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[あのバカ提督は球磨が生き延びられるように良かれと思ってやったのだろう。だがそれは言うまでもなく逆効果だ。主砲も魚雷もない状態では、戦えるはずがないではないか。
むろん戦ったところで、残された遠征隊と球磨だけではどうしようもなかっただろうが……球磨だけは、沈められては復活し、また沈められ……まさに生き地獄を味わう羽目になった。
そして最後の轟沈、愚かな戦術を取った彼を恨みながら沈んでいった球磨は気が付くと――深海棲艦となっていたのだった]
(深海棲艦になったら、もう艦娘を沈めたいと言う衝動からは逃れられない。終わりのない復讐を、自分がもう一度死ぬまで実行し続けるしかない……虚しくてぬるい、無駄な戦いだクマ)
――さあ!魚雷発射、艦載機出撃、主砲用意!水平線の鎮守府を、影も形もなく有耶無耶にするクマ―!!
[ついに、本陣たる球磨の艦隊が前進を始める。練度の低さから、艦娘にとってあまり脅威ではないが、鎮守府自体に届けば、確実に壊滅せしめる威力を持って]
[前線に出なくていい。
そう聞いて浮かんできた感情は、実力を認められていない悔しさと、それを上回る安堵だった。
任務に意識が行き、それがふと緩んだことで、頭に浮かんできた顔があった]
そういえば、東雲はどこに行っているのか知らない?
[指令を持ってきた艦娘に聞く。
一昨日は任務で会うことができず、そのまま事件が起こり、昨日までずっと作業をしていたため、気にする暇が無かった。
帰ってきているのなら、一緒に任務ができるかもしれない。
そう思ったのだが]
――――――。
[目の前の艦娘は、思ってもみないことを告げてきた]
………………え?
―1030:出撃後、艦砲射撃―
[それぞれ出撃した艦と同速で私も進軍する。30ノットで四半刻程も進めば、水平線上に敵艦隊を補足した。報告に会った大艦隊も確認。
今の私は、視認さえできればあとは狙いを付けることができる。戦艦なら視認可能距離は34km。小型の駆逐艦でも28kmまでは補足可能だ。
回頭し、味方の艦隊を見送り、精密射撃の体制に入る。味方艦が会敵するまでに牽制砲撃をする。もっとも、それは的中を狙うものだが。弾頭、炸薬を詰めると、最後の、暁と行った演習が思い起こされた。誰に言うでもなく呟き、準備を始める。]
暁。全部すっ飛ばして見本を見せてあげる。
艦砲射撃とは、こうするのよ。
大和型搭載測距儀、基線長15.28m、倍率30倍、誤差率0.001%。
角度測定、角度89.150°、89.165°、89.064°、89.101°
距離計測結果、30897.01m。31452.12m、28057.74m、29212.71m
これより砲塔側での修正に入る。
動揺修正。動的方位盤占位差修正。取付面傾度修正。目標運動見越。再度動的方位盤占位差修正。高低差上下修正。間隔差上下修正。間隔差左右修正。間隔差距離修正。弾種弾量修正。視風力修正。気温修正。出跳角修正。
発砲諸元、よし。
照尺、よし。
戦艦霧島。主砲、四基九門、砲撃開始します。
[淡々とした口調。全ての調整を終え、狙いを定めて、各艦隊毎に迎撃を行う。佐々穂鎮守府の悪夢を見せてやる。司令の命令には、目標の拿捕が含まれているが、瀕死にして持ち帰ればいい。私が彼女らの尻拭いをするのなら、撃沈間際まで痛みを分からせるのが責務ってやつだ。一基撃ち、一基撃ち、一基撃ち、一基撃てば、最初の一基が次の装填を終了している。戦艦の主砲は、敵艦隊へと降り注ぐ。]
>>71
[不揃いだった鼓動が次第に重なっていく。熱も鼓動も一つになって、帰ってきてくれのだとやっと実感する。]
でも…でも…約束、破ったから…許してあげない、のですっ…。
[なんて涙混じりで、少し悪戯っぽくそんな返事をして…こつんと額が触れる程に顔を近付けて]
許して…っ、あげないのです…。
…一緒に帰って…毎日、毎日いつでもそばにいて…離れないって、約束してくれないと…。
許してなんか…。
[光を取り戻していく瞳の色の奥を、息すら掛かるほどの距離でしっかり見つめながら、言う。]
/*>>*85龍驤ちゃん
球磨としては何の問題もないクマ。こっちのは見た目と威力だけの張りぼて艦隊だし、対比としても丁度いいクマー。
>>73>>75
(……予想外に撃ち洩らしが多い…ッ!)
[この後、を考えるとあまり良い展開ではない。
幸いにして龍驤は下がってくれたが――]
…あの子、やるじゃない…!
[――翔鶴は楽にはいかない様だ。
反転される事は考えて多少の練習はした。だが、気迫を持って突撃されることは考えてなかった。故に、即座に角度を変えて三式弾で迎撃するなどという技はできなかった]
(――できれば、日の出までは持たせたかった…!)
[砲撃は相変わらず遠方の敵に続けて――]
― 08:23 ―
[基地の中を走る。
呼吸は乱れて滅茶苦茶であり、速度もいつもと比べるべくもない。
それでも、全力で走る]
東雲……!
[あの艦娘はこう言っていた。
東雲は任務中に行方不明になり未帰還である。本部は深海棲艦によって撃沈させられたものと考えている、と]
そんな……そんなはず……!
[信じられない。信じたく、無かった]
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