(仮称) リリアーヌは、皇子 柳「…まぁ、仰る通りですけども。」[回された腕の中で身じろぎしようとして、そして諦めて。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[いまだ喉元に残る接触の名残を拭い去ろうとでもするように、寄せた身体を擦り寄せた。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[離れない腕の中は、落ち着かないようで妙な安心感も伝えながら、そしてそれが、酷く居心地が悪い。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[嫌に熱く感じたのは、彼の体温か、それとも自分のものか、もしくはどちらもか。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[理解りはしなかったけれど、肩を押して距離を取られれば、ほう、と詰まった息を吐き出す。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[離れ際、背に回して握り込んだ衣服を離す時、突然のことに薄く引っ掻くように爪を立てながら。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳「――え？…ああ、えーと。勉強だった…かと。」[問いにははっと、気を取り直したように。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[不穏な単語が飛び交っていた中、"当たり"と思われるそれは、けれど面倒なことには変わりない。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳「…どこでも。」[僅かに熱の残る自分の肩を抱きながら、聞こえた問いに頷いて。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[その肩が無意識のうちに震えていたかもしれない事に気付けば、それが気遣いだと気付いて俯く。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[彼の望む侭に、ではないけれど。今更どこへなりとも着いていくと、半ば自棄になって返しながら。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[彼が歩き出したなら一歩後に続きつつ、気遣いの他に覗いた声色に眉を寄せて、首を傾げる。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳[まるで鉄面皮のようなその表情が、感情が。僅かに揺らぐならば気になると。]

(仮称) リリアーヌは、皇子 柳「先輩の課題は。」[以前振り払った腕に戯れめいて手を添えてみながら、ひとまず会話の糸口を。*]