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ー朝ー
[朝、目が覚めたら涙の跡が頬を彩っていた。オットーが起きていたなら心配されたろうか、もしかしたら彼はパンの仕込みに出掛けたかもしれない
ふと、寝るときににぎりしめていたハンカチが目にはいる。茶色の斑点がついた、くしゃくしゃのそれが
昨日自分に投げ渡されたハンカチが]
……洗わなきゃ。
兄ちゃん、言ってたもん。洗っておけって
[どこか虚ろを孕んだ瞳で居間に降りれば、にわかに騒がしい]
(ああ、ヴァルターがみつかったのかな?)
[傍目にはぼんやり形見のハンカチを握りしめているように見えたろうか]
(1晩ほの暗い井戸の底か……ざまぁみろ)
[考え事をしていたら、うとうとしてきてしまった。
こん、こん、とオットーさんとヨアヒムさんがいたペーターさんの部屋をノックしてみる。]
・・・起きてください。
[特にヨアヒムさんのことが心配だった。
大丈夫だったのだろうか。]
あ。ヨアヒムさん、おはようございます。
[昨日のことがあったので、ヨアヒムさんのことは心配だった。
大丈夫だったのだろうか、と思いながらもいつも通りに挨拶をする。]
[カタリナは、虚ろに腫れた眼を見て様子を察したようだった。
やはり、相当こたえていたのだろう。
ハンカチにもちらりと目をやるが、特に何も言わない。]
・・・。
[今のヨアヒムさんに、もっとショッキングな出来事を突きつけるのは酷に思えた。
場合によっては、村長を殺しにいってしまいかねない。
そう、カタリナはヨアヒムさんを見て思った。]
……あ、おはよう……
[カタリナから挨拶されれば、どこかぼんやりと返事をする
大切な親友と兄のように慕った人を1日のうちにふたりも失い憔悴しきった顔は彼女にどう映っただろうか]
・・・ヨアヒムさん。
もう少し、休まれたらどうです。
ひどい顔ですよ。
[カタリナはカタリナで人のことを言えなかったけれど。
心配そうに、そんな言葉をかけた。
井戸のことは、気をつかってヨアヒムさんには打ち明けなかった。]
[彼女の考えは知らぬまま、思考は巡る
アルビンは死に際、『本物』の人狼に助けを求めていた
つまり、まだいるのだろうーー人狼は
なら、仇を討つには処刑をまだまだ続ける必要がある
だって、兄ちゃんは言ってたもん。村長は狼に魅入られていたって
仇を。ゲルトの仇をうたなくちゃ
ぼんやり、そんな感じの外面ーー腹の中ではそんなことを考え]
カタリナさんは勘が中途半端に働くタイプです。
100%で当たりはしないけど近いところまではいく。
その100%じゃない部分が取り返しがつかない。
[夢を見る
手足を縛られるアルビン、狂ったように叫ぶ村長
ヨアヒムの、フリーデルの泣き叫ぶ声
斧が振り下ろされる音
そして広がる赤の中 アルビンの 首が こちらを───]
…っ!!
[がばっと飛び起きる
息は荒い。嫌な汗も止まらない
浅い眠りを繰り返して、何度も何度も同じ夢を見て
繰り返される、昨日の悪夢]
…………っ
[なんでこんなことになってしまったのか。わからないわからない何もかも]
……ありがと。
エルナは……泣いてない?
[もう、親しい人はリナとエルナだけになっちゃった、と寂しげに微笑んで
昨日の部屋割りはどうだったっけ
彼女の言葉に甘えて、居間のソファーに座って、ぼんやりすることにした]
[カタリナは、首を振った。わからない、という意味で。
どこかで寝ているのだろう、とは思いつつ。
今日はまだ、エルナさんを見ていなかった。]
・・・ヨアヒムさん。
そう、ですね・・・。
[その寂しげな微笑みに、カタリナも寂しそうに。
隣に座って、ぼんやりとする。
この事件の真相が暴かれた後は、カタリナは旅に出るつもりだった。
もう、この村にはいたくはなかった。
ヨアヒムさんとエルナさんには、幸せになって欲しい。
どこか違う場所で、また羊飼いとしてでも落ち着いたら。
2人に、手紙を出して――。
そんな、遠い話を脳裏に浮かべてぼんやりとする。]
[カタリナは、首を振った。わからない、という意味で。
どこかで寝ているのだろう、とは思いつつ。
今日はまだ、エルナさんを見ていなかった。]
・・・ヨアヒムさん。
そう、ですね・・・。
[その寂しげな微笑みに、カタリナも寂しそうに微笑んで。
隣に座って、ぼんやりとする。眠さも相まって、先ほどの井戸のことがどうでも良く思えてきた。
この事件の真相が暴かれた後は、カタリナは旅に出るつもりだった。
もう、この村にはいたくはなかった。
ヨアヒムさんとエルナさんには、幸せになって欲しい。
どこか違う場所で、また羊飼いとしてでも落ち着いたら。
2人に、手紙を出して――。
そんな、遠い話を脳裏に浮かべているうちに、うとうととしてしまい。
気づけば、寄りかかって寝てしまうだろう。
気を許した人が近くにいて、安堵してしまったのかもしれない。]**
[首を振るのを見れば、小さくそう、と呟いて
彼女の寂しげな微笑みにああ、彼女と自分はおなじだと思った
大切な人を喪ったもの同士
隣に座った彼女、ふと重みを感じれば其処には寄りかかって寝る姿
彼女を起こさぬように体勢そのままぼんやり、居間にある火のついたペチカを眺める
舞う火の粉は、儚く映った]
ちな、そのままそんちょ行方不明でもいいと思う私である。
しかし、それだと人狼騒動を続ける推進力が足りないような?
まだ続けたそうな雰囲気だけど。
― 夢。 ―
[まだ毎日がいつも通りだった頃の夢を見た。
ゲルトさんとヨアヒムさん、エルナさんもくる夢。
どたばたとして楽しかった。
ただそれだけの日々。
何でもないような、幸せだった頃の夢。
もう、あの頃には戻れない。]
[起きても目を瞑ったまま、少しそのままでいた。
もう、この事件も終わりだろう。
そんな気になっていたから。
井戸のことについては、急ぐ必要もない気がした。
村長が戻ってきたら、みんなを集めてからその証拠を突きつければ良い。
その時、眠くて説得力がないではどうしようもないから。
そんなふうに自分に言い訳しつつ。
さっきは眠くて、カタリナは気付いてなかったことがあった。
アルビンさんがヨアヒムさんにとって大事な人であることだ。
そのことをカタリナが知ったのは、いざ処刑の段になってからだった。
それまでは、ただの行商人だと思っていた。
だから、必死になってまで止めようとはしていなかった。
カタリナはあの投票用紙に、アルビンと書いてしまっていた。あんな投票、本当に多数決であったかさえ怪しいと思っている。けれど、そのことが少し――罪悪感があった。
もう、アルビンさんは死んでしまっているのだ。
カタリナの票も、直接手を下したわけではないにしてもそれがヨアヒムさんの大切な人を奪う一因になっていたとしたら。
[はぜるペチカの炎を見ながら考える
人狼が皆のなかにいる。まだいる、と考えるならだれだ?
エルナがゲルトを襲うはずがない。アルビンの処刑を止めようとしたリデルとリナも同様
ならば犯人候補はふたり
クララと、オットー
クララは占い師の情報を隠していた
でも彼女の言い分は一理あったーー村長という『偽物』がでたのだから
なら、オットー?
でも昨日一緒に寝ても襲われなかったしーーそう考えて、はたと思い出す昨日の会話、
確かオットーは現場に刃物が落ちていたと言っていたっけーー]
あれ?
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