情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
[温かい手が艶やかな髪を滑る。優しい声が音に乗せて物語を紡いでいく。
それは流れゆく水の如く
リズムは崩れること無く、唄は止むこと無く。その心地に、心は溶かされていく─
風が舞い、大地の力満つる時
目を閉じたまま、その響きにだけ身を委ね。それはただ幸せな時間。
ねぇ、カルヒ。これは──
呼び掛けられて、そっと目を開けようと──]
…竜の物語………
[目を開ければそこには見慣れない天井。冷たく硬いベッドにその身を横たえたまま、頬を濡らすものの正体を今暫く捉えられずに居た。]
(あぁ……ここは……)
[途中で立ち寄った教会。と小さく口にすれば、先ほどの心地良さが一気に抜け出る感覚がして、身体がずんと重くなる。故郷の村を出てからもうかなりの日数を経て尚目的地は遠かった。いや、目的地、なんてハッキリとしたものは無く、ただ新しい情報を求めて山脈を──巨竜を目指しているに過ぎないのかもしれない。]**
『──故郷が無くなった』
[その知らせとその理由を耳にしたのは、村の護符としての「徴」を受け取りに近くの街の教会へ寄って居た時であった。
この国に一体化しているとも言える巨竜が生きているというのは周知の事実であったが、自らが生きているうちに蠢く瞬間に、それも自らの故郷を破壊する瞬間に立ち会うとは誰も思いもしないだろう。村に戻れば、道があった場所には山裾が迫り来、家々があった辺りは更地に、村外れにあった教会だけが辛うじてその形を保って居た。呆気ないものである。
何も無くなった村。
無くなっただけではなく、村は一部を山──巨竜──と化したのである。
しかし、何代にも渡りこの土地を護り続けて来た者たちは此処を離れることを拒絶した。失われた命もあったが、この小さな村の中で、此処以外で生きていくことは誰にも考えられないことであったのだ。]
そうは言っても、どうしようもないでしょう……?
[この、所謂、山をどうすれば良いのか。溜息と共に漏れ出る本音は誰の耳に届いてもならないものである。何とかする、と啖呵を切って出て来たものの、目的地に近づく程に自身の力ではどうしようもないものに向かっていることに気付かされてゆく。母であれば、どうにか出来ただろうか。夢で聞いた声の主を想えば、考えても仕方のない方向へと思考が進む。まだ外は薄暗い。]
(日が登ればすぐにここを出よう。)
[巨竜から村を再生させる手立を探す為にも先へと進まねば。そう胸の内に呟けば、大きく身体を伸ばした─]
―巨竜の麓―
[木陰で休んでいた男が立ち上がり顔を向けて来た。
深い緑色の布と衣を身に纏い動作は風を思わせた。]
私は付き添いです。
[フードの暗闇の中で深い色を湛えた眸が、ナジの傍を離れ喧騒の中へと分け入った英雄を示す。ナジの声質は中性的で、声からは性別を判断出来ないだろう。
ナジは視線を再び男へと向けると、]
随分と長い間、議論がなされているのですか?
……どう とは、何に対してでしょう。
[挑戦的な響きを持つ問いにナジは、言葉を重ねる。]
──回想──
[中央王国の外れに位置する小さな集落、そこがカルヒの故郷であった。村の外れには古びているが手入れの行届いた小さな教会があり、村の皆の心の拠り所であった。その教会は何故か代々女司祭によって護られ、継がれている。その何代目かにアマーリエ=カルヒの名前が刻まれたのはもう15年も前、前司祭である母を亡くした時であり、カルヒが7つの頃の話である。
司祭の血筋は「声」に恵まれるとされる。その中でもカルヒの母はその中でも優秀とされていた。その母はその「歌」の力に目をつけられ国の争いに駒として駆り出された挙句命を落とした。その跡を継いだ7歳のカルヒには村の期待は大きすぎるものであったが、母のように出来ない悔しさは彼女の内側を黒く塗り潰してゆくに充分であった。それでも必死に村を護ってきたことに変わりはない。]
[母の存在は憧れであり、コンプレックス。
追いかけても追いつかない、もう届かない愛おしい人──
そんなことにはとっくに気がついている。
苦いものが胸の中に広がる──
母の「歌」ならば、村は無くなることはなかったのてわはないか──
なんて。]
──数日前・とある街──
はぁ……
これを動かそうとする者たちが……
[何も無くなった故郷を出てすぐに耳にした噂である。何でも王国の中心に位置する神殿でそのような決定がなされ、力のある者たちが集まるらしい。ただ、単純かつ突拍子もない発想に、随分と間抜けな声を落としたことだろう。ただ、他に何の手掛かりもない。そこを目的地として大方間違いは無いだろう。そこに人が集まるのであれば、近付くにつれ情報は質も量も増すであろうから。]
『司祭様も向かうのかえ?そんな細腕じゃあ役にも立つのかね?ほれ、あの潰された村に昔居た司祭様くれぇ、歌が歌えれば話ば別だろうがなぁ』
[相手に悪意が無いのは分かっている。思わず苦笑いを落とした]
あはは、そうですね。
ただ、ジッともしていられないので、行ってみます。ありがとう。
[お礼を告げ、相手に背を向ければ、唇を真一文字に結ぶ。その瞳を無機質に染めて]
──夜明け後・→目的地──
[それからどれくらいの日数を経ただろうか。目的地自体まではまだ距離があるものの、山間に人の姿をちらほらと確認できる>>13。]
あそ…こ……?
[暑さも手伝い、息が上がる。通りかかる人たちの話によれば、潰された村や街は自分の村だけでは無かったようだ。
眼の前に広がるその大きな自然の壁──に見えるもの──が生き物であるとは到底信じられない。そんな雄大さでそこに横たわる巨竜には威厳すら感じられた。]
とりあえず、そこはどいて頂かないと。
[小さな声で、しかし語り掛けるように言葉を落とす。そうして、また目的地を目指し、歩みを進めた。]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新