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………手を、とって、あげて。
[隣の少女にかかりきりになる医者の彼女の背に、ぽつりと声をかける。
こんな時になぜか夢の終わりの光景を思い出していた。
震えを、とめてくれた、ふたつの手。
本当は少女自身が手を取ってあげたいけれど、
情けないくらいに震えているから。
震えを、伝えてしまう気しか、しなかった]
[どれくらい泣きはらしていただろう。
今までまともに使っていなかった喉はとっくに枯れ果て、ただぜぇぜぇとかすれると息づかいと、しゃくり上げるように漏れる嗚咽が零れていた。
気がつけば、いつの間にかグレイヘンのベッドにぽつんと座っていた。
支えてくれていた腕の感触はなく、辺りからは自らの呼吸と遠い空調音だけが聞こえていた。
しゅるという名だったか? 私をここまで連れてきてくれた者の気配も消えてていた。
遠巻きに私たちを眺めている者はいたのかもしれないが、それに気付く術はない。
長く座ることすらままならない。
見えない目で彼女を覗き込もうとしても、四肢を持ってすらこのやつれた身体を支えることはできなかった。
結局、彼女の横で寝そべる形で横たわることとなっただろう]
ぐれいへん あのね
[冷たい身体に腕を伸ばして精一杯抱きしめる。
あたたかくなれば、目を覚ましてあの微睡みのような緩やかな声で『おはよう』と言ってくれるかも知れない。
そんな淡い期待もあったのかもしれない。
彼女が私にそうしてくれたように、その細い身体を、私のやはり細い身体で包み込むように抱いて、そっと髪を撫で続けた。
── 暖かい場所で眠って貰えるように…と]
[涙の流し過ぎで体温が下がる。寒い。
かたかたと肩を震わせながら、
白いカーテンを濡れる円い瞳見開いて見つめた。
不意に開かれる白い扉]
…………!
[視界で揺れる、金の髪。
眼鏡の縁のした、その目と目が合った。気がした。]
……あ、ぁ…… ふぁ、……
[ きみはいったい、だれ? ]
[言葉にならない細い息は、酸素マスクを白く曇らせる。]
[視界は曖昧で、こんなに近くても表情なんてわからない。
少女だとは分かったぐらいだ。
けれど顔を出した少女の眼差しは美月と同じ高さにあって、
いま、美月をたしかに見つめているのだと思った。]
[彼女の唇が開かれるのに気づき、
美月は目を見詰めていた視線を動かし
その口元に意識を集中させる]
[ きみはだれ ]
[ だれなの? ]
………、ぁ、ぅ、
[―――『逃げたい』。
分からないままにそんな気持ちでいっぱいになって、
丸めた身を捩らせようとした。
けれど既に相当の無茶をした身にそんな力は残ってなくて、
びくりびくりと身体を震わせるに終わる。
視線が踊る。瞼が拒絶されるように伏せられる。
けれどそのひとの姿が気になって、薄目を開く。
そんなことを繰り返す]
[時間にしてどれくらいだったか?
とても永い間、彼女を抱きしめていたようにも思える。
勿論体温は暖かくなることもなかったし、夢で聞いた彼女の声が私の耳に届くこともなかった。
現実なのだから、それはきっと分かっていたことなのだ。
もう…飛び立ってしまったのだと。]
ぐれいへん こっちでね
あなたにあったら ききたいとおもってたの
おねがいしようと おもってたの。
わたしにも あなたのような
つばさが もてないかって
[囁き微笑んで、頬に触れる]
そこに ゆめはあるの
ゆめはだいじ まもってくれるから
くるしいこと なにもないから
でもね
そこには みらいは ないんだよね
ぐれいへんがおしえてくれたんだよ
ひととしていきて ひととしてしぬ
だいせつさ
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