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―回想・3年前―>>4
[魔法が消え去る瞬間は目ではわからなかったが、強い魔力の気配の喪失で感じ取れた。
セシルが倒れた兄に呼びかける。街を出る道中も、彼女は絶えず話していた。もしかしたら彼も答えていたのかもしれない。自分の耳には聞こえない声で。霊魂を操る者は、同様に彼等と対話することができると聞いた気がする。だとしたら、肉親を失ったばかりの彼女には、なんて危ない力だろう。死後の世界に囚われてしまうかも、という自身の想像はすぐに否定される。彼女の兄が、それをよしとする訳もない。]
(ある意味、セシルが最初に魔法を使う相手がマオで、良かったのかもしれない。勿論彼の死がなければ目覚めることもなかっただろうけど。
……戦時中の今は、自衛手段があった方がいい。………生き残るために。
なら、今回のことはセシルにとって−−)
[ここまで考えて、思考を止めた。やめよう。彼女にとって何が幸か不幸かを決められるのは、彼女だけだ。他人が、守ることのできなかった自分がこんなことを思うべきじゃない。]
―早朝・自室―
[謹慎中とはいえ生活リズムが崩れる事はなく、いつも通りの時間に目が覚める。
ベットから降りて伸びを一つ。何時もならば完璧に整えられ一つに纏められた赤毛は珍しく解かれていた。
少しでもためてしまっていた書類仕事を片づけてしまおうと、小さな机へと向かおうとすれば、人の気配に思わず身構えた。
扉の開け閉めの音はしなかった。
暗殺者かそれとも。
何時でも攻撃できるように電気の塊を掌で軽く握りながら振り向いた先には>>8]
………普通に扉から入ってきてくれませんか?千早。
[素早く電気を拡散させながら苦笑を一つ。
しかし、彼女の纏っている衣服が普段と違う事に気が付けば、少しだけ目を見開き]
それとも、誰かに聞かれたくない用事か何かですか?
[赤毛を乱雑に乱した。]
─三日目/交戦地区A付近─
エリィ…なの…?
[足を止め、かけられた声>>3とともに、移動の勢いで脱げかけていたフードがぱさりと脱げた。
完全に顔が露わになったが、気にすることもなく。ただ呆然と、立ち尽くすばかり。
大鎌を持ってはいるが、どうみてもエリィだ。この五年でエリィも大きく、強くなったのだとわかる。
こちらも怪しげなマントとフードを身につけちゃいるが、エリィも同じ気持ちだろうと思い、気にも留めなかった。ただ、今はエリィと話したい。]
エリィ。今まで無事でよかった…!
僕ね、エリィから貰った花は全部持ってるんだよ。
全部…僕の宝物さ。
[胸ポケットから出して広げてみせる。今から昔まで手紙と一緒に送られてきた花達。そしてその中には、クロロが孤児院にまだ馴染めなかった頃に送られた、一輪の花も含まれていた。**]
―回想・3年前―>>4
ごめん、セシル。僕にも、自分が悲しいのか、わからない。涙も出ないんだ。
[泣けないのは、全てを投げ捨てる訳にはいかないからなのかもしれなかった。新しいセシルの居場所が必要だ。孤児院に居続ければ、有無を言わせず、研究所のモルモットや殺戮兵器にされかねない。一呼吸ついて、彼女に向き合った。]
マオが死んだのは、……僕の責任だ。三人の中で、僕だけが力を持っていた。知っていたのに守れなかった……。
だから、今後の君のことは僕が面倒を見るよ。マオの代わりに。幾つか考えはある。でも、君はどうしたい?僕のできる限りで叶えてあげる。
[マオの欠けた指で組まれた祈りの形。彼なら妹の未来に何を望むだろう。]
―朝/自室―
[頭の中に、過去の事をぼんやりと描く。
そう言えば、本の他に――一冊。
ノートも一緒に執務室の鍵付のデスクの中に封じ込めてある。
その中に書いてあったのは、両方共、呪術や伝承の類。
どうやら顔も覚えてない父の記したモノであった様だった。]
……呪い、ねえ、
[ぼそり、と呟いてはまた推し黙る。
この剣に触れてから――あの声が聞こえる機会が増えたのは、]
(……気のせいだ。俺は、違う。そんな訳無い)
[その事について考える事を放棄して。また昨日の事を思い出す。
シエラの魔力暴走の事は伏せておいたから彼女が処罰を受ける事は無いだろう。だからてっきり受けるかと思ったのだが、やはり余計に拍子抜けだったが――受けたのは同時に安堵でもあった。]
ーツリガネとアルフを殺して、なんでこんなに平気なのだろう。
[クロロは帰路の間、そればかりを考えていた。
僕は戦争を終わらせるために暗殺員になったわけであって、仲間を殺したいのではない。]
仲間?はは、ははは!
…いいじゃないか。人間さえ殺せれば、それで!
[魔剣が怪しく輝く。この剣を託された時から、どうにも思考がおかしい気がする…が、クロロ自身はそのおかしさに気づけない。巧妙に、偽装され、侵食されて行く。]
人間を殺せば、お花は無事ですむもんね…!
うん。まちがってないはずだ。ははは!
[花を潰すかもしれない人間は殺してもよい。そういう人間を殺す時ほど、楽しいものだ。…クロロの価値観はそうねじ曲がりはじめていた。]
/*流石に大方バレた気がしながらー。
多分大怪我負っても人狼モードになるので大して死なないと思いますがが。千早ワンチャンあるならそっちに…!多分グレン居るなら寝返りフラグが見えるかなあと。グレンと仲良くしたいのが本音*/
/*アレクシス、グレンVSセシル(2対1)になったらセシルさんには倒れてもらった方が良いかな!仲間(セシル)がやらミツルが動ける!
エリィゼはクロロに任せて、コトブキはシエラ?かクルーク?*/
―闇の底―
[涙というものを流した記憶は、そもそも生まれてから1度もない。感情が希薄なのだろう。何処か心が欠けているのだろう。
その僕がどうして、今]
ツリガネ。
……見つけました。
[彼女の姿を見た途端、眼から涙があふれてきた。
こんなことは初めてで、どうすればいいのか分からない。困ったようにおっとりと眉を寄せても、涙は止まってくれそうもない]
ツリガネ、僕は。
ごめんなさい。
[ツリガネは体格こそ小柄のままだが、少女から大人の女性へと成長していた。あの時見えた亡骸は、間違いなく彼女のものだったのだろう]
貴女に、此処で、逢いたくはなかった。
でも、また逢えたことを、嬉しく思ってしまいました。
…ごめんなさい。
/*
正しくは寝落ちた……
兄の象徴が指っぽくなってたので勢いで欠けさせてしまった。
下でマオにいちゃんが困惑してないかが凄く心配です。
―回想/数日前・帝国同盟 基地の外−>>2:56
[予想通り、かつての孤児院仲間だったらしい。始めは昔を懐かしむような話し方をしていたが、やがて演技を諦めたのか表情を一変させる。演技なんてしないのは評価してくれてるってことかな、なんて思いながら口を開く。火球を小さく収めたのは、本心を見せてくれた彼への僕なりの礼儀だ。]
やだな、これ位挨拶だよ。久しぶりなのに、そっちこそ随分柄が悪いじゃないか。
[悪態を隠しもしない彼が言うには、どうやら情報交換が目的のようだ。>>2:58それはそれでいいとして、自分が女神を心底崇拝してるだなんて思われるのは心外だ。]
君は女神を嫌っているように見えるけど……。
[挑発するように胸元の紋章を撫でる。珍しく饒舌だった。多分かくいう彼の方が、自分よりも遥かに女神に縛られてるように見えて、つつきたくなったのだろう。]
"嫌う"って行為が、そもそも女神の存在を肯定してるとは思わないか?女神なんて、人間が造ったただの偶像だよ。人間の空想の中にしか存在できない。
女神を消したいなら、その不当性を述べた方が利口なんじゃないか、って僕は思ってる。
[まあ、そんなこと証明する資料は、殆ど処分されてるんだけどさ。と続けながら、紋章に軽く爪を立てる。憎いと思うこともない。憎むべきも恨むべきも、相手は人間しかいないのだ。]
僕は今も昔も無神論者だよ。色々便利だから今の地位に落ち着いてるけどね。
で。僕は、そんな頭の腐った聖職者な訳だけど、情報交換する?
[彼の女神に反抗的な態度からも、恐らく独立組織の人間だろう。ああまで煽ってくるのは返しを期待してのことだろう?とばかりに嫌味に返してやる。]
―回想―
[3年ほど前のある日、僕が死んだ日。
セシルとシエラと連れ立って町へと出かけていた。
何処か楽しそうな二人の様子を、最初は微笑ましげに見守っていた。
町について程なくして、間が悪く其処は戦場と化した。
最初に思ったのは、二人を護らなくてはということ。シエラの魔法の才覚はもはや議論の余地もない。だけど、自分は年長者だ。無力であっても二人を連れ帰る責任がある]
――――…セシル、シエラ。
逸れないように、付いて来てください。
[妹の手を取り、シエラと共に町を駆ける。
喧騒は混乱を極め、もはや敵味方の判別も困難なほどだった。戦闘をかいくぐりながら何とか大通りを抜けかけた、その時]
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