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[シモンとおなじ匂いがする――。先程の思いがけない言葉の意味を訊ねようとして言い淀んでしまったジムゾン。リーザは質問に答えようとはせずジムゾンもそれ以上は追及しようとはしなかった。
いや、出来なかったというのが正しいか。
村の子供達と変わらぬ態度でリーザとは接している。だが、どうもリーザとは距離を感じていた。
リーザが人見知りな子供のせいなのか、それとも。
リーザが表情を表情を和らげた際に他の子供達にする様に頭を撫でようとしたが、
リーザが少しでも戸惑うようならば伸ばした手を静かに降ろした。*]
― 回想・ある桜の木の近くで ―
[差し出された左腕>>166。シモンの声のガイドに導かれ、右手がシモンの左腕に触れた。
一応、杖も持って来てはいるのだけれど、お言葉に甘えて、右手を左腕に絡ませるように確り握らせて貰う。]
シモンおにいちゃん、ありがとう。
ひと嵐、来るかもしれないね。
[シモンの左腕。そこから視るのは、服を通して尚暖かい体温と皮膚の下で脈打つ命の鼓動。触れた先から確かな音と感覚として伝わってくる。]
[シモンの手に、あるいは顔に触らせてもらったのは何時だっただろう。弱視であることを伝えて、顔が見えないことをはにかみながら詫びたろうか?顔を触らせて貰った時があるならば、指先を触れさせて、徐々に顔の輪郭を辿り目鼻立ちを教えて貰ったろうけれど。
恐らく、包帯にも触れてしまっただろう。]
― 回想・宿について ―
こんばんは、ヨアヒムおにいちゃん。
ん、良い匂い。
お腹が空いて、お腹の虫もくぅくぅ鳴っちゃってるよ。
[夜の宿、けれど中は光が溢れて。
眩しくて、目を開けているのは辛い。
ぱたぱたとした足音、ヨアヒムの気遣い>>169までは見れなくて分からないけれども、他の皆はヨアヒムの優しさに気付いていたろうか。
幼なじみのカタリナや、姉であるエルナがいる事が分かれば、にこにこと言葉を交わして、少し座った机近くの灯りを暗めにして貰うか、眩しいけれどもそのまま食事をとれなくもないので食事をとるかしただろう。]
エルナおねえちゃんは、今からお店に戻るの?
だったら、私も一緒に帰ってもいーい?
[一騒動はあったかもしれないが、食事をとり終わり、店に帰るというエルナと共に、帰ろうとしたかもしれない。
だから、残念ながらカタリナのサンドイッチ>>194は食べれなかったかも。]
―宿屋・調理場―
レジーナただいまー。
今日はヤコブがお客さんで来て……あれ? いない?
[手帳を取り出し、ページをめくる]
あ、そうか。留守だっけ。食事――作り置きの分、今日までくらいはあるかなあ。天気がこれだから、無理して帰ってこない方がいいよね。帰ってくるの、いつになるかな。
[まずは鍋を温めようか。調理場をざっと見渡し、隅の一角に隔離された小さな鍋を見つける。蓋を開けてみると、なんだか得体のしれない色と、得体のしれない臭い]
……正体把握……そして僕の夕食把握。多分一晩くらい寝かせてあるよね、これ……
[確か、被害者が。そうだ、オットー。神父さんにもその関係で――昨日は図書館や調理場と行ったり来たりで会うタイミングを逃してしまったのだけれど、今日の帰り道、その姿を見かけたのだった]
―少し前、村の道で―
[畑へと向かう途中、道の向こうに、見知った人影が見えた。遠目にも、あの黒い衣装は分かりやすい。ジムゾンだ。穏やかで物腰の柔らかい、感じの良い人。
声をかける。もし気付いてくれたならば、その場で話ができただろうか。あるいは、今日も宿に来る予定があるのなら、これから会えることがあるかもしれない**]
−シモン宅−
…うん。その村の桜…あの時が1番キレイだったんじゃないかな…たぶん。
不思議な事にね、その村のことは覚えていないのに、あの時の桜の事は覚えているんだよね…
なんか…すごくキレイなんだけど、キレイすぎて不気味…みたいな。
そうだね…何も起こらないと…いいね…
はいはい。おねいちゃんは心配性だなあ。
[あははと心配性な姉のエルナを屈託なく明るく笑う。
日中なら目に入ってくる光は調整出来ずに眩しいけれども、目を閉じ、四感を伸び伸びと広げれば、エルナの言葉>>243から喚起されるのは瞼の裏に広がる満開の桜。]
うーん、春って感じ。
何だか眠くなってきちゃう。
[ふわんほわんとした呟きを落として。]
お疲れ様だよー。
もしかして、昨日シモンおにいちゃんから頼まれた服を作っていたの?
[あとで肩たたきしようか?というように、とんとんと両手を交互に緩く振り下ろし、肩たたきの動作をしてみて。]
―少し前・自宅の庭―
そうか…。
ああ、綺麗すぎて、不気味というのは、わかるな…。
本当に…綺麗すぎて、怖いくらいだ…
…ああ、何も起こらないことを祈ろう。
さて、立ち話もなんだが、家にはろくな茶もないからな、
カタリナがよければ、宿にでも行かないか?
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