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いいんじゃないかな。"チヨちゃん"になっても。
[不安の潜む声に、撫でる手を止めて答えた。]
僕はクレハちゃんの笑顔が、チヨちゃんになる事でより魅力的になると思っているから。
笑って、困って、驚いて、はしゃいで、妄想に耽って表情を崩して、
ふふ、
そんな表情をくるくる変えてくる女の子。
[震える手に、手を重ね、寄せる身に身体を当てるように更に引き寄せると]
甘えてきてくれる女の子。
いいんだよ。僕はそんなクレハちゃんが好きなんだから。
[撫でていた手を彼女の前髪の位置まで下げ、白い額を晒す様に持ち上げると]
どこまでも受け止めるさ。
寧ろ大好物です。ありがとう。
[その中央に、小さな音を残して唇を寄せた。]
人からこう、人からどう、思われることと、
それに答えなくちゃいけないは別だから。
それでも――
[周りを見てしまうのなら]
僕との時だけでも、
――僕だけを見てくれればいい。
ほら、僕って抱え込むタイプじゃないから!
無!問!題!
[イェーイと両手を広げておどけて見せた。]
とりあえず今度着てみない?
皆の前ででも、僕の前だけでも。
打ち明けても、言い包めでも大丈夫。任せんしゃい!
[抱えた重さを和らげるにはまだ足りないかもしれないが、積み重なった石は一つづつ取り除く。急がば回れ、慌てる乞食はなんとやら。]
僕ちゃん。ベニちゃんのミニスカ巫女が見たい!
それが一番大事!!
[そう笑いながら言い放った。*]
さぁ…勝負!!
《100》弱点にヒット!観客「景品が…落ちた!?」
《99〜50》 耳にヒット!観客「おいおい…景品が揺れたぞ…」
《49〜20》腕にヒット!観客「今ちょっとだけ…ずれなかった?」
《19〜1》お腹にヒット!観客「やっぱびくともしないよなー」
《0》Miss!観客「…あいつ、テニス部だよな?」
[ お腹にポヨンとバウンド…。]
……ゲームセット。
駄目だったかー。
[ 声を掛けられたりしつつ、観客達は散っていく…。]
ごめんね…。取れなかったよ。
「いえ…良いんですよー」
「カロル先輩のおかげで、挑戦者も現れるかもですし!」
「ドンマイです!」
[落とした景品の10コの駄菓子を白いビニール袋に入れて貰い
射的屋を後にした。]
[時間を気にする。]
そろそろ劇の時間だ…
今なら…会わないよね。
戻らなきゃ…着替えられないし…
[ コスプレ喫茶『Cucurbita』の方へ足を運ぶ…。
その途中…、実行委員会区画で足を止める。]
(思えば、昨日…ここの会議室から始まったのかもしれない)
[ ふと、天使の羽を取り出す。]
レベッカさん…どこに居るんだろ…
(今日、喫茶店前で会ったあとから、ずっと見掛けていない…
私が勝手にどこかへ行っていたのだから、それもそのはずだけど…)
きっと楽しんでるんだろうなー…。
――いざ劇場へ――
[こうやってフランに手を引かれて、夢のような気分である。
男子と付き合ったことがないのでなおさらだ。]
よく、私と分かったな…。
[引かれている途中で店でかっこいいと言われたレベッカと出会う、コスプレを解いていなかったわけなのでこんな姿を見られていることもあり、恥ずかしそうに。]
にしても、歯に青のりついたままだぞ…。
折角の可愛いのが台無しだぜ。
ほらちょっとこっち来い。
青のり取ってやるから…。
[彼女の満面の笑みに少し緊張がほぐれたようだ。
近づいてくるなら、ティッシュを取り出して青のりを取ろうか。]
―回想・数年前―
[昔から、頭がいい方じゃなかった。成績は悪いし、深く考えたりもしない。だって、今日楽しく過ごせたら、それでいーじゃん?
バカ騒ぎして、とっちめられて、明日は何しようか。
将来なんて曖昧でメンドイものなんか気にしないで、今日が楽しければ明日も楽しいって信じてた]
「……お前なー。何にも考えないで急に切羽詰まった状態になったらどうすんだ」
――えー、友達に助けてもらったり助けたりする?
「おいおい、社会に出たら仲良しだけで完結できないんだぞ」
――わかってるけどー…そんなん大人になってからでいーじゃん!
[進路相談を面倒がるオレに、先生は苦笑しながら言った]
ああ、どこか二人っきりになれそうな場所で話を聞くよ。
[彼の真剣そうな眼差しを感じる、レベッカの言うカロル先輩とはどういう関係なのか気になりながらも、だからこそフランから話を聞きたい。]
「実のところ、先生はお前が就職しようと進学しようとどうでもいい」
――ダイナミック本音!
「ただな、勉強はともかく、学ぼうとする努力をしないのはダメだ」
――なにそれ、どう違うん?
「うーん…そうだな。決まってない答えを考え続けるところかな」
「これから柵が増えてけば悩みは尽きないし、選択の連続だ」
「そんな時、何事にも真摯に取り組んでいれば、仮にうまくいかなくたって後悔はしないで済む」
「お前たちには、そういう姿勢を。知識よりも人生に真剣になることを学んでほしいんだよ」
――…………?
「そういうわけだから、進路希望さっさと出して先生を安心させてあげようか」
――結局それな!
「ははは。些細な事で怒ると背だけじゃなく器も小さくなるぞ」
――いやいやいや、男は20代まで望みあるから! せ、せめて165はいくし!
「ははは」
――ちょ、
「まぁ何はともあれ。エリートは絶対無理なぶん、せめていい人生になるよう頑張れ。真剣に青春楽しむがいいぞー」
――オレのハートずたぼろなんだけど!
[いつもくだらない話ばかりだったのに、この日の話だけは忘れられない。正直、今でもよく分かっちゃないけど。
大学に行こうと思ったのもバカなりに考えるようになったのも、先生のおかげ…って言えなくもないかなって思う]
(難しいコトなんて分かんねえけど)
[後悔だけはしたくないから、自分なりに頑張ってみたいと思う。
「カロル」の事を、少しでも知れるように]
文系男子 フランは、模擬店担当 ロビン[こくんと頷いて、手を引く。劇まで時間があるみたいだから、大道具なんかが集まるところにでも行こうか]
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