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…やっぱりこの街に、蒸気が無い場所なんて無いのかな。
[町外れを歩く少年は、一人ぼそりとつぶやいた。周りをキョロキョロと見渡している。]
これ以上離れると街の外に出ちゃいそうだ。今日はここまで…ん?どこだろう、ここ。
周りに箱?みたいな物もたくさんあるし…なんだろう?
[少年はそう言いながら足元にある四角い何かを持ち上げようとした。が、持ち上がることは無かった。]
うわ、重い!まったく持ち上がらないよ…
あれ?もしかして地面にくっついてるのかな?ってことはこれは建物?この穴は窓で、この木の板は…ドアなのかな?
とても人が入れそうには無いな…うーん、なんだろうコレ?
[物珍しそうに建物?を眺めた後、ドアらしきものを開けようと手を伸ばし…触れた瞬間、少年は姿を消した。]
悪ガキ ジュスト は 街の少年 ジュスト に、くらすちぇーんじ!
風変わりと言えば、
店長が居なくて何時も代理ばかりが店に居たり、
店内に沢山ある扉は、色んな世界に繋がっているという話かも。
噂になってたんだ。
そうだ、ココアは冷たくていい?
[カウンターの内側で、冷蔵庫から朝焼けの様な薔薇色の液体の入った瓶を取り出し、次にお日様色の瓶を取り出す。細長い硝子のコップに氷を入れて最初に薔薇色、次にお日様色を注ぎ、キンとした冷水で薄める。]
わ!わ!わ!建物の中!?なんで!?ここはどこ!?
[少年は困惑してる様子で声を上げた。そして周りを見渡して一言。]
うわぁ…扉がたくさんある。なんだろうここは…え!?
[少年は楽しげに話す儚げな少女と黄金に輝く鳥。そして働いているネズミと小さな少女に気がついた。]
…僕は夢でも見ているのかな?
[てってけてーと再びマウ君が戻ってきた。
沢山の色とりどりの花を抱えている。]
お、マウ君おかえり。
早かった。
お花にハーブなら店の傍に沢山あるのよ。
これを、最後の味付けにそっと絞って。
[セレスは、琥珀◆色の花の奥に手を差し入れると、小さな袋をもぎ、ぷしゅりと細長い硝子の湖面に飛沫を散らした。]
[マウ君と呼ばれるネズミを見送って]
代理ばっかり?
ここの本当の店長さんはどこに行っちゃったの?
[首を傾げつつ。
色んな世界に繋がっているらしいドアをじーっと眺めた。
さすが夢の世界、なかなかファンタジー設定だ。
少女はまだ自分の夢の中だと信じている。
それは間違いかもしれないし、あっているのかもしれないが]
[セレスの手元を飽くことなく、目をキラキラさせて見ていた。
こんな風に飲み物を作ってもらうなんて初めてで]
セレスさん、魔法使いみたいだね。
[どんな味かな。最後には何色になるのかな。
そう思っていると、ふっとドアの開く音と声がして、振り返る]
なんだか、信じられないや…鳥が喋って、ネズミや小さな人が働いてるなんて…
[しばらく経ってから少年は我に戻ったようだ。]
まぁ、夢でも何でも良いや!面白そうだし!
[…様子を見ると我に戻ったというより、投げやり気味になったという方が正しいかもしれない。]
[そこにいたのは男の子だった。
なんだか驚いて、すぐに声が出てこなくて瞬きを繰り返す。
でも彼の呟きが耳に届いて]
夢仲間さん……?
[セレスやコガネウタドリに向けるのとは少し違う緊張]
こんにちは。
えーと、結局ここは何なんだろう?
たくさんのドア。綺麗な装飾。カウンターがある。
雰囲気や内装から考えるとおしゃれな飲食店な気がするんだけど…それならなんでこんなたくさんの扉があるんだろう?
[先ほどまで物珍しげに見ていた箱の中に入ったということに気づいてはいない様子。今はたくさんある扉に興味を引かれているようだ。]
(スーパー、確か食料品が沢山あるお店のこと。)
雪、大きな人達の住む街のように、
小さな人達のところにもあればいいけど、
スーパーはこの近くにはないのよ。
それには街の賑わってる所まで行かないとならない。
わ…ぁ、次なるお客さん。
千客万来。
[小さくガッツポーズ。]
ようこそ。
ここは小さなもの達のカフェ。
[にっこり。それから、雪に出す硝子のコップに、中が空洞になった植物の茎のストローを差し入れて、雪の目の前の机に葉っぱを敷き、硝子のコップを置いた。]
「夢仲間さん…?こんにちは」
[そんな声が聞こえた気がして、少年が前を向くと少女が居た。]
おっと、こんにちは。えーと、夢…仲間?ってことはやっぱりこれは夢なのかな?
君はどうやってここに来たのか、覚えてる?
僕は外の箱を覗き込んでたら、いつの間にかここに居たんだけど…
[少年は少女に問いかける。]
[飲み物は、表層がきらきらと光っている。一番下は薔薇色、中層はお日様色、上層は澄んだ色で。]
花のエキスで作った、ええと、花のジュース……
[見かねたマウ君に耳打ちしてもらう]
朝焼けに咲く花で作ったジュース。
さっぱりしてて、少し甘い。
[そそそそ、と恥ずかしそうに退き、]
「ようこそ。ここは小さなもの達のカフェ」
わ、わ。こんにちは。小さなもの達の…カフェ?やっぱりここは飲食店だったのかぁ。
…って、小さなもの達の…?
[少年は少し引っ掛かるところがあるようだ。]
本当の店長が何をしてるか分からないけど、
そうやってカフェは回ってるのよ。
[魔法使いと言われた時に照れた顔は、今も少しだけ赤い。
少年は扉が気になっていそうだったが、セレスは、再度少年が扉に興味を向けた時に話をするだろう。冒険に行きたそうなら、戻ってくるよう注意はして。]
メニューどうぞ。
[そっと少年にメニューを差し出して、一旦カウンター内に戻るつもり。*]
箱は…小さな建物?あのドアに入れるぐらいに小さなもの達のための、カフェってこと?
もしかして、僕はあの小さな箱の中に!?箱の中はカフェだったって事!?
ごめんなさい!持ち上げようとしちゃって…。
お詫びに手伝えることがあるなら手伝わせてもらいます。困ったこととかありませんか?
[少年は罪悪感を感じながら、働いている少女へと問いかけた。]
(…あれ?でもどうやって入ったんだろう?)
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