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― 夢の世界・そら ―
[ふわり、白い羽毛が柔らかな陽射しの中で踊っていた]
――やさしい、せかい。
[真綿のようなふんわりとした髪が揺れる。
とろんと眠たげな丸い瞳はベリーの色。
歳は8つかそこらだろうか。
背中を隠す長い巻き毛の隙間から顔を覗かせているのは。
真っ白な、翼]
――……。
――ほんとうに?
[空の上は、独りぼっちだ]
――。
[ゆっくりと少女は瞳を閉じる。
羽ばたくのをやめればぐらりと体が傾いで。
真っ逆さまに落下が始まる]
きれい。
とっても、あったかい。
[太陽に両手を差し伸べた。
重力に引かれて遠ざかりながら。
真っ白な鳥が羽根を休める何処かの水辺へ。
ぽちゃん。
驚くほど軽い音を立てて落ちていった]
─ 道化師の現実 ─
[何度も、何度も 此処 に 来ている。
ついた杖、先に突いた鐘は鳴らず。
替わりのように 鳴る。
鈴の音。]
―――――
[
高く 高く
低く 低く
道化師は首をゆるく振った。]
[近づくべきなのか?
遠ざかるべきなのか?
いつも結論は出ない。
ただ、何度も、何度も
同じ夢、見ていた。
いつも結論は出さないまま。]
[水音]
[……ここ、は不思議だ。
道化師、だけではない。]
― みずべ ―
[ぷかり、白い頭が水面に顔を出す。
ぱちゃぱちゃと水をかいて岸に辿り着いた少女は
草の上に身を投げ出した]
あったかいは。
やさしいとは、ちがうの。
[ベリーが太陽を映して小ちゃくと光った。
ところどころ灰色斑の巻き毛が草の上で波打つ。
翼もびしょ濡れ、服もびしょ濡れ。
すぐには飛べない。
陽光の下で目を閉じる。
真っ白で小さな小鳥達が何処からともなく集まってきて。
少女の傍に身を寄せ合った]
5人目、太陽の子 ミズキ がやってきました。
太陽の子 ミズキは、共鳴者 を希望しました。
― 青葉の丘 ―
[真っ直ぐな眼差しは青葉の色。]
[汗のしずくが瑞々しい肌を伝い、
すっくと伸びた足は若樹のしなやかさ。]
[いま、少女は丘を駈ける。
手を伸ばす。
目標は目前を走る、あの《太陽》]
待てぇぇぇいっっ、こらぁぁぁっっ!
今日こそは逃れられると、思うなよっ………!!
[目前を跳ねる白兎に向け、
切れかけの息を凝らして叫ぶ。
その手が届くまで、もうすこし*]
医師 シャルロッテ が見物しにやってきました。
医師 シャルロッテは、見物人 を希望しました。
― 現実・とある少女の病室 ―
よく眠っている、と。
[さらさらと、手元のクリップボードに挟まれたカルテにいろいろな情報を書き込む。
顔色、体温、血圧、脈拍等々。
特徴的な変化は見当たらない。
んー、とボールペンを口元に当てたが、
それ以上書き加えることもなく、童顔の医者はその部屋を後にした**]
[小鳥が数羽、ぱたぱたと羽音をたてて飛び立った。
だけど少女は飛び立たない]
こわいものは、ないの。
[だってここは夢の中だから。
こてんと横を向く。
伸ばした手の先、一羽惑う小鳥に指を差し出した]
こわがらなくて、いいの。
[小鳥が手の平に擦り寄るのを見て微笑んだ]
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