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[困ったような表情。
それ自体がハルには珍しい。
編みかけのレンゲの花冠を持ったまま。
彼女が自身の言葉にきょとんとする様子を
彼女の言葉に苦笑を返しかけた泣き顔の仮面で
じっと見た
…………うらやましい、その言葉を発した彼女を。]
[困らせてごめん。そう、口にするよりも早く
とうとう表情が消えたハルは
いつもの様子を取り戻す。
浅く息を吐いた。
彼女の様子が、
見ているこちらが切なくなった。
でも、当の本人は、
きっともう、忘れてしまった。
だから。]
だ〜〜〜 そうです、そうなんです。
それはもう仮面をかぶるくらいには。
なのに、にじり寄ってくるような、子は
……えいっ!
[楽しげににじり寄るハルに調子を合わせて、
真紅のローブ姿は顔(仮面だが)を隠していた両の手で
彼女を捕らえながら軽く抱きしめようと。
……忘れてしまったとしても
彼女の感情を安堵させられればいいと、
怖い話を聞いて怯えた自分が
そうされて安堵したように。
時折刃物で切り傷をこしらえ
包帯を巻いていた手がしたように、
その黒髪をそっと撫でようと。]
やれやれ、ボクを出し抜くまでになったなんてやるじゃないか。
[駆けていく背を眩しげに眺め、傍らで呆然とした様子のローザへ顔を向ける。]
元気でいい子だろう?
もっとも……いい子じゃない子はいないのだけどね。
ここには。
[『ああ、一人いたか』と小さく呟いてから、バケツを持ち直し、走り征くミズキはこうしている間にもどんどん離れていくだろう。
もはやまともにやって追いつける距離ではないのだけれど]
ー回想・ハルの少女1ー
[この世界にきてほんの間もない頃の話。
最初に飛び込んできた世界は
花畑の近くの草原だった。
おだやかな春の気配を近くに感じ
風に目をつぶった。
そんなとき、髪に絡まっていたリボンが解けて
風にさらわれた。
こちらの世界で身に着けているものをひとつでも
見失えば元の世界に戻れなくなるし
なにより来て早々の失敗なんて始末書ものだと
そのときは考えて、慣れない体躯でリボンを追った。]
……わ、ぁ。
ロマンチックですねえ、流れ星を旅人さんにたとえるって。
[とん、と、手が「星」の入ったビンを叩く。
表情には感嘆がすんなりと滲み、大きな瞳を見つめ返してふわりと笑う。
――前に、どこかで誰かが、
似たようなセリフを言っていた、ような?
取りとめない思考が浮かんで、ぱちりと瞬きひとつ]
ん〜〜〜……、
夜明けの空に、ぽっつーんって残ってるお星様。
ばいばいしたいんですけどねえ、いっつも寝ちゃうんですよう……。
[夜と朝の境界が曖昧に引かれる時刻。
あの時、夜が明けると呟いた時、
ついにその時を起きて迎えられるのか、と、期待と不安が少女を一通りかき回していった。
しかし現状はこれである]
たぶん。……がんばって起きてれば、きっと。
[前向きな言葉をかけはするけれど、
渡り鳥の少女はお世辞にも夜更かしが得意そうには見えなくて。
言葉が続かず、星空に視線をそらした。
そもそもこの夜が明けるのかどうかは、ひとまず考えないことにしながら**]
勝負は勝負だ。挑まれた勝負を無碍にする程ボクはできた子ではないからね。
ローザ。キミも駆けよう。
それが彼女の望だ
無理はしなくていいよ。でも自分のできる精一杯を。
それが勝負だからね。
[戯れで挑んだのは自身の方なのだけれど、そんな都合の悪いことは棚にあげておく。
前を見据える、彼方の背を睨み付ける。
嗚呼良かった。彼女は未だ燃え尽きることなく
太陽を求め溶けることなく、の地上の翼は素足に宿っている。
ならば私も駆けていこう。
弾けて活きる生を近くで眺めに
私は駆けた
波踊り 風薫る 海原の裾野を]**
/*
ザ・あとづけ
黄昏時は、起きて迎えられる
ただ、極端に短いというか、ぱっと来てぱっと切り替わるというか たぶん そんな感じ
/*
もしかして落ち=目覚めに向かった方がいい……?
Q.そういえば裏目標:相方より先に落ちない、は
A.…………ナンノコトカナー
/*
リヴリアゎ走った……
ミズキにまけない……
でも……
もぅつかれちゃった…
でも……
あきらめるのょくなぃって……
リヴリアゎ……
ぉもって…
がんばった…
でも……
バケツ…重くて……
ゴメン……
まけちゃった……
でも……
リヴリアとミズキチャンゎ……
ズッ友だょ……!!
[楽しくなかったことはすっかり忘れて、楽しげに笑いながらダハールににじり寄る。……と、不覚にも捕まってしまった]
わあっ!
あははっ!
[不意打ちに驚いた声を上げたあと、少女は心から楽しげにきゃあきゃあと笑ったけれど]
どうか、したの……?
[髪を撫でてくれる手が、あんまり優しかったから、程なくして少女は少しおとなしくなる。
花は春の象徴。
けれど、少女は自分がどうして春に固執するのかも、夏と海をあんなに拒絶するのかも覚えていない。
自分が夏に、何をなくしたのか、そんなことは覚えていない。
"嫌なものは嫌"としか言い様がない。
だけど、髪を撫でてくれる手が、あんまり優しかったから]
……かぁくん……?
[呟いた言葉は、無意識。少女の覚えていない名前。
きっと少女は、呟いたことすら気づいていない]
[鏡のように他人の表情を映す星売りを確か何処かで見たのだ。
柔らかい笑顔、喜ぶように翼が微かに揺れる]
ながれぼしさんは。
だれかに ねがいごと とどけるためにはしってるのかなって。
だから、いつもかけあしで。
だから いっちゃうまえに。
いそいでおねがいしなきゃ、だめなのかなって。
[星を集めた瓶の中。
詰まった星には誰かの望みがかけられているのだろうか。
そんな事を思う]
よあけの、おそら。
あかと、あおが、いっしょになって。
しろい、おそら。
[太陽の光にかき消されず残る星。
とても強く光る、星。
眠らない小鳥は狭間の空の色は知っていた]
ぐれいへん、おきてるよ。
いつもね、きのあなの なかにいるの。
でも、おそとにいたら。
みつけられるかも、しれないね。
カスミは。
あさと、よるの、まんなか。
いってみたい?
[満天の夜空を見上げる。
まるで、行けるとでも言わんばかりに]
ぐれいへんは、おほしさまのつかまえかた、しらないから。
でも。
カスミをおそらまで。
いっしょにつれていってあげることなら。
できるんだよ。
[その誘いに、星売りは何と答えるだろうか――**]
[腕の中で、きゃっきゃっと笑う姿は懐かしい。
当時は自分もほとんど同じ年齢で
こんなにすっぽりと、
包み込むことは出来なかったが。
指通りのいい黒髪を
梳くように撫でているうちに大人しくなった
ハルにたずねられて、
緩く首を振って……どうも、しないよと。]
[小さな呟きが聞こえる。
誰か……男の子の愛称じみた、何か。]
[彼女が亡くした世界を思い出す。
仮面越しに額に額を重ねる動作は
応えるように頷く仕草にも似て。]
[散りきることのない桜吹雪の中、
彼女が、道化師の緩く回した腕を解くまで
小さな姉さんを、大きな弟は抱きしめていた。
暖かな、木漏れ日の中ただ、ただ静かに。
――*穏やかな時間だけが、ただ、ここに*――]
渡り鳥 グレイヘンは、星売り カスミ を能力(襲う)の対象に選びました。
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