2010 緋色の村
(09/17 07:00 に終了)

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P18/P19/P20/P21/P22 [全25P]
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【人:183】瑞花の街 アルジャン 09/16 22:54
  
 2回目に選んだのは過去を求める男のひとだった。
 彼に抱く感情としては、「未知」だろうか。
 
 捨てられたら、なかったことにできたらどんなに楽だっただろう。過去とは己にとってそういうもので、皆が皆そうじゃないのは分かっているのにそれでも求める彼が、羨ましく思ったのかというとまた少し違うのだけれど。
 過去を持たないのは、自身の指針を持たないのと同じなのだろうか。
 目指すべき島を知らない渡鴉のもとへ、歩く。

  
 顔を近づけた時、仄かに鉄錆の匂いがしたのは知らないふりをした。
 腕は警戒するように組まれていたから避けて首元へ牙を寄せる。
  
 異端を追放する遊戯、
 遠い国の魔女狩りや、人狼騒動を思わせる。
 かりそめの未来図として、
 刻み付けるは処刑台への予約痕。
 あんたはそれを無視してもいい。
 それが自分の役目だと思うなら。
  

【人:184】瑞花の街 アルジャン 09/16 22:55
  
 最後に選んだのは、館で一番に言葉を交わした少年だった。
 呪われた血を目覚めさせるつもりもなく、誰の願いを叶えるかばかり考えていた。
 皮肉にも、館の主のおこなう選別と似通うのは複雑だったけれど。 
 
 それは、唯一正解を出した彼に対する畏敬だったのかもしれない。
 
 役目を終えたとばかりのいたいけな寝顔。
 純粋で聡明な、その言葉を紡ぐ手元を傷つけるのはためらって細い足首に指先を伸ばす。

 自分はこれから、あんたとあの子の運命を引き裂く。
 それを許さなくってもいい。
 ただ、彼女を信じた自分自身を誇ってほしいと思った。
 その口から伝えるまで
 『逃げるな』と引き留める見えない足枷。

 鎖のように、血液と唾液の混ざった糸が伝った。
 

【人:185】瑞花の街 アルジャン 09/16 22:58
****
 
「いろいろ考えたけど、あんたの願いを叶えたいって思ったからやな。
 あんたの声聞きたいって言ったの、嘘じゃない。
 嬉しいよ、話しかけてくれて」
 
「……僕に選ぶ権利なんてほんとうはないのにな」
 
「ネージュさんに伝えたいこといろいろあるんやろ。
 もちろん、他のひとにもあるやろうけどな。
 だからちゃんと伝えな」
 
 そういってゆっくりと頭を撫でる。
 

【人:186】瑞花の街 アルジャン 09/16 22:59
  
「なあ、なんで元に戻らなかったん?」
 
 少しだけ声色を落とした。*
 

【人:187】過去への渇望 レイヴン 09/16 23:01
>>167 ネージュ
何かを決心したような、今までとは違う言葉の強さを感じた。
じっと見つめていれば、言葉が続けられる。

謝る必要はないのだが。と思いつつも口を挟むことなく聞く。
差し出されたハンカチは今までの生活には縁のないもので。

「また、か……。
ありがとう。大切にする」

【人:188】瑞花の街 アルジャン 09/16 23:25
>>164ネージュ

 話しかけてきた彼女の、頬がさらに白んだように見えて心配になる。それも杞憂に終わったのだけれど。
  
「あぁ、どうもありがとな。
 さよか。ここで暮らすんか。……いろいろ安全だと思うで。良かったな」
 
 ゲーム中に偽りの疑いをかけたことを詫びようかとも思ったけれどそれは違うと押し黙る。丁寧な礼に合わせて軽く会釈で返し。
 深紅の瞳と相対。淡く光を宿した透明感のある綺麗な目だと思った。
 

「『自由』ねぇ。自分難しいこと聞くな」
 
 

【人:189】瑞花の街 アルジャン 09/16 23:26
 
「んー……。人によるって言ったらおしまいやけど。
 僕の中だと、そうやな。

 ────誰にも傷つけられず、誰のことも傷つけない。
 これを大前提に、自分のことを自分で決められること。
 
 こんな感じやろか。難しいよ。特に前半がな。
 なんなら無理やと思ってる」
 
 まぶたを伏せる。これが正解ならばきっとこの世に自由なんてものは存在しない。
 
「……傷つけないっちゅーんは、
 きっと誰かと生きるなら無理やね。
 たぶん、手当てするとこまで一緒なんよ」
 
 そうぼやくように返した。
 

【人:190】哀傷の無声 チーフル 09/16 23:34
>>182アルジャン
「あ、う、ん」

[頷く言葉が上手く出なくて、曖昧に声を出す。
足首を中心に感じる、疼くような熱い熱は。他でも無く、眼の前の朱い人から貰った物。
走る足も。痛みでさえも。自分と、誰かの違いを明確にしていく。

変えられてしまった事──不安だった。
夜に知らぬ間に食べられていた事──恐かった。

でも。そこにあった思いは?どうだった?
聞いた通りのもの。きっと、そうなんだろうと思ったものだった。

それが答え]

「おお、わえた」

「……のろ、わえた。
ものあって。おもいたく、なあった、あら」

【人:191】哀傷の無声 チーフル 09/16 23:35
[ネフェリルさんの言葉が、信用に足るものだって一番強く語っていたのは。
血族になった人は、自ら処刑台に登ってしまえると言う事も。
その事にも気が付いていたのに。全てが連なる事に気が付いたのは、ゲームの終り。

俯瞰して見た運命は全て繋がっているのに。今を歩く自分には、そんなものは見えないって教えてくるようだった。

──でも?なら?

運命が呪われているだなんて。誰に分かるのだろう。
僕のこれまでの、たった10年になるかならないかの人生が、呪われていたものだったとして。
その間に僕と関わっていた人達全部が、呪いに関わってしまった人達だなんて。僕は不幸なだけだったなんて思えなかった。

眼の前にいる、僕に祝福をくれた人が。
嬉しいと言ってくれる人から貰ったものを。呪いだなんて思いたくなかった。

こっちの結末は。まだ分からないから。
貴方が運命を呪っても。貴方も不死者様も、僕達に祝福をくれた。
なら。それを悪い運命だったって。まだ決めつけたくは無い]

【人:192】哀傷の無声 チーフル 09/16 23:35
「だあら。
あいあおう、おあいまいた」

「あうあんあん、……う〜……」

[きちんとしたいのに、上手く名前を呼べなくてうめき声を挙げてしまう。
これが、嫌な感情がそのまま口に出てしまうって事なんだ]

「あう、ある、じ、や、ん!さ、ん!
に、も。う、つ、あ、た、え、た、く、て」

[たどたどしい呼び方。
きっと、文字で伝えた方が余程早くて、アルジャンさんにも伝わりやすい。
けれどこれが。貴方の身だから。貴方が貴方であったから。今伝えられるものなんだよって、言いたくて。

振り絞った声に気持ちを乗せた]

【人:193】哀傷の無声 チーフル 09/16 23:49
>>ノイシュ
[不死者様の元まで、一緒についてくてくれたノイシュさんを見る。
また、彼は。僕が助けてを言えなくても、助けてくれた。心配してくれていた。

ネージュさんも。村の皆も。ちゃんと考えたら、そうだったんだ。
声の無い僕は。結局一度も。助けてって文字を誰かに伝えなかった。

助けて貰う事に、きっと言葉はいらない。
助けての言葉が無くても。きっと誰かが見ていてくれて。気づいてくれて。助けようとしてくれる。傍にいてくれる]

「おいし、ゅさん」

[じゃあ、これは自己満足。
誰かと、心が繋がっているんだって思いたかった僕の。僕の心を助ける為の言葉。
けど。ここにいる皆さんが、僕に向けてくれた言葉のように。

教えてくれた言葉のように。どうか、僕の言葉も。ノイシュさんの心に届きますように。僕の心が、彼の傍にいれますように]

【人:194】哀傷の無声 チーフル 09/16 23:49
>>ノイシュ
「あいあおう、おあいまいた」

「おう。
おいしゅさん、お、おと。
あいすき、えす」

[後の言葉は、ちょっと恥ずかしいから。
上手く伝わらなくても良いかもしれない。

空気が動く音。感覚。
これが、三日月になった自分の唇から出てるものだって気付いて。
また恥ずかしくなって。止まらずに。止めずに音を漏らし続けた]

【人:195】瑞花の街 アルジャン 09/16 23:53
>>179>>180レナート
「あんたの目に適うんは難儀やろねぇ。それがものでもひとでも」

 
「ああ?」
 噛んでくれ、と言われれば思わず目を眇めた。
  
「あー……うー……まったくもー……。あんたってひとは。」
 
 頭を抱えそうになる。実際のところは腹を抱えて笑ってしまったのだけれど。
 「機会があったら」の言葉に現実味が生まれ、死ねない理由が増えてしまった。分かってて言ってるんだろうか。ひとしきり笑ってから顔を上げ。

 
「ええよ、成功報酬や。
 そんときにレナートさんが望むなら、噛んでやる。頼んだのを後悔するくらい痛くするかもしれんがこれは僕の気まぐれやからな。分からんわぁ」
 
「楽しみにしとるわ」
 わざとらしく肩をすくめ、にかっと笑みを見せた。*
 

【人:196】欠落する心 ティキ 09/17 00:00
>>172 トワ
「本当?よかったわ。危うく徒然に旅暮らしを始めないといけなくなるところだった。行く当てもなく恐らくは唯一の身内であろう母親を探す旅よ。もしかしたら大陸を越えて来たかもしれないわね…。船旅もちょっと興味あるわ。トワ、今度メイドの仕事のお休みをいただいて一緒に旅行しない?何か気持ちが軽いの。今なら何でもできる気がする。きっと気のせいだけれども。」

「なるほど…それはとてもいいわね。空、一度飛んでみたいと思っていたのよ。不死者の方みたいな魔法があるならあるいは何とかなるかもしれないわね。私の【祝福】っていうのが何だったのか、不死者の方はわからないのかしら?あのままだったら私もある意味不死者になっていたかもしれないし、何か関係があるのかも。仕方ないと諦めていたこともまたやってみたいわ。お料理も、読書も、かけっこも。また練習すれば出来るようになるかもしれないし。ね、そうでしょうトワ。」

“うきうきと楽しそうに”ティキは話す。
ティキはトワを抱いたまま真っすぐにその目を見ていた。

【人:197】欠落する心 ティキ 09/17 00:00

「それにしても…トワ、貴女冷え性なのかしら?貴方を抱いているどういう訳かとても涼しいわ。酷暑の時期になったら一緒に寝てくれない?私体温高い方だからきっと丁度いいと思うの。」

ティキが思慮深さを思い出すのは少し先になるかもしれない。

【人:198】宝涙の娘 ネージュ 09/17 00:14
>>169-171 チーフル

チーフルには既に刺繍を贈っていたけれど、あのときと今では、また気持ちが変わっているから……改めて心を込めて白いハンカチに刺繍をした。

「できた……」

ちょうど、刺繍をし終わって、ハンカチをたたもうとしたときだった。
傍らから聞こえた、初めて聞く声にハッとする。反射的にそちらの方をパッと振り向けば、スケッチブックを持ったチーフルが、そこにいた。

「チー……フル、くん……?今の……」

目を丸くして、チーフルを見つめた。チーフルは一生懸命に、叶ったばかりの「願い」を以て、ネージュに心を伝えようとしている。
ネージュはチーフルが話している間、チーフルのほうに体を向けて、何も口を挟まずに彼の言葉を聞いた。口の形をみて、ひとことひとことにゆっくり頷きながら、チーフルの声を聞いた。

チーフルの声は、まっすぐ胸に届き、響く。
ああ、これが、この子の――ずっと求めていたもの。願い。希望。

最後に、問いかけられてネージュは……椅子から立ち上がって膝立ちになり、チーフルの両手をとって、崩れるように微笑んだ。

【人:199】宝涙の娘 ネージュ 09/17 00:15
「つ、つたわった、わ。チーフルくん……。全部。わかった。私も、ごめんね。逃げて、ばかりで……こわがって……ずっと。ああ……どうしよう……私……あなたになんて言ったら……」

ぽろっとひと粒。大きな涙が瞳からこぼれた。ネージュは慌ててそれを拾う。

「あ、ご、ごめんなさい、びっくりさせて……こ、これは、あの……ちがって……悲しい涙じゃ、ないの……」

手のひらの中のそれを見て――ネージュは首を傾げた。その宝石は、明らかに今までのものとは光り方が違って……。光を乱反射して、いっとう輝いていた。
――それは、ダイヤモンドだった。
ネージュはそれをしばらく見つめて、ほう、と息を吐いた。

「……そう、なのね。幸せなときの涙って……そうなのね……」

静かに目を閉じ、改めてチーフルを見つめる。ポケットに折りたたんで入れていた、チーフルにもらったスケッチのページを開いて見せた。
そこに書いてあった、『不死者様に雇って貰ったり、とか。』という一文に赤いペンで〇が書かれている。

【人:200】宝涙の娘 ネージュ 09/17 00:15
「……あのね。私、ブラムさまにお願いして……こちらのお屋敷で雇っていただけることになったの。チーフルくんが見せてくれた、未来の姿が、ひとつ本当になったのよ。チーフルくんがこの言葉をくれたから。
あなたは、私の恩人で、とてもとても大事な人。だから……だから、あなたの声が聞けて、嬉しい。とても幸せだわ。私のところに来てくれて、ありがとう」

そうして最後に、四葉のクローバーを刺繍した白いハンカチを、チーフルの手の上に置く。

「――四葉のクローバーの言葉は、「幸運」、それから「約束」。私、きっとここで、もっとつよく、やさしくなって……いつか、チーフルくんに会いに行くわ。チーフルくんが書いてくれた未来の姿、全部叶えたい。
……欲張りだけれど。自分の力で叶えるなら、きっと神様にも許してもらえるわよね」*

【人:201】瑞花の街 アルジャン 09/17 00:19
 
>>190チーフル

 どうしてというから、恨んでいるのだと思った。
 身を屈ませ耳を澄ませなんとか意味を取ろうとする。
 
 呪われたものだと思いたくなかった。と。
 

「あんたは心がきれいすぎる」
 
 
 喋るのは正直辛そうだ。それでも懸命に声を振り絞っていた。撫でる手は離さないままゆるりと髪を梳く。
 

【人:202】瑞花の街 アルジャン 09/17 00:20
>192
 
「正直、心配なるわ。
 僕みたいなのにまた騙されへんか。
 嫌なことは嫌って言え。
 あとからでもやられたと思ったら反抗しろ。
 チーフルさんはその手段を得たんやから。
 
 ……あとからでも、
 なんかやなことがあったら戻してもらえ。
 それとな、怪我には気をつけるんよ。
 特にでかいやつな」
  
 
 自然と慈しむような視線になる。懸命に名を呼ぶ仕草にからからと頬を持ち上げた。
 

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