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―おかんと別れる前の話>>121―
流石は御前試合の開催地だけある!
訓練施設に鍛冶場まで揃えられてあるとは…まさに感動!!
重ねて御礼申し上げます、そちらにも足を運んで
他参加者の力量がどのようなものなのか、少々見学させて
頂こうと思います。
[グレダの指し示す方向を、相棒と相棒竜二人と一匹とで
首を動かして見遣る。なるほど、参加者が立ち寄るだけあって
少々人の集まりも多く見える。
男と同じ考えの者がそれだけ居るという事か。]
……むっ?
[後に。
頭を下げてグレダを見送る際、>>104彼女の言い残した言葉に
何かが引っ掛かるような感触があった。
具体的に何がどう、という訳ではないのだが
一般人が使う挨拶ではないだろうとは察する事が出来て
彼女の後姿に何かを見たのだ。]
―――…グレダ殿、もしや。
[まぁ、母親というものは大体にして家庭を守る戦士とは
男もよく聞かされて育ったものだ。
今のもそんなもんだろうと、ワケの解らない解釈で以って
その辺りで思考を中断させた。]
[ソレックスに借りた刀子を手に街の出入り口に向かうと、門番に呼び止められた]
何の用事って、鍛冶師の武器の試し斬りをだな。
[事情を説明すると、門番は街の一角を指差し、訓練施設があることを教えてくれた]
なんと、そのような場所があるのか。
……確かに、強敵に絡まれて受付に遅れるのも詰まらぬことであるからのう。
[門番の助言に、うむ、と頷いて]
では、今回は訓練施設を借りるとしよう。
何、怖気づいた訳ではないぞ。
後のお楽しみということよ。
[ひらひら手を振りつつその場を後にして、教えられた訓練施設の方へ]
−『煙る水かき』亭の前の道−
………。
[リーマンは、宿屋の前の道を行ったり来たりしていた。
相棒竜のミコは黙って、それについて歩いている]
………。
[入口から賑やかな話し声が聞こえてくる。
客の相手でもしているのだろうか]
(今入っていっては、商売の邪魔をしてしまうかもしれないな)
―現在・受付会場―
たのもう!!戦士、サイラス・ノーブラインと
鍛冶師、ギャラン・パシオンの登録を願いたい!!
……何、どちらも戦士ではないのか、と。
そちらの目は節穴か、これを見ろこれを。これで俺は相棒竜と
共に在る鍛冶師である事は明白だろう。
[初っ端から揉めていた。
戦士と鍛冶師の登録を行おうとした所、あまりの声の大きさに
どちらも戦士であると間違えられた為だ。
証拠に鞄から相棒竜のスズメを呼び出して見せて、ようやく
理解してもらえ、スズメは柔らかな羽毛をはためかせて
再び鞄へ戻る。]
[尚、相棒はどうしていたかというと。
ウボルサ豚の串焼き・甘辛ソース味をてんこ盛りにして
横で食べていた。]
――はい、リーマンの店であってません。
あとそちらに並べているのは包丁等なので、竜器ではありません。
それともう一つ、喫茶店は一つ通りを間違ってます、待ち合わせならそちらの方が――。
[ エステルと殆ど入れ替わりに訪れて来たのはオールバックの男性でした、背中に長い剣を背負っているのでこの人もすぐ戦士なのであると分かるのですが口を開くや否や。
……なんでしょう、店違い?迷子?
もしかしてもしかしなくてもお祭りでこの人出なので表の看板、壊れたり外れたりしたのでしょうか?
それでも少なくともうちが、ただ待ち合わせに使われるのは何かが違う気がするんですが。 ]
(今回は出直そうか)
[そう自分に言い訳を着けようとするが、しかしここまで来て彼女に会わないのでは、それは非効率の極みだ。
リーマンの行動原理に反する、ような気がする]
………。
[結局、どちらにも踏ん切りをつけぬまま。リーマンは五度目の道の往復を始める]
会わずにどっか行くのも今後の展開的に有りっちゃ有りだな。
誰とも絡まずに、色んな奴とニアミスし続けてみるかな。
−『煙る水かき』亭−
ああ、ウチの子がそう言ったのかい?
だったらすまなかったね。
よっく言って聞かせとくから。
[怒り出す蜥蜴人の言葉にも動じることなく詫びて、おそらくはどっかその辺にいるだろうカティにも聞こえるように声を張る。
果たして、厨房のほうからガチャガチャと不穏な物音が。
ため息のひとつもつきたくなったが、今は客の前だ。我慢しておこう]
おや、本当かい?
なんとかできそうなら助かるけどね。
案内…は必要なさそうだね。
[返事を待つより先に、アルゴルは歩き出している。
水場の気配を辿っているのだとしたら、それに準じる竜なのだろうかと様子を見ながら、後に続いた]
−風呂場−
ああ、やっぱり難しそうかね?
[きっぱりと言い切ったピンクの竜の言葉>>128に、やはりそうか、と頷いた。
小川から直接水を引いている都合上、流水が途切れない構造になっているのが一番の難関だった。
仮の補修をしようにも流水が妨げになるし、常に一定の水量を汲み上げるように調整された、複雑なカラクリが仕込まれた水車を止めるには、専門の職人の手が要る。
しかし、生憎と職人連中は祭りの喧騒に飲まれて引っ張り凧だ。
祭りが終わるまでは補修も無理だろうと諦めていたのには、そういった事情によるところも大きい。
けれど]
…温泉?
[竜の相棒である鍛冶師は確かにそう言った>>128。
ふむ、と、少し考える]
ああ、そんな乱暴に扱うもんじゃないよ。
鍛冶師なら自分の相棒は大事にしてやんな。
[ひとまずはと、がくがくと揺さぶる手に制止をかける。
にこにこと常に笑ったように見える竜の顔は生まれついてのもののようだし、揺さぶられて気分がいいってこともないのじゃないか、と想像する]
温泉って聞こえたけど、その子は温泉の子かい?
だったら何とかできるかもしれない。
お客さん、竜器は貸してもらえるかい?
水っ気が操作できる類のがあると助かるんだけど。
あとはアレだね。
結晶…湯の花なんかは作れないかい?
−『煙る水かき』亭前・Sideカティ−
『……おっちゃん、お客さん?』
[宿の前でうろうろと往復を繰り返す人影に、カティは声をかけた。
お茶の用意をかろうじて済ませたものの、お客さんとかーちゃんは連れ立ってお風呂に行っていて手持ち無沙汰だったからだ。
この後に待ち受けているだろうお説教が怖くて、いくらか消沈した声音ではあったけれど]
『今日はおやすみだよ?お風呂が壊れてるって言ってた』
[今度は間違えないように、きちんとそう告げた]
さて!
ああ、急がなくても大丈夫だ!ゆっくり食べよう。
豚に申し訳がないからな!!
[それから程無くして受付を済ませ、通りを歩く人の流れを
右に左にと見渡す。
この後の予定は、やはりグレダから聞いた訓練施設だろう。]
先の大通りの捕り物で、お前の事はそれなりに知られて
いるかも知れないな。
しかし何も問題はない!己の力を隠すこと無く見せてこそ
心に余裕が生まれるものだ!
何しろ秘密にする事が何一つなくなるのだからな。
[力強く語る男の右手には、ウボルサ豚の串焼き・塩味が
握られて居るが、時折後ろからスズメに啄ばまれてもいる。]
[女将さんに止められたのと>>138]
『やめなさいったら』
[平べったい尻尾でぺしんと足を叩かれて、わたしはアルゴルを離した]
[アルゴルは、断りもなくちょろりと浴槽に入って行った。
地面に居る時は、太ったイモリという感じのアルゴルだけど、
一度水中に入ると、空を飛ぶ鳥のように優雅に泳ぐ。
さすが、癒し系温泉の化身だ]
『そうだね。
女将さんの言うように、竜器ならどうにかなるかもしれないな』
[浴槽内を一周して、詳しく見て来たアルゴルは、
ぷかんと頭だけを出してそう言う]
『必要なのは応急処置だよね?
ここのお風呂、結構凝った仕組みみたいだけど。
まだ修理してないっていうことは、
お祭りが終わるまで職人さんの手が空かないとか、そういうことじゃないかい?』
[アルゴルは、前足を浴槽の縁にかけ、女将さんの方を見る]
『ミルファ君は、漆喰や粘土は専門外だけど、
金属の栓なら作れると思うよ。そこを中心に、水漏れ防止の魔法の力を引き出せばいい』
[一瞬、すごくいい案だと思ったけれど……]
だめだよ、アルゴル。
メリッサはそういう細かい魔法が苦手なんだよ……。
[それに、竜器の魔法を使うとしても、
例えば御前試合で一回戦敗退して、街に帰るとなった場合……。
戦士の物ではない竜器は、結局ただの金属栓に戻ってしまう]
『何も、戦士はメリッサ君だけじゃないだろ』
[しかし、アルゴルは変な事を言いだした]
『他にも戦士は居るじゃないか。
そうだよね、女将さん?』
[そして、いつも笑っているみたいな顔を、更に笑わせて]
『湯の花なんて朝飯前だよ。
……それとも、金属栓に、湯の花を作り出す効果を着けたいってことかな?
となるとこっちはミルファ君次第だね』
[浴槽の縁を乗り越えて、アルゴルはわたしの足もとに戻ってきた。
目の細かいピンク色の鱗は、濡れてキラキラと光っている。
川底で光を反射する小石のように]
―『煙る水かき』亭の前 ―
あ、いや……。
[店の前をウロウロしていたところに、少女に>>139急に話しかけられ、挙動不審になってしまう]
客と言うか、客じゃないと言うか、知り合いと言うか。
[モゴモゴと口を動かしながら、少女を観察する。少女にはどこか、彼女に似た面影があった。
リーマンは落ち着きを取り戻し、少女に訊ねる]
……君は姉さ、いや、グレダさんの娘さんかな?
グレダさんは元気にしているかい?
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