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……
[優しくないと告げる声を聞けば、仮面の中から見つめる瞳がすぅ…っと細くなる。
嗚呼そうだね。充たされているのならば、人はきっと優しいのだ。
充たされぬ時があるから、冷たい風が吹きすさぶから
怒りを、悲しみを、苦しみを、憎しみを覚える。]
ハルの子が優しくない子だったとしても
優しくしてくれたことは消えないさ。
笑顔はは、人を幸せにする。
小さな小さなことだけど、優しさをお裾分けするようなものさ。
それを忘れないでいてくれるなら、
ハルの子は優しい子さ。
[仮面は忘れない。
怒りも、悲しみも、苦しみも、憎しみも、そして……も
だから仮面は嗤うのだ。]
[ベリーの瞳がゆるり瞬く。
逡巡するような間が一瞬あったが、
ちょっと恥ずかしげに俯いてその手を受け入れた。
砂糖のように、甘い声が耳をくすぐる]
――そう。
[お仕事、その響きに誤魔化すように目元をこすった]
――もう。 いくね。
[じゃあ、また。
音には出さず口許だけでそう告げる。
しきりに目をこすりながら、
渡り鳥はのろのろと翼を引き摺りながら
丘を麓に向かって歩き*始めた*]
[――そう、それは、絵空事のような願い]
み、ん、な、 ですねえ。
[鸚鵡返しに鸚鵡返しを重ねる。ご丁寧に一音ずつ区切って]
…………。
ミズキちゃんは、お星様よりお日様が好きなんですよう。
そこがわたしとちがうから……
[少女とて、太陽は嫌いではないが、太陽の下では活動が制限されるのが現実。
具体的には――「星」を持たずに昼間外に出ると、数分で動けなくなる]
まさに「相性がわるい」ってやつですよう。
だからって、お客様になってもらうことも、お友達になってもらうことも、
諦めたくはないんですけどねえ。
[そう、ただ『相性が悪い』だけなら、まだ、望みはある。
花水木の少女の眼差しの向こうに垣間見える感情は見ないように。
直接告げられるまで、望みを捨てはしないのだ。
――ぽちゃん。
涼しげな音と共に、水面に大きな波紋が広がる。
思わず目を丸くして道化師を見た]
……お魚さん達がびっくりしちゃうかもしれないですよう!
んー? お料理は?
ハルの子の得意なことはなんだい?
おひさまの子にそれを魅せてあげたらいいんじゃないかな?
そうすれば偉そうにできるさ。
[途切れた会話を払うように『えっへんとね』と、胸を張ってみせてからカラカラと嗤う。
彼女が何につっかえたか、それは仮面の与り知らぬ所。
……知ったところで抉るつもりは今のところはないけれど]
ああ……甘いねぇ。
[花弁の蜜を喉に流し込み、音を立てて飲み込めば、傍らでやはり花弁を口元に宛がう少女をただじぃと眺め続けていた]**
[お日様がすき。ミズキのそのことに
こくりとうなづきながら聞き入る。
夢でなければ、相性という
どうにもできないものが横たわれば深追いはしないだろう。
それに先ほどのミズキの様子は………]
ふふ、僕はいい人、じゃないからね。
こうやって悪戯もするんだ。
[目を丸くする様子に、泣いた仮面の奥から
くつくつ、と、のど奥笑い。
そう言ってローブを翻す。]
きっと鳥がやってきても……ああ、けれど、
どうやら鳥は今は水飲みに来ないよう、だ。
案内してもらったけれど、僕はそろそろ
また別の場所に行くよ。
いいひとじゃない? ……お星様を買ってくれたのに?
[「星」を買ってくれた人=いいひと、という認識と食い違いを生じさせる道化師の言葉に、
頭上にクエスチョンマークが踊る。
ふわり、と水辺に近寄り水中を覗き込むが魚の姿は見当たらず、
揺れる水面を鏡代わりに、道化師のローブが翻るのを見て、振り返る]
そうですかあ、わたしはもう少しこの場所にいますよう。
それじゃあ、またお会いいたしましょうねえ。
[ひらり、と片手を振って、道化師を見送ると、]
ん、 ん〜〜〜〜。
[その場にごろりと寝転んで、空に向かって手を伸ばす。
しばらくころころ、転がっていたがおもむろに動きを止めて]
お星様……会いたいな。
[瞳を閉ざす。
次に目を開ける時には、一面の星空が広がっていることだろう**]
そう……星を買った、から……か。
[星の購入を判断基準にする姿。
ここ、ではなんていうことのない判断基準。
けれど、道化師には………
勿論、今、この感情をカスミに
少女たちに伝える気はなくて。
ただ、泣き顔の面が不思議そうな様子を無言でみた。
残るという言葉に、ひとつ、うなずいた。
背後で、草むら 何かが軽く倒れる音。
きっと、カスミが寝転んだのだろう。
その姿振り返らず歩く。]
[途中、金平糖を一粒口に運んだ。
口の中、砂糖の塊ともいえるそれが
もたらす味が口の中支配していく。]
――――甘い。
[仮面の奥、小さく呟きながら杖つき歩いた*
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