩より神への崇敬の念に溢れておりましょう。
野の英雄として、素朴な良い詩だ。
わかまりせん、はあしにも
[頭を掻いて、苦笑いを浮かべる]
狂って在るならば、そう生ませたもは神
など、…私を【人】として生かしむうも神
はあしは──
己が人なれば、人なん為に 生きとうたい
[良い詩だと感じられたなら嬉しい、と表情に仕草に示して]
………
[不意打ちのように飛んで来た問に、瞠目した]
…。
[ざわりと背が粟立つ。
そこに烙印のように深く刻まれた萌の徴が、全身の皮膚の下に蠢く緑蔦を這わせるような。
緩く開いた唇はあえかな息を吐き出して、乾く]
わかまりせん
[同じ言葉を二度目、口にする]
そうだ と「わかって」しぃむ時も、ある
けれど、は──私は、
ただ人でらることを望まれ
ただ人であることを望む
(貴方は神の血を引くのか。)
[このエルラムの在りようは英雄そのものだ。
何も為さずとも身体より増え出ずる新芽、強き加護を受けし英雄、とそれだけならば思うだろう。
しかし、ナジには御業とすら見れた。神の御業と。]
(そして)
[人でありながら神であるならば、……殺せるのだ……。
神でありながら人であるならば、……その身を害すことも出来よう……。]
…………。
[無論、ナジは今ここで殺そうとも害そうとも思っていない。神を宿す人間ならば殺せるやもしれないという”可能性”に静かに心は躍るが、ローブの下、短剣に掛けられた手もその心の現れではあるが、引き抜くことは無い。]
【陽の雫】を討伐に、行きます
其処に人が住んでりる。私なん力が少しでも助けに。なれるなら
[逸らされない視線を真っ直ぐ見返そうとした眸は、不安げに揺れもした]
そうですか。
…………。
人とし、望まれたのであれば、
それもまた祝福なのでしょう。
[ざわり、と身に刻まれた無数の徴が疼いた。
かつての過去のように、苦痛に身を捩る程では無いが。]
…………。
この討伐が、後の世へ語られ続ける英雄譚となるのであれば、貴方の言葉は限りなく英雄として相応しい。
貴方が神の傀儡と為るか、
人の為に道を拓こうとするか、とても興味を惹かれます。
[神々への不敬にも程がある言葉を囁いた。
外れとは言え、王国で囁く言葉では無い。
エルラムの不安げな眸は、ナジの双眸によく映る。]
[祝福。
あるいは呪いとも呼べる徴。
歪んだ灰の森の狂神と、春に連なる萌え出ずる小神と。神々の思惑は人間などの理解の外。
エルラム個人にとって徴はただ、ただ母の愛の証だった]
私は、…怖い
偉大な英雄なんようみ強く正しくは、なれなんとも
[不安で脆い心も、弱さを許され守られてあったからこそ]
……。
興味がらるなら、…見届けますか?
[エルラムの申し出に、ナジの深い色を湛えた双眸は、夜の中で昏さを帯びる。しかし双眸を閉じ、開いた時には既に消えていた。小さく頷く。]
それも良いでしょう。
英雄エルラム、幼き英雄よ。
私は貴方に付き従い、令の地へと向かいましょう。
─ 神殿・アメシストとの問答>>122 ─
確かに各々は在り方として様々な形があるでしょう。
”望もうとも望まぬとも”。
[その言葉に様々な意味を込め。]
ですが、私は与えられた力で何を為すか、だと思うのです。
[アデライドは語る。]
アマーリヒ=カルヒの行方については知りません。
ですが、彼女に授けられた竜は神の声を伝えるものと聞きます。
神の令を知り、自ずからきっと行動をしているでしょう。
[推測を交えながらカルヒの行方を告げる。]
貴方は確か放浪の時が長かったのでしたか。
[違えばアメシストから>>125の訂正を受け入れて。]
彼は、……冬の英雄は、冬の神の抱擁を受けたのです。
かつて、彼は私達人間の愚かな心のまま行動していました。
神の意思を完全には汲みきることは出来ない不完全なる人として。しかし、抱擁を受けてからの彼は違います。
この上なき幸いを彼は齎されました。
[アデライドは淡々と語る。直接的な言い回しを避けている為、意味は理解り難いところもあるかもしれない。]
神々の間でも諍いが時に起こることは貴方も知るところでしょう。どうしても、相いれぬ神々がいることも。
私達小さき者達にとっては全容など窺い知ることなど出来ませんが…………
[天使を盗み見るように流し目を送り、再びアメシストに視線を戻す。]
彼は、ある神の火竜を倒す為に更なる力を求め、
冬の神より強き加護を……力を享けたのです。
[その時の情景を思い浮かべるようにアデライドは瞑目する。]
…… それは冬の英雄に纏わる話 ……
朗々と響き渡る深き声は彼の心の在りようを示し
詩は世界より汲み上げられる清流のように清かった。
慈悲深き英雄とも快活な気持ち良い男とも言われていた。
荒れて無骨な手は、何度も打ち振るった大剣が為。
奇跡にて癒やされても消えぬ傷もその頃にはあった。
神々の利害の一致は常に同じとはならない。
時には意見を異にし、荒れ狂う神々に人は巻き込まれもす。
更には、神々にも制御することの出来ない、"愚かなる"と呼ばわう生き物も時に現れた。神々が生み出した下僕なる竜が対立を為すことも、少なくない話では無い。
"愚かなる"ものの一部は、人間に時折危害を与えることもあろう。此度の陽の雫のように。
かつての冬の英雄が討ち果たしたのは火口を塒にする火竜。
その神は、最初から完全な姿で赤き竜を生み出した。
よって、幼き時を経ず、火竜は最初から成竜であり暴竜でもあった。
ひとつの村は贄に捧げられるが如く、火に呑まれ喰らわれた。
彼の激昂を知る者は幾名だったか。
王国の口承に耳傾ければ、容易く知れる。
彼は冬の神よりの更なる加護を求めた。
人の身では余る冬の神の力の端を欲した。
冬の神が望むは終なる冬の顕現。
停滞の為の停滞であり、
終焉の為の終焉である。
終なる停滞と凍える時を欲した。
神は契約と共に良き駒を手に入れた。
昇神すら叶うとも思える力なれど、
その本質は手駒に過ぎぬ。
─ 神殿 ─
[その日、冬の英雄は、凍れる英雄となった。]
彼の心は、冬の神に捧げられました。
代償と言うならば、火竜を討つ時からの彼の全てでしょう。
【凍れる英雄】に、人の心は最早無く、彼が崇める冬の神と、その心を同じくしているとも聞きます。
とても喜ばしいことだと思いますよ。
英雄アメシスト。
貴方も、かつての心を通わした仲間が、神と常に共に在り、限りない祝福を与えられたならば、喜びましょう。
[”アデライド”は、アメシストをひたりと見据えた。]
もし私が何かを望むのであれば……
彼を助けることを望むでしょう。
[主語を省き、彼女は告げた。
今回の令とも、何も付け加えずに。**]
[共に令の地へ向かうと聞いて微笑む形になった眸の形は、
続く言葉>>151へ、幾つか色を変えた。対する深い色の双眸を覗く。
虫螻、と響く単語には身震いした。
眉根を寄せて手を伸ばす。ローブに覆われた肩を掴むように。
ほとんど睨め付ける悲しさで、言葉にならない念いを刺す]
ナジ、ナジ。
貴方は神なん庭近うで、其う御心へかなゅうなれを"傀儡"と忌むしましたか。そして今また、然様に人を貶むのですか?
はあし達は、ひとは、小さきものだれど──!
[虫螻などではない。と侃く]
ナジ。哀れみは愛に連ならまいか
それを、いかな人にも与えることないなんですか?
人を蔑み、神々へ疑い詛いを抱かんまま道行くならば
貴方は……
辛くは、ないですか
[フードの影を見つめる。見定めるように]
[肩を掴まれたなら、微かに視線だけが動きエルラムの手を見た。視線は戻り、エルラムの言葉を聞き終えてから口を開く。]
…………。
(神々があいなしとする人々に慈悲を与えるとお思いか。)
良き言葉です。
人を愛し、……神を敬愛する。
[つよい語調にナジは双眸を細め満足さを表す。
訛りは強いが言わんとすることは分かる。]
哀れみは愛に連なりましょう。
ですが、哀れみだけでも人は生きてはゆけない。
[ナジとて哀れみを持たない訳ではない。腐り落ちたならなどと言うエルラムに、付き従う者として鼓舞の言葉を掛けたつもりなのだ。]
[甘やかに揺らす揺り籠のみが、良いとナジは思っていない。幼き英雄は、手を引かれることや、振り返れば誰かが居るという安堵を求めたいのかもしれないが、後ろは振り返らずとも、ナジが影のように従うし、そのような堕することを前提とした安堵などをナジは与えるつもりはない。
籠から出たならば歩めと、ナジは言葉にせず言いたかった。]
[フードの下の深い影を見つめ、その言葉を反芻する。
哀れみだけで人は生きてはゆけない。人を生かし歩ませるのは人の意志だと、知っていた。
野の英雄エルラムが村々をめぐり、萌の徴をもってもたらしてきた奇蹟はただ、種を芽吹かせ命を生むだけのもの。それらを育てあげ、実りの恵みへ繋げたのはいつも彼ら自身]
……、
ナジは、はあしを試された…かな
[恥じるように手を離して、困り顔に笑む]
足掻き、藻掻く、艱難なぅ道でも…
目指すものが視えておれらるなら、いつかし辿りつけよう
[指先を差し出す。
節のたった指の先に、たおやかに伸びる二枚の子葉。仄かで儚い緑は、無限の生命力を象してもいる]
……ナジの道へ、未来を
[触れれば吸い込まれるように芽は消えてしまうもの。
瑞々しい香りを豊かに香らせて]
ー神殿・アデライドとの問答 >>152ー
[望もうとも望まずとも。春の英雄の紡いだ言葉に細い目をスゥと薄く開く。
続いて彼女は、与えられた力をどう使うかという事だと語る]
…なるほど。力をもらっていながら、行使しないは木偶だ。
その目的が何であろうと、ね。
[アデライドの返答にかぶせるように返事を返す]
カルヒ…。今は【竜の英雄】でしたか。
確かに彼女の性格は純粋で、真っ直ぐだ。行動を始めていてもおかしくない
[するとまずは単独行動をしていないか。もししているならば助力を行った方が良さそうだ、などと考えつつ
カルヒの現状についての推測に首肯する]
けれど私には現在<いま>と意志があるだけ
まだい、先はわかまりせんなんです
見届けますか
[衣のあわせを寛げる。
荒い布の下、躯を這う緑が見えるはず。胸の中心、心臓へ、膚を破り肉へ埋まって深く食い込む萌の【徴】は、生きた芽で捺された烙印だった。
緑の揺籃か緑の檻か、今のエルラムにとっては定める意味もないこと]
これら解き落ちなば……あるいは今なん"私"はいなくなり、狂い腐果てひもし
……貴方は見届けて、くれますか
[腐らせませんと言って欲しいわけではない。
神の前に卑小で愚かな人間達。望み選び取った道の末路が、傍からは無惨なものになることも、きっと多くある。
欲しいのはそれを見て正しく、後を行く人々へ伝えてくれる眼差しだった。
母にまつわり遺された口伝は真実を歪められたものだ、と感じている男は、それこそを影へと望んだ*]
[続き、【凍れる英雄】についての情報を彼女は紡ぐ>>153
それは言い回しが特殊で、神や天使の視点で話しているとも取れた
神々の諍いについてはアデライドと同様、天使をちらりと見て再び視線を戻す
そして冬の神の抱擁を受けたという者の現状を、頷きを交えながら聞く
神と神との諍いにより村を焼かれた英雄。更なる力を欲し、冬の神と心を共にしている英雄。
眼の前のアデライドは、それを喜ばしい事だと結ぶ]
確かに神と心を共にして生きることができるということは、至上の幸福だ。武勇も轟く筈です。
それほどの覚悟を持ってして得た力だ。さぞや凄まじいのでしょう
[冬の神の話を聞きながら、頭の中の片隅で自らの村が無くなった事に気づいた時のことを反芻する。
無駄だと分かっていながら巨竜の岩肌に爪を立てた。全ての爪が剥がれ落ち、指先が真っ赤になったその後で漸く現実を受け入れたとき、"神の声"は響いてきた。
それ以降は流浪の暮らしをしながら、巨竜への執念は消えないでいた
その時に、もしも自らが神と心を完全に同じにしたならば。心を全て忘れたならば。
それは幸福であったろうか。
天使の手前"幸福"とは紡いだものの、今やアメシストにはわからない
故に、目線こそアデライドを見据えているが、アメシストの返事はどこか他所に呼びかけるように紡がれた
そして、アデライドは最後に"彼を助けて欲しい"と結ぶ
それは天使の告げた通りの助力とも、また別の意味とも取れた]
……出来る限り、果たしたいと存じますが。
私にできますでしょうか。春の英雄アデライド。
[自信がない訳ではない。また、謙遜でもない。
また何を、とは言わず。アデライドに問いかけのみを返した]
ー巨竜跡地ー
『おい。起きろヨ!何ボサっと寝てるんだよ!』
…ごきげんよう。我が神。寝ていません。横になって雲を見ていたのです
『それの何が違うんだイ?全く、呑気なもンだなァ?それほど自分には【陽の雫】チャンに対応できる力があるとでもお思いかい?小鼠め!』
いえ。そんなまさか。ただ、出立前に心を落ち着けておきたかったのですよ
─ 神殿・アメシストとの問答>>168 ─
…………。
[被された返答には何を思ったか、以上は言葉をつぐむ。今の春の英雄は、木偶と言えば木偶ではある。だが、【凍れる英雄】が動いているならば、動けはしない。春の神も恐らくこの令については…]
ええ、凄まじくありましょう。
[短く【凍れる英雄】を賞賛する言葉>>171を肯定する。]
英雄アメシスト、
何をどう行うのか選ぶのかは貴方に委ねられています。
[アデライドは個人の言葉を紡いだが、それを誰かに望むことも託すことも無かった。剣をエルラムに下賜した時もそうである。
故に、出来るとも出来ないとも、アメシストには告げない。]
何を為すか。
英雄とはそういうものでしょう?
[彼の凍てついた心を溶かすのは斬るしか無い、否、もう冬の英雄は居ないのだとさえアデライドは思っている。それを誰かに願うほど、アデライドは愚闇では無かったのだろう。]
それでも、貴方ならば……
巨竜を動かした貴方ならば、望んだものを叶える力を持っているのやもしれませんね。
[人の力か、小さき人であっても。
カルヒの行いとアメシストが言い返すようであれば、アデライドは「少なくとも私にとっては」と付け加えるだろう。]
貴方の行いを、永久(とわ)に春の英雄は肯定し続けましょう。
[春の英雄は、静かに締め括る。*]
[天使はアメシストの挨拶>>102に、顔色を変えずに美しい眸の眼差しを送るのみ。今は、冷ややかな眼差しをしている為、アメシストにはどのような印象を与えたか。]
私を気にせず語らって良いのですよ。
春の英雄、そして大気の英雄よ。
[天使は沈黙を保っていたが、両者より視線>>154>>170を向けられればそのような音色を降らせる。]
神々には神々の理があります。
あの火竜の行いは、人間達にとって災難なことでした。
ですが、深き火口は火種を消され、
今や凍りついた雪山となりました。
同じことは二度と起こらないでしょう。
[冬の神はその火山を平らげ終なる冬はその地に齎された。*]
[瞑目し、双眸を開き、ローブの下で掛けていた短剣の柄から手を離した。]
ありがとうございます、エルラム。
英雄たる貴方の道にも、良き未来がおとずれるよう。
[ローブの袖から微かに指先が覗き、芽に触れた。]
[しかし、次にエルラムが行ったこと>>169へ戦慄が走る。
驚愕に双眸は開けられ、しかし後退することは無い。]
これは………、徴、萌の徴ですか。
[視線をエルラムの心臓に這わせる。強い加護、これならは詩すら紡がず、奇跡を顕にすることも分かる。]
(短い時で絆されたものだ。)
[悲劇は望みたくはない。ここで見届けると言えば、エルラムは一層、身を省みることは無いに違いない。……多くの英雄達と同じく。はなから、そのようなものと甘受し見届けるつもりは無い。]
貴方が、今の貴方がいなくなるかどうかは、貴方次第です。
エルラム、
[ナジは柔らかに名前を呼んだ。
寛げた服の合わせへと、ナジの手は差し伸ばされる。]
[しかし、次にエルラムが行ったこと>>169へ戦慄が走る。
驚愕に双眸は開けられ、しかし後退することは無い。]
これは………、徴、萌の徴ですか。
[視線をエルラムの心臓に這わせる。]
(短い時で絆されたものだ。)
[悲劇は望みたくはない。ここで見届けると言えば、エルラムは一層、身を省みることは無いに違いない。……多くの英雄達と同じく。はなから、そのようなものと甘受し見届けるつもりは無い。]
貴方が、今の貴方がいなくなるかどうかは、貴方次第です。
エルラム、
[ナジは柔らかに名前を呼んだ。
寛げた服の合わせへと、ナジの手は差し伸ばされる。]
ー神殿・アデライドとの問答>>174ー
…あぁ。木偶とは貴女のことを称したのではありません。貴女は立派に英雄としての責務を果たしている。
私に種と水を分けていただいているのも、その一部でしょう
それに、今回の発令では春の英雄としての力では分が悪く感じられます。
なればこそ、貴女は此処に留まる選択をしたのでしょう?
[返答にアデライドが口をつぐむ様子を見れば、気を悪くしたのかと考えて訂正の言葉を重ねる]
…………。御意。
何をどう選択し、行動するか。それは我が名と、神において。かの地で決める事と致しましょう
[何を為すべきかは、アデライドの口からは紡がれない。状況を見ないまま此処で結論を出すは只の机上の空論に過ぎないと、心の内でアデライドに同意した]
巨竜を動かしたのは、カルヒです。…私にとっては、か。貴女はやはり優しい人だ
…望んだものを叶える力、か。
[今、力を使い何を望むのか。今一度胸中に問うてみる。が、形を為すものは現れなかった
そのうちに望むことのできるものが現れるだろうか]
…ありがとうございます。春の英雄、アデライド。
大気の英雄アメシスト・ヨアニス。その言葉胸に留め、彼の地へ参ります。
[肯定しつづけましょう、という括りの言葉に姿勢を正して頭を下げ、礼を返す
そして踵を返し、神殿を後にするだろう]*
ー神殿・アデライドとの問答中(幕間)ー
ええ。それは分かっております。
私は本心を口にしているまでのこと。
[アデライドとの会話の途中に天使の声が響く>>177。目線は密やかに投げたつもりであったが気づかれていたようだった
暗に気になどしていない、という旨の言葉を投げたが、恐らく真実だとは思わないだろう。返るは先ほどと同じ冷ややかな視線のみ]
左様ですか。あれほどの大事にはならない、と。
神々も各々の理のもとに存在している。時に諍いが起こるは、摂理でしょう
[その摂理に人間が巻き込まれる事をアメシストは不条理にも感じてはいたが、人間が災害をどうやって止めることができようものか。
それほど人と神々の間には差があるのだ。そう納得してもいた]
王国にありては影の英雄と呼ばれるナジが、
貴方に短き歌を捧げ祝福します。
汝の名のもと
人と神の もうしご
きざしの あかご
[全身に刻まれた徴が、ローブの下で痛みを生む。
予兆を半ば無視をしながら、名を忘れられ喪われた小さな花の小神の力を引き出そうともと]
汝エルラムが望むならば
その力は 人と神を繋ぎ
[痛みに震え噛み殺す。フードの下、歯で食い破った唇から血が流れた。服の合わせを持つ手は、力が篭もり、皺が寄る。ナジの詩と共に、光纏う花びらが、いずこからか舞い降りる。]
──────この者に 明るき さき(生)を
[求む。双眸を伏せ祈るのは誰にか。
この世界の神々へ祈らず、ナジでさえ祈る先は分からねど、この者に幸いあれと祈りを捧げた。**]
はい
かんなる徴を授けしば萌え出ずる小神
[見届ける、と頷いてはくれないナジを見つめて>>180元通りにあわせようとした服の狭間へ、手が伸び来る。
重心を僅か後ろに傾ける身じろぎは、名を呼ぶ声の柔らかさに和らぎ。
息をひとつ吐けば徴の上に若芽が咲き、胸前へ艶めく葉を茂らせた]
は…私もそう希み、ます
成し遂げる意思あん限り、応えは得れらると
[己次第で、成し難きを成すことも出来る。
竜の英雄の英雄譚に聞き、そして風呼ぶ英雄も言ってくれたことだった]
[歪んだ森で育ち狂詩を子守歌とした少年は、歪みを正と聞く耳と歪みを正とする喉をもっていた。
エルラムにとっては周囲の言葉、歌すべてが、狂いひずんだ音。己の方こそ異分子と理解し周囲へ馴染もうとしても、幼子の根に居着いた感覚は永と続くもの。
朗と響く奇蹟の歌声も、
愛らしい猫のようなお喋りも、
その美しさを知識として理解するだけ、だった]
……ああ
[けれどその短い歌>>184は。
影の英雄と冠していながら、光を放つような美しい慈愛が、心を震わせる。
これが誠、奇蹟を呼ぶ【歌】であったかと思い知るような───]
ー巨竜跡地ー
『おい起きろ!!ボサっとしてる時間はねーって分かってンだろ!?オイ』
[唐突に、耳に振動が響く。気がつけば身体は芽の出ていない大地に寝転がり、ゆるりと運行する雲を眺めていた
その声に反応して上体を起こすも声の主の姿は見えない。
否。常にいるとも言える]
ーあぁ。これはこれは、我が神様。お久しゅうございます。
のんびりとしていた訳ではございません。少し、物思いに耽っておりまして。いやまぁ、ははは。
[見えない相手に困ったな、という風に頭を掻く
大気の神は決まった形を持たない。彼が望めば何らかの姿を成す事も出来ようが、人前に姿を表すのをあまり良しとはしない
故に、こうして空気の振動で声のみを伝える]
『それの何が違ェのか俺には分かンねぇな!何だい。【陽の雫】の討伐なんて余裕だ、って?小鼠ごときが笑えるなぁ?』
いいえ。逆ですよ。かの地で何ができるか、考えていたのです。
でもやっぱり、何を成せるかというのはその場に行ってみるまで、わからないものですね。春の英雄にも言われましたが、英雄とは何を為すかで、その真価が問われる
[尤も、陽の雫を討伐する令を受ける前は特に何を為すでもなく只歌で日銭を稼いでいた。それこそ自ら表現した"木偶"に他ならないと、アメシストは自嘲する
巨竜討伐の際と同じように、自分にも何かできる事がある筈だ。そう信じるしか今はできない]
……ところで、私の命はあと何年残っているのでしたっけ
『アーア。とんだフヌケになっちまったモンだよな英雄サマぁ。
……あ?寿命?まあ、巨竜のアレで楽しませて貰えたからな。5年オマケしてやってあと16年と153日だ』
16年。ありがとうございます。
『へっ。人間ごときの寿命が10年でも20年でもそんなに変わりはしねェが、お前の命は加護によって守られてること忘れンな。
今回の働き次第ではまた増えるかもだぜ。せいぜい励めよ?小鼠チャン。』
[そうして振動は止み、しゅる、と小さなつむじ風が吹いた。
どうやら大気の神は去ったらしい。
姿が見えれば傅くだろうが、声のみを伝えるぶんには特に礼儀への拘りはないらしい。
大気の神はそういった大雑把な性質を持っていた]
…やれやれ。16年。長いなぁ。その頃40くらいか
[アメシストは左胸に手を当てた。心臓のドク、ドク、ドクという振動が手に伝わる
だが心臓を動かしているのは大元の人間の機能ではない。大気の神の加護により、止まった心臓を振動させて動かしているのだった
それは力を得るための"対価"と言えただろう]
……さて。
[神々が去れば衣類を正し、両手を広げて詩を紡ぐ]
《 風よ 大気よ 我が身を押し上げ 大空へ運べ
友の元へ いざ行こう 東北の 彼の地へ 》
[紡ぎ終えるとふわりと浮かび、東北へと進路を進める
空はそろそろ陽が傾いてくる頃だった]**
― 東の町・夜更け ―
………ナジ、
ナジ
[影の英雄の体を支えるように腕を回して、困惑混じりの憂う表情は、月と星粒の灯りの下]
大丈夫です …?
横になぎますか、はあしなん肩へ…
[もう夜も遅かった。
明日の出立も早い。休める場所へ、と**]
村の設定が変更されました。
影の英雄 ナジは、守護者 に希望を変更しました。
―東の町・夜更け―
[名を呼ぶ声が、聞こえる。]
(私は倒れたのか?)
[見上げる先はエルラムの憂える顔と無数の見守る眼達。
蒼白く照らされたエルラムの顔は、微かに精巧な彫像を思わせた。]
……はい、ここに。
[完全に倒れてはいなかったか、支えられただけであったか。茫洋とした眼差しは直ぐに焦点を結び、エルラムに向けられた。その時、口元から伝う血を再び気づき、密かに舌で舐めとる。嗄れた声は一時だけ、]
心配をかけましたか、エルラム。
私の荷はそこに……。
[先のものは幻視だった。そう思い、埋まる闇>>126の中に置かれた荷を示し、促される侭に今宵、身を横たえる場へ向かう。全身を苛む痛みも、今は、薄い。**]
[軽々と荷を抱え、村の子供へするようにナジを片腕に支えて、褥を設えられた屋根の下へ。
幾日分も一晩で喋ってしまったよう。緘黙の如き元の静けさで汲んだ水を差し出し、
薄く射す月光のもとへ身を横たえた、夜]
……
[体を安めても、先程の歌がずっと心の芯に残響するようだった。
人と神を 繋ぎ
祝福の歌。
明るき さきを
この者に明るき───
蹲るうなじに、背に。膚を破って薄緑が伸びる。
冷気を風と感じ取って揺れた。
息を殺し祈りを捧げる夜更け、そのうちにいつの間にか浅く微睡んでいた*]
― 東の町・朝 ―
[月が舞台をふたごに譲り、東の空が暁の薄蒼に染まりだす。
空に満ちる星々はまだ瞬いていた。
冷え込む空気の中、早起きの鳥や獣が活動し出す気配がする。男は汲み上げた水桶を担いで、水源から帰路へついた。
視線は北東の地から、西の水平線へ。
首に巻いた生成りの布が静かに風を孕む]
………。
[神殿の水瓶を満たす労働。埃を払い、祀殿を磨き、厩へ行って獣の世話を。黙々と体を動かし暖めた。
何やら昨日よりも元気な様子で蹄を鳴らす老山羊に、これも加護だろうかと首を傾げ。
そして、空がすっかり明るくなる頃には旅装を整え終え、
一宿の恩へ深々と、町の人々に頭を下げた**]
[中肉中背、エルラムに比較し背丈は然程高い訳では無い。
息が切れているのを殺し、拵えられた場所へと案内される。
エルラムが水を差し出せば、無言で受け取った。
元より、痛い程の沈黙も苦では無い。
水の表面に、生命の徴を描いてから喉を潤せば、感謝の言葉を捧ぐ。]
(情けない。)
[ナジは密かに嘆き、エルラムに背を向け横になると目を閉じた。
今宵の眠りの神は速やかに眠りの砂を撒き、眠りに誘うようだ。それでも、傍らの英雄が完全な落ち着きをみせていないことくらいは分かる。]
…………。
[その微かな【詩】の気配を子守唄に、ナジは眠りに落ちた。泥のような眠りは、先程の身に刻まれた徴の行使ゆえに。**]
ー幕間・巨竜跡地ー
[飛び立つ前。大気の神が去った後に、巨竜の去っていった地平線の果てを見つめる。
奴は何処へ行ったのか。世界の果てか。または別の場所か。
世界の全容は人間たちにはまだ明らかになっていない時代。世界の"外"があるかどうか。それすらも判らないこの時代、行き先を推察するはほぼ不可能と言えた
だがもしも、巨竜が移動した先でまた故郷を失くした者がいたのであれば。その者を助けたいと、アメシストは考えてもいた]
ーーでもせめて、真ん中の林檎がたくましくなるまでは。
[故郷の在りし地を再び眺める。中心に林檎の樹を植えている。
そこは小さい井戸があり、住民の集まる場所となっていた
故郷が花で満たされ、林檎の種が逞しく成長してからは世界の果てがあるかどうか、確かめに旅立つのも良いだろうとアメシストは時折考えるのだった]
[討伐に向かう道中。陽は傾き、辺りを闇が満たし始める
夜間は何かと危険だ。それに加え、明かりが消えたことで気温も下がる
高度を落とし、地に足をつく]
ーーふぅ。予想の範疇とはいえ、やっぱり遠いんだな
……ん。集落、か…。泊まれるかな。
[マントの合わせを整えながら歩いていると、ほのかに明かりが見えた
それは炎の明かり。集落に住む人間が火を焚いているのだろう
近づいてみると、集落の人間らしき男が出迎えた]
『貴方は、英雄様ですか?【陽の雫】の討伐を命じられたという…?』
あぁ、その通りだ。でも道中で陽が暮れてしまった。
今夜、泊まれる場所があるなら貸していただきたいんだが、構わないかな。
[集落の者に陽の雫討伐の話は知れていた。
王国から東北の地に向かう途上にあるため、どうやら王国で話を聞いた英雄が既に何人か訪れているらしい
幸いここには小さな神殿がある。そこで火を焚いているため使って下さい、とのことだった]
ありがとう。助かる
[示された神殿に赴くと、見憶えのある顔があった]
……カルヒ?
[今や【偉大なる英雄】として王国内で名を馳せる少女の姿をそこに見る。傍らにはまだ幼い竜の姿。
育て方によって善き竜にも暴竜にもなり得る存在に細い目を少し開く
カルヒがもしも眠っているなら隣に座ってマントを被せ、まだ起きていたなら言葉も交わすだろうか]
── 夢 ──
[暗い澱みの中。
ただ聞こえるのは母の声。
しかしそれも遠く微かなもので、腕を伸ばそうにも身体は動かない。
何故此処に居るのだろう
何故また向かうのだろう
導きを授けられたから?
誰かに求められたから?
目を閉じても目を開いても闇。
名ばかりが大きすぎるこの私には、何も出来ないというのに。]*
[手を伸ばせば触れる硬い温かさにホッとすれば、目を開く。
ここについて早々に眠りついてしまったようで、まだ夜の神が降りきってはいない。
神殿の高い天井を見つめながら、竜の小さな寝息を聞く。
それは今は神の声を伝えはしない。
神はいつだって気紛れに言いたいことを言うのだから。]
……………
[神は敬愛すべきものだ、と教えられた。神は恵みを齎し、豊かさをくださるのだと。
しかし、村を出、そうではない話を幾つか耳にした。
小さな村では人の往来も少なく、伝承もあまり入ってはこないために、古くから伝わるそれらが絶対として根付いていた。
それを疑うきっかけも与えられないままに、此処まで来たのだ。]
…………?
[竜の皮膚をそっと撫でて、自らの身体に掛けられたものの感覚に気付く。
重みのない、軽く、そして温かいもの。]
アメシスト…さん……?
[身体を起こせば側に居た、嘗ての戦友の姿を見留め。
口にするのは記憶の中の一つの名前。]
―東の町・夜明け―
[ナジの目が覚めたのは、エルラムが水源に水を汲みに向かった後。老山羊に双眸を細め、緩く硬い額を撫でた。口元にある血の痕に触れ、乾いたそれを擦り落とす。
エルラムは何処か、と思ったが、ナジも神殿にある身、朝の行いは知っている……]
エルラム、昨晩の話ですが、
[共に一宿に礼を行い、東北の僻地へと歩き出して暫くした頃、ナジは口を開いた。]
今回の令においては貴方を見届けます。
[ナジの目は東北へ向けられている。*]
─ 神殿・アメシストとの問答>>181 ─
いえ……。
(私が向かわないのは、そうではないのです。)
[アデライドはアメシストに気を悪くしたのではないと伝える。動けぬまま、王国にある。木偶ではないとしても、アデライド自身はその言葉は自分に相応しいと考える。]
(我が神が、恐らくは冬の神に賛同をしていると……私はそう考えるのです。深謀などは私には計り知れませんが。)
大気の英雄アメシストよ、
貴方達の無事を春の英雄は願っています。
[アデライドはアメシストを見送り。
そして、春の英雄として、各々東北の僻地へ向かう英雄達の為に祝福の歌を歌い始めた。歌声は、英雄達の足を速め、疲労を軽減する、幾多に囁きかける奇跡の歌。**]
─ 神殿・アメシストとの問答>>181 ─
いえ……。
(そうではないのです。)
[アデライドはアメシストに気を悪くしたのではないと伝える。動けぬまま、王国にある。木偶ではないとしても、アデライド自身はその言葉は自分に相応しいと考える。]
(我が神が、恐らくは冬の神に賛同をしていると……私はそう考えるのです。深謀などは私には計り知れませんが、私は我が神の意をおもい、自らここに残るのです。)
大気の英雄アメシスト。
貴方達が無事に帰ることを春の英雄は願っています。
[アデライドはアメシストを見送り。
そして、春の英雄として、各々東北の僻地へ向かう英雄達の為に祝福の歌を歌い始めた。歌声は、英雄達の足を速め、疲労を軽減する、幾多に囁きかける奇跡の歌。**]
[気づかぬならばそれでもよい。
神々の遊戯の中に全ては消えるのみ。
小さき者が、全てを甘受するならば、押し潰されるのみ。そう…]
[天使は片翼を緩やかに大きく動かす。
吊り椅子より天へ舞い上がれば、祝福の歌は天使に絡み、そして気流のように後方へと流れた。
天使もまた東北の地へと向かう。**]
ー神殿ー
[焚き火の前に腰を下ろすと荷を置いて、頭の布を取って外に出る
神殿の側にある湧き水でそれを洗い、側にある樹に干した]
…………うーん。
[少し唸った後。剣を持って、樹の枝を一本拝借し、葉と先端の皮を削ぎ落とす。
薄茶色の木目が露わになった所に王国の民より報酬として賜ったパンを麻袋から出して軽く刺し、焚き火にかざす
パチっと音がして、軽く焦げ目がついたら口に運んだ
旅をするに於いては少しでも暖かな食事を摂った方が良い。という事がアメシストの信条だった
そこに、聞き覚えのある澄んだ声が名を呼んだ>>204]
ふぁあ。ふぁるひ…。………。……やあ、カルヒ。
起こしたかな。
もしお腹が空いたなら、これをお食べ
[噛んでいたパンを飲み込んで、笑顔で返事を返す。
もしもカルヒの腹が空いているならと、余ったパンと果物を彼女と、傍らの仔竜の前にも差し出した]
不安で眠れないなら、空を見ながら話でもするかい。
それとも、歌でも歌おうか
[これから【偉大なる英雄】として彼の地に共に赴くであろうカルヒに、優しい声色で問いかけた]
[道は整えられた平らなものから、粗く細いそれへ。
礫の散る白けた道は人通りの少ない僻地へ向かいその役目を薄れさせ、曖昧になっていくだろう]
ありがとうございます
[今回の令において。
自分に為せることは何か。自らの可能性に問いかける]
はあしもナジを見ています、よ
[微笑して足を進める。
最初のうち何度かナジの足取りを確かめるように動いていた視線は、やがて前だけを見た。
荷駄を軽くさせたおかげか山羊の足取りは疲労を忘れ軽やかで、
交わされる言葉の乏しい分を補うように蹄の拍を響かせていた]
[景色は緩慢に流れていく。
只管に歩きながら物思いへ意識を解放すれば、やがて蹄の拍に合わせて低く歌いだした。
口を閉じたまま、詞のない旋律は習い覚えた型を外れて自由に遊ぶ。
歪んだ音色は羽を伸ばし、狂った調律のまま穏やかに]
────h、…r …ru
[英雄の足が乾いた土を踏み、蹴る。
長く道を続くその足跡には新芽が萌し、点々と浅緑の軌跡を残していた。北東の地へと]
―旅路―
感謝など。
……エルラム、貴方に付き従えば、
自然と見届けることになりますから。
[ナジの足取りは泥のようの眠りについた為か、蹌踉めきは見られなかった。以前巨竜に対峙した時ほどでは無かったのだろう。
ナジは、エルラムから続けられた言葉に視線だけを向け、そして再び行く先に視線を戻した。]
…………。
(私を見るとは。)
[双眸を伏せる。ナジはエルラムの少し後に位置しており、付き従う者として歩き続ける。それはまるで影のようだったか。**]
いえ、私もつい眠りに落ちてしまっていたようなので…
[神殿に足を踏み入れてから、そう長く記憶は無く、倒れるように眠ったのであろうことが自身にも想像が出来た。
長旅にはいつになっても慣れない。
竜の側から離れれば、ヒヤリとした空気が抜け、目の前の炎がとても有難かった。]
ありがとうございます…
いただきます…
[差し出されたパンと果物に遠慮がちに手を伸ばす。
竜は嬉しそうに差し出されたパンを無遠慮に口に入れた。]
話も歌もどちらも魅力的ですね。
アメシストさんも、『神の令』を?
[相手の申し出にやっと表情を崩し、小さく分けたパンの欠片を口に入れつつ、僻地へと続くこの集落を訪ねたということは恐らくは目的は同じなのだろう、と。]
村の設定が変更されました。
[沈黙が続けば詞のない歌を漏らし、土地と神について語る声があれば低いハミングは途切れる。
ナジの語る口承は、エルラムが触れずに来た世界の一端。興味深く耳を傾け、時に短く問いを向けた]
……、
[出会った人に英雄エルラムと宣する声へ、落ち着かなさを抑え笑みを浮かべ。
また歩き出す頃、ナジの名を呼ぶ]
……聞いても?
[個人的な過去の問を向けるべきか、この先をゆく未来の問を向けるべきか。
迷う間に、外套の肩に生えた若葉を摘み]
ナジ、【陽の雫】と…【凍れる英雄】について
知ることはありますか
[殆ど知らないそれらについて、知識を請うた。
頷き考えるように視線を道へ落とし、歩みは緩めずに聞く]
春の神殿に舞い降りし天使、
主神に仕えし天使が私達に降らせたよう、
【陽の雫】とは【太陽の雫】でしょう。
天上に輝ける熱き塊、恵みの光のことは知っていましょう……。
【陽の雫】は、彼方より大地に落ちたものと天使は告げていました。
……何故かは分かりませんが、
英雄達へ、このように神々の手による生き物ではないものを討伐せよ、と令がくだることは珍しいものではありません。
…………。
[相応しい言葉を探すようにナジは一度口を噤む。]
【陽】とは、創世の神がうみだしたものとも言われています。……神々をも生み出した序なる神によるものと。
そのような神が本当にいたのかすら、私達には知る術さえありませんが……そもそも、世界の全ては主神がうみだしたと、王国では囁かれています。
【陽】とは、創世の神がうみだしたものとも言われています。……神々をもうみだした序なる神によるものと。
そのような神が本当にいたのかすら私達には知る術さえありませんが……そもそも、世界の全ては主神がうみだしたと、王国では囁かれています。
[もしそのような神がいたのであれば、主神達のように今も在らないのは不思議ではあろう。]
── 竜を与えられし時 ──
[竜を授けた女神は言った。
この竜は貴女次第で何とでもなる、と。
これは貴女自身であり、奇跡であり、導きであり、恵みであり、破壊であり、世界である、と。
神がそれを人に与えることに何の意味があるのだろうか。
女神が去った後、私は卵に歌い掛ける。]
[そして嘗て母の腕の中で聞いた、伝わりし古き英雄譚の中の名を一つ呼びかけて。]
ダーク。
我を導きしモノ。
[その卵が孵ったのは、月と太陽が1度ずつ顔を出した後の事だった。]*
[相槌は仕草と眼差し。
昼の神が舞台に座す空を見上げた。眼を灼くような強い光と射し込む熱は、季節により強弱はしても途切れることはなく大地を照らし続けている。
創世の神が生んだ、世界の体温か。
あの欠片が滴り落ちてあれば、近過ぎる恵みの熱が寄るものを焼き尽くすのは想像に難くない]
……
[討伐の令は英雄達に下された。
神々が手ずからそのような災禍を除くことはないのか…あるいは人間達の預かり知らぬ高きところで、数多の危機を去らせているのかもしれないが]
英雄譚は、いくつくは聞きました
陽の雫はあついもの。だから凍れる英雄が立つたのでしょうか
確かに【陽の雫】に対してはこれ以上ない適役でしょう。
ですが、彼が自ずから立ち上がったかは、分かりません。
彼の心は冬の神に捧げられ、
冬の神の力の端を振るう暴威そのものです。
【凍れる英雄】が冬の神以外の為に立ち上がるとは……
いえ、【陽の雫】が冬の神にとって敵対するものであれば、何もおかしなことはありませんが。
[冬山に【陽の雫】が落ちたのであれば、冬の神が立ち上がるのも容易く理解は及んだのだが。]
彼がかの地に赴き、人を本当に助けようと力を振るうのか、私には分かりかねますが……
これまでの英雄譚は、みな、彼の強さを物語るものではありました。その結果、助かった者達もいます。
しかし、私は気がかりです。
【凍れる英雄】が初めて”敵”を切り裂いた地は、凍土として実りの宿らぬ土地となった話を知っていますから。
[ナジはエルラムに語る。]
これまでの英雄譚は、みな、彼の強さを物語るものではありました。その結果、助かった者達もいます。
しかし、私は気がかりです。
【凍れる英雄】が初めて”敵”を切り裂いた地は、凍土として実りの宿らぬ土地となった話を聞いていますので。
[ナジはエルラムに語る。]
[凍れる英雄について語られた言葉は、思いもよらないものだった。
自分を捧げ神に、近付いた、英雄の話]
………、
[一度開いた唇を閉じる。
くすんだ灰に緑混じる眼差しは、ナジの昏いそれと交わった。
ああ、けれど口伝は口伝。真実を映す鏡ではなく、
己の目で見て感じとるべきこともある]
冬の 神に心を
[ふと視界が暗くなり、眼前に葉が咲いたと気付く。
顔を覆おうとする緑は、意識向けた瞬間に溶け消えた]
ナジはお会いしつことは……ないですか
[実りの宿らない凍った地。
それでは──
眉を寄せる]
はあし達は、彼とお話できるといい
【凍れる英雄】とは一度のみ、間近で。
[ナジの返事は短い。
話が出来ればとの言葉に何か言いかけ、しかし口を噤む。
ナジが忠告をする場面でも無い。]
彼が居るところはすぐに分かります。
寒い場所へ向かえばそこに彼はいるでしょうから。
[間近で。
ナジを見つめ、薄く瞬いた]
はい……寒み場所
[地平線は常に遠くにあるように見えるが、景色は少しずつ流れていた。
目的地の方へ、視線を向け直す。
足取りは僅か速くなった**]
[エルラムから視線を逸らされた後、静かに双眸を閉じた。
ナジの、ナジ自身の言葉を噤みより影であった方が良いやもしれぬと密かに思って。**]
ー神殿ー
そう、か。
[早く眠りに落ちていて、どうやら神殿についてからの記憶はごく短いらしい
少女にとっては巨竜の一件以来、久々の旅であったか。
王国からの距離を考えれば早くに眠りに落ちた事も詮無い事だろう、と思考する
元から少食なのか、それとも緊張しているのか。カルヒは少しずつパンを口に運ぶ
一方、竜の方は流石成長期と言うべきか。何の遠慮もなく口に入れ、もっと出てこないか物欲しそうに見つめる有様だ
その無垢な瞳にくすりと笑みをこぼす]
『神の令』。まあ、そうだね。僕は天使から聞いたんだ。
でも行こうと思ったのは命令だからじゃなく、このままじゃ人間界が危ないからその阻止だ。神様じゃなく人の為、だね。
…あ、これ内緒にしておいてね。
[英雄らしからぬ発言だからと付け加えて、口の前に指を立てる]
…カルヒ。今回の令について、君はどう思ってるんふぁい。
[パンをもう一口齧りながら、問いを投げ返した]
ー春の神殿>>206ー
…はい。
[無事に帰ることを願っています、と背中越しに声がかかる。
振り向いて、短い返事を返す
そして、天使の視線 >>207をちらりと見て、神殿を後にした。
少しして、春の英雄の奇跡たる優美な旋律が聴こえてきた
その効果により、自然と足取りが軽くなる]
……………。
[春の英雄と共有した情報を頭の中で反芻する。
火山が氷山になる程の力を持った英雄。そして神に"心"を捧げた英雄。
それら全てが真実とするなら、陽の雫たるものにこれ以上とない戦力となるだろう。
気がかりなのは、矢張り英雄全体に呼びかけを行った事]
(何を為すか。)
[春の英雄から幾度か言われた事を頭の中でまた思い起こす
願わくば、考えたくない方向へ思考が動こうとしていた]
(脅威は。もしかすれば、陽の雫ではなく)
[かの者へと言葉が通じれば対策も打てようが、心を凍らせている者を果たして制御できるのだろうか。
そこに一抹の不安の種を抱えながら、アメシストは王国より旅立った]**
── 神殿 ──
ダークったら…
[目の前のパンをペロリと平らげ、次を催促するような目を相手に向ける竜の背を撫でれば、自らのパンを半分ほど与え、竜を制する。
元々あまり食べる方では無いことが、旅の中では助かってはいるものの、体力や筋力は殆ど付かず、時間はかかった。]
人、の為……
[相手の言葉を繰り返しかけて、人差し指が唇の前に立てられるのを見れば、フッと表情を緩めて声のトーンを落とす。
実際はそんなことをしても、神の耳にはさしたる意味も持たないのだろうが。]
天使が何処かに降りたのですね。
私はこの子を通じて。
[側の竜が神の言葉を伝えることを告げる。
ただその表情は明るくはない。]
ただ……何の為に向かっているのか、
何が為せるのか、分からないんです。
[小さく首を傾げて作るのは苦笑。
導かれるがままに此処にいるのだ、と。]**
ー辺境の神殿ー
そうか。君はダークと言うのか
[名を与えられた仔竜に手を伸ばし、許されれば喉を撫でて。ものを催促するように甘噛みされればいてて、と軽い調子で言う]
そう。人のため。
そっか。その子は神々からもたらされたものだったね。
[竜は殆どが神の眷属たる存在。仔竜を見つめ、呟いた
そして、カルヒは不安げに言葉を紡ぐ>>240]
ああ。それは僕も同じだよ。結局のところ、行ってみないと何もわからないなと思っているところだ。
…大きな不安を抱えながら、ね。
でもなんだか不思議と、君がいればなんとかなるような気がしてくるよ。勝手な言い分だけど…ね。
[カルヒの不安には同意を。
そして励ますような言葉を贈るのは、本心から。それは相手が【偉大なる英雄】と持て囃される存在だからではない。単なるアメシストの、勘であった]**
[北東。
空には太陽、あえなき人間達に恵みを与えるもの。
ここより陽の雫は……【太陽の雫】は滴り落ちた。
人間達が「国」とする場所より、北東の僻地に近づくにつれ灌木の姿が混じり始め、常に青々とした木々の姿は少なくなり始めた。完全に無くなることは無いが、「北東の僻地」は恵み少ない土地だと一見しても分かる。
神々のちからが及んでいない土地>>6なのだろうか?
それでも、そこに「集落」はあった。
土地を耕し、日々の糧を得る人々の姿。
日々の小さな事に楽しみを見出し、支え合い生きる人々の逞しくも、天使にとっては哀れみをおぼえる人間達の姿が。]
[天使は、「集落」を見渡せる小高い岩に舞い降りた。
この「集落」よりも、更に「北東」へ行けば、
まだ緑があり作物の実る「集落」のある土地とは違い、そこは砂岩が多く見える礫砂漠の境界に近い土地>>3となる。
悪地。荒野。不毛の土地。
何にせよ、ごろごろとした石や痩せた土や砂ばかりの地だ。
そこに【陽の雫】は滴り落ち、産声をあげた。
今は粘性のどろどろとした溶岩流のようなものでしかないだろうが、だがそれでも、それは生き物だった。
「集落」から遠い「東」へと、天使が視線を移せば、
広がるのは砂の大地。何処までも続く砂の大地がある。
「東」には、限りない砂海が広がり続けるのみであり、この砂海の更に彼方に狂気の民達>>35>>36の住む、緑豊かなオアシスがあった。*]
― 北東への途 ―
[景色は流れる。
徐々に緑は減り、這い蹲るような灌木を見る。
道はいよいよ境界を曖昧にし、集落と集落を結ぶ痕跡も薄れていった。
乾いた緑の景色に、エルラムの足跡だけは点々と淡い緑の破線を萌す。
男自身を栄養に膚から生える芽と異なり、地面から産まれた子葉達は水と陽の神の恩恵なくば枯れゆくばかりだろう]
さずぐだんだま、きぇやりゆかが…
[思考の一端が独り言に零れ落ちる。
酷く歪んだ音に気がついて、息を吐いた。
外套の腰をおさえていた指を眼前にあげる。曲げた関節から産まれ伸びてはふくりと揺れる小さな芽]
少し、休憩しなせんだか?
[春の英雄の歌はまだこの身を加護しているし、山羊の歩みも遅くなってはいない。
けれど随分と長い距離、出立から一度も足を止めていない。
急き過ぎてはならない、と何かが警鐘を鳴らしていた。
心は急いて、怖いのに走り出しそうになる。それはきっとよくない予感]
陽射しら強い、気付かぬうちに体力を奪れわそうです
―北東への旅路―
[青々とした緑は姿を消し、草原すらも姿を消しゆく。
北東へ向かうにつれ、灌木も目立ち始めて来た。]
…………。
[ある程度意味が分かるとは言え、訛り…狂い孕む言葉の意味を上手く掴み取れ無い時もある。掴めている時でさえ、ナジは無言の時が多いのだが。]
そうですね、歩き通しです。
春の英雄の歌は私達の足を軽やかにしていますが、
ここで休憩しましょう。
[ナジはエルラムに頷く。]
── 神殿 ──
[制するのも聞かずに、伸ばされた手にじゃれる子竜を見、苦笑する。
相手は不快感を抱いていない様に映り、それは救いであった。]
えぇ。
凡ゆる可能性を秘めたものだ、と。
昔聞いた英雄の名を頂いてしまいました。
[子竜の名には、少し困ったような笑みを浮かべる。]
えぇ、この子は……
やはり神のために動くのかしら……
[人のため、というその言葉を耳にし、子竜へと視線を移せば、小さくそう呟く。
では、その子竜に導かれる私は誰のために?
小さく産まれた胸の内の歪みには、気付かないフリを。]
そう、ですよね…
太陽の雫が何たるものなのか…
凍れる英雄、その力を持ってしても何とか出来ないものなのだとすれば…
[その思考は凍れる英雄の持つ何かに至ることはなく。
神は純粋に敬愛の対象であると信じてきた女にとって、英雄もまた奇跡の象徴である。]
私には…何も出来ませんよ……
[なんとかなる気がする、との言葉に返す笑顔は何処か切なげな笑顔。]
[山羊を留め、荷を下ろして休ませる。
ナジと共に布を広げ、防寒具にもなる厚いそれを日除けに張った。
充分な長さの枝がなかったので帯剣を支柱代わりにしたが、神の手による偉大な武器は、目的外利用への文句は呑み込んでくれるらしい]
水と…何か食べておきますか
[即席の日陰に腹這いになった山羊の額を撫でて傍らに座る。
ナジを見る眼差しはくすんだ灰緑。
何か言うべきか黙るべきか。逡巡の末、視線を落として、脛布を解いて巻き直し始めた]
―北東への旅路―
[近くに灌木や小岩すら無ければ、ナジは地に樹の徴をふたつ、生命の徴をひとつ刻もうとし……、先にエルラムが動いた。これもまた、日除けにはなるが。
ナジは、何か言いかけ口を噤み、剣に厚い布を掛け、簡単な日除けをエルラムと一緒に作った。]
そうですね……
ですが、先に貴方の足を洗いましょう。
[栄養価は高く日持ちするように、小麦の粉と水と油の練り物を硬く焼いたものや、棗や無花果などや水を用意した後、
ナジはエルラムの足元に跪き、エルラムの足に触れようとした。]
その後に食事を。
[ナジはくすんだ灰緑の目を見る。]
…………?
どうしましたか。
[不思議そうに尋ね、視線をエルラムの足へ向けると、エルラムの足を素足にし始めようとする。その動きは、慣れた手つきで……]
[エルラムの様子にナジは合点が行ったが、]
エルラム、私にまかせて下さい。
[微かに微笑みエルラムを促す。]
貴方の言うよう、
風習なようなものと思って下さい。
………
[人に足を触られることなど起こりえない生活。
確かにナジの手つきは慣れた滑らかさで、何とも思わないのかもしれないが、]
……そ。え、と…はい…?
[握りしめていた布から手を剥がして委ねるべく、ギシギシと拳を開く。
山羊の蹄を切るのと同じだ、と唱えながらも、ナジの指から視線は逸れた]
──ナジ、ナジは、王国なん人とは違います、か
[大人しくしないようであれば、いっそ詩で拘束しようかとも、ナジは考えていた。何とも、この英雄は野の英雄だ。]
私は王国に住んでいます。
出身は、また違いましたか。
失礼を。
風習と言うと貴方を惑わせてしまいますね。
貴き英雄の足を洗うことくらい、変わった話ではありませんよ。
[エルラムを素足にすると、ローブの袖を少したくし上げ、ナジは足首から先を水で洗う。ナジの指は、エルラムのような無骨さは無い。長く歩き続けた足を労るように、汚れを必要分の水で洗い落とす。
エルラムは腰布を掴んでいたようだが、ナジが用があったのは、足首より先でしか無い。
ナジは足を洗うことに気恥ずかしさなどは無く、淡々としたものだった。]
[その最中に、ナジは気になっていたことを尋ねた。]
エルラム、ひとつ尋ねて良いですか。
貴方は何故、老いた山羊と向かおうと思ったのです?
[洗い終えるまで短い時間だった。
さっさとナジは水で洗い、エルラムを開放する。]
そう…ねす、か?
[神殿でそんな世話を習った覚えはない。と思う。
足首を掴まれてしまえば観念して、しかし背中がむずむずするのかほとんど息を止めて待つ。
この状況と気分をなんと言うべきなのか暫く単語の引き出しを掻き回して考えて、
なにか…冒涜的。 と思いついてしまえば、眉間に皺を寄せる以外なかった]
…………
[問が向かって来たのは、気を逸らすには丁度良かったに違いない]
いつ帰るかわかまらいで置いて来ますか?
乳は出まいけど荷はたくさん積めるし、
[比較論でいえば、とても饒舌。
賢者の眼をした装飾獣の角を撫でた]
森を出てらかずっと、一緒。家族…?です
旅の習いのようなものです。
この辺りは、埃や礫も混じり始めています。
目的地まで、先はまだあるのですから。
…………。
[エルラムの態度に不審を感じたが、足を清潔にし終われば、ナジもまた休むことにした。
問いの答えは、ある程度ナジが推測していた答えに当てはまる。家族との答えは、ある程度予想していた。]
そうですか。
聡い目をしている。
[頷き、老山羊を見る。]
[きつく巻き直した布へ、指先で護の徴を描く。
多少の枝や岩、あるいは熱や冷気から脚を守る脛布は、男にとってはもう一つ、体の内側から生え出す緑に足を取られて転ばないためにも]
はい、はあしよりもきっと賢い。な?
[暢気に鳴き返す山羊に少し笑って、]
ナジ…"歪んだ灰の森"なん口承、のう一度聞かせてくれますか?
[請いながら、腰をずらしてナジの足元に座った。
新たに水袋を手にしてさあ足を出せ、と据わった眼で要求する。
ナジが改めて口伝を聞かせてくれれば、この妙な事態に狼狽せずに、済ませて食事へ移れただろう。
固く焼いた小麦や干した果実は慣れた味、体の滋養は素直に欲する]
[エルラムと老山羊のやりとりに、ナジは頬を緩める。]
歪んだ灰の森の口伝ですか。
いえ、私は…………。
[しかし、エルラムの眼差しには微かに言い淀んだ。
全身に刻まれた徴は爪先には無いが、足首の近く辺りには刻まれてたものが覗いている。しかし、ここで無闇に拒めば、エルラムはそれを追求しかねない強さが今はあった。
渋々と、ローブの裾から足を差し出す。ローブの下にも衣服を付けており、足は旅用のサンダルで踵は覆われているものだった。自分の手で、解こうとしかけながら、]
望みとあらば、語りましょう。
[ナジは遠くを見る眼差しをして口を開く。]
[サンダルを脱ごうとする手に指をかけて押し返す、控えめな意思表示。
人の素足に触れる感覚へ細められていた眼は、足首に覗き見えた徴にも外見上はほとんど動かなかった。
ただ一呼吸分の間をおいて、足首から爪先へ。水を垂らし、布で拭って埃を洗い落とす。
俯き黙々とした作業は短い小口伝を聞き終える頃には終わり、ひそやかな溜息と共に足首を離して座り直す。
そのまま水袋に口をつけ、唇を潤した。
口伝の乙女の物語は、まるで悲劇そのもののように聞こえる]
……神ら心を望まれたとして…
捧げた心は消えてしまうでしょうか?
…………
[布で拭われるその感覚は遠く。
ナジは静かに口伝を口にするのみ。]
それから八十と七の日、英雄は歪んだ灰の森にあり、泉の水を掬った。天使は日毎に現れ、彼女は日毎に神へ歌声を捧げた。
八十と八の日、萌の英雄は泉の水を掬い、ひれ伏して言った。
『私は寵愛を欲する』
[語りべの視線はエルラムに向けられ尚語られる。]
歪んだ灰の森の神は願いを聞き、気紛れに寵愛を賜った。
…………
時の巡りて今も、大地の東の僻地、歪んだ灰の森の奥からは、詩も旋律も無惨に歪み狂いてなお…美しい…、
……妙なる囀りが聞こえるのだという……
[深く息を吸ってから吐息と共に終わりを締めた。]
ナジが知る口伝です。
(美しくも甘く残酷な口伝だ。
寵愛に溺れ狂う、それは……人として。)
[ナジは双眸を細め、しかし神々への疑念を持つ。]
さあ、どうでしょう。
捧げた心は…… 私には分かりません。
捧げられた心のゆく先など。
私は、人なん想いは
──そこに残ってにると、思います
[ナジの足は自分のそれよりも細かった。
包み込んでいた手のひらを見下ろして、固いパンをとる。
欠片を齧って口の中で柔らげながら、口伝を反芻してみる。
やはり何かが歪められている、と感じる物語]
(付き添いの者の足など洗わずとも良いものを。
律儀な男だ。)
[ナジはエルラムが喉を潤す様を見て思った。
外見や声質から性別の分からないナジだが、そろそろエルラムには知られているだろう。肉体労働や長い旅路に出られる程の筋肉はあるが、その付き方はエルラムの様な付き方では無い。]
ありがとうございます、エルラム。
…………。
想いですか?
そこ とは どこ です。
もしや、捧げた心がまだその人間の元に残っていると言うのですか。
[暫く咀嚼して、飲み込んでから頷く]
たぶん。…どこかに
想いは、人間達 の間に
残ります
[一度も我が子に視線すら向けなかっただろう末路の乙女にも]
食べますか?
[自分の荷からも木の実や酸い果実酒を出し、ナジへ向けた。
じりじりと焼き付ける陽が緩めば、北東を目指す旅路は一気に村への距離を削っていくことになるだろう]
……なるほど。
聡い考えです。
[ナジはエルラムに同意を示す。]
ええ。
[ナジもまた、パンを口に棗を口にしていた。無花果などは干されており甘みが増している。
エルラムが取り出した物には、感謝を示して受け取った。酒の袋は、一口飲めばエルラムに返して。]
…………。
[遠く、物思いに耽るようにナジは北東を見ていた。]
人は脆く弱い。
詩の力が強くとも、神々には立ち向かえない。
しかし……人の想いは、心は……
繋がれ続けてゆく。
その筈だ。
私が生きている間には恐らく無理やもしれない。
だが、王国の、私の集めた知識は残る……
口伝で伝えるには神々の耳目を惹かないことが第一だが。
[エルラムの言葉に、ナジは神々への叛の意志を更に秘め、影は深まる。乾いた風は、緩く布を揺らし、エルラムの剣もまた、北東の地へと顔を向けていたか。**]
ー辺境の神殿ー
神のしもべとあっても、神の人形ではないと思うよ。僕はね
[カルヒの疑問、あるいは不安げな呟き>>248に、小さく返す。
神々から生まれし眷属であっても、仔竜そのものの今後はどうなって行くだろう。アメシストの中には疑問と少しの好奇心のようなものが湧いていた]
…そうだね。未知の存在に対峙するんだ。朝が来たらしっかりと準備をしよう。
そして、ごめん。無責任な事を言ってしまったね。勿論、僕もできる限りはやるつもりだ。
ここに来るまでに王国で英雄に一人、出会ったしね
[その英雄とも目的地に着けば自然と出会うだろう。
そんな事を考えながら揺らぐ炎を見つめる]
村の設定が変更されました。
―北東への旅路―
[薄明るい光が空を覆っている。]
そろそろ着きますね。
[旅路最後の休憩の最中、ナジはエルラムに話しかける。
澄んでいるが乾いた空気の中、エルラムの肌に視線がゆき、そして再び持っている枝の先へ視線がゆき、ナジは燃えさしの枝で熾火を集める。]
エルラム、何か聞きたいことはありませんか。
村に着けば、このようにゆっくり話す機会は少なくなります。
[ナジは傍らの老山羊の額を撫で、双眸を伏せる。]
ある日、天使は令を人間達に伝えた。
きざしのあかごは村を出た。
山野を老山羊を共に旅をする。
王国に辿り着いたきざしのあかごは、春の英雄に認められ、神から賜った長剣を授けられた。
あかごは、きざしの英雄となり、英雄が振るう剣は、銀光を奔らせ、しゃらりと敵を切り裂き、後には豊穣の芽吹きを齎す。
いわんや、誰が彼を英雄と認めざりや。
かの者、人の中より立ちし英雄。
みなに祝福され、英雄もまた恵みを与える。
黄金差す曙光に、彼は立ちたり。
老山羊を連れた、かの英雄の名をエルラムと言う。
そう、ですね……
陽の高いうちに進まないと。
[それは自らを支える小さな正義感。
神の令として下る討伐にも、凍れる英雄の齎す力にも、否定的なものを抱くことはない。
それは神の導きであるから。
それは何年もかけて刻み込まれた女の中の"絶対"。]
いえ……
あの奇跡は、私のものではないのに……
[その期待が"竜の奇跡"から来るものだろうと思う女は小さく呟く。
ただ、英雄と呼ばれることには悪い気はしていなかったのも事実。]
他にも。
それはとても頼もしいですね。
[他にも太陽の雫に向かう者たちがいるのだ。それはとても頼もしい。
ニコリと頬を緩めれば、それならばきっと、奇跡は起こるのだろう、とポツリ、揺らぐ炎を見つめる横顔に視線をやった。]
―北東への旅路―
[エルラムからのいらえが返るまでの間、ナジは幾つかの季節を経る前の奇跡を思い起こしていた。今は【偉大なる英雄】と呼ばれ、竜の英雄と呼ばれるカルヒ。
あの時、巨竜が退いた後、ナジは地面に散らばった竜の棘の欠片を手に取り、掌に収まる其れの表面を指でなぞり、幾つかの「徴」をえがき、渡した。]
(何かあれば、これに想い込めてお知らせ下さい。
すぐには向かうことは叶わないかもしれませんが、
貴方のところへ助力しに向かいましょう。)
[偉大なる英雄という名で、あの時以後呼ばれるだろうととのナジの見立ては間違いでは無かった。
あれより以後、カルヒよりの呼びかけがあれば、ナジはカルヒの元へ足を運んだろうが……*]
ー辺境の神殿ー
[気晴らしになればとカルヒが【偉大なる英雄】と呼ばれるようになった事件の話をするが、返事>>279は何処となく歯切れが悪いと感じた。
恐らく、まだ受け止め切れていないのだ。人々からの期待を、もしくは偉大なる英雄の称号を]
あぁ。それに、僕らだけじゃなく何人もの英雄が集まるだろう。
ーーー信じよう。
明日のために、今日はもうおやすみ。
[過去に関する話は打ち切り、カルヒの方を優しく叩く
外を見やれば空に点在する砂粒が燐光を発して、夜の深さを表す
カルヒが寝付くまで見守り、請われれば子守唄も歌うだろう]**
── 卵を目の前に ──
……どうすれば……
[奇跡を得て、自身の周りに起こったのはあの日、奇跡を共にした一人の英雄が口にしたものだった。
村の護りという任を解かれたその身に次に縛り付いたものは"英雄"という名。
神に捧げる歌を紡ぎ、何も考えられないままに過ぎ行く毎日に、突然落とされた大きすぎる贈り物。
それを目の前に途方にくれる。]
母様………
[頼りたい母は其処には居らず。
村から移した居の端に座り込む。
間も無く孵る、と言われた卵を目の前にして。]
── 神殿 ──
[何人もの英雄が──そうだ、巨竜の時もそうであったように。
ただ一つふくりと湧くのは、神は何故、同じ神が生み出せしものを討伐せよ、と命じられるのか。
巨竜の時のように、被害を受けた人間側から動いているのではない、そこに小さな違和感を覚える。]
そうですね、眠らないと明日に響きます……
大丈夫……
神のお導きですもの……
[いつもの言葉がしっくり来ない、それは飲み込んで。
竜は気付けば、既に丸くなり寝息を立てている。
その尾に包まるように自らも身を小さくする。
アメシストの歌声が耳に入っただろうか、それは心地よく、深まった夜に染まり、自らの意識も溶けていった。]*
― 旅路の先へ ―
[熾火が脆い音を立て、弱くあかい光をともらせる。
薄明るい空からナジの手元へ視線を移し、少し首を傾げた]
……
[考えるような表情のまま紡がれる声>>275を聞く。
くすんだ色の髪の隙間から、こめかみへ淡い緑が咲いた。不似合いな髪飾りでも挿したよう]
―回想・王国の外れカルヒの居―
[ナジがカルヒの居を訪ねたのは、カルヒが女神に竜の卵を授けられ、陽も落ち、月が出て夜半も過ぎようとした頃だった。
王国では、カルヒの姿は遠く見かけ、噂話に英雄譚の話を聞いていたが、カルヒは人に囲まれ話す機会も無く、日々は過ぎていった。]
失礼を。
ここに偉大なる英雄がいると耳にしました。
……カルヒ。
[呼ばう名はかつて村で呼んだ時のような響き。
夜の神は辺りを満たし、天より見守る無数の眼が瞬く夜のことだった。ローブの袂に明かり替わりに光を灯していたワンドを収めた。
王国に戻る途中だったとは言え、旅の最中にナジはカルヒの呼歌を感じ、歩き通して来た。居に通されれば、その旅路を思わせぬ所作で入っただろう。]
はあしは…曙神なん加護どど似合いなせん、よ
[居心地の悪そうな。
負感情というよりはただ、憂うような。
僅かに首を振る。
小口伝のうち、乙女のものとされる台詞を思い出せば、背にざわりと蠢くような感覚があった]
………ナジは
ナジは愛されたいと、思いらすか?
── 回想・王国外れの居 ──
ナジ…さん……
[先に空に呼びかけたものと同じトーンで、歌に応え現れた英雄の名を口にする。
その表情は何処かホッとしたものの、弱音は見せぬように気は締めたままに。]
ありがとうございます。
……夜も更けてきているのに……
……此方へ。
[お礼を告げれば、窓の向こうはすっかり夜の神の世界、それは何処か切なく深い闇。
先の部屋へとナジを通せば、すぐさまに目に入るであろう卵。
月明かりが其処を照らすように差している。]
………ナジさん、竜の話を……
もしご存知なら、お聞かせ願えないでしょうか……
[それは暗に其処にあるのが竜の卵であることを示しただろうか。
旅を繰り返すナジならば、伝承を知るやもしれない、そんな淡い期待を抱いて。]
―回想・カルヒの居―
[ナジはカルヒに促される侭、居の奥に通される。
火を、とも思ったが、奥に在るものを目にして、ナジは息を呑んだ。月明かりに照らしだされたもの。
フードの下の視線は、カルヒへ向けられ、問いたげにしたが、竜の話を請われれば意志はナジの内側へと向けられる。]
竜の……話ですか。
それは巨竜の、それとも神々の竜の話ですか。
[声音に微笑が含まれていたのは、王国の口承を伝える者をあたれば、話を聞くことも出来るだろうといった思いもナジにあったからかもしれない。*]
今は
[幼き時。
自分はどうだっただろう。充分に愛されていると受け止めて、それ以上に手を伸ばそうとはしなかった]
もう求めせまんか、
それとも遠ざきたいと思う?
…………。
何故、そのようなことを聞くのですか。
[ナジは眉を顰め訝しげな声音で問う。
ナジは、エルラムの問う、問いの背景は凍れる英雄か小口伝に纏わるものか、と考えながら。]
なぜかな
[ゆっくり話す機会も少なくなるだろうから?
頭を掻けば髪の間から、ふつと芽が落ちた]
私は、愛さるぬ…より愛したいだけ
ひとを愛せるものであり続けたいなんです
[みなに祝福され、また恵みを与え返す。それが英雄ならば、似ているようで非なる思考]
影の英雄。貴方は
貴方が教えてくれました、エルラム。
私は、私が生きている間に望むものを手に入れられない……恐らく無理ではないか、と考えています。
…………それでも、人の間に、何かは残る。
私が望むものは、何時か……果たされるのです。
[ナジの口元が笑みの形に歪む。それを消し、]
いえ、私はその筈だと思いたい。
[いっそ明快なほどの否定>>297。
影の深さはいかほどか、男は──瞼を閉じた。
今もくっきりとそこに感じる]
[ 光まとう花びらの幻視 ]
どうかと……、ええ。はい
[くす、と息を抜くような笑みを浮かべて立ち上がった]
貴方には微笑みが似合います。
沢山笑って下さい。
その笑顔で救われる人々もいます。
[つられるようにナジの纏う空気も柔らかさを帯びた。*]
笑って。
はあしも貴方を見届けましょう、こなん令ねば
……
あが名なんもとに 灰血よ聞かえ
望むなら 望みえば
蝶翅む鱗に きざはしめがく
舞わどりかけるは 人と 神とに
────明めき あいさき<生>を 宿しナジ花へぞ
[ひずんだ詩は、甘やかに短い祝福を囀った。
髪から肩から若葉が散り落ち、エルラムは胸の中心を片手で抑える。
眉を寄せて逆の手で剣の柄を掴み腰へ佩いた。
行こう、と山羊に繋いだ綱を*とる*]
[其れを醜き詩だと聞く者が聞けば言っただろう。
其れを、狂い歪んだ狂詩だと聞く者が聞けば言ったに違い無い。だが、ナジは……]
…………。
[沈黙のうちに、エルラムが囀る詩をうけた。
ナジがエルラムに何を見たのか、今はまだ語るまい。
だが、ナジは祝福の詩をうければ、立ち上がり緩やかに礼を行って、エルラムへ付き従った。──*北東へと。*]
[天使は哀れむ。
矮小な人間達を。そう…
…小さき者は、全てを甘受するならば、押し潰されるのみ…
巨竜に押し潰されたあの村々の様に。
巨竜から逃れ村を捨てた者達の正気が喪われた様に。
立ち上がらぬ者には終わらない苦があるかの様に。
運命は糸を紡ぎ、その糸は絡みつく。
此度行われるは【陽の雫】と【凍れる英雄】の遊戯。
糸の操り手は【神々】であり神に人が抗うなど考えられない。天使もまた、”人間達に牙を剥かれる”ことなど、一度でも考えたことは無かった。
そんな時など、永劫来る筈が無く、
そんな時が来るとは想像すらしない。
哀れむ天使もまた、人よりすれば傲慢だろう。
人を蟻以上の存在だと見ることは無いのだから。]
[…哀れで矮小なる者達…
立ち上がることも出来ない、蹂躙されるが侭の幼き者達。
故に、どう扱おうと神々は心痛むだろうか?
同じ目線を持たない、蟻のような者達を自由気儘に扱おうとも、何を*どう心痛む*という?]
村の設定が変更されました。
無貌の語り手 が参加しました。
(kkr_3ID) 無貌の語り手は、村人 を希望しました。
[幾たびの冬を越してなお語られん。
幾たびの争いを越してなお語られん。
神々すら囁き合い人々は口承にて伝える。
*詩と歌と英雄と、陽の雫滴り落ちし地であった出来事を。*]
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
── 回想・王国外れの居 ──
[特殊な"声"──そうして神に歌を献上し、かの地を護った血筋。
詩の力は弱くはなかったものの、その小さな"箱"から出ることなく、それが世界のままに育った少女は、知ることもそう多くない。
母が教えた竜の子守唄と神の愛情と加護の詰まった英雄譚の幾つか、それが女を形成している。]
出来うるなら……
ナジさんの知る、竜に纏わる伝承の全てを。
[そう請えば、相手は応えてくれたであろうか。
その話が長くなろうとも、無知な少女はそれに耳を傾け、話を聞いたことであろう。
この声が巨竜に届いた、だから、竜を預けられた、などと都合の良い話だと思わないでもなかったが、その名の圧と同時に、何かの役割を与えられることそれ自体は、女の存在を──否、女の中の存在意義を──支えていた。
ただそれは細い細い糸。]**
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