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[それでも。
それでも、ハーディとガーディは置いていくことにする。
さっきの様子を見れば、恐らく――。
また、恐がられてしまうだろう。
ハーディでさえも、恐がる人はいるかもしれない。
小型犬といっても、犬は強い。
本能的に恐れてしまう人がいるのは、分かるから。
戻るのに時間がかかる可能性を考えて、この子たちのごはんも用意はしておいたけれど。
さっき食べたばかりなのに、どうしてそうしているのか不思議そうにしていた。泣いてしまったから、余計に心配しそうについてきたがってしまう。]
[愛犬との少しの押し問答があったけれど、結局は指示を聴いてくれた。
ここを、守っていて欲しい。
ちゃんと戻ってくるから、と何度も言い聞かせて。]
・・・。
[そうして、カタリナは村へと急いだ。
何か持っていこうかと考えたが、かえって疑われる気もしたので特に何も持たなかった。]
― 集会場 ―
[広い集会場も村中の人間が集まれば酸素が薄くなったのか僅かに息苦しさ感じる。
人の輪から少し外れた場所で壁に凭れながら村長の話をそっと聞く。容疑者として名前が挙がった面々>>45>>46の顔を脳裡に映して、予想以上に少ないな、と考えた。
しかし、唐突にこんな話を聞いて――おまけに容疑者にされた者の気分はどうだろうか。
特にまだ幼さの残るエルナや、ずっと清廉に神に仕えていたフリーデルは。
この人海の中では彼女たちの表情を窺う事はできなかったけれど。
自身に嫌疑がかかる事は想定済みだった。
毎日この村の中で助け合いながら暮らしている村人たちに比べれば、自分の信頼が無いことくらい当然だろう。
それにしても。
自分をも容疑者に組み込んで多数決で処刑とは、やはりこの人は良い村長さんだ]
[仕事に忙しく朝餉の余裕がなかった人たちに売ったり味見したりしたパンの残りを抱え直す。
カボチャ餡を包んだのは好評だった。川魚をアレしたアレは微妙だったけど。フィッシュパイは美味しいんだから、自分の発想が悪かったんだろう。要検証だ。
叫び声>>13を聞きつけた男衆が出ていってしばらく、普段の朝の慌ただしさとは違ったざわめきが辺りに広がり始める。まさか、何か被害が出たのか。今日には柵の修繕だって行われたのに。
羊の心配はないだろうが、さて。何があったのか。
眉を寄せつつ、いくらか酔いがマシになってきたから急いでチーズと野菜を挟んだパンをかじった。
誰かと肉と交換してもらって挟んでも良かったな、なんて思いながら。食べなければ、働けない。
アルビン伝いに聞いた通り集会所へ集まる列に加わろうと、最後の穏やかな食事を飲み下した]
──朝・仕立屋──
[鐘の音が、遠くに聞こえる]
んー………うー………?
[もそもそと顔を上げる。ここはどこだろう?
見回してみると見慣れた仕事場。…えーっと…なんでこんなところにいるんだっけ、と考えながらしばらくぼーっとしていた
ようやく頭の曇りが晴れてきて昨日のことを思い出した
あれから仕事の終わったおじいちゃんが「集会所に行こう」と言ったが、エルナはもう少しだからーとここに残ったのだった。心配そうなおじいちゃんと「ちゃんと集会所に来るように」と約束して
おじいちゃんが誘いにきた人と行ってしまうのを見送って、エプロン作りを再開した
……どうやらそのまま寝てしまったらしい。変な格好で寝たから首が痛い]
うー…………
[ぐーっと伸びをしてからはっ、と気づく
慌ててエプロンを見ると、昨日の白いまま。どうやらヨダレとかはついていなかったらしい]
[村の様子が、おかしい。もう昼をすぎたというのに、いつも通りの姿はそこにはなかった。]
・・・。
[誰もいないわけでは、無いけれど――。
昨晩、集会場へと集まっていたという話がよぎる。
それが本当なら、もしかしたら。]
・・・。
[そう思って集会場へと足を向ければ、やはり、あの場所に村人が集まっていることが分かる。]
えへへ…良かったあ…
[ほっとして、エプロンを抱きしめる
シンプルな形の白いエプロン。左胸には大きめの黄色いお日様
だいたい形はできているし、あとは刺繍とか細かい作業をすれば完成だ
おじいちゃんとおばあちゃんはまだ戻ってないのかな?と思いつつ、朝ご飯もさておいて作業の続きに取りかかった**]
[静かだった村がだんだんと騒がしさを取り戻していくのが、薄い壁越しにも伝わってくる。ただしそれは普段のような明るい物ではなく、どこか仄暗さを含んだもので]
そろそろ、見つかったかな。
[壁の材質故かこの部屋に教会の鐘は聞こえない。だけど、室温からおおよその時間は想像できる。いつまで経っても村に表れないゲルトに痺れを切らせてヨアヒムが彼の家を訪れるには十分な時間だ]
[時間の経過と共に幾分か落ち着いた頭が、何時迄もここに居るわけにはいかないということを伝えてくる。昨日村長には処刑の必要性を伝えてあるから、今日からでもそれは実行されるだろう。生き残るために、疑惑の種は少しでも減らすべきだ]
―集会所―
ゲルトさんが……!?
そんな、そんなの。そんなわけが…。
[ゲルトの両親へ集まる視線>>44に混じりながら、息を飲む。
信じられない。それも、病気や事故ではなく――殺人。おまけに、訳の分からない化け物つき]
人狼に、だって……?
夜盗か何かの間違いじゃないんですか。
そんな、だって。子どもを危険から遠ざけるおとぎ話みたいなモノじゃないか。
[森や山は恵みの源でもあるけれど、危ないから。
悪い人に騙されないように、気をつけないといけないから。
幼い頃には怯えたそれが、形を持って襲ってきただなんて。
ヨアヒムと悪友コンビの名をはせた明るい彼が、誰かから怨みを買っていたとは思えない。
だけど、どうしようもなく信じがたかった]
[そして挙げられる容疑者たち。
最後に名を連ねられ、びくりと身体を固くした。母の小さな悲鳴、父の動揺。ただただ頭を振った]
人、狼。処刑……。
は…はは……――そんな、馬鹿な。
[容疑者。処刑。そんな言葉、村に似つかわしくないじゃないか。
だって喧嘩や盗難の話じゃない。不可思議なナニカのせいで人が死んで、ナニカと誰かが入れ替わってるなんて!
笑い飛ばそうにも、村長、アルビンを始めとした現場を見た男たちの反応を見ればそれも出来ずに口をつぐむ。
自分に集まる視線。今、脅えたように腹を押さえたのは今朝パンを買った近所の。
吐き気を飲みこんで、これが夢じゃないのを受け入れるのが精いっぱいだった]
― 教会 ―
[誰がいようと気づかないくらい、夢中で走ってきた。
そして。
無残な遺体が、そこにはあった。
これが作り物ではないことくらい、わかった。
信じたくなくても、嫌でも思い知らされる死の臭い。
どうにもならない。
どうしようもないくらい、死んでいた。
ゲルトさんが。冗談じゃないくらい、死んでいた。
昨日、なんて事もないように――ごく普通に、帰っていったゲルトさんが。
気づけば、また、涙を流していた。
今度は、あの子たちは傍にはいなかった。]**
[無意識に同じく容疑者とされた面々を目で追うが、ざわつく人ごみの為に捉えきれない。かろうじて、飛び出したカタリナの後ろ姿を見送った。自分は身じろぎすら出来ずに。
修道女が鳴らす鐘が時を告げる穏やかな村。
行商人や旅人の出入りが大きな話題になるくらいだ。
困り事は村長のもとへ。知恵がいるなら神父か司書へ。
二匹の犬とともに羊の世話をする羊飼い。
牧草地や畑。山や川や森。田舎らしい泥臭くものどかな風景が広がって。
そこを悪友コンビが、時に無邪気な仕立て屋見習いを連れて飛んで周ったり。
いつも通りが続いていって、緩やかに移り変わっていく。
日常とはそういうモノではなかったか。
特別な功績もなければ、技術もない。
誰かと特別に仲が悪くも、良くもない。自分は凡人だ。
それでも。名前は遺らずとも、誰もが舌鼓打つような商品を作り出して永く日常の中に溶け込む事が出来たならと、ずっと思っていた。のに]
/*
続き書いて後でか、改変して処刑時に。
しまった。
自分で書いておいて忘れてたけど、プロローグの2発言目で人狼についての噂聴いてた!
何も知らなかったは言い過ぎましたね。
[少し汚れてしまっている服を、全く同じデザインの汚れていないものに着替える。昨晩私は寝ていたのだから、汚れなどがついていてはいけない]
[昨日の昼にドライフルーツを口にして以来、何も食べていないことに気付く。特に空腹感を覚えているわけではないが、いつ食べられなくなるか分からない。干し肉一欠けらを水で流し込む]
[鞄の中には、水筒と保存食の残りを入れる。形見の本は少し迷ったが、もしかしたら不在中に部屋が荒らされるかもしれないから念のために入れておく。処刑についての本を一冊、表紙が外から見えないように入れ、最後に鞄の底にダガーナイフを潜ませる。万一見つかっても護身用と言い張るつもりだが、見つからないにこしたことはない]
[そこまで準備をしていざ扉を開くと、足元に"集会所に来るように"とのメモが落ちていた。昨晩扉を開いた時に落ち、暗さのせいで見逃していたものがまだ残っていたようだ]
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