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…そんで、出来れば――、
セシルとも其れを見たいとは思うのは唯の俺の我儘だろうけど。
[>>44グレンがセシルに投げ掛ける声を聞きながら、
彼女もまた兄の死と言う呪縛に囚われている様にも思えた。
自分には出来ないかもしれないし、今誘いは断られたばかりだけど。
自分を解き放ってくれた二人に、何か出来るのなら。
手を伸ばす事くらいは、したかった。
グレンは>>45誘うでも、切り捨てるでもなく、目を逸らしただけだったけれど。彼もまた彼女を切り捨てる事は出来ないのだろうなと思えば何処か嬉しく思えたのは何故だろうか。
――確かに、彼女は彼の死を無駄にしたくないのだろうけど、でも。]
……まあ、俺はそう言うだけで決めるのはお前だけど。
連合の兵に殺されたから――、マオが死んだ事に縛り付けられていて、グレンの言う様に意味を求めて。アイツはそんな事望むかな、とも思うけどね。……ま、俺はアイツじゃないから分からねえけど。
[其処まで、ぽつり、と零して。発言を親友の真似をして、放り投げてみたのだった。]
ーキインッ!!
くっ…!!
[金属が弾かれる音。剣を持ったまま、弾かれた衝撃で腕が上がり無防備な状態になってしまう。
ミツルは、悲しげにこちらを見ていて。ミツルのことだ、クロロがここで攻撃をやめればクロロへの攻撃も止むだろう。
しかし、クロロは。]
どいて…よ。
僕、は、千早、を…ころさない、と…。
[もう、彼の頭には千早を殺すことしかなかった。再び、電気を纏わせた刃をミツルに向けようとした瞬間。
目の前を斧が通り、腕にそのまま当たる。いつもならこのぐらい避けられるのに…魔力も体力も底を尽きかけているクロロには、どうしようもなく。]
ぐ、あああああっ…!!
[武器を落とし、片腕から血飛沫をあげながら…クロロは後方へと吹っ飛んでいった。]
―現在・帝国・参謀長執務室―
………アレクシス補佐官が前線に?
[へぇ、それは知りませんでしたと、興味の無さそうに呟けば参謀長は呆れたようにため息をつく。
黒い上着はソファーの背もたれかかったまま、制帽は膝元に放置され、放り投げた本人は優雅に紅茶を楽しんでいた。
謹慎を言い渡されてから数日間。クルークの情報は司教殺害時点で止まっていた。
ツリガネやアルフが殺された事も、アレクシスが出向いているのも知らなかったのは本当だ。
前線でアレクシスと鉢合わせしていたら少々面倒だろうな、と彼女を行かせてしまった事に少々後悔しながらも表情には出さずに口を開く。]
それで?お咎めなしで解放する代わりに僕も前線へ行けと?
[参謀長は首を横に振る。
復帰後は変わらず自分の補佐を。ただし重要な会議にはしばらく出席しない事。
そして、事と次第によっては前線へと。]
……承知しました。仰せのままに。
[空になったティーカップが静かに置かれれば、軍服を確りと着こなし、制帽を被りその場を後にした。
目的地に足を向け、自分への処罰の軽さに気持ち悪さを感じつつも歩みは止めない。*]
連合国の統治の形には興味ないし、多分私はそこにはいないし。
[そう呟きながら、聖職者の紋章をはずそうとするように指でひっぱってみせた。]
グレン君にはお返しに仲間の死体と戦わせてあげようか、その時は。グレン君は本気だから本気で返すよ。
――まぁ、でも、今はその時じゃないっていうのはそうね。
私も今からやりあう気分じゃないし、曲がりなりにも帝国領だし。
色々ありがとう、グレン君。
[目をそらしたあなたへの柔らかな礼はその最後の言葉と、アレクのことも含んでいたのかもしれない]
[斧で吹っ飛ばされると同時に、千早の攻撃>>65が直接ヒットしたらしく。両足と、片腕・・・左腕の間隔が無くなる。吹っ飛ばされつつ確認した視界の中には、自分の足と左手が無くなり、そこからおびただしい血液が流れる惨状だった。]
―……ぐしゃっ
[クロロが地面へと叩きつけられる。魔剣を完全に手から離した彼の狼化は収まってきてはいたが、後遺症だろうか、右手に生じた人狼の毛と爪はそのまま残っていた。
ぼんやりと、自分はここで死ぬんだなあ・・・と、思いながら目を閉じかけたその先にあるものに気付き、]
う、あ、あああ・・・!!
[今まで戦闘に集中しすぎて気づかなかったもの。なんで、なんでいままであれに気付くことができなかったのか!!]
[倒れたクロロの目の先には、赤いチューリップの造花があった。エリィが遺した、置き土産。この戦場で無事だったのは、奇跡のようなもので。それを見つけたクロロは、泣き笑いのようなそんな顔をして…ずり、ずり、と這いずりながら。]
エ、リィ…そこに、いたんだね…。
[クロロはエリィの名を呼ぶ。他の二人には見えてないだろうが…クロロには確かに見えていた。チューリップの側に、背丈は大きくなったが、昔と変わらぬ笑顔で佇む大切な少女が。]
[こちらに赤いチューリップを差し出して、笑顔で笑う少女に向けて。クロロが最後の力で胸から取り出したのは、最初に彼女に貰った赤いチューリップ。
震える手で、手に持ったチューリップを地に落ちたチューリップの上に重ねると。彼は、とても、安らかな声で。]
これで…一緒だね。エリィ…
[それだけ言うと、笑顔のまま…動かなくなった。]
ークーちゃん。一緒にいこっ!向こうにね、素敵なお花畑があるの!!
ーうん!またエリィと一緒に花が見れるなんて、夢みたいだ …!
[そんな、最後まで叶わなかった夢を見ながら]
― 3d・夜→4d・深夜 ―
……っ、はぁ
しつこいわねぇ、本当。
[ 真っ暗な戦地を駆ける。
敵だと解れば、腿の銃両手に構え
休む隙も与えず脳天目掛けて引金を。 ]
千早…っ、どこにいるの…
[ ここへ来る前――
――クルークに外出を伝える前。
千早にも外出を伝えようとしたのだが
見つえることができなかった。
もしかしたらクルークが千早のことを
教えてくれたかもしれない。
パーカーのフードから黒い瞳を覗かせ、
彼女を探しながら、地を蹴る。 ]
『 カチッ 』
[ 聴こえたときには手遅れで。
闇に隠れた姿を照らし出すように、
足元からは眩い閃光。 ]
しまっ――――
[ 慌てて、しかし冷静に。
千早からもらった
空間魔法が込められた弾丸を取り出し
その地面へと銃口を向ける。
この間、僅か3(3)秒。
放たれた銃弾は、果たして――― ]
……まったく、そんな適当な理由で敵に本気のアレク君が回るこっちの身にもなってよ。
[しょうがないなぁ、と笑って呪縛から解かれた様子の彼に安堵と共に笑って肯定しようと仕掛けて、続いた言葉>>59にぴたり止まって数度瞬きをした。]
……。……アレク君は昔からそういうことを平気で言っちゃうのはどうかと思うよ。
[何故か平坦だった。今さっき誘いの手を振られて色々と諦めがついたというのに。
まさか自分を望んでくれるかのような言葉で誘いを繰り返されるとは思わなかった。
単にそこにいる孤児院の仲間に言ってくれてるだけなのに。]
……ふふ、じゃあ何を望むと思う?って聞こうと思ったのに。私にはわかんないから。
私がお兄ちゃんの死に意味が欲しいだけなんだと思うよ。私がずっと悲しいだけみたいで。それだけじゃ、意味なんてないじゃない。
あぁ…嫌な…風ね…。
[寂しさを感じる。虚しさを感じる。]
…あなた…ミツルだったのね…
[今更、何者かに気がつく。]
…さ、仇討ちしなさい。あなたになら、殺されても文句ないわ。
[さぁ、と、地面に仰向けに寝転ぶ。]
…聖職者には…磔がお似合い。
[手を広げ、足を閉じる。]
さぁ。
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