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[影の様な腕が──
ひそやかに ジュアンの背筋をなぞる。
ゆっくりと 上から下へ撫で下ろす様に。
見えざる腕の動きに呼応するように、隠された《青》がまた一層*大きく脈打つ*。]
ふん、難儀なことだ――な、
[身を削られた出来事を
悠々と、余裕をもって話す姿が気に食わない。
舌の感触にびくりと肩を竦ませる。
思い出す、蘇る、忌々しい―――]
な、 ッ!?
[体が浮き、次いで感じたのはスプリングの弾み。
体勢を立て直す暇もない。
抱きかかえられたような体勢であったことに気づけば、
羞恥か怒りか、目元に朱が差す。]
――どけ!
[肩を押し、突き放そうとするが体勢が不利。
それもよかろう、という言葉も余裕からの戯言か、
射るように見据えた。]
莫迦に、するな!
[怒りに朱が濃くなる。
可愛いなどと
ウェス などと
何故こいつに謂われなければならないのか。]
お前を、殺すのは――私、だ……ッ
[《密約》の事など知る由もなかったが
知っていたとしても譲る気は毛頭なかった。]
―――!!
[手首に感じた、
唇の感触に目を見開く。]
やめろ!
[咄嗟に庇うように
逆の手を伸ばして横に大きく払う。
風を切る、その手には銀の針が光っていた。]
ジュアン……
[低く擦れた声で名を呼ぶ。
甘く熱い息を男の耳朶を擽るように吐けば、それは汗腺から漂う何十もの異なる香りと混じり合い、天然の媚香となる。]
……やっぱり、クァルトゥスさんですね?
[くすくすと、ジュアンは笑う。]
なにせ、僕は「鼻が利きます」から。
だいたい、クァルトゥスさんの中にすまう影が誰だかなんて……僕にはわかりません。そして、僕の中にクァルトゥスさんが在るかどうかも、わかりませんよ。
今、ザリチェさんの躯から、クァルトゥスさんの匂いがした――…それだけのことですから。
[肩を竦め、目を細めて、ザリチェを見つめた。
すぅとひと呼吸の後――ジュアンの視界から、霞が消える。初めにカタチと質感がかれの視界に戻り、続いて黒・白・青の色が戻り――…]
――…だって、僕とあの方は、《情》を交わしたことのある間柄では、ありませんから。《情》を交わせば必ず何かが芽生えるとも思えませんけれど。
[一度目を閉じ、再びゆっくりと開く。
ジュアンが感知できるカタチと色が、今ははっきりと視界の中で形作られている。]
いくら罪深き香りを放つあなたとはいえ。
こんなに綺麗なあなたを、他の誰かに奪われたというのは……僕には酷な話ですよ。あははっ。
[ジュアンの視線は、稀代の芸術家ですらその彫像を造り上げることができないであろう――きめ細かい肌の質感と、陶器のように柔らかく、どっしりとした重みとかたちを持つ――ザリチェの肉体に向かった。頭、鎖骨、胸部、手で覆われた秘密のいろ。脚についたしなやかな筋肉、ピンと尖った爪先。]
――…奪われたのが、癪ですねぇ。
その肌も。その肉も。
[ザリチェの爪先まで下りた視線は、ゆっくりと舐め上げるように淫魔の躯を這い――]
その、美しき青い瞳も。
[川の流れが、血の香りを運ぶ。
流れ、薄まり引き延ばされ、それでも確かに魔の気配を含む水。足下から上流へと、一筋の糸のように、長々と横たわる。
挑発の類かとうたぐったが、何らかのアクションがあるでも無かった。]
[川から上がり、もしも用があるのならば自分から出向いて来いと言わんばかりに、魔の気配を無視してドレスに袖を通した。]
あっ……ははっ
[背後に回ったクァルトゥスの義手が、緩やかにジュアンの背中を刺激する。]
ふっ……あはははっ
[玩具に戯れる猫のように背を伸ばすジュアンの髪が、サラサラと額から流れる。]
クァルトゥスさん……
[ドクリ][《青》の鼓動]
[躯の奥が、ぎゅうと締め付けられ――…窮屈な黒服の中で、鞭がビクリと撓った。]
――…意地悪。
[熱い、吐息。]
奪われた──?
己は誰のものでもない。
唯己一人(いちにん)だけのもの。
そのような詰まらないことを言う男とは思わなかった。
[ふ、と唇を歪め笑う。]
[甘い声][囁く声]
[鼻先をくすぐり、体内へと侵入せんとする、花と蜜の香り]
[背中に、ぞくりとした感触]
[ジュアンは、髪をサラサラと振り乱した。]
あっ………は
これだけでどうにかなっちゃったら、どうしましょうかねぇ……
[双の口角が大きく上がり、歯を見せて笑う。]
――…なんて。
[海岸を通る、血の足跡が在った。
血を流して居るものではなく、多くの血を浴びたものの通った痕跡。
点々と、血の香りは続いている。]
[ロネヴェは知る由も無かったが、それはクァルトゥスの屋敷を襲ったものの通った跡であり、クァルトゥスを探したものか、彼の屋敷から何処かへと続いていた。]
[匂い立つような痕跡を辿る。
生きるものの気配が希薄な館へ辿り着く。
辿る方向が逆だったのだ。
虐殺を行った者を追うつもりが、虐殺のあった場所へ着いただけである。そこへはもう、虐殺者は居るまい。]
あはははっ。まずいこと言ったみたいですねぇ。これはこれは、失礼致しました。
でも僕は、《ただ一人のもの》のあなたの気を、少しでも惹きたいんです。
―――…いいえ。
僕は、あなたの《青》が欲しい――…
でも、あなたがあなたのものである、その事実も堪らなく美しいんです。
――…だから、迷う。
その《青》を奪うか、否か――…
[ジュアンの視線に力が戻ったのを膚で感じる。
舐めるように身体をなぞるその動きに煽られ、からだの芯が熱く疼く。
それは、ジュアンが危険な敵であっても変わらない、淫魔の性。]
己のこの眼が欲しいか。
では己はこの眼を嵌める台か。抉り取って、宝石のように飾るか。
[声を立てて嗤うが、それは愉悦の笑いというには程遠い、冷たい嗤いだ。]
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