四方天・ウィルフレッド・転

―東ブロック・病院―
[病院に付き添って容態の説明等を受けているうちに気付けば朝が来ていた。]

取り敢えず肉体的には成功みたいでよかった！
まぁ、魔術で修復も掛けたし困るよね、成功してもらわないと。

[そう、問題は肉体よりも魔術回路の方だ。
爆発は魔術回路に起因しているように見えたから。]

措置も一応お願いしたし、後は時間に任せるしかないね。
それにまだ戦争は終わってないから余裕はそんなにないもんね。

よしかえろうヴォルフ。

[まずは回復とばかりにきたくをうながした。
槍の主従が消えた以上残る主従は自分をいれて二組だ。
ならば万全の状態を作らねばならない。
そう考えたから。]

セイバー ポンヤウンペ

――、……そうだな。


[やや沈んだ声であったが、ふるふると首を横にふると両手で自分の顔を挟むように叩く。あの暴発は、深い嘆きとポンヤウンペには聞こえた。――だが。]


ハルミは生きている。
生きていれば、
また歩いていける。


[呟くと、顔をあげた。]


うん。
そうしよう。

セイバー ポンヤウンペ

――――、ウィルフ。



むーさんが破れて、
あとは、ぼくらと
フナサカたち。
残り、二組だな。

[思案するように眉を寄せる。]

セイバー ポンヤウンペ

ナカバは謂っていた。
残り二組になれば、
自分が何とかする、と。

でも。
何とかしようとすることを 「教会」は、……あの神父は、
アベノミカド 、
……だったか。

かれが、見逃すとは思えない。

セイバー ポンヤウンペ

フナサカと、
彼のマスターと話をしたい。
ナカバを見つけ、
守らなければならないのではないかと――そんな、話を。


雌雄は決さなければならないが、その前に。



[拠点への道すがら、
少年は、そう静かに口にしたのであった**]

Souffle （スフレ）

― 夜/隠岐工房前 ―

[―― サイレンの音が鳴っている。
スフレが気づいたのは、隠岐工房に到着した時のこと。
疲労の色濃く、けれど戦いが終わった時よりは回復している。
舩坂に確認すれば、いつもの場所で休むらしい。

頷きだけ返して、女はカウンター奥の扉を通り、母屋へ向かった。]

Souffle （スフレ）

[渡り廊下の窓から見える空は狭く切り取られている。
朝には届かない。旭日もまだ見えないけれど。
滴るような星のいろ。或いは郷愁をもたらす冷たい月。

彼女にとってその景色は、哀しく/愛おしく/懐かしく薫る。
ただ一つ。知りたいと願うその先に、過去の景色を視る。
ただ一つ。為したいと願うその先に、未来の景色を視る。

壁で空が隠れてしまうまで、ずっと見止めていた。]

Souffle （スフレ）

― 隠岐工房/母屋 ―

[母屋へとやってきた。
居間を通る際、柩に眠る杯一杯に「ただいま」と告げる。
窓から入り込む蒼い月の輝き。
生い茂る木霊を濡らす斜陽ではない。
からだを濡らすあかいいろではない。
誰もいない――馴染んだ部屋の空気を濡らしていた。

居間から寝室へ。
寝室の壁に手で触れれば、からくり扉が作動し、秘密の部屋へと誘う。黒い羽織を脱ぐことも忘れて、薬品臭いその部屋へと入った。]

Souffle （スフレ）

[踏み場はない。床は調合するための材料で溢れている。
人はそれをガラクタというけれど、彼女にとっては宝の山。

部屋の隅はろくに整理されていない戸棚と本棚。
使い古した研究日誌と、知識を得る為の学術書。

中央に設置された机も、ところどころヒビ割れて痛んでいる。
毎日磨いてはいても、置かれた実験器具もどこか燻んでいた。
キュベット。ソックスレーの抽出器。ビュレットに冷却器。
何も入っていないデシケーター。るつぼ。レトルト。丸底。
一つ、一つと、懐かしむように指で触れていく。

水槽の中には、ミコトはいない。水泡だけが浮かんでいる。
もう片方の水泡は――長年追い続けた夢の痕。
二つが並ぶ隣の壁には、上書きを繰り返れて真っ黒な配分表。]

Souffle （スフレ）

　―― よし。

[まだ魔力の消費しても良い今の内に。
まだ身体を消費すべきではない夜の内に。
これまで続けた研究の一切を廃棄する。
これまで集めた欠片の一切を、別の一点を目指す為に消費する。]

Souffle （スフレ）

Sang je tire dans les branches et les feuilles.
私の血液は枝葉を手繰る。

Quatre elements pour creer les branches et les feuilles.
始まりの四大は枝葉を創る。

Mihara qualite represente la liste de vie.
三の原質は生命の理を表す。

Premiere messe sera mon serpent,
Mal a ete corrigee par le blaspheme.
イリヤステルは蛇となり、不純は神への冒涜によって正された。

Je recois toutes choses , Ma vie est une flamme.
万物は我が手に、焔は我が血に。

Voici la circulation de faux.Factor est repeinte pour moi.
偽りの循環をここに。因子は私に塗り替えられた。

Souffle （スフレ）

Je certifie par la Presente mon sublation.
我が命の止揚をここに証明する。

[十の小節を以って、自然物から元素を抽出する。
黒曜石よりは地を。樒の葉よりは風を。
純水よりは水を。鋼玉よりは火を。
――光り輝くレトルトからは、空を。]

Souffle （スフレ）

　……くっ
　もうちょい、もう……ちょい、……っ、

[各レトルトから釜に溜まっていく紅い液体を見つめる。
昨日の夜から、ずっと魔術回路は作動し続けている。

"これ"を完成へ近づけるために魔力を消費し、
舩坂の戦いを支援するために魔力を垂れ流し、
"これ"を完成させるために、また回路を傷つけている。]

　―――、ハ、

[彼女自身にも不明な笑みがこぼれた。
諧謔か、はたまた欲求を満たすことによる至福のそれか。

釜に液体が溜まりきるまで、零れる汗も、血管を千切ってしまおうとする魔力の奔流も、口内にこみ上げてきた血の塊も、気付かないフリを続けた。]

Souffle （スフレ）

― 朝方/隠岐工房・秘密の部屋 ―

[――以って全ては終わった。
女の前には、生命の/焔の/斜陽のあかいいろをした釜の液体。
手を浸すと、液体は発火を始めた。
燃え広がるようなそれではなく、小さく、凝縮されていく。

傍らの机に実験器具はない。
代わりに、"個"のない人形のような体が置かれている。

震える手先。ふらつく足。霞む景色。痛む回路。
全てを、関係ないと否定して、手甲のような手袋をはめた。
凝縮した紅い炎を、掴む。]

　さ　ァて。
　こ　　　　れで、　　　完成、　　しとくれよ……。

[凝縮された炎を、魂無き肉体の胸の辺りに触れさせる。
生命を生み出し、循環させる"心臓"となる紅い炎。
―― つぷりと、沈むように器の中へと入り込んでいった。]

Souffle （スフレ）

　・・・・

　…………、よし。

[魂無き器を、簡単な寝袋に詰め、背に負う。

そのまま母屋の側から回りこんで、軽トラックの荷台に積載した。]

Souffle （スフレ）

　後は、舩坂起こして、それで……
　あ、ああ。先に、魔力回復せな、
　……舩坂、だいじょう、ぶ、かな………。

[再び回り込んで母屋へ帰るほどの体力はない。
店舗の扉を引いて、中へと入る。
舩坂は眠っているだろうか、起きているだろうか。
確認しようと顔を上げて、]

　　、　　　　　。

[もうすぐ夜明けだというのに。
何故か、景色は暗く塗り潰されている。
――すぐ近くで、何かが倒れる音が聞こえた。
自分が倒れた音だと気付くのは、まだ少し、後のこと。**]

四方天・ウィルフレッド・転

ああ、半葉は何とかするって言ってたねー。
それに教会がなにか企んでいるなら見逃すはずもないねー。

はなしが必要だねぇ…。
フナサカが半葉LOVEならなおさらだよね。
それに聞いてもらえないにしても倒さなきゃだし！

取り敢えず今日はフナサカ達に接触しよう。
うん、決めた決めた。

四方天・ウィルフレッド・転

―拠点・朝―
えーっと どっかにあったよね。
使わないかなと思ってたけど用意しておいてよかった！

[探すのは魔術師にだけわかるような狼煙だった。
フナサカの主従に接触すると決めたのはよいが方法がなかった。
其処で思い浮かんだのが狼煙の存在だったのだ。
]

うーん、見つからない。
頑張って探そう、、

[呟きながらも探索を続けた**]

安部 御門

―？？？―

さて……と。


[帽子を深く被りなおす]


そろそろ、かな。
あの娘も聖杯へと戻ったらしいし。


さぁ……良き、終わりを。

バーサーカー 舩坂弘軍曹

― 朝方/隠岐工房―

［人が眠るのと同じように、舩坂も休眠状態になっていた。
とにもかくにも、その破損した霊体の補修に全ての魔力が注がれていた。無論、スフレからも大量に魔力を吸ったのだろう。

朝になれば、舩坂の身体は完全ではないにしろ行動に支障がない状態にまで戻っていた。
充てがわれた寝具からゆっくりと身体を起こす］

・・・・・・

［時計を見ると、朝というには日が昇っている時間だった。
立ち上がり、スフレの姿を探す。だが、いつもいる場所にその姿は無い］

スフレ殿。

［声を掛ける。だが返事がない］

バーサーカー 舩坂弘軍曹

・・・・・・？

［店内を歩いている舩坂の脚に何かが当たった。
棚に隠れてよく見えなかったが、そこにはスフレが倒れていた］

スフレ殿！！

［失敗した、そう感じた。
自身の戦闘力はマスターの魔力あってこそ。しかしランサー戦での消耗はやはり度を越していた。
自分が無理をさせてしまったのだ。

慌ててスフレの近くに膝をつき抱き上げる。
そのまま持ち上げ、近くのソファへとゆっくり寝かせる］

Souffle （スフレ）

　　　　　　　　　　　　　――綺麗な、光を見た。

Souffle （スフレ）

　山間から射す陽は木霊を濡らす。過ぎ去る雲に渦巻く風。
　川の流れに魚は逆さまに泳ぎ、野に咲く草花は揺れている。
　鳥は遠くに、大地を踏みしめる鹿の顔など知らんぷり。

　原始を思わせる景色の中で一人、
　体中に斑を浮かばせた少年は言葉を遺す。

　私に打ち勝った少年は、私を殺すことを放棄して
　私に殺される道を選び、美しい景色の中へと還っていった。

　　　　　　　　　　　　　――遠い、景色の話。
　ここには、何も無いと思っていたけれど。


　きっと、振り返るのは最後になるだろうと、予感がした。

Souffle （スフレ）

― 東/隠岐工房 ―

　――――――……？

[目を開く。
夢を見ていた気がする/ここがどこだったか思い出せない。
背中に、柔らかい感覚を覚えた。]

　私、確か……。

[思い出そうとする頭も働かない。
起こそうとする体も、重くて熱いものを感じる。
ぼんやりのした視界で、顔だけを動かして、周りを見た。]

　だ、れ……？

[人のかたちが見える。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

目が覚めたか。

［おしぼりをスフレの額に置こうとした時に、スフレの目が開いた］

どうしたあんな所に倒れていたのか。
昨日は無理をさせすぎてしまったのが原因なのか？

四方天・ウィルフレッド・転

あった！！

[目的の狼煙を見つけて頭の上に掲げた。
しかし問題は場所だった、何処へ呼び寄せるか。
それは最大の問題だった。]

ヴォルフ、この狼煙使ってフナサカ達に合図送ろうと思うけど何処で使うのがいいかな？

拠点近くの公園か、教会か、あるいはもう事故跡に入っちゃうか辺りで考えてるけどどう思う？

Souffle （スフレ）

[声が聞こえた。遅れて顔が明確になる。]

　舩坂。さん。

[名前は呪文のように。
今の状況が記憶に雪崩れ込んできた。]

　昨日のは、無いとは言わんけど。
　……どうしても、やっとかなあかんことがあって。

[舩坂が持つおしぼりが見えた。
その不似合いに/或いは別の何かに、思わず小さな笑みが零れた。]

　でも、休んでる暇なんか、ないんや。
　先に舩坂が満足できる分の魔力、回復せん、と。

[汗で濡れた着物を探る。
幾つかの薬瓶を取り出すも、目当てのものは見当たらない。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

・・・・・・小生はもう大丈夫だ。

休んでいる暇はないかもしれないが、満足に動けないまま戦場に出るわけにはいかぬ。

判断は、スフレ殿に任せる。
勝ち目の無い戦はすべきではない。

Souffle （スフレ）

　……万全で迎えられる死線は、そんな多くないやろ。

[服の中の「仕込み」には目当ては無いらしい。
出した薬瓶をしまうこともせずに、とにかく、ソファーの端を手がかりに、上半身だけでもと起こしにかかった。]

　……舩坂さん。
　ふたつ、お願いがあるんやけど。

[腕に触れた体が熱い。熱を持っているらしい、とようやく気づいた。]

Souffle （スフレ）

　おもやの、寝室の掛け軸。

　あれ押さえたら、私の内緒の部屋に行けるさかいに、……そこから、「移染」って書いてある薬瓶、取ってきてほしいんです。三つしかないから、多分分かると思う。

[舩坂には告げてもいない自分の顔。
スフレに/隠岐命にとっての恥部であり、深層であり、誇りでもある。
彼になら――と場所を教えたのは、スフレ自身も理解していない理由から。]

　…………あと、きがえ。

[小さく付け加えた。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

小生で良ければその願い叶えよう。

［生前も死後も、よく願い事をされるものだとふと思いながらも、スフレの言葉を正面から受け止めていた］

バーサーカー 舩坂弘軍曹

了解した。

［そんなものがあったのか、と驚きはしたが、スフレの言うとおりにする事にした。

その場から立ち上がり部屋を出て母屋へと。
寝室に入ると、確かに掛け軸がある。

軽く押すと、カラクリによって扉が現れ開く。
少し用心しながら、その中へと入っていく］

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［部屋に入ると、散乱した実験器具と薬と判る匂い、そして巨大なす水槽が目に入った］

・・・・・・

［魔術の研究・・・・・・スフレの研究がこの部屋に詰め込まれていた。
器具を掻き分け、薬瓶を探すが。ふと研究日誌や参考文献が目に留まる。

つい手を着けてしまい、ぱらぱらとページを捲る。日誌の大半は舩坂には理解出来ず、参考文献も英文は読み解けたがその内容は理解は出来なかった。

だが、うっすらと理解した。
彼女はホムンクルス、つまり人造人間のようなものの製造の研究をしていた。

そしてそれを裏付けたのは、水槽の中。
片方は空っぽだったが、もう片方にはスフレと全く同じ姿の人物が浮かんでいた。

舩坂は知らない。スフレとは別にミコトという存在があった事を。
だが、これによってスフレもまたそのような存在なのかもしれないと考えた］

四方天・ウィルフレッド・転

うん、教会前にするね。

[悩んだけど事故跡は危険。
だけど、現場に近いところと考えたら教会という結論に達した。
教会の眼が届くところだけど、逆に相手の出方を伺えると考えた。]

じゃあ、行こうか。
タクシーを呼ぶね。

[携帯端末に指を掛けてコールをしようとした。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［手をつけた本等を元の場所に戻し、見つけた薬瓶を手にその部屋を出る。

母屋の箪笥を開き服を見立て、杯の亡骸に礼をして店内に戻ってくる］

これでいいか。

［スフレが寝ているソファの近くのテーブルに服を置き、薬瓶は手渡そうとスフレに差し出した］

四方天・ウィルフレッド・転

でも、やっぱり怖いよね、教会前って。

[携帯端末に指を掛けながら+悩む+]

Souffle （スフレ）

　うん。ありがとう。
　――――、

[舩坂があの部屋を見て何を思ったのか。
スフレは問い質すべき口を持たない。
何とか体を起こして、薬瓶より先に用意された服へ手をかける。
今着ている服は汗で重くなっているらしい。]

　ん……紅いのか。……まあ紅いのしか持ってへんしな。
　洋服とは、私似合わへんし。

Souffle （スフレ）

[脱。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［一瞬の間があったように思えた。
きっと、スフレはあの部屋を舩坂に見せ、そして何かを問おうとしていたのだろう。
だが、舩坂にとって答えはたった１つであった。

赤紙を受け取ったものと受け取っていない者がいる。
親に愛情を注がれ育ったものと、孤児院で育った者がいる。
幸せな家庭を築いた者と、伴侶を早くに無くした者がいる。
天寿を全うした者と、戦場で散った者がいる。

世界は不条理で満ちており、それは例外などない。
故に人はそれを受け入れるべきであり、それならばスフレは特別な存在ではなく、無論言及する事でもなかった］

確かに紅い着物しかなかったな。
なら、洋服も偶には着てみれば良い。
紅い着物以外も着てみれば良い。

だが、それが不満なら着なくても良い。
全てはスフレ殿の心持ち次第であり、他人と比べる事など必要がない。
スフレ殿がそれを幸せと感じるならば、それで良いのだ。

バーサーカー 舩坂弘軍曹

！？

［言葉の最中に、急にスフレが脱ぎだした。
舩坂は慌てて背を向ける］


［女難：E--］

Souffle （スフレ）

　幸せ――

[ある少年は、長生きをしろと言った。
目の前の彼は、自分で決めることだと語る。
曖昧に笑いそうになって、]

　？

[慌てて背を背けた舩坂に首をかしげた。自分の体を見下ろす。

擦過傷。打撲傷。刃傷痕。銃創。咬創。拙い縫合の痕。
そして、陽を使う魔術師の少年に焼かれた傷に、
壊死した魔術回路の黒い痕。
スフレの体に傷の無い箇所は無く、あらゆる傷が在る。

下着をつけていないとか、男の前で着替えたことに対するあれこれであるとか、彼が女性に免疫の無さそうな軍人であるとか、本来あるべき成人女性的起伏が乏しいとか、女難の相がもうこれでもかとあるだとか、そういったことにはまるで気付く様子はなく、これのせいか、とスフレは一人頷いた。]

　なるほど。

[なるほど。]

Souffle （スフレ）

[※暫くお待ちください。]

Souffle （スフレ）

[着替え終わると、今度は薬瓶に手を出す。
蓋を開け、手甲をはめたままだった手に粉を振り撒く。]

Flamme mange l'âme.
（焔は偽りの魂を食らう）

Vous serez pris au piege dans la poupee.
（在りし日の貴方は心ない命に閉じ込められる。）

[手甲に振り撒いた粉が炎を伴う。
揺らめく炎から一本、蛇のような形で外炎がスフレの腕へ伸びた。
新しい着物の布を焼き、皮膚を破る。]

Souffle （スフレ）

[手甲の炎は腕に「接続」される。
炎に付与された性質は移染。今は、大気中の大源を変換し、スフレの体内へ炎を通じて無理矢理補給を行い始めた。]

　――――、ひとまずは、これでええやろ。
　舩坂が十分に戦える分くらいは、時間が経てば溜まるはず。

[――当然ながら、普段魔術回路に流れている魔力量よりも、大源より還元する魔力量は異なる。小さな堀に多すぎる水を流しても決壊を早めるだけの行為。
それでも、魔力の補充の速さと量だけを、今は求める。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

じゅ、準備は出来たか。

［背中を向けたまま、様子を伺う］

セイバー ポンヤウンペ

―中央区でのこと>>25 ―

狼煙は、ぼくらの時代にもあったな。

[なんだか懐かしそうな顔をしてから、
ウィルフの手の中の狼煙を見る。
文明の利器ばかり見てきたから、余計そうなのであろう]


――どこ、か。そうだな。
教会がいいだろうと思う。


[事故現場は危険、と謂うのは共通認識であるが―――]

Souffle （スフレ）

　…………舩坂さんなんか変やで。さっきから。

[じとー。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

・・・・・・

先に車に行っている。
用意が出来たら降りて来られたし。

［酷く居心地が悪くなり、そそくさとその部屋から退散する事にした。
女性耐性が無いというよりは、”触らぬ神に祟りなし”という感性に近かった］

四方天・ウィルフレッド・転

うん、じゃあ教会に行こう。
危険だけど、虎穴に入らずんば虎子を得ずって言うもんね。

[昔の諺を引用して返事に応える。
迷いや恐れは消えていた。]

よし、もう迷わない！！
いこう、ヴォルフ。

[歩きだすそしてタクシーを呼ぶ為に電話を鳴らす]

セイバー ポンヤウンペ

―中央区でのこと>>45―

残り2組――ぼくらだけになったことが
「なにか」のきっかけになるならば、
もう、悠長にしている時間はない。

教会前は、
ナカバのいう「歪み」の中心たる
事故現場の前だが身を隠せる場所も多い。


[己の考えを述べた後、深く頷いた>>48]

うん。行こう。
ぼくらは、ぼくらのなしたいことを。

Souffle （スフレ）

　…………ふむ。

[舩坂は一足先に軽トラックへ向かうようだ。
どこか居心地の悪そうな表情をしていた。つまり自分が理解していない内に舩坂の体調を悪化させる何かが湧いて出たのだ。しかし自分が目にしていないということは、恐らく目に見えない呪詛の類なのだろう。
つまり仮説はこうだ。自分がまだ張良と同居していた頃、杯一杯の元にいた舩坂は、偶然見た目麗しい女性に出会った。激昂した舩坂は「おなごがそのような衣服を着るとは何事でござるか！」とか叫びだし、女性は怯えて逃げてしまったのだろう。その姿を見た別の女性客が「何よフナちゃん！　今の子と一体どういう関係なのキーッ！」と立ち上がり、取っ組み合いの喧嘩の末に電柱の陰から見守っていた霜月半葉が見知らぬ女が兄のような存在を取り合っていると勘違いし、未だ見ぬ幽閉の場所から呪詛を送り続けているに違いない。だとすれば、舩坂の態度は、]

　お腹痛いんやったらそう言ってくれればええのに。

[まったくもう。]

Souffle （スフレ）

[手甲で燃える炎。腕に噛み付いた蛇の形の炎。
痛みを訴える魔術回路に十分以上の魔力が通っていることを確認し、舩坂の待つ車へ向かった。]

セイバー ポンヤウンペ

教会の近くの、
林――身を隠せる場所のあるあたりがいいかな。
気休め程度かもしれないけれど。

[狼煙を上げる場所を提案する。
それからタクシーの中、
自分の手を見下ろして静かに口を開いた。]


ウィルフ。


フナサカと切り結ぶにせよ、
「聖杯」に関するなんらかと
対峙することになるにせよ
君には今までにない無理を強いることになるだろう。

セイバー ポンヤウンペ

……何があろうと、
どうかぼくを信じてほしい。


ぼくを選んで呼び出した君にだからこそ。
きっと、まだ語らずに居る
ぼくのyukar（うた）を見届けてほしいと思う。

バーサーカー 舩坂弘軍曹

−軽トラック内−

［助手席に乗り込んでくるスフレを横目に見るようにし、舩坂は軽トラックのエンジンをスタートさせた］

多分、もう英霊は殆ど残っていないだろう。
無論小生にはそれを感知する力はないが、小生が脱落を確認した英霊は３名。残っていても小生とあと１名か２名と思っても差し支えないだろう。

ならば、スフレ殿が危惧していた男性も、そろそろ動き出す頃。
打って出るか？

セイバー ポンヤウンペ

君と共に聖杯に辿りつき、
ナカバを助ける。
必ず。


[きっぱりと言いきる少年の眸には、
やはり主と同じく迷いはない。

やがてタクシーは
目的地へと辿りつき―――]

四方天・ウィルフレッド・転

そうだね、一応魔術が使える人たち以外には分からないはず。
だけど教会の前に立ちすくんでたら怪しいよねー。

[>>52の言葉に頷く。
そして「無理」を強いる事になると言う言葉には軽く頷いて]

僕の任務だから気にしないで。
大丈夫、僕は召喚してから君を疑った事などない！！

嘘をつきたくないから言ってしまう。
僕の目的は聖杯の処理だ。
ただその目的は半葉の開放と一致するはずだから。
だから、出来る限りを尽くすよ！！

その言葉だけは信じて欲しい。
この先、何があっても信じて欲しいんだ……。

[想いを語るうちにタクシーは目的地に到着した。]

四方天・ウィルフレッド・転

―北・教会前―
[タクシーは程なく捕まり、素早く移動出来た。
人目につかないようにと教会前の木陰に移動した。]

よっと、此処にこれを設置して。
魔方陣はこれで、OK。

では、ヴォルフ、準備はいい？

[手早く簡易な魔法人を地面に描く。
そして準備が良いかをヴォルフに確認した。]

nicio Corazón transición espacio
私はいつでも完了している。

[同時に意識を切り替えて自分の準備を終えた。]

Souffle （スフレ）

[窓の外を見る。何らいつもと変わらない街並み。そこを行く理由だけが異なっている。]

　そうやな……動くとしたらあちらさんのホームグラウンド。本拠地。駐屯地やろ。
　後はそこに願望機があるかどうか。
　そこに――

[霜月半葉がいるのか。]

　どっちにせよ、見てみんことには分からん。
　私の解決策もただの仮説や。半葉さんがいるにしても、どういう状態でおるんかも知らなあかん。

　願望機があるにせよ、どんな創りで、半葉さんがどういう形で関わってるんかも直接視てみな。

[荷台にある寝袋も、残り二つの「移染」の瓶も、保険だ。
霜月半葉。病に倒れ、望まぬ生を受け、生きているかも死んでいるかもまだ分からない。
選択の自由も、自分らしく生きる権利も、始まりから奪われたまだ見ぬ少女。彼女の人生《そくばく》を、なかったものとして願望機ごと掻き消してしまうのか。それとも――]

セイバー ポンヤウンペ

　　もちろん。
　　――君を、信じる。


[>>56 濁りのない声は、ただまっすぐに、目の前に居る青年へと向けられたのであった。]

セイバー ポンヤウンペ

―北・教会前>>57 ―

[タクシーが降り立ち、
人目から避けられる場所に入るや否や
少年は太刀を現出させ、
本来の姿――アットゥシを纏った姿へと変わる。]


大丈夫だ。


[ウィルフへ頷くと、
彼が狼煙を上げるのを待つ。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

ならば、教会に向かう。
それでいいか。

［舩坂自身は教会へは脚を運んだことはない。
杯が聖杯戦争そのものに対して知識も無ければ意欲も無かったからだ。

未知の敵陣への斬り込みは大きな危険を伴う。
気を引き締め、トラックのアクセルを踏んだ］

バーサーカー 舩坂弘軍曹

―北・教会近く―

［爆発跡地を横目に、トラックは教会へと向かう。
とはいえ正面入り口に横付けというのはあり得ない。
教会目前となる道端に横付けし、停車させる］

スフレ殿。
他の魔術師や英霊の気配はあるか。
もしくは・・・・・・

［教会の中で、大きな魔力の奔流を感じるのだろうか］

四方天・ウィルフレッド・転

了解した、では行くぞ。

[魔力を込めて狼煙を上げる。
直ぐに魔術師だけに分かる狼煙が空に上がる。
話があると単純な意味だけを持たせた合図が上がる。]

さて、あとはフナサカというかマスターが気づいてくれるのをまつだけだ。

話し合いに応じてくれるとは限らな。
だから戦闘準備をしつつ待とう。

セイバー ポンヤウンペ

[>>63　ウィルフに頷く。

狼煙を上げる少し前より、
英霊の気配を感じ取っており、
手は腰の太刀から離すことは、ない]


―――来ているな。

Souffle （スフレ）

[一度だけ、それと知らずに行ったことがある場所。結果を伴わない繰り返しは意味がない――そんな言葉を受け取った場所。

今は、何のために向かうのか。
何を得るために向かうのか。
少なくとも、願望機を知りたいだけではない。「それ」を目的から抜いてしまえば意義のなくなる戦い。
今は、そう結論する。]

Souffle （スフレ）

　――――、凄いな。
　当たりや。舩坂さん。

[近付く教会。空に昇る狼煙。
背中は疼き、そして――]

　……教会の方から誰かおるし変な狼煙も上がっとる。

　おまけに――風がいつもより、騒がしい。

[目を細める。無意識に懐の手榴弾を確認し、表情は、冷たく凍りついたようなそれに変わっていった。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

敵意はあるのか。

［車から降り、教会のほうを睨む］

どうする、スフレ殿。
対峙するならそれも良し。
だが、既に対峙する必要もないかもしれぬ。
采配は、スフレ殿に任せる。

Souffle （スフレ）

　匂いの方は分からんけど。

　気配の方は、何も感じひんな。
　……狼煙といい、何か話でもあるんかもしれん。
　行ってみよ。

[そう言って教会の方へ歩き出す。
ほどなくして、人影が二つ見えてきた。
見知った、姿だ。]

セイバー ポンヤウンペ

――来た。

[「存在」の気配。
少年はその在る先を見つめ]

ウィルフ、出るか？

四方天・ウィルフレッド・転

ああ、でるぞ。
まずは対話だろう？

[そうだ、まずは伝えるべき事があるのだ。
戦いはその後でも遅くないのだから]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［スフレを先行させて突如襲い掛かられては元も子もない。
舩坂がスフレの指示に従い、気配のあるほうに歩いて行く］

誰だ。
こちらからはいきなり斬りかかる意思は無い。
姿を見せられたし。

セイバー ポンヤウンペ

[無論、そのつもりである。>>70

足を運ぶと、小さく茂みが揺れる。
ウィルフの少し斜め後ろをついていき、
フナサカと、彼のマスターの前に姿を現した。]

来てくれて感謝する。

きちんと君たちと
あいまみえるのは、――ぼくは初めてかな。

[フナサカは、剣を交えたときの狂乱が嘘のようであった。>>66 側に居るマスターは――まるで、冬の森に咲く樹氷のようだ、と少年は思う。]

セイバー ポンヤウンペ

話したいことがあるんだ。

この聖杯と
シモツキ　ナカバについて。
　

四方天・ウィルフレッド・転

[>>71の言葉に静かに頷きながら両手を挙げながら前に出る]

こちらも現在は戦闘意思はない。
話が、したい。

この戦争に関する重要な話がある。
話を聞く準備はあるか？

[斬りかかる意思はなくとも話が出来るかは別。
そう考えて、改めて確認を取る。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

君は確か、あの時の少年。

［構えを解き］

・・・・・・霜月半葉の事を、知っているのか？

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［後ろに控える転の言葉に、スフレが静かに頷くのを確認し］

こちらも対話の準備はある。
貴殿達の話を詳しく聞かせて頂きたい。

四方天・ウィルフレッド・転

理解が早くて助かる。
それでは本題に入ろう。

先日、私が彼女に出合った事を伝えたのは覚えているか？
我々はその後、再び出合ったのだ、そう霜月半葉にだ。

そして戦争の根幹に関わる話を聞いたのだよ。
覚悟は良いか？ これから話すことは貴様にとって良い話とは言えない。
先日貴様のマスターが言ったように彼女を愛しているというのなら尚更だ。

それでも話を聞く覚悟はあるか？
取り乱さずに全てを受け入れ前に進む覚悟はあるか？
その覚悟がなければこれ以上は伝えれない。

[フナサカが関わっているかは分からない。
それでもこれからの話は彼女にかかわりがあるならば、
重い話になるのは間違いない。
それに取り乱されても適わない、だから覚悟を問うた。]

セイバー ポンヤウンペ

あのときの一撃は、効いたぞ。

[>>75 ちいさく笑ってから、
すぐ表情を引き締める。]


――Iyayraykere（ありがとう）。


そう。ぼくは、
ぼくらは……ナカバを知ってる。
彼女に、会ったことがあるんだ。
この町で。
この時代で。

[――静かにそう言って、
其処から先は、ウィルフの語るに任せる。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

貴殿の太刀筋も見事だった。

［そう言うと、マスターの言葉に耳を貸す］

・・・・・・構わぬ。話を続けて頂きたい。

［覚悟を問われるならば、そもそもこの聖杯戦争に参加した時点で覚悟している。
さすがにこの状況下で半葉が正常な状態で存命しているなどと舩坂は考えていない。

むしろ、半葉が正常とはいえない命で存命しているならば、安らかな眠りを与える事もまた１つの答えと考えている。
それは舩坂にとって正しい命の姿であるからだ］

四方天・ウィルフレッド・転

了解した、では続ける。
霜月半葉はこういった。

四方天・ウィルフレッド・転

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　「私は聖杯の制御装置です」
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

バーサーカー 舩坂弘軍曹

・・・・・・成程。

［中ば予想はしていた事であり、素直にその言葉を受け入れた］

四方天・ウィルフレッド・転

そして、70年前に死ぬはずだったとも言った。
つまり彼女はここの聖杯に取り込まれているのだ。

70年前の事件に関しては私も調べているが、
或いは、フナサカ貴方の方が詳しいのではないか？

日本軍と陰陽が結託していたとも聞いているしな。

四方天・ウィルフレッド・転

すまない話がそれた。
彼女から我々に一つだけお願い事をされた。

まずはそれを伝えよう。

四方天・ウィルフレッド・転

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　「これいじょう、ゆがめない……で。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

四方天・ウィルフレッド・転

此処までの話を聞いて、フナサカ軍曹、貴方はどう思った？
我々の考えよりも、まずはそれを聞かせていただこう。

セイバー ポンヤウンペ

―――、……

[少年は、静かに佇み、
物思うような表情のまま耳を傾けている。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

70年前の事件は、当時小生は出兵しており半葉の近くに居なかった。
故に不明点が多い。

軍が、というよりは半葉のお父上が陰陽と繋がっていたのは知っている。
帰国後、消えていた半葉殿が陰陽と関わったかは小生には突き止められなかった。


歪めないで、か。

［その言葉には口ごもった。
スフレの研究日誌を読んだ事もあり、スフレには”最悪の自体”の状態から半葉を救い出す手段がある事を知っている。

だが、それが半葉にとって幸せな事なのか。
偽りの生を断ち切ることが幸せなのか。

魂の安寧を良しとする舩坂にとって、簡単に答えが出る話ではなかった］

半葉の言葉を聞くまでは、小生には決断は出来ぬ。

［スフレのほうをちらりと見ながら、セイバー達にはそう言った］

セイバー ポンヤウンペ

ナカバに、会えるなら
――きっと、この先。あの、事故現場だ。

[片手で、教会の方に指し示す]

フナサカ。
ぼくはこの町で初めてナカバに会った。

最初は
彷徨い歩き、
記憶もない様子で。まるで迷子。

その次は、
どこかぼうっとした様子で、
まるで亡霊かなにかのような虚ろな様子で。

……それから、3回目は
酷く苦しそうで――今にも消えそうで。

セイバー ポンヤウンペ

あるべき姿を歪められ、
生きても死んでも居ないなど。
――あんなのは、ただ辛いだけだ。


ぼくは、彼女を助けたいと思っている。


これはぼくの願い。
誰のためというわけでもない。

貴方がたがどうするか。
ナカバに会ってから決める、それでいい。
……ただ、それまでは、力を貸してくれないか。

セイバー ポンヤウンペ

ナカバは謂った。
「あと2組になれば自分が何とかする」


つまり。
もう、動き始めてるはずなんだ―――

四方天・ウィルフレッド・転

OK、そこまで聞ければいいだろう。
我々は勝手な感情だが霜月半葉を救いたいと思っている。

彼女は残り二組になるまでは事故現場に踏み込むなと我々に伝えた。
奇しくも我々は残り二組となっている。

つまり、踏み込むならば今と言うわけだ。
我々は救う為、フナサカ軍曹は見極める為。
そして戦争を陰陽たちに利用されない為。

一時休戦にしてはどうか思うがいかがか？
まずは霜月半葉と会うなり、開放するなりを行い。
その後、聖杯の処置を決めたいと考えている。

[表向きの発言だが言葉に嘘はなかった。
自身の目的はヴォルフにも語っているように、
願望機の確保、もしくは処理である。
故に自らが勝者でなくても構わないのだ。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

そうか。
半葉が世話になったのだな。小生から礼を言う。

［セイバーへ軽く会釈し、転の問いかけに］

小生は、半葉との約束を守るためにここにいる。
お互いに先の無い命とし、その生命を最後まで燃やし尽くすと誓い合った。

生きて再会しよう、それが叶わぬとも構わなかったのだ。
ただ、再会を諦めぬよう生きることが我らには大事であった。

しかし、今の半葉はそれではない。
人が手をだしてはいけないものに、半葉が巻き込まれたとするならば救うのも小生の役目。

だが、小生は救済を存命とは限らぬ。
半葉が永劫の休息を求めるならば、小生はその望みを叶えるのみ。
そうではなく、心残りがある生を今一度歩みたいと願うなら、それも受け入れ努めよう。

それが、小生の答えだ。

四方天・ウィルフレッド・転

[奇しくも自らが呼び出した英霊と言葉が重なる。
言葉のニュアンスなどは違うが求めたのは協力であり休戦だった。]

そう、ヴォルフの言うとおりだ。
既に動き出しているかもしれないのだ。

だから、手遅れになる前に我らも動きたい。
貴方方と戦えば、どちらが残るにしろ消耗はする。
それでは陰陽の思う壺なのだ。

だから、我々の提案を受け入れてくれないだろうか？

頼む――

[頭を深く下げて返事を待った。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

成程。

［セイバーと転の言葉を聞き］

思いに差異はあれど、目指すべき道程は同じという事か。
構わぬ、組もう。

しかして、貴殿等は若いな。
擦り切れた小生には眩しく見える。

セイバー ポンヤウンペ

いや、ぼくはまだ
なにも出来てはいないから―――

[会釈に、>>93 少しばかり
申し訳なさそうな言葉を返す。
少年と、その主が語る言葉の意味が重なるのは、志を同じくしているゆえということだろう。]

四方天・ウィルフレッド・転

よろしく頼む、フナサカ軍曹。

[眩しいの言葉には首を振る。]

そんなことないさ。
私は穢れきっている。

[協会の仕事では汚い仕事も散々請け負っている。
フナサカのように英霊になってまで救いたいなんて想いもない。
ただ、根源に到達する為に手を汚す事すらいとわなかった。
それでも、今胸に抱く思いは嘘でも偽りでもないと断言できた。
この英霊達とともに歩けば間違いはないだろうとも。
そんな思いを胸に終幕への一歩、いや未来への一歩を踏み出した**]

セイバー ポンヤウンペ

生きるものはいつか死ぬ。


ぼくらは定義的には“死者”だ。
決めるのは
今を生きるもの。

それが、一番だ。

セイバー ポンヤウンペ

時代的には、
ぼくのほうがずっと年上のはずなんだけどな。


――ぼくは、人がすきで。

そして、自分の選んだ道に、
嘘をつきたくないだけだ。

[少年は謂うと、笑み。教会の方を睨むように見、そして、歩き出す**]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

奇遇だな。
小生も人間をこよなく愛している。
形は違うかもしれないが。

・・・・・・征くか。

［スフレのほうを見てその反応を確認し、舩坂も彼らとともに歩き出した**］

Souffle （スフレ）

[三人の話は概ね聞こえていた。
歩き出す舩坂を見て、口許を押さえながらゆっくり歩き出す。]

　制御装置か。やとすると半葉さんがおらんでも願望機は何らかの形で作動しとることになる。てことは、半葉さんの他に動力源があるんや……半葉さんを助け出す前に願望機自体の動力をある程度遮断してしまえば、

[そこまで呟いて、三人の会話を思い起こす。]

Souffle （スフレ）

　これ以上歪めないで……か。

[それは、あるべき生を曲げられ、これまで苦しんだ魂の声だろう。生命倫理としてはそれが正しいものであり、やがて滅び逝くだけの山の光景に重なるものもある。ただ、]

　半葉さん。
　私らは"あんたが"どうしたかったんか、まだ聞いてへんで。

[――彼女に問うべきは一つ。
命は薬瓶を一つ取り出し、発火させ、Virgo――事務仕事を命とした炎の猫に形作らせていく。]

　……安心せえ。どっちの答くれようがどうとでもしたる。
　一旦任せられた仕事、完遂できひんのは隠岐命の名折れ。

[用意したものも、無駄になるかもしれない。
廃棄した研究も、もう立て直すことはできないだろう。
この戦いが終わった時――自分の身に起こることは分かっている。]

Souffle （スフレ）

　……ま、犬死も犬のうちってやつやな。

[言葉とは裏腹に浮かぶのは諧謔の笑み。

多くより望まれた願望機を知り、それに囚われた半葉を知る。
彼女のやるべきことは、今も始まりも変わらない。
――これは、知ろうと望んだ結末が、どう収束するかだけの話。
その結果が玉砕であろうと生であろうと、――であろうと。

目の前に未知があるならば、狂った犬の牙が止まることなどない。

炎の猫が軽トラックへ向かうのを確認し、彼らの後を追った。**]

セイバー ポンヤウンペ

[あたりは、奇妙に静かであった。
魔力の気配>>103に、少年は振り返ることはないが]


――――風が止んだ。


[小さく呟く。
あたりは凪いだようで、
耳が痛いほどの静寂だ。
それは、きっと――異常なこと。
歩みを進め、教会の近くへと向かう]

セイバー ポンヤウンペ

……――

[人の気配は、一行以外、途絶えているようだった。
―――否。]

この先か。

[事故現場へ、続く道へ。]

Souffle （スフレ）

[舩坂達と歩いていた少年の足が別の方向へ向いた。
空を見上げれば、先ほどまで渦巻いていた風が嘘のよう。]

　なんともきな臭い呼吸やな。

[一行から少し遅れた位置でついていく。
魔力の過供給による体調不良も一つの要因ではある。]

Souffle （スフレ）

　…………――――。
　音もなく、臭いもなく、知名もなく。、勇名もなし。
　その功、天地造化の如し。

[独り呟く。呪文ですらない無意味の自己確認。
魔術師と隠密。
その双方を汲んだ隠岐の家に生まれてより二十九年。
学び、知り、鍛え続けた自分自身を解放するのは今――。
一行から遅れて歩くのは、本来闇に生きる彼女にはその場所こそが正しい立ち位置であり、変わらない彼女自身であることの証。]

　――私は私にしかできひんことを。

[舩坂の手榴弾と、薬瓶が懐にあることを確かめ直す。
炎揺らめく手甲とは別の手に、小さな苦無を握った。
足音を常より殺しながら、たった一つ繋がる奥へ、先へ。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

［スフレやセイバー達と並び、歩みを進める。
本来ならば先陣を切ったほうがいいのだろうが、魔力的な感知能力が無い舩坂が道案内をする事は出来ない］

・・・・・・

［無言。
ただ、その精神は冷静さを保っていた］

安部 御門

―事故現場、その更に奥―

[地下への入り口
明らかに人の手が入ったその通路
そこを進めば、ひときわ広い空間に出るだろう

だが……君達の本能が、君達の歩みを妨げる

曰く、決して足を踏み入れるな
そこは英霊は取り込まれ人は排除される死の聖域

しかしその先に……]


やぁ、いらっしゃい。


[一人の、男が居た]

セイバー ポンヤウンペ

……これは。


[英霊たるがゆえに、
より強く危機を感じ取り足が止まる。
ここから先に、進んではいけない。
進めばあるのは、終焉。]

セイバー ポンヤウンペ

[声がした。
“領域”の向こう側、彼は立っている。
少年は、手を腰に、剣を抜き放つ寸前の仕草をとった。]



―――　アベノ　　ミカド　　……だったな？



[声は、重く鋭い。]

バーサーカー 舩坂弘軍曹

―事故現場の奥―

・・・・・・

［記憶にある男性の姿。
確か、制杯軒で杯に苦言を呈し、舩坂の記憶を掘り返す切欠となった男。

その軽い口の聞き様に苛立ちを覚えたが、しかしこの場の異様な雰囲気、そして気を抜けば霊体が消し飛んでしまいそうな悪寒に警戒を解けず、スフレやセイバー達の言葉を待った］

Souffle （スフレ）

― 奥 ―

[夜に群なす獣の遠吠え。
それが、暗闇の奥にある空間を目にした時、女が抱いた感慨。
下手に動けば噛み千切られ、月の下に死を晒すこととなる。

――なら、中心に立つ男は死そのもの。
静寂に変わり、原初の恐怖が雫として滴っている。

足を止めなければ忽ちにあぎとへ放り込まれるだろう。
目を逸らさねば、忽ちに心は壊れてしまうだろう。

声が聞こえる。
少年が彼の名前を呼ぶ。]

四方天・ウィルフレッド・転

お出迎えご苦労、聖杯を受領に来た。

安部 御門

安部御門、そうだね。
君たちには、そう名乗っていたね。


[帽子を深く、被りなおす]


駄目だなぁ、此処には来たらダメだって。
そう警告したはずだけど。

Souffle （スフレ）

　――――……なるほど。

[相対する安部御門。死の雫纏う男の言葉を見据えて、]

　ちわー。隠岐工房でーす。
　お届けに参りましたー。

[何の躊躇いもなく。酷く場違いな言葉で。
隠岐命は、その先にある未知を視る為に、死線を踏み越える。
足を留める一行の隣を素通りして、
何の躊躇いもなく、広場へ踏み入れんと歩を進め――。]

セイバー ポンヤウンペ

……ここにこなければならない理由が出来た。
――ナカバはどこだ。

[尋ねた、その横を
通り過ぎる華奢な影がある。]


っ、待て！


[鋭く制止するが、>>116　果たしてそれが届くかどうかは――]

四方天・ウィルフレッド・転

聖杯が残り二組になったらと言ったのだが？
どういうことだろうか？

安部 御門

ナカバ……？
ああ、聖杯制御の核の事か。
居るんじゃないかな、そこらへんにね。


[自分の背後、光る何かを指差す]


さぁ、知らないな。
そもそも、君たちは何故勝者が一人の戦争で肩を並べているんだい。
馴れ合いは勝者を生まないぞ？

バーサーカー 舩坂弘軍曹

貴殿に聞きたいことが二つある。

一つ。
半葉を聖杯の核とした所業に貴殿は関わっているのか。



二つ。
杯殿を手に掛けたのは、貴殿か。

四方天・ウィルフレッド・転

ここからは私が先行しよう。

[御門の言葉には首を振りながら]

勝利を生まない、それは間違いないな。
だが、勝利の前に確認しておきたいことがあるのだよ。

故に今は歩みをともにしているだけだ。

[毅然と言い放つ。]

安部 御門

ん、いやぁ。
流石に７０年は生まれてないなぁ。
そんなに年寄りに見えるかい？フナバシさん。


[くすくすと笑う]


ああ、あの自覚のないマスターね。
直接じゃないけど、オレとも言えるかな。
でも感謝して欲しいなぁ。
戦場に自覚のないまま居座る人を、
参加者に罪悪感を与えることなく排除してあげたんだから。

四方天・ウィルフレッド・転

教会なんて化け物だらけだろう？
見た目通りの年齢でない事なんてよくある事だ。

それにルール違反じゃないか？
教会は不干渉で中立であるべきだろう？
自覚がなかろうが参加者なのだからな。

バーサーカー 舩坂弘軍曹

成程、合理的な回答である。

［刹那、舩坂の身体から覇気のように魔力が迸る。
スフレが舩坂に分け与えた魔力を、舩坂はここぞとばかりに滾らせた。
そしてそれは周囲の空気を震わせ、悪寒をも押し返す］

貴殿の言に理の是非は問わぬ。
唯、小生が貴殿に加減する理由は皆無。

例え小生が死の先を歩み、貴殿が生を営む者だとしてもだ。

［スフレの合図さえあれば、いつでも斬りかかる準備は整っている］

安部 御門

歩みを共に、喜びを分かち合おう。
なるほど……聞こえはいいね。
素晴らしい、感動的だ、時には涙すら流そう。

……でも、無意味だ。


[帽子を深く被りなおす]


手に入れたいものがあるなら、待っていては駄目だ。
奪ってでも手に入れろ。
それ以外を捨てることを躊躇するな。

安部 御門

歩みを共に、だなんていえるキミは
既にイロイロと持ちすぎている。

何かを手にしたいなら、その両の手は開けておくことだ。


そういう点で、今のキミは非常につまらないね。

セイバー ポンヤウンペ

[睨みつけていた少年の眉がぴくりと動く。
>>119 光る何か、それを見ても少女の姿は見えない。]

ナカバ、聞こえているか――、
……歪みを正しに来たぞ。

[問いかけは、静かなものである。
答えがなくとも構わないのだ。

>>121 ウィルフのほうをちらと見てから、
すらりと剣を抜き放つ。
精霊の加護を纏う、宝剣を。]

霜月 半葉

[セイバーの声が聞こえれば、
安部御門の後ろの光が大きく輝き始める]


……一時的に、



聖杯を、　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　止め


　　　　　　　　破壊


を

安部 御門

[周囲から、得体の知れない気配が消えてゆく
それは、聖杯の一時的な機能の停止を意味していた]

……。
まったく、本当につまらない。



賞品が役割放棄だなんて、興ざめだ。

セイバー ポンヤウンペ

腹立たしいな、お前。
ろくに話したこともないが、
ぼくは、お前が嫌いだ。

[アベノを睨む目は不機嫌を隠さない。
主を愚弄されたことも手伝ってであろう。

フナサカの魔力が大きく爆ぜる。
先行しようとしたスフレの袖を引っ張って止めたのと、
大きく、ある空間が輝き始めたのはどちらが早いか>>128]

バーサーカー 舩坂弘軍曹