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――大丈夫だ、何があろうとも必ず俺が護ってやる。
「………ぇ。」
――? どうした立海。体温が上がっているぞ、具合でも悪くしたか。
「………っ 違います! 知りません!」
――何を怒っている? と、いや。それどころではないようだな。
服部半蔵の声が険しくなる。気付けば、辺りには闇の気配。
「………また、ですか」
――気配が違う。亡者ではないな。
より格の高い妖を呼び出したか。いくぞ。
「はい。よろしくお願いします――」
『 転 身 』
立海と服部半蔵の意識が入れ替わる。右手には長柄の槍。構える姿は忍の影。
「服部半蔵、参る」
その声と同時に踊りかかるは鬼の一団。手にした金棒を振り回し、潰し滅さんと襲い来る。
迎撃するべしと半蔵が身を低く屈めた時、内に立海の声が響いた。
――跳んではダメです、駆けて!
「心得た…!」
動きを切り替え、跳ばず鬼の間を切り抜ける。
「だが、何故だ。空に何かあったか」
――スカートで跳ばれてしまうと… ぱんつがみえてしまいます。
「ばかやろうwww」
「下穿きなど気にしている場合ではないだろう」
――気にしている場合です! 今日は寒かったので保温を優先してあまり可愛いぱんつじゃありません。こんなぱんつを万が一にでも誰かに見られてはそれこそ乙女の一大事です!
「乙女がぱんつぱんつ言うな!」
――とにかく、なるべくスカートが翻らないようお願いします…!
「………努力はしよう」
言い合いながら、半蔵は鬼の群れへと斬りかかった。
「遅い」
可能な限り最小限の動きで敵を討つ。数秒の後、見事ぱんつを見せる事無く半蔵は鬼の一団を撃退してみせた。
「これで終わりのようだな。早く帰るとしよう」
――ぱんつみえなくてよかったです。
「どうしてもそこか…」
だがしかし。そんなやり取りを闇の向こうから見つめる気配がひとつ。ニタリと、歪な笑みを浮かべていたのだった――。
文化祭。
創立100年記念祭の今年は例年にも増して大盛況だ。最終日の今日は今年のメインイベントともいえる大出し物、ミス盟譜学園コンテスト。
エントリーした水着姿の女生徒達が順に現れる中、最後のひとりが出た瞬間、会場はどよめきと拍手と歓声がフィーバーした。
なんと高等部の生徒会長、杏里・メイフィールドがエントリーしていたのだ。
レースクィーンを思わせるきわどいハイレグの水着でナイスバディを披露した生徒会長に、オーディエンスの興奮は最高潮に達した。
「まって、これ、おかしいです」
――どうした。
「だって生徒会長は――――――まな板のはずです!!!」
――誰かに成り代わられた可能性がある、と。
「あんなDカップ、有り得ません。あの生徒会長はニセモノです」
――判った。今晩、調べに向かうぞ。
杏里・メイフィールドの私室。
忍び込んでみれば、そこは異界の如き有様だった。
――これは…なんて酷い。
「やはり、転生者の仕業か」
「はっはっは。わらわの元まで来てしもうたか」
「貴様、何奴?」
「鈴鹿御前、と名乗れば判ってもらえようか?」
「何だと?」
「わらわの怨念は世界を喰らい尽くす。けして邪魔はさせぬぞ!」
床から、壁から、天井から。溢れ現れる魑魅魍魎。
手にした槍でそれらを蹴散らす服部半蔵。だがどれほど倒しても魍魎は次から次へと湧き出てくる。
「ああ、そなたは確かに勇ましい。だがその力は無限かな…?」
「ならば、力尽きるまでにお前を討つ…!」
まさに神速。魍魎の群れを蹴散らし鈴鹿御前へと一気に詰め寄る服部半蔵。その勢いに乗せて刺し貫かんと槍を繰り出す!
「見事なり! だがしかしわらわにはまだこの胸がある!」
ばいん! Dカップが槍を弾いた!
――そんなのぜったいニセチチだーーーーー!!
「おおおおおおおおおお!!!」
立海の渾身の叫びが服部半蔵に力を与えた。槍より炎が生じ、紅蓮の渦を巻き上げる。
「奥義・微塵がくれの術!」
待ってそれ伊賀者じゃなくて甲賀者の術!
「アジャパー!」
でもとにかく鈴鹿御前は倒れた! 鬼退治!
かくして盟譜学園に束の間の平和が訪れた。
だがしかし、まだ全ての悪が消えた訳ではない。
世界が再び笑顔を取り戻すその日まで、戦え、服部半蔵!
戦え!白水立海!
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