2010 緋色の村
(09/17 07:00 に終了)

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【人:0】哀傷の無声 チーフル 09/14 12:39
[自分の身体が変わってしまっている事に気がついたのは、ついさっき。
熱いような。気怠いような。
これまでの僕とは、変わってしまっていたんだ。

夜に。襲われて。血を食べられて。変えられてしまった。
皆とは違う、別の生き物に]

『やっぱり。
そうなんですね』

【人:16】哀傷の無声 チーフル 09/14 21:59
>>2ネージュ
[僕の顔を見て、怖がるように下がるネージュさんに。
手を伸ばそうとして、伸ばせなかった。

アルバさんが。レイブンさんが。ノイシュさんが。
ネージュさんへと声を掛けてあげているのに。
僕の手は空をぐるぐるするだけ。
こころは、何も伝えないだけ]

[ありがとうを、最初に言いたかった。
村の皆だって特別で、大切で。ありがとうを言いたくて。
けど、このお屋敷で。最後まで信じてくれて、助けようとしてくれて。一人にならないようにしてくれた、ネージュさんには。

僕の初めての言葉は、ありがとうにしたかったのに。

けど今、僕は。声が出せるようになったとして。
どんな言葉を掛けたら良いのか。

掛けても、許されるのか。分からなくなってしまった]

【人:17】哀傷の無声 チーフル 09/14 21:59
[どうしようも無いって気付いたのは、どうしようもなくなってしまった時。
その時に、何か一文字でも。伝えて上げられれば良かったのかな。

そんな、もう遅い事ばかり考えてる。
ノイシュさんの身体の奥から、ネージュさんの泣き声が落ち着いていくのが分かる。
泣かせてしまったのは僕で。止めてあげられたのは、ノイシュさんで。

ノイシュさんにも。ネージュさんにも。
僕が心を伝えても良い言葉なんて。見つからなかった]

『ごめんなさい』

[僕は、その文字を描いたスケッチだけを、床に置いて。

二人がこっちに気付かない内に。
僕の心に、気づいてしまわない内に。
そこを、離れた]

【人:69】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:10
[誰にも見つから無いような柱の陰から。
僕はアルジャンさんと不死者様の姿を見ていた。

目を瞑る事は出来なかった。
煌めく鈍色も。飛ぶ朱色も。
目を離せなかった]

【人:70】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:10
[ノイシュさんの、僕を探す声も>>55
今の僕には答えられなくて、お屋敷の読書の部屋へと隠れに行く。
いつかのノイシュさんは。僕の声が無くても、近づいて来てくれたのに。

不死者様の言葉が、頭と心に響くようだった>>47
スケッチも置いてきてしまった僕には。この心を表す方法が分からない。

ノイシュさんの声が、何処までも追いかけて来るみたいで。前なんて全然まともに見えないで走っていたら。


図書室の本棚にぶつかって。山盛りの本が、僕の上へと降って来た。
本の森に囲まれて。痛みや色々で、眼の前が暗くなっていって。

僕の心も、くらくなっていくみたいだった]

【人:71】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:11
──くらいくらい。一人っきりの森の中──

【人:72】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:12
たまたまだったんだ。
いつもは大人といっしょ。

ぼくは、他の人とは違うから。
特に気を付けてもらって。危ない事が無いように。
たいせつにだいじに、みんなにやさしくしてもらってました。

けど、その日は。
まだ森は明るくて。生き物達だって穏やかで。鹿の親子連れが、散歩をしている位で。
おとうさんとおかあさんは、ぼくの為のごはんを用意してくれていて。
村の皆は、ぼくを見かけるたびに声を掛けてくれて。
そしてほんのすこしだけ。
ぼくが。みんなからの優しさに、息がくるしくなっていた日は。

一人で森に入ってみたくなったんです。
言葉もつたえられないぼくは。見ていてくれる人が。
傍にいてくれる人がいないと、生きてはいけないから。

【人:73】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:12
一人でもだいじょうぶだったよって。だいじょうぶなんだよって。
だから、しんぱいしなくてもだいじょうぶなんだよって。
そう思って欲しくって。森のほんの少し奥にある、果物を獲って来ようと思ったんです。
それがまちがいだったんです。


足を滑らせて。落ちていったのは、昏い底。

なんてことはないような。少し人目につきにくい、木の洞の奥。
ほんの少しでも声が出せるなら。簡単に人に気付いて貰えるような。そんな場所。

落ちた時に、足が折れてしまったみたいで。
何かに引っ掛かって、擦れて。血が出ていて。
段々と、昏いそこに血の匂いが広がって行って。

あるけそうにありませんでした。
洞をのぼっていくなんて、いたくて、痛くて。出来そうにありませんでした。
どれだけ手を伸ばしても。お日様の届くそこには、届きそうにありませんでした。

【人:74】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:13
──どれくらい経ったかな。

森はもう暗くなっていて。ぼくは静かに息をするだけ。
獣さん達の唸り声が聴こえます。
お昼間とはちがう。弱い動物を食べてしまう、恐いこえ。
木の匂いが、ぼくをゆっくり地面に埋めこんでいってしまうみたいで。
足が痛くって。身体の全部も痛くって。こえを出して、いたいって言う事も出来なくって。
見上げた先の星は綺麗なのに。僕の身体は泥だらけ。月の明かりも。星の明かりも届いてくれない。


なによりもつらかったのは。
時折、村の誰かの声が近づいて来ては、離れて行くんです。
そこにいるのに。ここにいるのに。気づいてはもらえませんでした。
だって。ぼくにはこえが無いから。
なにも、つたえることができないから。
どれだけいたくても。こわくても。かなしくても。こころぼそくても。

痛いって泣けません。恐いって叫べません。
たすけてって、声は出ません。

【人:75】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:14
たすけて

たすけて

たすけて

【人:76】哀傷の無声 チーフル 09/15 22:15
たすけてが、いいたかったんです。

このまま。誰にも見つけてもらえないまま。
誰にもたすけてをいえないまま。

一人っきりで。しんでいくんだ。

ぼくのこころは。そうおもいながら、しずんでいきました。

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