2010 緋色の村
(09/17 07:00 に終了)
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【人:222】宝涙の娘 ネージュ 09/17 03:05
これは、どこかの時間での話。
>>エド
エドには『ピンク色のポピーの花』の刺繍を。
あの時はびっくりしてしまったけれど、朗らかで明るい印象を受けたから、きっと「陽気で優しい」という意味があるから、「エド」にはピッタリだろうと思った。
彼の願いがどうなったのかは、その時に聞いただろうか。
>>アルバ
アルバには、『小さな黄色いルドベキアの花』の刺繍を。
ルドベキアに込められた意味は、「公平」「あなたを見つめる」。
観測者として『ゲーム』の行方を見守り……ネージュの絶望にも、助言をしてくれたアルバへ、感謝の気持ちを込めて小さな花を一つ一つ刺繍した。
渡せたのは、旅立ちの直前だったのかもしれない。
そのときに、屋敷で働くことと……この体質はそのままに生きていくのを決めたことを報告するだろう。
【人:223】宝涙の娘 ネージュ 09/17 03:14
>>トワ
『ゲーム』でともに過ごしたひとたちに、挨拶とともにハンカチを渡し終わる。いろんな人といろんな話をしているうち、いつの間にか怯えずに普通に話ができるようになっていたのだが、ネージュ本人はそれに気がついていなかった。
そうして最後の一枚を手に、トワの元へ。
「トワ!」
少し元気な声が出た。トワがこちらを見たら、微笑んで駆け寄り両手でハンカチをトワに差し出した。
「これ……いただいたハンカチに刺繍をして、みなさまにご挨拶をしていたの。これは、トワへ」
トワへ渡したのは、黄色の糸で刺繍したフリージア。
「フリージアは、私の街では……「親愛」や「感謝」の意味を持っている花なのです。トワにはたくさんのことを教えてもらって……たくさん協力してもらって……これからも、お世話になるから。その……いっぱいご迷惑もおかけすると、思うのですけれど……これからも、よろしくお願いしますという、意味も込めて」
少し首を傾けて、にこ、と笑った。
「受け取ってくれるとうれしいわ」
【人:224】宝涙の娘 ネージュ 09/17 03:24
>>220 >>221 ティキ
敬称を断られれば、「あ、は、はい」と少し慌てて返事をする。
「えと、じゃあ……ティキ」
ネージュが働くことを告げると、ティキはちょっと複雑な表情をしたけれど、ネージュにはその感情までは読み取れなくて、少し不思議そうな顔をしただろう。
差し出したハンカチを受け取ってもらい、ネージュはほっとする。
ティキから「お友達になりましょう」と言われたときには、少し驚いて、少しの間上手に言葉が出て来なかった。
「あ……え……私……」
貴族の暮らしをしていた頃から、ネージュは引っ込み思案で、ひとりでいることが多かったから、友達なんてほとんどいなかった。だから、真正面から友達になろうと言われるのは初めてで……時間差で、あたたかな気持ちが込み上げてきて、ティキに笑顔を返した。
「私でよければ……どうぞ、仲良くしてください。ティキ」
【人:227】宝涙の娘 ネージュ 09/17 03:50
皆との別れや、見送りなどが落ち着いたころに。
急にふと……空が見たくなった。
ネージュの家名「ル・シエル」は、「空」が由来なのだという。父はその名を誇りに思っていたらしく、子供のネージュによく話していたものだった。
兄たちのために、きっとその家名も落ちていくのかもしれないけれど。知られたくなくて、ここでも最初、隠していた名前だったけれど。今になって、ネージュは「空」の名を手放したくないと思った。
ノイシュに許可をもらい、そうっと外へ出る扉を開ける。
ネージュが扉を引くと、さっと外の明かりが差し込んだ。
最初はまぶしくて、手で光を遮ったけれど、すぐに目は慣れる。
ここに来たときに見上げられなかった空は、とても青い色をしていた。白い雲が流れていくのも美しく、小さな小鳥が飛んでいく。
その小鳥は、とても「自由」に見えた。それは、カゴの中にいないからではなく、自分の翼で、自分の意思で、飛びたい方に飛んで行くから。あんなに小さな体でも、そうするだけの力を持っているから。
【人:228】宝涙の娘 ネージュ 09/17 03:50
目を閉じる。
別れたばかりなのに、会いたいなと思った。
天使のように心のきれいな少年に。
物語のような旅の話をしてくれた青年に。
父のように護ってくれて……最後にネージュの胸に小さな薔薇を置いていったうつくしいひとに。
髪を撫でて行く風が気持ちよかった。
(『「不死者」さまのお屋敷に行けば、願いが叶うから』)
そう言って送り出してくれた姉を思い出す。今はまだ、迷惑がかかるからできないけれど。いつか旅に出られるくらい強くなれたら、姉にも手紙を贈ろうと思った。
「私の願いは叶いました」と、そう胸を張って報告したい。
これからのことを考えて、ネージュは、ふわ、と幸せそうに微笑んだ。
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