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−博士の研究所−
ゲンさん…と、えっと、お姉さん!
[不意に一瞬だけ目に意思が戻り、口が動く。けれど体は動かない。相棒と共闘していた二人に、声をかける]
ごめん!ここお願い!
こっちは任せて!
[わらわら沸いて出たメカにも感染して奪い取るって手段もあるにはあった。でも、こうして意識を分けているのもかなり大変だ。
アレだけの数相手にしてたら、こっちの意識が持つか分からない。
本当に、わらわらたくさん感染者を従えたシックネスはすごかったんだと、今思う。よく壊れないもんだ。いや、もう壊れてたんだろうか。―――それは、今考えることじゃないか]
きっと ぜったい もどる から
あいぼう
つれて!
[言い置いて意識をまた、潜らせる。
―――わらわら沸いたメカたちは、生き物を狙うよう設定されてるらしいけど。意識を潜らせてる間はどう見ても死人のスーと、機能を停止させた相棒は、彼らの定義する『生き物』のカテゴリーに入るんだろうか?]
−ジャスティスKの頭ん中−
『ヒトの話を聞きなさいよ』
[会話を成立させる気配も見せずに独り言みたいに零す相手>>33に、ため息…であってるんだろうか。この空間では。呆れた感情を漏らした。
なんだろう?コイツもシックネスとおんなじ手合いなんだろうか]
『そりゃ…』
[その場に居るのとは別の自分を動かすような感覚]
『こうするさ』
[ぐいっ。向けた銃口をそのまま上向かせる。
なんせこっちはプログラムじゃなくて物理的なウイルスだ。相棒がやってるみたいにプログラムへ直接干渉するならともかく、物理的な乗っ取りだけなら、たぶんこっちの方が早い。
頭の中身をどうこうする必要なんてなくて、駆動する関節自体にこっちが直接介入すれば済む話だ]
『もう一回聞くよ。君、だれ?
スーさんちょっと怒ってます』
[矛先を向けられたのが、相棒だったから]
【ラス・アルゲティ】
─ ネルソン ─
[ちゃぷちゃぷんと、静かな波が船底に当たる音がしている。音は広い洞窟内で反響し、前後左右のみならず、上下からも波の音に包まれ抱かれているようだ]
[ここはネルソン。
海水が浸入する広い広い洞窟内に、港兼シップ発着場を兼ね備えた、小さなリージョンだった。
100年前はトリニティに反抗する海賊達の隠れ家だったが、トリニティの解体と共にその役目を終え、今は漁業と観光を収入に、細々と生活をつなぐ静かな場所]
[今、その港町の酒場に、2人の旅行客が現れた。
店員と、客の漁師達は、入口に目をやり、ギョッとする。
こんな場末の酒場には相応しくない……どころか異様と言ってもいいくらい美麗な2人組であった。
1人はすらりとした姿に長いアッシュブロンド。黄色と黒の上質な衣装に身を包んだ男性。
もう1人は、落ち着いた緑の礼装を纏った、まだあどけなさの残る紫髪の少年だった]
『何になさいますか?』
[女より綺麗な男性に、酒場のバニーガールは緊張しながら尋ねた。
この2人が食べたり飲んだりするところは想像もつかなかったが、放置しているわけにもいくまい]
[2人組は……もちろん、銀翅の君ラス・アルゲティとそのコレクションであった。
ラスは目を細めて、バニーガールに微笑みを下賜してやると]
血と恐怖を。
[所望した。
意味を理解できずに立ちつくすバニーガールへ
『ファッシネイション』
[魅了の力が、沁み渡った。
……酒場に、恐怖と絶望の叫びが溢れた]*
【ジャスティスK】
─ 電子世界 ─
[さっきまで近くに居た姉>>35の声が聞こえない。
制御プログラムの悲鳴と、「かれ」の声>>33と、見知らぬ誰かの声>>41と、
そして、ずっと出番を待っていたプログラム>>5:227の歓声と、
様々が混ざって、好き勝手にわめいて]
何も聞こえませ……!
い、たい……!
【ジャスティスK?】
ふむ。
ジャミングとも違うか。
指令を送っても、腕の神経系が存在しないか、接続されていないと返る。つまり、この腕は、Kの一部ではなくなった、と。
合一系のモンスターか。
[やっぱり話なんか聞いちゃいねーな感じで、そうつぶやくと]
だが、所詮生体。
これならどうかね?
[ジャスティスKの体が細かく振動し、熱を持ち始める。電子レンジの要領で。
耐熱性能を比べようというように]
― パーミュ・中島製作所 ―
[社長との話を切り上げて、まだあどけなさが残る少年に、「久しぶり」と手を上げてから、そう言えばこのルートではこの少年とすでに知り合っていたか少し迷う]
(いや、まあどうでもいーか)
[適当に少年と会話したあと、おもむろに、]
バーミュにあった古代シップの修理を頼みたいんだけども・・・。
[修理は無理であると断じた少年に、そう切り出すのだった]
−相棒の体ん中−
………うそだ
[思わず呟いた。そこに、相棒の意識らしいものが感じられなかったから。
そこに居たのは、ぜんぜん生きてるっぽくない、無機質ななにかだったから>>5:227。
ただ、殺せ。と。それだけを命令するものだったから。
相棒が居るはずのそこに、相棒が居なかったから]
だって。やくそく。絶対、一緒に旅するって…!
[声の大きさとは裏腹に、あたり一面響き渡るようなに感じたのは、きっとそこが、物理的な場所じゃなくて、『中身』の場所だったから。
だって言うのに、相棒からの返事はなくて。まるで冷たいものに触れてしまったみたいに、その場で凍りついた]
−???−
『いきたい。
たべたい。
ひとつになりたい。
あいしたい。』
[そんな声が聞こえたのは、自分の中に取り込んだシックネスが漏らした、断末魔だったんだろうか]
いきたい。ちがう。生きるんだ。相棒といっしょに。
たべたい。ちがう。それが目的なんかじゃない。
ひとつになりたい。ちがう。一緒に歩きたいんだ。
あいしたい。―――ちがう!
「「「こんなとこで…」」」
諦めるかぁあああ!!
[そうだ。まだ死んでない。まだ生きてる。
だから、生きてる限り、生きるんだ。
断末魔になんて、しない!]
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