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分かってたなら実践しないと。
『手加減はしない』んだろ?
[あと一手あるかと思っていたが、存外に跳躍が虚をつく効果は高かったらしい。
こちらに追随してきた細剣の横腹にハサミを入れて、それで終いだ]
ああ、ミルファ。
アンタの竜器で御前試合に出たいって行ったら、果し合いになってね。
結果はご覧のとおりさ。
[ハサミは今だ手の中にあり、メリッサの手にした細剣は折れている。勝敗は一目見れば分かるだろう]
アンタの竜器、貸してもらえるかい?**
…………。
[ うちはジミーの言葉に思わず動きが止まるように考え込みます。
確かにあの影打ちの刀子はもう一振り残っているのです。
だから貸し出す事自体はそう無理がある訳ではないけれど。
ただ、当然ながら同名義による御前試合のダブルエントリーは認められていないし――
元より、残り時間的に2人分手掛けるのはうちにはそもそも不可能だ。
いや、手掛ける事自体は出来ようがその時に打ちあがるのは間違いなく竜器とは言えよう筈も無い出来のガラクタだ。
そんな事をしたならおじいと店の名前どころか自分自身の心すら裏切ってしまうだろうし、ロンディーネに一番キツいのを貰った挙句愛想尽かしされる結末まで容易に見て取れるから、そんな事をするなら両方断って出ない方が千倍も万倍も良いのだろう。
けれど
けれど――。 ]
[ 彼も、うちの『一人若しかしたら』を聞いてもうちに声を掛けたのだ。
それを端から切り捨てるのも心苦しくはあるし、断ってエステルさんの評価が芳しくなかったらその時点で試合終了である、御前試合は諦める他無くなってしまうからそれはそれで頂けない。
その後運よく3人目というのも多分無い、そもそも2人目でちょっと奇跡入ってる気がするし。
あ、2人に駄目だと言われたらその時点で諦めます、はい。
だからうちは迷う、迷う、迷う。
迷いまいまいに迷った所でロンディーネに叩かれる所までがお約束だけれど、そこでゆっくりと口を開く。 ]
うちはさっき言ったとおり、殆どの方に断られてしまう程度の実績しか無いです。
本当にそれで、それで良いのなら。
……お試し、お願いします。
[ それから裏に回って、先ほどと同じく木のケースに入った刀子を手にして戻る。
ほぼ双子のような出来である影打ちの刀子、柄に布を巻いただけと言うのも変わりは無い。
それをケースごと、彼に差し出します。
御前試合に出る為の最後の関門。
うちはどちらか一方を、選ばなくてはいけない。 ]
それでは、どうぞ。
[ 柔らかく、微笑んで見せて** ]
[ぶどうりんごの水飴を噛み砕く。
中に閉じ込められた果実は瑞々しく、じゃりじゃりシャキシャキとした食感が楽しい。
二人が育った場所ではぶどうりんご自体が珍しかったので、水飴に加工したお菓子を行商人が持ってこない限り、そうそうお目にかかれなかったものだ。
>>11彼の相棒竜もお気に召したのか、つまみ食いをしている光景がほほえましい。
ふと街中に、何かからくり仕掛けのような音と、御前試合の触れ込みが流れてくる。>>2]
小さい頃は、こーやって聞こえてくる音が不思議で仕方なかったなあ。
樹海の奥で竜が唸ってたりしてさ。
その正体を確かめに行ったら、邪竜退治に来てた戦士に
『こらー!子どもがこんなとこ来るんじゃねえーっ!!』
って怒られたりしたっけ。
[からくり音の出所を探すかのように、一歩二歩踏み出して、きょろりと当たりを見回す。]
[昔を振り返れば、戦士になろうとおもったきっかけは、樹海で怒られたことだったかもしれない。
あれさえなければ「戦士」という選択肢を知ることは無かったように思うから。
男は子どもの頃から力だけは人並み以上だったが、それが何の役に立つのだろうかと悩んでいた。
魔力が低くとも竜器さえあれば何かしらの役に立つことが出来るのであればこそ、戦士を生業にしようと思ったのだ。
力がありすぎて、使う竜器がことごとく壊れてしまうのは問題だったが……]
よおおっしゃああああ!!
ギャランとスズメちゃんの作った竜器を竜王さまに見てもらって、褒めてもらうんだああああ!!!
気合いいれていくぜええええええ!!!
[今は相棒の作った竜器がある。男にしか使いこなせない、自慢の竜器が**]
廃墟の鍛冶師 リーマン・ワーカホリック は、なんとなく 剣士 アサド・アル=サイフラ を能力(求婚)の対象に選んでみた。
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はぁー…(ため息)
アタシって感じ悪い…
…っと、凹んだことだけ書き残しても仕方ないから、反省点を挙げておこう。
まずは、アサドの“竜殺し”設定について。
これは完全にアタシの落ち度だった。
まさか竜を殺しにかかるヒトがいるとは思ってなかったんで失念してたんだけど、村建て人としては『竜は生死を超越した存在』として書いてたつもりだったんだよね。
それっていうのも、『竜は強大な存在である』ってのを示すと同時に、『戦士の仕事は竜の浄化と、人々の守護』って位置づけにしたかったから。
引いては、竜王御前試合に、『殺し、殺されることを生業とする人間の後ろ暗さ』を持ち込んでほしくなかったためでもある。
この辺が、アタシ自身でも意識してなかった過敏な反応の原因かな。
これをきちんと自覚して、村の趣旨として明記するべきだった。
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あとはまぁ、これはアサドに考えてほしいことでもあるんだけど、『竜を殺すことができる』っていう事実が、『戦士と鍛冶師は竜と契約を結んで、竜を浄化する存在である』っていう設定自体を破綻させるファクターになりえるってこと。
『戦士』や『邪竜退治』、『竜王御前試合』の意義自体に関わるって言ってもいい。
ちょっと回りくどいかなぁ…
まぁ要するに、『戦士と鍛冶師の腕前を競う大会』に、『戦士や大会の存在意義を揺るがす要素』を持ち込むのは勘弁してほしい。
村の根幹設定の崩壊を招きえる卓袱台返しの可能性は、あんまり持ち込んでほしくなかったかな…ってとこかね。
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この辺踏まえて、プロローグのメモで知らせた『限られた範囲内における感性としての“竜殺し”なら問題なし』ってのは、『竜に攻撃して浄化することを、“殺し”と認識する感性を、一部の人間が持っている分には問題なし』って意味で、『竜の王国に住む人間が、アサドの行為を見て“竜殺し”と認識する』のは、まずい、ってことになる。
それは、『一部の人間が、竜の浄化を見て“竜殺し”と認識する』んじゃなくて、『普遍的な事実として、“竜殺し”が可能である』っていうことに繋がるからね。
『自然エネルギーの容れ物である器を破壊する』ってのも、言っちゃったし。
この辺は、『竜は殺せない』って明言しなかったアタシの責任でもある。
でも、波及範囲の広い設定については慎重に扱ってほしいっていうのは言わせてもらってもいいかな、とも思うよ。
ってとこで。アタシの落ち度でもあるし、すでに白ログに確定されたことでもあるから進行中に口出しをすることはないけど、村建て人の立場として言わせてもらいたいこともあったってのを、ここに書き残しておこう。
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次ー、メリッサとの勝負について。
んー…この辺は、『武器(竜器)の相性』かなぁ…
ハサミと細剣だとどうしても細かい動きの応酬になるし、アタシのステータスも特化型じゃなくてバランス型だから、『目を見張るような一撃で、素早く勝負を決める』って戦い方はできないんだよね。
NPC相手なんだから、相手が弱いことにしてさっさと勝負を決める…って選択肢もなくはないけど、下手に『技巧』や『速力』を印象付けて、ステータス詐欺の俺TUEEEはしたくなかったってのが本音。
ただまぁ、結果として勝負を長引かせまくってメリッサ/ミルファに迷惑かけたのは紛れもない事実だから、この辺は反省しなくちゃね…。
― 回想 ―
[エステルの村には、『戦士』がいなかった]
[豊かな森の奥深く、竜の加護を受けた隠れ里。
人の出入りを頑なに拒むその場所は、外の世界では「禁域」とも呼ばれていた]
[里の人々は、竜を永遠の存在だと信じていた。
竜を邪竜へ変ずるのは、人の悪しき心と行い。
ならば邪な心持つ者を、竜に近付けさえしなければ、この地の竜が災いを生み出すことはないだろうと]
[エステルもまた、その教えを受け、禁域の森から出ることなく育った。
竜の力を受けた道具はたくさんあったけれど、それを手にして竜と戦うだなんて、考えたこともなかった。
――そう、彼と出会うまでは]
― 現在/『ブルースチール』 ―
ソレックス殿。おるかえ?
[こん、こん。
鍛冶屋『ブルースチール』の扉を叩き、主の名を呼ぶ。
片手には先程借りた刀子。
もう片方の手にはお土産に、弾け穀物の入ったカップを持っていた]
― ホテルのロビー ―
[サイフラに双剣を渡した後、リーマンはホテルのロビーで部下の男と話をしていた]
さすがは祭りのメインイベントだな。
結構な有名どころが御前試合に参加するようだ。
[部下から受け取った紙を眺めながら「ふーむ」と唸る。
リーマンが眺めている紙は、大会主催側に裏から手を回して手に入れた、御前試合の有力な参加者の名簿だ。
前回の成績優秀者や、大小色々な大会で名を上げた強者の名前が連なっている]
猛虎の戦士バースに海の大魔神ササキ。
この辺りは勝ち上がってくるだろうな。
「竜巻の異名を持つ鍛冶師、ノモ。この辺りも手強いかと」
[やはり最大の竜器の試しあいだ。層が他の大会よりも圧倒的に厚い。
リーマンはしばし思案するようにしてから、部下の男に何とはなしに言う]
しかしだ。こう言う有力な者も何がしかの事故で御前試合に参加出来なくなることもある。
例えば竜器を紛失してしまったりだ。
「なるほど。例えばこの祭りの最中にチンピラに絡まれて、怪我を負わされたり、とかですね」
ああ、そうだ。そう言うことは結構あるものだ。
「そうですね。珍しいことではないですね」
我々も気をつけねばな。
「はい……。では私は失礼いたします」
ああ、お前も祭りの最中にチンピラなどに絡まれないようにな。
くれぐれも気をつけて、な。
[リーマンは部下の男にそう声をかけて、その背中を見送った]
─ 祭り・夜 ─
「んだぁこのぉ田舎っぺはよぉあぁ?」
「兄貴の肩にぶつかっといて挨拶もなしかあぁ?」
「ぶっ殺しちまうぞおめぇよぉあぉ?」
[……絡まれていた]
―鍛冶屋『ブルースチール』−
・・・実績で判断する人間が、『本に載ってた変わった短剣』とか使うと思う?
[冗談めかして苦笑して、言った後であまり誇れることではないと気が付いて。
…けれど実際、実績よりも手に馴染むか、扱いやすいかどうかが大事だと個人的には思うのだ。。
実績があっても、長物の実績じゃ区分が違いすぎて安心できないし。]
…うん。扱えない長さじゃない、か…
[ケースから出し、布の巻かれた部分を握ってまずは小さく息を吐く。
…長剣だったら試す以前に持つ段階で苦労しただろうが、
この長さなら慣れている…
そっと刀身に左手を添え、軽く力を送り込もうとして…]
…あ。
えと、すいません。その子、何処の生まれなんでしょうか。
[…冷静に考えてみれば、鍛冶師の相棒龍の生まれが違えば使いやすい魔法も変わる訳で。
その辺を考えずに魔法を使おうとしても、自分の力量では無理だろう。]
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