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[…友人の種族は特に体が弱いことは知っている。
だからせめて少しでも、栄養を付けてもらいたいのだが。
今度は彼の好物を作ってみようか。
果たしてなんだったか、と思い返しながら]
空の散歩に、
連れて行ってもらわなくてはいけないからね。
[そっと柔らかく、彼の羽に触れる。
一度目を伏せてから顔をあげた]
さあ、裏庭に行ってみようか。
[カインとナデージュのやり取りが、胸に刺さる。
素直に悲しめば良いのに笑いを繰り出すのは、きっとマスターの教育のおかげなのだろう。
先ほどこらえた涙が、つられてせり上がってきそうになる。
カウンターから出た彼女に木苺酒のソーダ割りをもらえば、それを軽く掲げてから、ぐ、と喉に流し込んだ。
喉の奥で、泡がぱちぱちはじける感じ。
木苺らしい、甘やかで爽やかな香りの感じ。
明るい酒だな、と思った。
心まで明るくなれば良いのにな、と思った。**]
いやおれは、今日は寝てばかりいたから。
[森を見に、少し湖へ行っただけで、ひどい疲労感におそわれて、ドワイトが帰ってくるまではずっと長椅子で眠っていた。
だからこれは、嘘ではない。
複雑な表情を向ける友に、緩く首を振って笑い、パンはそのまま皿の上に。]
どうせなら、また、晴れた日に飛びたいな。
[春の風が渡る空を、まだ少年だった友を抱いて飛んだ。
懐かしい思い出に、目を細める。]
───!
[羽に触れられると、一瞬、びくっと身を強張らせた。
それから、少しわざとらしく、緩く羽ばたき]
すまない、少し驚いただけだ。
行こう。
あぁ、そういえば傘は……?
[ドワイトの傘はどこに置いたろうと、部屋を見回す。
自分用の傘はない。
傘を差して、空を飛ぶことはできないから。]
[───微かな不安。
見られなかっただろうか。
触れられなかっただろうか。
灰色の羽根に混ざる、赤黒く変色した、不吉な羽根を───]
…「年数」だけなら45年だぞ。
流石に、潰れるなら一人酒にするわ。小っ恥ずかしいし。
[…人に換算したら二十二・三歳となるけれど、
其処は意図的に言わないで。
ソーダとグラス>>84を受けとって、ぺこりと頭を下げました。
外の事情を聞かれれば、ソーダで口を湿らせて…]
…此処に来る前は北に居たが…
あそこが廃墟になったって聞いて、
驚かずに納得する時点でお察しだよ。
病の治療法を探って、逆に病を悪化させる事も何度も有った。
…この腕だって、そうしてできた毒引っ被った結果だからな。
[何かを振り払うようにソーダを注ぎ、喉に流して炭酸で咽る。
遠くを見る目に映るのは、在りし日の街か同胞か。]
[床の掃除を終えると、外に出た。
傘の代わりに、背中に手を回して服についているフードをかぶって、降る灰を避ける。
歩くたびにポケットの中のお代が、ちゃりちゃりと音を立てた]
…おくすり。かえるとこ。
いかないと。
[目的地ははっきりしているけれど、そこまでの道程が思い出せず。
適当に歩いているうちに、荒れ果てた建物の前に辿り着いていた]
…おいのり。するとこ。
[今すぐ祈る用事はないのだけれど、それ以外なら何か、あるような気がして。
鉛色の空の下に立ち尽くして、ゆっくりと記憶を、辿っていた**]
/*
多分薬屋は元マジックアイテム屋さんからそれなりに近くて、
酒場は遠いんだよだからお留守番したくなったんだよ
と、つじつまを合わせるターン
―――――――…。
[寝てばかりいるのも、それはそれで心配なのだけど。
困ったような笑顔を浮かべて、友人を見る。
パンはそのまま受け取って、棚へと仕舞った]
あの日の空は、何処までも続いているようだったね。
見下ろす村も、森も、湖も、…輝いて見えた。
[自分に絵が描けたら、
或いはエラリーのように文を綴れたら、
あの景色を残せたのに。
想い出は、空と同じ青い色をした男の瞳の中だけに]
[羽に触れたのは何気ない思いからだったのだが]
………!?
[強張る友人の姿に、
此方もつられたように身を強張らせた]
ご、ごめん。…痛かったかい。
[反射的に謝罪の言葉を口にしたまま、しばし呆然として。
やがて我に返れば、反省したように俯いた]
傘は、貸してきてしまった。
うちに残っているのは、壊れたものだけだよ。
ローブを羽織れば大丈夫。
[引き出しから少し厚手のローブを取出し羽織る。
フードも被ればそれなりに灰を防げる]
なまじ土地としては広かったから、
広がれば魔物に対処しきれず集まれば頻繁に物資不足。
それで一部は外に流れて、その内でこの村に来たのが俺だったのさ。
物資不足で流れた連中だから、特に纏まろうともしなかったしな。
[ちびりと一口ソーダを飲んで、相手の言葉にくすりと笑う。]
…何か有ったりするのなら、きっと他にも人が来てたさ。
まぁ、俺が来た時より危なくて単に来れなかったのかもしれないが。
[少なくとも、昔に比べて今の森は確実に危険度が増している。
変異植物達は、枯れるより増える方が遥かに速いのだから。]
いや痛くはない。
大丈夫。
───貸した?
おまえは本当に……
[お人好しだ、と言いかけて、小さく笑って首を振る。
ローブを羽織るのを見れば、自分も、薄い外套を頭から被った。
厚手のものは、羽が邪魔で羽織れない。]
今は少し、風が落ち着いているな。
行こうか。
[外に出る為に開ける扉は、なるべく細く。
家の中に、余計な灰が入らないように。]
[扉を開ける友人の言葉に頷いて]
――…本当だ。それに、朝よりは少し暖かい。
[外に出て、地を踏みしめれば灰が舞う。
教会の裏手には簡易で作った孤児たちの墓があり、
その傍らに裏庭が作られていた。
かつては丁寧に世話された花達が賑わいを見せていた場所。
今でも世話をしてはいるが、
この灰を取り除くことなど出来る筈もなく…]
何だか懐かしいね。
花を植えた時のことを、思い出すよ。
[友人と二人で連れだって歩いていると、
ふと小さな人影に気づいた]
おや。
嗚呼、スーか。
[近づいて行けば、
それは小さな道具屋さんであったと分かる]
どうしたんだい。
遊びに来てくれたのかな。
[身をかがめて、目線を合わせて尋ねてみる]
良ければ、裏庭を一緒に見ていかないかい。
食事がまだなら、パンとスープもある。
少し作りすぎてしまったみたいなんだ。
[誘いの言葉をかけつつ、のんびりと返事を待つ**]
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