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研究者 トロイは、ランダム を能力(占う)の対象に選びました。
……それが。
それが、君の望みなのかい。
[分かっているのだ。これは男の我儘だ。
ギュルを教会へ連れ戻したのも、
ランスを引きとめようと腕を伸ばしているのも]
君にとって、一番救われる選択なのか。
[手が取られることは、なく]
………………………。
ごめん。いつも、我儘ばかりで。
[男は声を震わせながら、笑う]
君を困らせるようなことを、よく言って。
[ぽたり、ぽたり]
本当に優しいのは、君の方だって。
いつだって思ってた。
[涙を流しながら、
それでもできるだけの笑顔を、友人へ向けた]
[唇をかみしめながら、わたしは顔に包帯を巻き直します。
えいっ、と心の中で掛け声をかけながら立ち上がると、化粧台へとずんずん歩んでいきました。
引き出しの一つから、飾模様の入った、両の掌を広げた程度の大きさの箱を取りだします。
蓋を開くと、わたしにとっての宝物がまだ、朽ちることなく残されています。
箱が無事な間は、きっとまだ、大丈夫でしょう。
その中から一つ。
わたしが初めて舞台に立った時にマスターから頂いた髪飾りを取りだしました。
そっと髪のひと房を結いあげて、そっと髪飾りをつけます。
灰となってしまった頭皮から、ごそりと髪の毛が抜けおちましたが、元より髪の量は多い方なのです。
大丈夫です、気にしていません。
髪飾りをつけ終われば、鏡とにらめっこし、小さく頷きます。
明日の朝はこれでいきましょう、と、小さく笑いました。]
[そんな風に、宝物箱の中を整理していけば、マスターから頂いたものがいくつか出てきました。
その中から、わたしの声を収めた音楽盤を選びます。
もう蓄音機は壊れてしまったけれど、これだけでも持って行って貰いましょう。
そうして、音楽盤は傍らに置き、宝物を箱に片付けようとして、手が止まります。
一つの小瓶に目が留まりました。
小瓶には、飴玉の様にも見える透き通った玉が2つ、3つ、入っていました。
いつだったか、酷く咽喉が痛み、その日の演奏を諦めようかと思っていた時がありました。
その時にポラリスさんから頂いた、異国の魔法の薬です。
普通の薬と違い、特別な魔法が練りこまれていると彼女は説明してくれましたが。
今のわたしのこの身体に、それは効果があるのでしょうか。
わたしは瓶をじっと見下ろしながら、暫し、考え込んでいました。**]
[教会へ行く道の途中には、先程寄った酒場がある。
誰かが立ち寄っているかもしれないと考えれば、
教会方面へ向かう前に酒場に立ち寄るかもしれないが、
セルマは居住区・酒場・教会の何処へ向かおうとしたろう。]
[唐突に呼吸のつまる感覚。衝撃。
みしりときしむ音は、カインか、カインが激突した何かか、その両方か。
密着度が上がったせいで、紫煙のなごりが目にしみる。
土の香りも葉の香りも、かつてのものとは全く違うから戸惑う。]
……ひょい。
ひゃいん、らいひょーふか。
[唇で食んだ飴が押されてつまらないように注意しつつ、まず、ぽんぽんと彼の背をタップする。
呻けるのならそこまで心配無用か、などと早合点しながらも、労るように彼の背中をさする手の動きにした。
鹿のお陰で馬の痛みはほとんどないから。]
いひゃいのは、わはった。
ひゃぐさめてひゃるから、
ひょりあえず、ひょけ。
[ひょけ、の命令にのろのろと従い、らいひょーふだと、力なく手を上げて見せた。
カインの飴の行方を、若干涙目のあまり良いとはいえない目つきが見つけ、何かを言おうとして、背中の痛みにみっともなく呻く。
元々の小さなとある一族の住処が其処だと、意識はしてもはっきり確認し認識するには暫しを要した**]
[教会と墓地は共同になっている。そして墓地があるのは――例によって村の外れだ。死は忌避されるものであり、死病の発生する恐れのある墓地もまた、隔離しやすいよう外れとなる。
かつては小ぢんまりとしながらも荘厳さを保っていた教会も、訪れる人の減少に伴い、また灰によって痛み、荒れ果てていた。
空の灰色を伴って、非情に薄暗い退廃的な印象を醸し出すものに変わっている]
いや。
我儘を言っているのはおれだ。
[首を左右に振る。
友の涙を見れば、胸がひどく締め付けられた。
けれど、涙は出なかった。
災いを振りまいておいて、泣くなど。
できるはずがなかった。]
今まで散々甘えておいての、これだ。
文句のひとつでも言ってくれ。
投票どうしよう。
ランスとエステルは突然死にそうにはないから、そこを避けるか。
マンダムもといランダムも危険かしらん。
毒舌家 セルマは、占星術師 ヘロイーズ を投票先に選びました。
人造妖精 エステルは、占星術師 ヘロイーズ を投票先に選びました。
[――ぱちり。
視線が見慣れない天井とぶつかり合う]
………、おねえさん?
[眠気の取れきっていないふわふわした声で誰かを呼んで、
すぐに、自分で自分の言葉に首をかしげることになる]
なんで。
――ここでねてたんだっけ。
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