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[馬車は三者をのみ込む様に迎え入れ、彼等は、ヴァイイ伯の屋敷、複数の貴族達の陰謀で染まったかの如き──漆黒の円卓に着く事と成る。
今は亡きヴァイイ伯の屋敷。
円卓が設えられたドーム状の部屋の白い天井には、姿をあらわさぬ悪魔達の影絵が複雑な模様を描く。]
──…円舞曲を…──
[高らかな少女のソプラノボイス。
薄布と宝石で着飾った亡き伯の従者達に傅(かしず)かれ、空々しき馳走と宴。エキゾチカルな楽には、はじまりを告げたあの銅鑼の*音が混じっていた*。]
[――けれど、 見たかった。
当たり前だった、あのうつくしい景色を。
消えるのなら、あの鏡の湖に還りたい。
乾いている、この地は、キラいだ]
[水面に波紋が起こる。
無抵抗に地に転がっていたが、一気に身を起こして覆い被さる影の首筋に噛み付いた。滲み出す血液と己の唾液を混ぜ合わせ、辿り、啜る。
一転した反撃に、周囲の動きも一時止まった。
食らいついたまま、耳障りな音を立てて、貪欲に飲み干していく]
……、
[急速に「乾いた」魔の肩に手をかけ、横へと投げ、打ち棄てた。
ゆぅらりと立ち上がる。
*穢れ無き白は無く、青すらも赤に染まりゆく*]
[視線を感じたか、金色は燃える緋色を映した。
しばし互いに見合っていたやも知れない。
馬車は走る。
豪奢な屋敷を飾るアラベスクの影絵と
宴の席を見て、ウェスペルは眼を細め]
……茶番だな。
[不機嫌そうに、*呟いた*]
[何時の間にか、ジュアンを墜とした直後の心の空虚は霧散していた。
ヴァイイ伯の屋敷に渦巻く不穏な気配が、クァルトゥスの首筋をチリと燃やしていた。
戦いの予兆と云うものが、何故これほど男に快楽を齎(もたら)すのか。]
[どくり]
[脈動に続いて、]
[ごぽり] [ごぽり]
[泉の水が、泥ごと貪欲な妖魔によって吸い込まれてしまう瞬間に似た音。]
[びちゃ][びちゃ][びちゃ][びちゃ]
[肉が] [再生する] [不気味な水音が響いた。]
[ロネヴェとジュアンから得た魔力を遣い、失われた臓腑と左目を再生させる。
空洞になっていた脇腹の奥から全身に熱が広がると同時、左の眼窩が激しく疼いた。クァルトゥスは、激痛と共に背筋を駆け上って来る生理的な嫌悪感に、唇を歪め、わずかに息を漏らした。]
──…ッ
…・・・
[クァルトゥスは、再生したばかりの目玉──
爛々と光る両の紅玉(ルビー)で、傍らに在るウェスペルを見詰めた。]
[ザリチェは眼前で視線を交し合うクァルトゥスとウェスペルを観察した。
ザリチェの魔力の質と量、その流れを読む感覚は、今も鋭敏に働いている。
その眼にはいろのない低温の炎が、音もなく静かに燃えている……]
[ヴァイイ伯の城に案内された三者を迎えたのは、大広間に設えられた宴の席だった。
影の織り成す白亜の大天蓋の下、豪奢な拵えの漆黒の円卓の上に様々な珍味が並べられ、薄衣を纏い宝玉で身を飾った従者たちがずらりと出迎える。
合図とともに鳴り渡った楽の音は、この場に似つかわしい円舞曲──しかし、この三者の置かれた状況には酷くそぐわないものであった。]
[ザリチェは未だ魔力が完全に回復し切らない黒衣の魔を見た。
クァルトゥスが、密かに常に庇うような位置に立っていることに彼は気付いているのだろうか。
今この時、クァルトゥスが僅かに前に歩を進め、ウェスペルが留まって不機嫌そうに呟いたその瞬間を狙い、淫魔はウェスペルに声を掛けた。]
……ウェスペル殿──
[するり。
さりげなく。
猫のように素早くしなやかに、ウェスペルの傍に身体を滑り込ませ、彼の手首──無意識にか常に気になる様子の仕草をし、クァルトゥスが執拗に撫でたその箇所──に軽く指を走らせた。
淫魔のからだから濃密な媚香が香る。
ウェスペルがそれを撥ね除けるより……或いはクァルトゥスがザリチェに気付くより早く。
布越しに触れた指が恐ろしく繊細な動きで、ウェスペルの官能を煽ろうと蠢く──その傷痕が指し示す、最も近しい過去の、そして最も強烈な快楽を喚起させるべく。]
[前に立つ魔は、
何処か自分を庇うようにしているように思えた。
先程の、穏やかな声と優しげな触れ様と相俟って
心を乱される。――誤魔化す様に唇を噛んだ。]
――……?
[名を呼ばれ、
顔をザリチェへと向けた。]
なッ!?
[甘い甘い香り。
くらり、と眩暈がするような淫魔の香り。
触れられた指先を跳ね除けようとするけれど]
……!!
[ぞわり、と。
痺れる様に体を駆け抜けたのは紛れもなく快楽で
身を竦ませ息を呑んだ。]
何を する……!
[睨みつけ、ザリチェから離れようと動いた。]
[ウェスペルの身体の硬直が指から伝わる。
間違いなくそこは、堅く鎧った黒衣の魔の外殻に走った亀裂なのだ。
淫魔は地中深く眠る水脈から亀裂を通って地表に噴出した甘露を啜った。]
[ウェスペルの黄金の瞳が強い光を帯びる。
睨まれたのだ、と淫魔は知った。
が、その光は極上の蜜の煌きだ。
一層深く味わおうと、指はその手を追った。]
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