情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[20]
[21]
[22]
[23]
[24]
[25]
[26]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
旅の習いのようなものです。
この辺りは、埃や礫も混じり始めています。
目的地まで、先はまだあるのですから。
…………。
[エルラムの態度に不審を感じたが、足を清潔にし終われば、ナジもまた休むことにした。
問いの答えは、ある程度ナジが推測していた答えに当てはまる。家族との答えは、ある程度予想していた。]
そうですか。
聡い目をしている。
[頷き、老山羊を見る。]
[きつく巻き直した布へ、指先で護の徴を描く。
多少の枝や岩、あるいは熱や冷気から脚を守る脛布は、男にとってはもう一つ、体の内側から生え出す緑に足を取られて転ばないためにも]
はい、はあしよりもきっと賢い。な?
[暢気に鳴き返す山羊に少し笑って、]
ナジ…"歪んだ灰の森"なん口承、のう一度聞かせてくれますか?
[請いながら、腰をずらしてナジの足元に座った。
新たに水袋を手にしてさあ足を出せ、と据わった眼で要求する。
ナジが改めて口伝を聞かせてくれれば、この妙な事態に狼狽せずに、済ませて食事へ移れただろう。
固く焼いた小麦や干した果実は慣れた味、体の滋養は素直に欲する]
[エルラムと老山羊のやりとりに、ナジは頬を緩める。]
歪んだ灰の森の口伝ですか。
いえ、私は…………。
[しかし、エルラムの眼差しには微かに言い淀んだ。
全身に刻まれた徴は爪先には無いが、足首の近く辺りには刻まれてたものが覗いている。しかし、ここで無闇に拒めば、エルラムはそれを追求しかねない強さが今はあった。
渋々と、ローブの裾から足を差し出す。ローブの下にも衣服を付けており、足は旅用のサンダルで踵は覆われているものだった。自分の手で、解こうとしかけながら、]
望みとあらば、語りましょう。
[ナジは遠くを見る眼差しをして口を開く。]
[サンダルを脱ごうとする手に指をかけて押し返す、控えめな意思表示。
人の素足に触れる感覚へ細められていた眼は、足首に覗き見えた徴にも外見上はほとんど動かなかった。
ただ一呼吸分の間をおいて、足首から爪先へ。水を垂らし、布で拭って埃を洗い落とす。
俯き黙々とした作業は短い小口伝を聞き終える頃には終わり、ひそやかな溜息と共に足首を離して座り直す。
そのまま水袋に口をつけ、唇を潤した。
口伝の乙女の物語は、まるで悲劇そのもののように聞こえる]
……神ら心を望まれたとして…
捧げた心は消えてしまうでしょうか?
…………
[布で拭われるその感覚は遠く。
ナジは静かに口伝を口にするのみ。]
それから八十と七の日、英雄は歪んだ灰の森にあり、泉の水を掬った。天使は日毎に現れ、彼女は日毎に神へ歌声を捧げた。
八十と八の日、萌の英雄は泉の水を掬い、ひれ伏して言った。
『私は寵愛を欲する』
[語りべの視線はエルラムに向けられ尚語られる。]
歪んだ灰の森の神は願いを聞き、気紛れに寵愛を賜った。
…………
時の巡りて今も、大地の東の僻地、歪んだ灰の森の奥からは、詩も旋律も無惨に歪み狂いてなお…美しい…、
……妙なる囀りが聞こえるのだという……
[深く息を吸ってから吐息と共に終わりを締めた。]
ナジが知る口伝です。
(美しくも甘く残酷な口伝だ。
寵愛に溺れ狂う、それは……人として。)
[ナジは双眸を細め、しかし神々への疑念を持つ。]
さあ、どうでしょう。
捧げた心は…… 私には分かりません。
捧げられた心のゆく先など。
私は、人なん想いは
──そこに残ってにると、思います
[ナジの足は自分のそれよりも細かった。
包み込んでいた手のひらを見下ろして、固いパンをとる。
欠片を齧って口の中で柔らげながら、口伝を反芻してみる。
やはり何かが歪められている、と感じる物語]
(付き添いの者の足など洗わずとも良いものを。
律儀な男だ。)
[ナジはエルラムが喉を潤す様を見て思った。
外見や声質から性別の分からないナジだが、そろそろエルラムには知られているだろう。肉体労働や長い旅路に出られる程の筋肉はあるが、その付き方はエルラムの様な付き方では無い。]
ありがとうございます、エルラム。
…………。
想いですか?
そこ とは どこ です。
もしや、捧げた心がまだその人間の元に残っていると言うのですか。
[暫く咀嚼して、飲み込んでから頷く]
たぶん。…どこかに
想いは、人間達 の間に
残ります
[一度も我が子に視線すら向けなかっただろう末路の乙女にも]
食べますか?
[自分の荷からも木の実や酸い果実酒を出し、ナジへ向けた。
じりじりと焼き付ける陽が緩めば、北東を目指す旅路は一気に村への距離を削っていくことになるだろう]
……なるほど。
聡い考えです。
[ナジはエルラムに同意を示す。]
ええ。
[ナジもまた、パンを口に棗を口にしていた。無花果などは干されており甘みが増している。
エルラムが取り出した物には、感謝を示して受け取った。酒の袋は、一口飲めばエルラムに返して。]
…………。
[遠く、物思いに耽るようにナジは北東を見ていた。]
人は脆く弱い。
詩の力が強くとも、神々には立ち向かえない。
しかし……人の想いは、心は……
繋がれ続けてゆく。
その筈だ。
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[20]
[21]
[22]
[23]
[24]
[25]
[26]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新