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――……これは、 失礼を。
[広がったままの動揺を飲み込むように、
努めて静かな声で]
……私は、ウェスペル。
此度の後継者選定の――《候補者》の、ひとり。
貴方がウェスペル殿……
お噂はかねがね伺っております。
何時ぞやはご無礼致しました。
お気に触っておらねば良いのですが。
[ふと淡い笑みに、仄かな艶を滲ませる。]
[噂を――という言葉には、少しだけ眉を寄せた。
非礼を詫びる言葉には、首をゆるりと横に振って]
……気にすることはない。慣れている。
[警戒をしつつ、そう答える。
青に滲んだ艶は花の香り、
避けるように手首に視線だけを落とし]
[崩壊したジュアンの屋敷、青の宮。魔界の仄暗い空の下、いまだ飛散した青の破片が、地上近くの低い位置でだけ煌めいて居た。
それは、姫君の宮殿を彩る壁面や天井の複雑なモザイクに使われていた貴石たち──瑠璃、トルコ石、ブルートルマリン、オパール、水晶、紫水晶、ブルートパーズ、青瑪瑙たちの成れの果てだった。
それらの複雑な《青》の光達が、ジュアンが墜とされる瞬間、太陽も月も無いはずの魔界の空を、地上の空の如き蒼穹に染めたのだった。]
[今は、クァルトゥスの耳元で弾ける泡沫は無く、
楽師の囁き──も聴こえず、世界は静かだった。
ぽかりとした空虚があるのは、鎧で覆われた躯の裡、本来《青》の臓器があったその場所だけなのだろうか。]
─ …・・
[知覚され得ぬ何かが、クァルトゥスにウェスペルの手首を優しく取ると云う行動を選ばせたのかもしれなかった。]
[──風が流れた。彼等の足元で、胸焼けがする様な臭いの黒酸の水たまりが薄い波紋を描いた。
クァルトゥスは、ウェスペルの手首の傷痕をそっと指先でなぞりながら、低空、青と薄闇の境界線のあたりに視線を送った。]
・・ザリチェ。
ヴァイイ伯の屋敷の方角からやって来る“あれ”が何か──ご存知か?
[もう、触るなとも謂わず、ほんの少し咎めるようにか、
様子を窺うようにかクァルトゥスをちらと見上げた後、
青闇の空に眼を向ける。
砕かれた青が敷き詰められた空は異様な姿だった。
風が運んだ酸の臭いに眉を寄せ]
――……何が、起こったのだ。
[呟き、その境界線に現れたなにものかへと視線を向ける]
──なるほど。
さすが上つ方はやることが抜け目ない。
[くっと唇の片端を歪め、嗤う。]
アーヴァインも己も当てにはしておらぬ……それは重々承知していたけれども。
候補者ではないと謂ったな。
……何者なのだ、お前は――
[笑う青色い魔へと問いかける。
胸の内に在る、それはまだ推測でしかないが]
[もっとも、「“堕ちたる魔槍”の力を殺げ」という命と矛盾する、今ひとつの目的を悟られたという可能性もあるが。]
さて。
候補者ではないと……私は言いましたか。
私は単なる餌です。毒入りの…、ね。非常に不本意ですが。
[それは4頭立ての大型馬車だった。
音も無く馬車が近付く。今は亡きヴァイイ伯の紋章が車体の正面に光って見える。馬車はちょうどジュアンの宮の天井があったあたりの高さ、空中でぴたりと静止した。
馬車の扉が開いた。そこから、スルスルと影だけで出来た様な薄い階段が三者の元へ伸びて来る。]
─…残り少なくなった《候補者》の皆様…─
─…今は亡きヴァイイ伯のお屋敷で、晩餐は如何でしょう?…─
[馬車から響いた声は、うやうやしいのか皮肉なのか分からぬ。
歌の最中に何故か間違って笑いを含ませしまった様な、奇妙な調子だった。]
[クァルトゥスは、ウェスペルの手首からやっと手を離した。
さりげない動作で、馬車から少し弱った金色の悪魔を庇う様な位置に立った。]
・・・ザリチェ。
貴方が《候補者》ならば行くかね?
クックック。
[ザリチェは、諸候に反逆したクァルトゥスが《候補者》に含まれるのは奇妙では無いかと云ったが。
そもそもクァルトゥスが、己と共に在る女神のかつての忠臣、彼女の下僕──銀色の悪魔に、ヴァイイ伯の心臓を取って来ると云う《契約》を結ばせたのだ。クァルトゥス自身は、ヴァイイ伯には直接手を下していないものの…それは手管に過ぎない。あくまで。
クァルトゥスは、「罠と云うならば、すべてが罠であろうな。」と小さく呟いた。]
餌だと……?
諸侯の差し金か――不本意と言うからには
何らかの理由あってのことか。
[そこで言葉を切ると、降りてきた馬車を仰ぎ、
睨むように見据える。]
……ふざけた真似を。
[奇妙な調子の招待の言葉に、
小さな声で呟く。
離れた手、何故眼で追ってしまったのかは分からない。
庇うように立たれたのに気付いたか、気付いていないのか。
傷痕の残る手をそっと握り締め]
拒否できるものなら行きたくはない──と言うのが本音だ、クァルトゥス。
己はこういう面倒臭いことは大嫌いだ。
[眸に蒼い炎を静かに燃え立たせた淫魔は、空中の馬車を見据えて引き攣れたような歪んだ嗤いを唇に乗せた。]
―――…姫。
[荒野のある一点で、ジュアンは歩みを止めた。胴部からドロリと虹彩が流れ落ちる琵琶を地に置き、かれは右手の爪でかたい地を掘り始めた。]
[――どれだけ長い時間掘り続けたことだろうか。
かれの指先に血が滲み、傷口から血が吹き出し――…それでも、かれは掘り続ける。]
[やがて現れたのは――…]
お久しぶりです―――…
[荒野の地中深くに埋められた、古めかしい柩]
―――…瑠璃姫。
[―――…その中には、銀髪の姫君が眠って居た。]
――罠と謂ったか。
クァルトゥスを――排除するために
張り巡らされた罠だと謂ったな。
そうであるならば、
―――奴らは私の敵だ。
[己以外の手にかかるなど許さない。
決して違えないという、強い意志を持つ眼であったろう。
確かめねばなるまい、と思う。]
[あの銀色の悪魔がクァルトゥスの元に辿り着いた事自体、誰かの差し金あってのものだった可能性も高かった。]
正面から訪問しても良いが。
──拒否、してみるのも面白そうだな。
何処か行く当てがあるか?
[ザリチェに軽く首を傾けてみせる。
今もなお、事態を面白がっている様な仕草だった。]
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