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そうなの…ふふ、偉いわね
私はさっきまで談話室で本読んでたの
お腹空いたから食堂に行こうと思って
[微笑を浮かべる。]
その本、みせてくれないかしら?
あ、今無理なら今度かしてくれないかしら?
そう?今日はねぇ、ベーコンを使ったスープだよ。
アレク君と急いで作るから楽しみに待ってて……
[包丁と玉ねぎを持って調理場へと戻りかけて、小さな腹の音が聞こえて小さく吹き出した。]
待ちきれなさそう。
[クルークも手伝うと聞けば、あなたが料理を苦手と知ってはいるけれど、隅っこによって2人分の場を開けた。]
もしかして、談話室にグレンいた?
[魔力の気配を感じながら予想を口にする。彼女の言葉を聞けば、確かに自分もそろそろお腹が空いてきたかもしれない。ふむ、と考える。普段の自分なら知識欲は食欲に勝る。でも、今日は川まで出たのもあってか既にかなり空腹だ。いつもなら飯抜きなんて日常茶飯事だが、その気になった時は逆らうべきではないだろう。]
この本は僕もまだ途中なんだ。今度覚えてたら貸すよ。
僕もそろそろお腹が空いてきたみたい。ついてっていい?
[彼女が拒否しないのなら同行するだろう。拒否されたなら飯抜きを決行しそうだ。]
[こちらに向かってきたのは、エリィの他にもう一人。コトブキはまだ分け隔てなく話せる相手ではない(とクロロが勝手に思っているだけで相手は違うかもしれないが)が、同じ孤児院の仲間だ。変な所はあるが、いい人であることは知っていた。]
エリィ。コトブキも来たんだね。
ほら見てなよ、この時間に外に出て花を眺めるのは格別なんだ。
[と言って、クロロは花びらを撫でようと手を伸ばし、慌てて引っ込める。代わりに、胸ポケットに刺してある、以前エリィから貰った小さな造花を愛おしげに指先で撫でた。]
[昔のことを思い出したせいか、夕食前にそぞろ歩き。
うろうろするうちに礼拝堂の近くを通り過ぎる]
調和の女神、ハルモニアさまってか。
――不思議なもんだよなぁ。
[そう信心深くはないが、平和の礎としての役目やイリアたち頼れる大人がいる場所としては大事に思っている。
なんだかんだ言って、他のどんなものが期待外れになっても女神と協定、孤児院の子供たちの安定が崩れる事はないと、この時は信じていたのだった]
[料理をしながら幼い時のことを思い出す。
いつも思い出の色彩は暗い色をしている。
手に持った玉ねぎは誰かが持っているのを眺める物だったし。自分が触れるのは段ボールで運ぶ時だけだ。味だって碌に知らない。
兄は偶に両親の眼を盗んでくれたけれど、見つかったら私が怒られる。しょうがない食べた私が悪いんだから。
魔法が使えない役立たずの私が悪いんだから、最低限役に立たないと。
人は魔法が使えるか使えないかにまず別れて、使える人はそれだけで使えない人よりも上位なのだ。
だって魔法は努力したってどうやったって身につかない。
大多数と同じ凡人の私は、同じ凡人の中でも魔法という+αがない分劣る。
だから当然なのだと思った。思って、いる。
兄の魔法が妬ましく思う事もあったけれど、
それ以上にオルガンの調べや私を心配して撫でてくれる兄の優しい手が傷ついたら嫌だった。
だから兄がいつからか魔法を使うのを止めたのが心苦しかった。]
[私の状態に気づいて両親が流石に周囲から非難を受けて、
子供置いて逃げたのが幼いころ。
孤児院に来てからこれが楽しいということかと知った。
楽しそうな良い子が、孤児院の大人にとって役に立つ子であることも。
もっと大人になれば魔法がなくても誰か必要としてくれるだろうか。
役に立てるんだろうか。]
[汚れた色の玉ねぎの皮をベロンと流しに捨てた。]
僕はこう見えて、身体は丈夫なんですよ。
[強がってみるが、くしゃみをしながらでは格好付かなかった]
……踏んだり蹴ったり、ですか。
僕もそれくらい、思い切った方が良かったでしょうか。
[冗談半分に答えを受け取りながら、此方も軽口を返す。
流石に普通の人相手に無理矢理踏んだり蹴ったりしたいとは思わない。…多分]
そうそう。今日はアレクシスとセシルが、
スープを作ってくれるそうです。
きっと、温まりますよ。
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ソロールも表で挟んでいった方が良いのかな?と思いつつの……。
決めてたのは、役に立つことが存在意義である、という認識の子というだけの。
えっと、エリィゼはここかな…
[ミツルがいる部屋は礼拝堂である…そこに祈りを捧げている女の人が1人、ミツルは礼拝が終わるまでイリアに話しかけないだろう]
[食堂を出入りする人に軽く挨拶を交わしながら、
食卓に座り先ほどのことを思い返す。]
…美味しいって食べてもらえるのは嬉しいですね。
次に作る時は、せめて口を付けてもらえるようにしないと。
少し長めに勉強しましょうか。
[皆が自分の料理を食べて喜んでくれる。
そんな未来を想像しながら、夕食の時間を待っていた。]
…ジロさん。
[上着を返してもらい、食堂へと付いて行きながら。そっと背中に呼びかけた]
先ほどは魘されているようでした。
もし、気分がすぐれないなら。
オルガンでも、聞きに来てください。
少しは夢見も良くなるかも、しれませんから。
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