猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリスの寝顔を見つめています。今、言っても意味がないだろうと思いつつも、小さな声で言いました。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「何もいえなくて…すみませんでした。なんでしょうね…」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「ボクは何を怖がっているんでしょうね。それも分からなくなってきました」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「あなたを苦しめているのは…ただ、ボクが弱虫でバカだからです、ね。」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「…ホントは嬉しかったんですよ？すきって言ってくれた事も、好きでいてくれることも…」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリスに、ぽつぽつと言葉をつむぎ続けています。寝ている相手に。ずるい男なのです。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「ボクは…あなたの夢をステキだと思いました。だから…」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「その夢を追いかける姿を見てみたいし、追いかけて欲しいと思うんです」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「猫かし屋ですから…、えぇ…いくつかの街や村を回っているもので…その…」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「ずっと傍にいてあげられる訳ではないのです。もちろん、ずっと離れる訳でもありませんが…」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「…」猫かし屋はいつの間に、ポラリスと付き合った後のことまで不安に思っていたのでした。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「…」えぇ、遠くを見すぎて近くの事をよく見れていないのですね。愚かな猫かし屋さんです。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリスの手をそっと握りました。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリス「………。」

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリスに語る言葉が途切れました。ぐるぐるといくつもの言葉が駆け巡って何も出てこなくなってしまったのです。

猫かし屋 ルルは、詠み手 ポラリスの手を握ったまま、いつの間にか眠りについてしまいました。