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[目の前の悪魔が《青》に染まり行く。
風も無い室内、力が解放される前の静けさ。
圧迫感を感じたのかクァルトゥスは、僅かに目を細めた。]
何にせよ、私が貴方を殺す事に変わりはない。
・・ザリチェ 美しき渇きの悪魔。
[クァルトゥスの義手の内側が軋んだ音を立てる。
跳躍の前の両脚に、僅かな筋肉の震え。]
[最初に悲鳴が上がったのは、円形の部屋の外周から。
それは、壁沿いに並んだ薄布の使用人達が、魔力を奪われ──その場で絶えて行く、断末魔の楽の音だった。]
いいえ。
[「ニクス」の頬をそっと双の掌で触れ、己の視線を「ニクス」のそれに合わせた。]
僕は――…「穢れ」てなどいません。ただの、一度も。
僕は、「満たされて」いるのです。触れる度に、ただ、ひたすらに。
[「ニクス」の紅い唇に近付き、唇が触れ合う寸前の所で囁く。]
――…もし僕があなたに触れて「穢れた」と感じたなら、そう言えばいいのです。殴りかかっても構いません。
もしあなたが「満たされた」と感じたならば、そう言って微笑めば良いのです。
そして僕は、いつだって微笑んで来ました。それだけのことです。
―――…あなたは?
[──淫魔の身体が虚無の孔と化したかのように。
魔力の流れは荒れ狂い、その傍にあったものの生命が魔力ごと奪われていく。
お仕着せの薄絹を纏った給仕が、まるで砂漠の熱風に当てられたように瞬く間に萎びて、木乃伊と変じて床に倒れた。
傍らに金鍍金を施されたトレイが金属音を立てて落ちる。
衝撃で、カサリ、という軽い音とともに脆く崩れて、一握の埃に成り果てる。]
[引力を感じる。
青は渇いて渇いて、貪欲に飲み込もうとする。
吸われ、堕ちて、澄んだ色。]
渇きか、成程な――
[ウェスペルはその青に飲み込まれぬよう地を蹴るだろう。
緋色もまた、閃くか。]
―最下層:荒野―
[触れてくる掌の感触は、温もりは。
何処か霞のかかった思考で感じ取ろうとするが、侭成らぬ様子で。
向ける眼は揺らめいた]
……。
「穢れた」とは感じない。
「満たされた」はわからない。
もっと触れれば、わかるかしら?
[一瞬、くちびるを触れ合わせて、僅かに離れる。
その背は、以前よりも伸びている。
言葉は無く、水面に浮かぶ花のように、薄い笑みを咲かせた]
[それは、長く開放し続ければおのれさえ滅ぼす諸刃の剣。
クァルトゥスを凝視し続ける、その青い額にはじっとりと汗が浮かんでいた。
ザリチェは底に穴の開いた器であり、穴に栓をし、それでも洩れ零れる分は絶え間なく魔力を注ぎ込むことで危うい均衡を維持していた。
それを止めた今、二者を吸い尽くす前に限界が来れば、辺土へ堕ちるのは──]
[クァルトゥスの左腕、複雑に絡まり合っていた暗赤色の血管が、紐が解けるように風に散り、──義手が崩れ落ちた。残骸すらもザリチェの力に引き込まれ、砂になり消え行く。
内側には、既に再生していたクァルトゥスの本来の利き腕がある。
クァルトゥスの周囲に冷気が溢れ出した。それは義手がその場所を封じていた時よりも激しい冷気だった。]
槍が天井に当たる心配は無い様だ。
[既に、部屋の天井は無かった。ザリチェの呟きに呼応するかの様に、すべてが吸い上げられ滅んで行く。]
―最下層、荒野―
[触れ合う、唇]
[「それ」を畏れて居たようにも見えた「ニクス」の唇が触れたのを感じ、ジュアンは一度だけ目を瞬かせた。以前よりも少しだけ高い位置にある「ニクス」の青い目に視線を合わせて、微笑んだ。]
「穢れ」ていないのなら、それは良かったです。
「満たされた」かどうかは――…これから分かるかもしれませんね。違うかもしれませんが。
「畏ろしい」と感じなければ、それだけで十分なのです。ただ、目の前に居る相手を求めるだけで――…
もしあなたが「僕」を受け入れてくれるのならば。力を抜いて、「僕」だけを見てください。それだけで十分です。後のことは、「僕」に委ねて――…
[その言葉の尾は、唇の温もりで覆い隠した。][《赤》と《黒》に染まった「ニクス」の身体を引き寄せ――…《赤》を知ったばかりのジュアンは、「ニクス」の身体に己の「影」を重ねた――*]
……ち、
貴様まで滅びるぞ……!
[青の淫魔に声は届くだろうか。
巻き起こる冷気に眼を細めた。
ともすれば凍りつきそうな虚無。
炎と氷、相反するものを携えた魔が其処に居る。
記憶どおりの赤い瞳と
記憶にはない力を持った
ただ1人の]
[クァルトゥスの躯が、徐々に暗赤色の縁取りが生々しい鎧に包まれて行く。
傍らには、クァルトゥスと共に封印されていたあの女神の姿がはっきりと姿を現した。
蒼ざめたる女神は、生きた盾──彼女の目元はすっぽりと目隠して覆われている為に表情は読み取り難い。だが、くちびるを薄く開き、何か呪言を紡いでいるようだった。
クァルトゥス斧槍を左手で持ち、軽く空気を薙いだ。一瞬だけ、冷気が薄い膜となりザリチェの魔力を押し返すのが確認出来た。「充分だ」とクァルトゥスは呟く。]
・・ウェス。
私があれを防ぐ間に、お前がザリチェの心臓を針で貫け。
[振り返りもせず、背中でウェスペルの名を呼ぶ、その声はやはり睦言の様に甘かった。]
……女神――
[蒼褪めた女神。
クァルトゥスの体を包む鎧と相俟って
禍々しく、美しいそれ。
クァルトゥスの冷気が魔力を押し返すのを確認すると]
…… 、
……いいだろう。
[頷く。
甘い響きが、酷く耳に残った。]
[遠い昔。
暗黒の霧煙る辺土で生まれた小さな魔が、生まれてからの短い生涯で受けたのは、他者からの暴虐だけだった。
他の魔を避け、苦痛と恐怖から逃れるために潜った地の底で、かれは小さな青い欠片を見つけた。
酷い餓えからかれはそれを口にし……身のうちを灼き焦がす激しい苦痛に襲われた。
それは様々な苦痛を受けてきたかれでさえ、味わったことの無い痛みだった。
長い間地の底でのた打ちまわった後に耐えかねてかれは、逃れるために降りていった道を今度は逆に這い登って行った。
そして、やっと地上へと這い出たかれを待っていたのは。
やはり、弱く小さいかれをいたぶって快楽を得ようとする下級の魔で──]
[耳元に届いたいらえに、男は微笑しただろうか。
クァルトゥスは身を浅く沈めたまま、斧槍を横に振った。
槍先は円弧を描き、崩壊に耐えていた壁ごと周囲の空気を薙ぐ。
──間を置かず、巨躯は上空へ跳躍し、クァルトゥスと共に、蒼ざめたる女神もまた空に舞う。女神自身は拘束されたままの、禍々しい姿で。]
・・ウェス。
[ザリチェの懐に飛び込んでも、ウェスペルが絶える事が無いと、クァルトゥスは確信しているのか。]
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