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─ →ブックカフェ ─
[駆ける足は、なんだかふわふわしていたんだ。
そうして出た先が、見慣れた商業棟の天井で、取り合えず彼女はリーンの姿を探してみることにしたんだ。
けれど商業棟、果てはドームの広さをよく知る彼女は、アテもなく探すことの途方さに気がついちゃうんだよね]
( もっとお話、しておくんだった )
(会った時の、たのしみにって場合じゃなかったよね )
[そんな後悔を、鼓動を止めた胸に抱いて。
珈琲が飲みたいと言ったリーンの言葉をアテにするという選択をして、ブックカフェへと戻ったんだ]
―商業施設エリア―
えーっと……ここはどこだろう……?
[自分の足で歩き出したはいいものの、ドーム内部はなかなかの広さでしかも商業区と居住区にわかれているのに初めてみる施設内部はどれも似通って見えてなかなか目的地にたどり着けない。
いくつか欠落している自覚はあったが、まさか方向感覚まで無かったなんて。
いよいよ途方に暮れてながらも、とりあえず歩いているとようやく人の気配を感じて>>+12勢いよく振り返る]
あれ?……アドニス=サン?
[きょとんとした顔をしてしまったのは、死んでかつ無惨な姿になった(はず)の男がその場に立っていたからだ。
もっとも、惨劇についても遺体の状態についても"聞いた"だけで実際に見てはいないし。
不思議がる己だって、既に死んでいるのだけど]
/*
読み込み能力が欠如していて、ボクは首を絞められた事にしていいのかどうなのかが、判らない!
ごめんねジキルさん、シルビアさん、ここは少しぼかす。
―夜が訪れる前・噴水広場→―
[果たしてグノとはその場で何事か交わしただろうか。
ルシアン>>33がいう「事実」とはリーンへの彼の殺意のことだろうとトルニーは捉えた。
素敵なお話、とはまさにそのことを指した心算で言ったもの。
トルニーは口角だけの笑みを浮かべ、彼の返答を受け取った。
こうしてトルニーは、あまり時間経たぬうちに広場を去り――。
途中、カルアとの通話を一方的に打ち切る間際に飛び込んできた言葉>>19が脳裏に過った。
トルニーはひとり、ふるりと首を振り、端末を見ずに小走りに駆け出していく、何処へとも、知れず。
入れ違いになったカルアに対しルシアン>>34が告げたことなど、無論トルニーには聞こえることも無く]
─ ブックカフェ ─
うわぁ、酷い有様……。
片付けられるのかな、これ。
[改めて足を運ぶブックカエェ。
その場の状況>>+13を眺め見て、そんな一声を洩らす。
ふわふわする足取りではあるが、触れたいと願っているせいなのか、触れられるみたい。彼女はそれに安堵すれば、散らかった店内を片付けていくんだ。
もっとも、ちょっと前まで心臓が動いていた世界では、誰かが片付けてくれない限り、そのままなのだろうけど。
今見える人、触れられる人だけの視覚に作用する程度の片付けをしながら、ふと耳に謝罪の言葉>>13>>18が蘇ってきたけれど、それには何を返していいのか判らないままに、唇を静かに噛むんだ]
[佳人が去り、男は月の花を追いかけたか。
既に時代が月への導を知ろうとも、手を伸ばすだけでは、衛星に届かない。重力を振り切り、星空の海へ飛び込んだとしても、誰も隣人の心の中までは知り得ぬのだ。
逡巡を巡らせつつ、そっと己の懐に武骨な指先を添えた。
硬い感触を布越しに伝えるのは、死体嫌いが残した兇器。
最早、空砲も納まらず、脅しにも使えぬ代物。
だが、己は今もそれを胸に抱えていた。
人の中に獣を飼うと言う、青年の遺言を是認するように。]
[そのまま、するりと己の懐から取り出す銃器。
弾倉は空だが、素人目に見ても、殺傷力は削がれていない。
洗練されたデザイン性と優れたバランスは今も黒く輝いている。
素人が構え方を吟味しつつ、傍らに居るだろう女史に声を掛けた。]
婦女に斯様な問いかけは礼節を欠くが、
これに見合う弾倉は用意出来るかね?
[眉間に皺を寄せて教壇に立つ男には不釣合いの代物。
もしかすれば、彼女の方が手馴れているかもしれないが、弾丸の有無に関わらず、譲る思考は欠片もなかった。
これは、眠り子を抱いた女に、持たせるものではないのだから。]
さて、と。
準備だけでもしておくかな。
[キッチンカウンターに入れば、気合の為にエプロンの紐を締め直すんだ。
それから一番飲みやすい苦味と酸味をバランス良く配合した、この店オリジナルブレンドを淹れる準備をし始める。
見た目の面白さで、やはり選ぶのはレトロなサイフォン式の抽出器。
やがて時間が経てば、店内への誘い水の様に、普段の店内の穏やかさを思わせる珈琲の香りが漂い出すだろうね]
伝わればいいけど。
[ふわりと香り始めた液体を見つめて、願いごとみたいに口にするんだ]
―― 回想 噴水前 ――
[噴水前には、変わらず花屋と朴念仁の中年男が居ただろうか。
いや、声をかけられる距離まで近づいた時には、花屋の姿は離れた場所にあった。>>7
特段、急ぎの用はなかったけれど、ルシアンからトルニーの事を促されるまま、わたしはその場に留まる。
そういえばあの管理人室で会ったきり、碌な会話もしていないことに気づき、情報収集も必要かと不在の間に話題を探す。
とは言ってもリーンのことについては触れないつもりだった。
勿論シルビアと会話をした件だって彼女には関係ないだろうし、
臓物商との古い関係も、この場で敢えて言う必要も無いかと除外していく。
となれば――]
特に何もない…っていうのは味気ないけど、此処が解放されたら、是非貴方にお花を見繕って欲しいなって、思っていたところだったのよ。
そうね、真っ白い花がいいわ。華やかで、けれど可憐な。
[わたしだって迂闊ではない。
「今は人狼との心理戦も兼ねているので、録に会話をした事のない貴方と、一度話してみたかったの」等とは言わず。
けれどあながち嘘でもない依頼を唇へと載せていた。>>14
もし、生きて解放されたのならば。
わたしは真っ先にリーンの亡骸を白い花で包んであげたかった。
何にも汚れることのない存在を、無垢なままで着飾らせて。
――永遠を紡ごうという、エゴを全うするために。]
[さて、花屋の答えはどんなものだったか。
それなりに女同士ということもあって、会話は弾み。
他愛のない会話は、ただ、山のように積み重なっていったか。
――どれ位の時が過ぎた頃だろう。]
ねぇ、トルニー、やっぱり人狼って一頭だけなのかしら?
だとしたらそろそろわたし達。
――解放されるときも近いのかもね?
[客としてもてなしたシルビアに浴びせられたコーヒーで濡れた筈の髪。
その感触がない事(>>17)に気づいたのと同時に、ふと彼女は店内に人の気配を感じるんだ。
生きた人の気配じゃなくて、自分と同じ『場所』にいる人の気配って言えば伝わるかなぁ]
──だれ?
[人の気配に聡いのは、死しても彼女が生まれ持ったモノ──人狼だということが変わらないという事だろうね。
見えない誰かの気配に思わず問いかけながらも、気配のする方向に視線を向けるんだ。
店の奥、ドームに閉じ込められた日、店の店主が身体を休めながらも仕事をする筈だった場所。
気配に誘われるままに、そちらへと足を進めてみるんだ。
勿論、店の中に新たな人の気配があれば、そちらへと向かうつもりでね]
― 回想・噴水広場 ―
[息を切らしながら辿り着いた先には、電話で一緒にいるとだけ言っていた二人だけがいて 次会ったら一発殴ってやろうか、と、苛立ちを露にしつつ
アメジストの双眼を持つ男>>34から、抽象的な…まるで、芸術品の鑑定をしている様な体で語りかけられる]
ああ、忠告どうも
[選択しない事が後悔に繋がる、なんて、数日前に…いや、もっと前にも、経験している
からかいや煽りの意が裏に見えなかったのもあって、ぶっきらぼうに一言だけ返し
少なくとも、此方に黒い、電子機器越しに響いた感情を向けられていないと察せば
展覧会に飾られそうな石の輝きには興味など無い、といった素振りで去っていく
彼の貫く信念>>35なぞ、知るよしもない]
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