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[このリージョンは、幾つか他のリージョンと異なる点があった。周りのリージョンとの交流が無かった為、一部の認識が違っているのだ。
例えば、このイリーナは自分の種族をエスパーだと名乗っている。
これは、このリージョンにおいては後天的に術の素質を得る術が無い為、術の素質が無いヒューマンを人間として、術の素質のあるヒューマンをエスパーとして、素質の有無を種族の違いとして捉えて居た事に起因する。]
っち、次から次へと数は少ないけど……モンスターにロボットか!
[塔を登り、次の階層への扉を開けば、貴族と自称する妖魔が挨拶代わりに、視線による魅了を仕掛けてくる。妖魔とモンスターの区別が付いていないのも、このリージョンの種族認識の特徴と言える。
歯噛みして抵抗し、大きく踏み込んで素早く接近しての飛び膝蹴り。
それで貴族を沈めるも、貴族のそばに居た鋼鉄のメカが此方へ歩み寄ってぶん殴ってくる。腕で防いで吹っ飛び、荒い息が漏れ続ける。]
[ミアの声が、止めている。
下級妖魔相手にならば、今のケヴィンは難なく蹴散らせた。この程度の相手なら、ジャッカルの方が何倍も強かったから。
それでも、ラス・アルゲティに敵うか、と言えば。
ケヴィンは、そのままでは勝てないだろう。]
[――ケヴィンは、"実験体"だった。
空術の資質保持者を戦闘員にする計画。
これは、ケヴィンの実験の"失敗"を経て動かされた計画だった。
不思議空間、トワイライトゾーンの発現。
これが実験の目的だった。
その空間では、戦闘員やモンスターの能力は3倍になるのだ。]
トワイライトゾーンはネタ的に使う気だったからな(
さて、手札のカード(複線)は大体切った。
あとは物語を動かすだけだな。
[ミアの声は、聞こえていた。
それでも決意の意思は、揺るがない。]
ごめんな……、それでも。
[逃げられない戦いは、ある、と。
ケヴィンは、思っていたから。]
どうして……。
どうして……??
[ミアは指輪を通し、ケヴィンに向けて語りかけた。
行かないでと、あの方には敵わないからと。
なのに、ケヴィンは引き返さない。
ごめんと言って、それでも逃げない]
どうして、そんなに、あなたは……!
[どうしてそんなに見苦しく戦うのか分からない。
絶対的な強さを信じようとせず、生まれもった違いを認めようとせず、
なぜそれでも天に向かって歩こうとするのか。
それはミアにはない形の、
つよさ]
ケヴィンさん、そうまでして、
何をしにそこへ……?
何のためなのですか?
誰のためなのですか?
……、
[ためらって]
……、
[期待して]
……、
[期待してはだめだと言い聞かせて]
……わたし?
/*邪魔してはならんところだった、・・・ここに置いとこう。
[腕の痛みは麻痺してきている。呼吸を整え、肩で息をしながら考える。
自称貴族には技は通じても、メカ相手には通じない。
文字通り硬度が違いすぎる為だ。イリーナはその事をよく理解していた。
では炎の術?否だ。あのメカはそれでは倒しきれない。]
は、はは……さよならっ!
[だから、逃げる。速度を生かして逃げる。逃げ出す。
メカは当然追ってくるが、自称貴族から一定距離以上に離れる事はできないらしい。だから、その隙を付いて、駆け抜ける。そして彼らの居た向こう側の扉を抜けて――、そこは雲が下に見えるような場所。
その先には、自分で動く階段が存在した。その先のとても高い所に、扉が浮いていた。あの先こそ、《塔》の外と言い伝えられている。]
[言葉ではなく、想いで応えた。
ミアのことが、好きだから。
ミアのため、ではないかもしれない。
ミアのことを想うと、いてもたってもいられないのだ。
あの哀しい顔を思い出すと。
あの小さな微笑みを思い出すと。
諦めたくはない。
ミアのことが、好きだ。
これが愛なのかは、分からない。
その、想いが。
ケヴィンを、突き動かしていた。]
[――五体、六体、と次々襲い掛かる下級妖魔と戦いながら。ミアのことを、想う。]
……。
[動きは静かに、流れるように。
一つ、また一つと宮殿の奥へ歩みを進めていく。]
[「想い」。
それは、言葉のように飾れなくて不格好で、
誤魔化しようがなく真実で、
それは、なんて、
きれいなんだろう]
[目覚めてからずっと、誰かの物であった心に、
そういう生き方しか知らなかった身に、
はじめて、
「わがまま」をゆるした]
わたしも……貴方が……好き……!
[心術、覚醒。
己の潜在能力を引き出し、全能力を発現させる術。]
……っ!
[ミアから、伝わる"想い"に。
ケヴィンは、湧き上がる力を感じた。]
─ マジックキングダム ─
[ついに指輪を抱きしめてぽろぽろと涙をこぼし始めたミアに、術士たちは慌てながら次の方法を考え始めた]
テレビ放送で……助けを求める……?
[ゲートでコルネフォーロスに直接ミアを送り届けることも出来るが、それでは帰る方法がないかもしれないし、そもそも連れて逃げる事さえできないかもしれない。
それならば、誰かシップや戦闘力を持っている味方を募り、一緒に行ってはどうかというのだ]
リージョン・スター・チャンネルに、わたしを送って貰えますか?
[おれがおれが、と何本もの手があがった。
良く見たら魅了をかけていない術士の手も挙がっていたが、あまり深く考えない方がいいかもしれない]
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