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ダーメ。
[ベッドのスプリングを利用して再び半身を起こして逃げ腰の彼女を捕まえると、羞恥に包まれている様子の彼女のその唇に、軽く勢いのまま触れるだけのキスをする。]
我侭を聞いてあげるというクレハちゃんの我侭を聞いてあげたんだから…
[それは彼女のファーストキスかどうかは定かではなかったが――]
今度は僕の我侭のターンだと思うな。
クレハ=サン。
[畳み掛けるようににこっと笑いかける巫女スレイヤー。
慈悲は無い。
無理をする気は無かったが、わたわたしている彼女をもうちょっと揺さぶってみようという心持を秘めながら。*]
ロビン、落ち着かないとこでごめんな。
でも、ここで話したいって思ってたんだ。来てくれて、話してくれて、ありがとう。
[隅の方にもどって、声を潜めて話し始める]
裏方がどんな風に舞台を支えてるか、一緒に見てほしかったんだ。
オレ、こんなふうに、ひとつの物語を紡ぎあげるのがスゲー好きでさ。
大道具や照明、音響がなくたって役者一人いりゃ出来なくはない。
けど、合わせた力が噛みあったらもっと面白くなるじゃん。
剣道の基礎練みたいに積み重ねていって、試合で――舞台で結果が出るんだ。
いざ幕が上がったら目立たなくても、サイコーにドキドキする仕事だから。
ロビンも、自分の事ガサツとかいうけど、そんな事ない。エプロンでもその衣装でも、スゲー綺麗だよ。
[ロビンの目を見つめて、返事を伝えようと口を開いた]
文系男子 フラン は、なんとなく 他人任せ を能力(食事/憑依)の対象に選んでみた。
万が一ロビンが軽くててきとーに付き合えるような子だったら、オレ、決意を曲げて「付き合って」って頼み込んでたかも。カロルに文化祭が終わったら話したいって言ってたのに、だぜ。
……オレのカッコ悪いとこ、受け入れてくれてありがとな。
でも、ホント、しょーもないやつなんだぜ。
自分の気持ちから目そらしてロビンのそばにいたら、オレ、自分の事嫌いになると思う。
一緒にいて楽しくなる度、後ろめたくなって。
一緒にいて好きになる度、申し訳なくなって。
でかい魚逃して、振られて、さんっざんに終わるかもしんねえけど。
せめて「一度ロビンに選んでもらった男」に相応しくなりたい。
オレなんかの事見てくれて、ありがとう。
[そう言って、ふーと息を吐いた]
[カロルの泣いていた顔が思い浮かんだ。
檻の中じゃない、彼女を知りたいと思う。
馬鹿なオレじゃ届かなかったとしても、真剣に向き合わなきゃ絶対後悔する。一緒に笑い合えないかもしれなくても、せめて、泣いてない顔を見て終わりたいから]
[劇が始まるとじっと内容に集中ししばらく黙りこむ。内容にあわせて笑ったりハラハラしていただろう。]
先輩、目の前で見ると迫力ありますね!
さっきいた子って・・・あれ? 先輩・・?
[どうもカロルの様子がおかしい。
よくみれば涙が零れていただろうか?]
悲しい場面でもあった・・・かな?
[鞄からハンカチを取り出しカロルの手の上にそっとおいてあげた。]
[第二幕が始まるまで後5分__
今回の舞台では衣装替えがないシリウスにとってこの5分は気持ちを落ち着かせるのに最適な時間だった
第二幕はシリウスの台詞から始まる]
………よしっ
[一つ深呼吸した後、頬を軽く叩くと
観客席の後ろに回り込み第二幕開幕のブザーを待った]
[カロルやレベッカが、ずいぶんと前の席についているのが遠目に見えた。
オレが自分の事でいっぱいいっぱいになってる間、せめて文化祭を楽しんでいてくれたらいいんだけど]
――第二幕、はじまるな。
[しばらくしてまた幕があがるまで、現場の熱にあてられたように押し黙っていた]
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