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[何か重いものが、短く柔らかな毛並みを持つもの――おそらくは動物か何か――から滑り落ちる音がした。次に、足が地面に着地する音、髪が流れる音。それから、空気の流れも少しだけ変わったらしい。
――どうやらザリチェが馬から降りてこちらに向かっていることが、ジュアンには分かった。]
[近づく、猛々しい香り。
《青》の鼓動。共鳴。]
―――…あ。
[何かに気がついたかのような表情で、ジュアンは首を傾げた。かれの髪がサラリと流れ、その動きの後に続く。]
――…クァルトゥスさん。
[ジュアンの薄い唇が、ひとつの名を紡ぎ、緩やかな孤を描いた。]
[《青》――与えられた、《青》。
存在感を少しずつ増してゆく其れが、「別の香り」の持ち主を探し当てようと手を伸ばす。]
………ですよね。
[かれと交わしたのは、《情》ではなく――]
……当たってます?
[一時の《情》よりも深い場所に入り込んだ、《密約》――*]
[くすくすと喉を鳴らし、しなやかな猫の足取りでジュアンへと擦り寄る。
肩から滑ったローブが、しゅるりと衣擦れの音を残して大地へと蟠る。
青みがかった凝脂の膚を惜しげもなく晒し、挑むように眼前の魔に突きつけた。]
相変わらず口の上手い……
妬けるというのなら、貴方がその痕を消せるか試せば良い。
[「クァルトゥス」の名を聞いて、形の良い眉の片方が上がった。]
彼を知っているのか……
──いや。貴方か。
クァルトゥスのこころに浮かんだ影は。
[赤い唇に浮かんだ微笑は変わらず、青い瞳だけが静かに燃えた。]
[先程クァルトゥスに見せた瞳が触れたものを融かす劫火の青ならば、今ジュアンに向けているのは水中で音もなく燃える炎の蒼だった。
仄かに輝く白い裸身で圧するように、触れんばかりにジュアンに迫る。
僅かに脚を広げて立ち、先端を硬く尖がらせた胸乳と、男女二つの性を備えた脚のあわいに*自らの手を添えた。*]
記念。
…ああ、
己の未熟、無様を忘れないための戒めだ。
[クァルトゥスの義手は、ウェスペルの背を抱き込んだ。
そして、相手が睨み上げてくるのにも構わず、後ろから古傷を庇うウェスペルの手首に触れた。]
[ウェスペルに密着するクァルトゥスの鍛え上げられた躯は、髪や隻眼の紅玉(ルビー)が示す通り、熱く燃える様な気を放っているだろう。それだけに、左義手の冷気だけが異様に感じられるはずだった。]
この冷気は、かの六大諸侯の一人・・・に挑む際、
蒼ざめた女神を生きる盾として捕えた。
その時に得たもの──。
灼熱の焔に、虚無の氷。
お前の知る真の私は、──女神と共に、一度は地の奥深く封印された。
彼の諸侯は、愛しい身内ごと私を消滅させたかったらしいが。
クックッ。女神の恩寵か…、
私は今この様に“在る”。
・・・ウェス 此処が疼くのか?
どうやって、傷付いたのか──私に教えてくれ。
忘れてしまった。
[クァルトゥスは布越しに、諸侯によって封印の施された義手の──赤黒く長い指先で、ウェスペルの古傷を撫であげる。
ウェスペルの耳元の産毛を揺らし、囁く。]
――戒め、だと、
くっ、離れ ろ !
[身動ぎするが、
体格の差か大した抵抗にはならなかった。
緋色の髪が近くで揺れるのに、眩暈すら覚える。]
[耳元で何度も泡沫が弾けた。
少年の様に欲望にあけすけでいて、大人の掠れた艶を持つ、独特のジュアンの声。饒舌なおしゃべりが、クァルトゥスを刺激する。熱い吐息を乗せて送って来るのが、愛らしい。]
・・ジュアン。
[女神をウェスペルが見たと云うのは、ジュアンの邪推であった。
寧ろ、クァルトゥスが諸候に挑んだ際の“やり口”──目的の為には手段を選ばぬ、クァルトゥスの冷酷と傲慢を深く知り、更に《密約》を結んでいるジュアンが、よりクァルトゥスに近しい存在だと云えた。
だが、クァルトゥスは唇を歪め、ジュアンの名を意味ありげに呼ぶだけで、それを伝える事はしない。]
[ジュアンの裡に埋め込まれた《青》が、一度大きく脈打つ。その存在を誇示するかの様に。]
…目に見えぬ「何か」か。
よかろう。
[クァルトゥス自身は思案する様に、一度隻眼を細めた。]
[焔の熱さと相反する凍てつく冷気は
異様な存在感を放つ。
体を捩ってもあまり意味を成さない。]
女神、だと?
[眉根を寄せて睨むように見上げた。]
は、諸侯に挑むとは大きく出たものだな……
道理で探し当てられぬわけ、だ。
[赤黒い義手は封印。
力失ってなお這い出てきたか、この魔は。
ウェスペルは微かに笑みを浮かべた]
恩寵であるならば、私は感謝せねばなるまい。
私の預かり知らぬところで
勝手に消えられるのはなお許しがたいことだからな――
[だが笑みもすぐに消える。]
――ッ…!
[古傷をなぞられて息が詰まる。
ぞくりと背を走る震えをやり過ごすように
一瞬ぎゅっと眼を瞑る。
触るな、と微かに声。
耳にかかる息は熱いのに触れた指は酷く冷たい。]
――な、に……貴様ッ!
[声を荒げ、噛み付くように睨む。]
傷を刻み、戒め、この私に与えた屈辱
忘れたなどと、許さんぞ!
[義手を跳ね除けようと、腕に力を込めた。]
[ウェスペルに触れている義手の内側が軋んだ様な音を立てた。
クァルトゥスの脇腹にどす黒い血が滲み、魔法陣が浮かび上がる。室内に血の匂いが広がった。ジュアンの眼球を受け取った漆黒の腕が、クァルトゥスとウェスペルの背後に浮かび上がり──、]
[音も無く 消えた。]
[漆黒の腕は、両性具有の裸身をあらわにするザリチェと対峙する、ジュアンの元へ。]
[――挑んだのはこのウェスペルのほうであっただろう。
強大な力を有する、緋色の魔を
相容れぬ、いけ好かぬと思っていたのやも知れない。
触れる事も触れられる事も好まぬ魔にとっては
静寂を好むかれにとっては
珍しく、
本当に珍しく
烈しい感情を抱いた相手であり、――そして今も。]
戒めて置かねば、
忌々しい封印のおかげで、記憶が欠落する可能性があるからな。
[抵抗し難いのには、体格では無く過去に由来する精神的な問題もあるのだろうと、胸中密やかに笑みを漏らしながら、クァルトゥスは云った。眉を顰め睨み上げて来るウェスペルの瞳の色が猫の様だと、クァルトゥスは思う。
一瞬、閉じられたウェスペルの目蓋に舌で触れ、]
忘れたと云ったら、お前の針で貫かれるのだろうな。
それも悪く無い。
[義手を振り払おうと力を籠められた手首を、わざと付き離した。
かわりに、離された反動でバランスを失ったウェスペルを、後ろから抱きかかえる様にしてソファに倒れ込み、スプリングに沈めさせた。]
可愛いな。
・・ウェス。
お前に云われると、殺されてやりたくなるが…。クックック
私を殺したい者はお前だけではないらしい。
[クァルトゥスに恨みを持つ悪魔。屋敷を襲ったアーヴァインを始め《候補者》たち──その中には《密約》を結んだはずのジュアンも含まれる。]
ああ… 傷は隠すな。
[上から覆い被さる様にして、今度はウェスペルの手首に唇で触れた。袖口を犬歯で引き裂き、ウェスペルの傷痕をあらわにしようと──。
手首以外、ウェスペルの身体には触れては居ない。おそらく、今、俊敏なウェスペルが身を翻せば、逃れる事も反撃する事も*可能だろうと思われた*。]
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