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短剣使い ジミー は ただの人 になれるよう、天に祈った。
―王都、大通り―
景気が良いねぇ。
流石お祭り、ってとこかな?
[大道芸人たちの芸を眺めながら、
ポケットに手を入れて青年は歩く。
偶に面白いと思った所では、
小銭を数枚缶へと投げ込んで…]
…鍛冶師探した方が良いんだろうけど…
俺の武器鍛えてくれるような相手居るのかねぇ。
[王都に来る前に馴染の鍛冶師に鍛えてもらった武器はあるが、
流石に消耗せず使い続けられるわけも無し。
正統派の剣も覚えるべきだったかと、小さく溜息を吐きだした。]
[人の肩にぶつかっては謝りながら、
わたしはメリッサの後を追う]
[そのわたしの後を、
わたしの相棒竜であるピンク色のサンショウウオが更に追ってきているはずだ。
……ちゃんと確認している余裕はないけれど]
[背中だけでも目立つ。きれいな髪。きれいなウロコ。きれいな背びれ。
メリッサは蜥蜴人<リザードウーマン>だ]
[対して、相棒のわたしは、狐人。
それも金尾狐<フォックス>じゃない。穴掘耳狐<フェネック>だ。
不格好なほど大きな耳。地味な砂色の尻尾。
全然きれいじゃない]
[それにしても、本当にすごい人だ。
御前試合は、国をあげてのお祭りだ。
メリッサとわたしの住んでいる湖の町にも、その噂は伝わって来ていたけど、
まさかここまでとは想像もしていなかった]
[見渡す限りの人、人、人……。
竜の国に、こんなにたくさんの人が居たなんて!]
ねえメリッサ……。
このまま、宿屋が見つからなかったらどうしよう……。
[背中の荷物がもうひとつ重くなったような気がした]**
巨力の戦士 サイラス がきたらしいよ(6人目……だったかなあ?)。
巨力の戦士 サイラス は ただの人 になれるよう、天に祈った。
劫火の鍛冶師 ギャラン がきたらしいよ(7人目……だったかなあ?)。
劫火の鍛冶師 ギャラン は 求婚者 になれるよう、天に祈った。
―竜王祭り―
[赤い髪の大男は怒っていた。
屋台にひしめき並んでいる、美味そうな食べ物を買おうと財布を取り出した瞬間、変に痩せた男にあっというまに財布を持っていかれてしまったからだ。
一瞬頭が真っ白になり、隣に居た相棒と目を合わせてからもう一度手元に目を落とし、痩せた男が逃げていく方向へと顔を挙げた]
……ぉお〜〜〜!!れぇ〜〜〜!!のぉ〜〜〜!!!
[唸るように絞り出した声は、大男の巨体に見合った声量へと。つまりうるさい。]
待てええええええええええええええ!!!
[大男は走った。その一歩一歩で小さな地響きを生み出しつつ、肩を組んでいちゃいちゃしながら歩くカップルをはじき飛ばしつつ。
スられた財布を取り戻すべく**]
─ 数か月前 ─
[森に入ってから太陽が2度沈みそして3つ目の太陽が昇り漸く目標の竜を見つけた。
地竜に分類されるであろうそれは翼を持たず4本の足で大地を駆ける。体長はおよそ3〜4mといった具合でさして大きな竜ではない。
だが人の手には余る。
鋭い爪は容易に人の肉を裂き、その牙は簡単に骨を噛み砕く。
そんな危険な存在を狩る者がいる。
竜器と呼ばれる特別な力を以て鍛えられた武器を手に邪竜を狩る者たち。
アサドはその一人であった。]
[湿った土を踏みつけて木々の合間を跳ねるように走り抜ける。
背後から追ってくるのを感じながら邪竜の身体能力を計る。]
突進力はありそうだが器用なタイプじゃないな。
[背後で木がへし折られる音を聴く]
いかにも堅そうだ……なら。
[それはアサドの体躯と変らぬほどの長い曲刀。
逃げる足を止め竜へと向き直ると背中に背負った刀を手にして構える。]
よし始めよう。
[突きこんだ刃が竜の鱗に弾かれて横へと滑り流れる。
崩れた態勢に間をおかず竜の爪が振るわれたがアサドは流れた勢いのまま地を転がりそれを避けた。
土がアサドの服を汚す。
立ち上がったアサドは舌打ちを一つすると再び刀を構える。]
面倒だなぁ。
[うんざりした表情を浮かべながら呪を一つ口にしてその手にした刀に魔力を通す。
その瞬間、竜器たる刀の刀身が青白く輝き放つ。]
[勝負は次の一撃であっけなく決まった。
迫る竜の咢をひらりと交わすとアサドの振るった刀はその鱗を易々と切り裂いた。先ほどはあっさりと弾かれたというのに、今度ははまるで果実をナイフで切り分けるように。
いや正しく言うならば竜の鱗を切り裂いたのは刀そのものではなくではなく纏った青白い光の刃であった。
以下に堅牢な竜の装甲であってもこの魔法の刃の前では紙も同然。
これがアサドの必殺の手、"竜殺しの一族"アル=サイフラに伝わる秘奥『魔刃斬り』であった。]
[いつの間にか空が曇り今にも雨が落ちてきそうな空模様へと変っていた。
足元に横たわる竜の頭を踏みつけながら空を見上げてポツリと漏らす]
あーハラへったなー。
[食料も持たず森に分け入ったせいでアサドの空腹具合は如何ともしがたく。
その折、木々の向う側で地面に落ちた枝を踏み折る音が耳へと届く。伝わる気配は……竜のそれではない。
邪竜の出る森に一人、そんな者が真っ当なはずもないのだが、同業者だろうか?よほど腕に自信があるのだろうか?
だが一体どのような者かアサドはそれすらも確かめずその姿を目にするなり男へと声を掛ける]
お前─────食い物持ってるか?
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