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【契約書
もし、わたしが出発までに戻らなければ、
わたしの荷物は処分していただいてかまいません。
わたしの行方を捜して頂く必要もありません。
何があっても、この星の関係者およびスターライナーの乗務員に
責任を問うことはいたしません。】
××××年○月▽日
シリル・グリーン】
かあさま……。
[その後の光景は、どれも見慣れたものばかりで。
ちょっと焦げてしまった目玉焼きとミルクに浸したパン。
それを母の元へ運んでいく。
ありがとうと頭を撫でてくれる母。
嬉しそうに微笑んで、一緒に食事をとった。
今日あった出来事を話して、これからのことを話して。]
「病気だからって、気持ちまで沈む必要がどこにあるんだい!」
[そう言って、からりと笑った母の姿が思い出された。]
[楽しい時間はあっという間に過ぎて、暗い暗い夜が来る。]
「かあさま、となりでねていい?」
「……もちろんさ。おいで」
[優しい声のかあさまの隣に潜りこんで、狭いベッドにふたり横になる。]
「かあさま」
「なんだい?」
「いつもいっしょにいられなくてごめんね」
[服の裾をぎゅっと掴んで、そんな言葉が漏れる。
本当は、ずっと傍にいたいけれど。
現実は優しいだけじゃなくて、生きていくためには働かなければならなかった。
元々母の仕事を手伝っていたから、職に困るということがなかったことだけが幸いで。]
「メルがいるから、つらくないよ。寂しくないよ」
[そう言って、大好きな暖かい手で頭を撫でてくれる母に抱きついて、静かに泣いた。]
かあさまは、寂しく、なかった……?
[聞いたことのない言葉。
つまりこれが、選ばなかった未来なのだろう。
今までと変わらない毎日を過ごして、終わりが来る恐怖に震えている。]
それでも、かあさまは。
[呆然とただ立ち尽くしたまま、すやすやと眠る幼い自分と、慈愛に満ちた表情でそれを見つめる母の姿を目に焼き付けた。]
そう、ね。
うん、大丈夫。覚悟はできていたから。
[母が眠るまでその姿を見つめて、寄り添って眠る親子に背を向ける。
壁を抜けて外に出ると、夜空に満天の星空が輝いていた。
上を見上げる。
よく星が見えるように、涙が零れないように。]
答えが分かって良かった。
かあさまに会えて良かった。
[ぽつりと呟くと、少しだけ気持ちが晴れた気がした。
目を閉じると雫が零れた代わりに、今見てきた光景が浮かぶ。
きっと長生きはできなかっただろう。]
それでも、かあさまは幸せに生きられたのでしょうね。
[そう、信じたい。
けれど、それを信じれば。]
― ??? ―
[目を開けば、元の場所に戻っていると思っていた。]
え……ここ、は。
[愕然と目を見開く。
手足は震え、立っているのがやっとだった。]
ど、して……。
[先程までの家より、ずっと綺麗で白くて広い。
綺麗な花が咲き乱れ、甘い香りに満ち溢れている。
母は、綺麗なものと甘いものが大好きだったから。
見覚えのあるこの場所は、]
かあさま……?
[選んだはずの未来――病室。
そこに眠る母の姿があった。**]
/*駅がふたつ・・・板からだと、
どうしてこう推敲できないのでしょう、すみません><、
鳩からでちゃんと発言できる方、本当に尊敬…。
[過去にどんな選択をしても間違っていない。
そんな思いはあの時届いただろうか。
メルヴィの姿が遠ざかり、ハンスも歩き始めた。
荒野は白っぽくも赤茶けている。]
・・・。
[選択はあったのだろうか。
違う未来を見れるのだろうか。]
[車掌から聞いた話から、過去の選択とあり得たかもしれない未来が、襲いかかってくる国? くらいの認識だったが。
わざわざ危険なそこに飛び込むということは。
過去に大きな選択をしたということでもあるのだろう。
身の安全よりもその未来を確認する方が大事であり、それだけ重大な過去と戦う。
そのためにいく相手を止めることはできない。
キリトにはそこまでのものはないのだけど。
今の嬉しいこと、楽しいことの方が大事だから。
過去の選択を否定することはそれを否定することでもあったから。]
会いたい気持ちは、よくわかる。
僕だって同じだ。もう何百年も会ってない。
[肉親に会いたいという気持ちは、もう何百年も会えて居ない自分がよく分ってるつもりだった。]
でも、でもでもさ、リアさん父親さんに会いたい理由は…他にもあるの?
[もしかしたら、などと思ってしまう。
ソレを聞いてどうしたいのか、わからぬまま。]
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