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――――、
[男との語らいは、別の男女が訪れたことで中断される。
時間的に、女が答えることはなかった。]
……アンタ達、――――。
[やけに親しい様子のふたりになにか言ってやろうと思い、やめる。
誰も悪くない。
八つ当たりのための毒舌を持ち合わせるつもりなど、女にはないのだ。]
[自嘲気味に嗤うセルマを、男は、なんの色も見せずに見返した。
セルマがどんな事情でこの村に来たか、くらいは"知識として"知っている。
そう大きくもない村、それがどんな理由か、正しいかに関係なく何かで情報は伝わってくる]
誰もいないのに。
[鸚鵡返しに、男は頷き返した。
今のセルマの事情を鑑みたのか、推察出来るかもわからないほど揺るぎない。
事実として受け止めているのか、それともそこに関心がないようにも見えるのか――
そこに、新たな顔がふたつ、現れた>>46
身長差に、上と、下と視線が動く]
――亡くなられたよ。
埋葬は、済ませた。
[簡潔に一言二言、返した]
……死んだよ。
手当てしたけど、駄目だった。
[表情を消して告げる。
真面目なときにこそ偽ってきたそれを使わない。
少女だった頃のように、真摯に、事実を伝えた。]
[男の説明が簡潔なもので、切なさよりも乾いた土のような気持ちが際立つ。
その土を割って、花は咲くのだろうか。
希望が、水が欲しかった。]
……そうか。
[既に埋葬は済んだとの言葉に、頭を垂れる。]
ありがとう。
……なぁ。
ドワイトは、人間のままで、逝けたのか?
ギュルスタンのように……
おれのようには……なっていなかったか?
[話しながら、羽を大きく開いてみせる。
まるで、血に染まったかのような、紅い羽。]
星が無ければ、咲く場所を持たない……?
[いっそ乱暴ともいえるその説明に、眉間にしわを寄せる。
続く言葉に唸り声。
まるで理解のできない話をされている、と感じた。
カインはパースの知らない知識を持っているのだろう。
思考の始まる地点にそもそものずれがあるようだ。]
世界が……諦めてる、だって?
ふん、そんな腑抜けた世界に私は生きているのか。
[腰かけていたベッドから立ち上がり、カインを見つめた。
諦めたと自嘲した、彼。
諦めたという、世界。]
冗談じゃあないね、君。
諦めたくないと思う私が、阿呆みたいじゃないか。
[魔物となれば、人としての理性は失われる。
魔物は魔物、人ではない。
それは、動物達とて同じこと。
元の者とは違ってしまう。
ならば、何故───
───自分は、かわらない?]
[紅い羽根は大きく大きく開いて。
その影を覆われながら話を聞いていた。
エラリーの視線通り身長差のあるランスとエステル。
それは、体の成長がある時から殆ど止まっている事の証左。]
[祈りの力か。
それとも、呪いか。
唯一つ分かることは。
この、滅び行く世界の中で。
己が、異質な存在となっていること。]
見えた限りではね。
……死ぬくらいで、そんなに変わるもんでもないさ。
多くの存在はそうさ。
[半ば、自らに信じ込ませるように。]
――エステル、これで良かったのかい。
[ついと少女に身体を向ける。
その様子から、恐らく目的は達したのだろうと予想して。]
…………幸せかい。
[星精の、エステルの力を使えば、
瀕死のドワイトの命を掬う事は出来たかもしれない。
灰で芽吹かぬ種も芽吹き、一瞬で花を咲かせも出来たろう。
けれど、その場合ドワイトは癒される箇所は魔物化が進み、
植物は芽吹いた時から変異植物として育つだろう。
それは星精が原因ではなく、──────。]
[理解には大きな隔たりがある。
それは正解で、間違い。]
そう、そんな腑抜けた世界に、お前は生きてるのさ。
[知っていることを、カインの言葉で話しているだけ。]
諦めたくないと踏ん張ろうとしたって、もう、その足場が壊れてしまうとするならば。
パースは、どうする?
[それでもなお足掻くのだろうかと、日常会話のトーンが問う。]
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