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想像通りの展開。
抵抗を沈めるためにまず真っ先に眠らせようと…しかし、薬の量が少なかったのか、フルネラの薬への耐性が強かったのか、完全に眠ることはなく半覚醒状態のまま。
視線だけは強い怒りをもってセリナを睨みつけていた。
「…今回は、ちゃんと楽しもうと思っています…。」
プルネラには意味の理解できない言葉だろう。
しかしセリナにはセリナなりに、女性の身体に対して誠実であろうとしている。
前提がおかしいことは、既にもう、どうでも良いことだった。
コッペリウスにもらったラブポーションを取り出すと、ゆっくりと服を脱がしながら、とろりとその白い肌に液体を落としていった。
「冷たいですか?ごめんなさい、すぐに良くなるはずですから…。」
感受性を上げ、痛みすら快感へと変えるらしい。
だから、初めてでも、とても気持ちよく行為を行うことができると聞いた。
…効果は抜群だった。
即効性らしく、服を脱がすための衣擦れすら、プルネラは全身をわななかせて可愛い声をあげた。
「いや…それ以上は、やめなさい…!」
まだ、命令口調。
しかし無視をして最後の一枚に手をかけた。
「ゃ、やぁ…」
外気に晒され、さらに液体をたらされた冷たさに、いっそうがくがくと震え…。
「…私、何にもしてないのに…プルネラさまはもう達しておいでですか…?
ひとりで先に。ずるいです。」
「言わないで…言わないで……」
ふふ、と。笑う。
わざと自分に怒りが向くように、言葉を仕掛ける。
――プルネラさま、私を見てください。睨んでもいいです。
――罵倒してもいいですから、私の名前を、呼んでください…。
そう心で念じながら。
「プルネラさま、ほら、もうこんなに…。」
「やめ、やめて、セリナ、この卑怯者…!」
するとさっきとは打って変わって、突然優しく囁くと、頭を撫でた。
「プルネラさまは素敵です。責任感があって、とても魅力的で…。嫌いになんかなれません…。対立して凄く辛かった…。
この素敵な身体が、一生男性を知らないままなんて、もったいなくてどうにかなりそうです。
だから…ください。…ね?」
プルネラの長い髪を解くと、シーツの上にぱらりと広げる。
その行いに、プルネラはしばし戸惑いの色を隠せない。
「忘れればいいんです。これは夢。ひと時の悪夢です。
夢なのだから、楽しみましょう…?」
悲しくも優しい微笑で、プルネラの目元の涙の珠を舐め取ると。
「プルネラさま、もう一度、私の名を呼んで…。」
セリナは、プルネラの肢体へと、溺れていった…。
[少し経って、涙が零れたことに気付く。]
……ごめんなさいまし、と、取り乱して。
少し、部屋で落ちついて来ますわ。
[弱弱しく笑い、くるりと踵を返して部屋へと戻った**]
[いつものように、靴音を立てて、大声を上げながらやってくる…。
そう思っていた。
だから、突然のノックと声に、飛び上がるほど驚いた。]
……。
[逃げるわけには、いかない。こうなることは分かっていたから。]
………。
ユリウスさま…。
[でも、その名前を口にすると、決心が崩れかけた。]
[強いノック。静かだけれど、強い口調。…いっそ、殴ってくれたほうが、いい…。]
……。ちょっと、待ってください…。
[でも、向き合うべきだ。
セリナは立ち上がると、まずは顔を洗おうと洗面室に…行こうとして、サイドテーブルの足に躓いて大きな音を立てて転んだ。]
……っ……。
こんな時にまで、私ったら…。
[あまりの情けなさに、もうどうでも良くなってきた。
とりあえず顔を洗ってさっぱりすると、引き出しの中から、鈍い金属…鍵…を、取り出して握り締めた。]
[扉を開け、ユリウスを招き入れる。簡易な服装のセリナは、憔悴しているもののいつもと同じように見えるだろう。ただ一点を除いて。…胸が、ない。
セリナは、ユリウスが何かを言うよりも早く、手の中の鍵を差し出して…渡した。]
……勝手にお借りしました、寮内のマスターキーです。
先ほど、プルネラさまの部屋に入るために、使用しました。
[その意味するところは、説明するまでもない。努めて事務的な口調で、報告をした。]
[開かれた扉。招き入れられるまでも無く、足を踏み入れる。
セリナと向き合い、見下ろす。
その顔色は、蒼白。
そして、セリナが見るときいつも微笑か、憤りの表情をしていた顔。それは、今まで見たことがないくらい、なにも無かった。
黙って鍵を受け取った。]
セリナ。
いや。
君は、誰だ?
私は、良い隠れ蓑だったか?
[この人が向き合った相手が別の悪人か、気に食わぬ者なら、冷静な言葉どころか、既に首を掴んで床にかなぐり捨てていただろう。
そう容易に想像できる。]
[今の心は疲弊した水風船だった。
つつけば、感情がとめどなく流れ出すだろう。]
[ユリウスに見下ろされ、セリナは見上げた。視線が合う。]
…快活で、大胆で、自信に溢れて、優しくて、…ちょっとだけ、意地悪で…。
そんなユリウスさまが、大好きです…。
[驚くくらいに、するりと言葉が出た。やはり、好きだ。
でも自分の犯した罪は大きい。これからは、このユリウスからの軽蔑と罵倒とを背負って、一生を生きるのだ。]
でも、ユリウスさまがこんなお顔をされるようなことをしたのは、間違いなく私です。
好いていると言われるのも、不愉快でしょう。
…どうか、お殴りください。
気の済むまで……。
もう、二度と会うこともないでしょう…。
[静かに、言葉を紡ぐ。覚悟を決めた表情で。]
!! ……
…… …………。
[突然滔々と述べられた言葉。それを聞けば、冷たく凍った表情から、眉が僅かに動き、目は少しだけ見開かれた。]
……ッ!!
[セリナの首もと。服を、ひっつかんだ。しかしそれは、一歩くらい相手をこちらに引き寄せたに過ぎなかった。]
[表情に生が…、怒りと戸惑いの混ざった表情が浮かぶ。顔を近づけた。]
もし君が、『男』だと私だけが知ってしまった時。
私は、君の正体を隠して、逃がしてやろうと考えていた。
しかし。
…君は、行為に及んだ。
それも、誰にも明らかな……
どうか教えてくれ。
なぜ、心を抑えつけてまで……
[言葉が途切れる。
セリナの目を覗き込みながら、初めて、心から悲しそうな目をした。]
/*
わおーん☆あなたの男の子コッペリウスだよ☆
今日は桔梗蹴倒して僕がやっちゃうよ☆
マスターキー盗っちゃえば侵入なんて簡単☆
そのまま強襲してクスリ使って眠らせようとしたんだけどあんま効かなかったみたい?
ぼんやり意識があったみたいで睨みつけてきたよ☆こわいね☆でもそのほうが逆に楽しめたね☆
さてさて今回は桔梗からもらったクスリを使うよ☆さっきのじゃなくて媚薬ってやつね☆塗るタイプね☆
速効性でちゃちゃっ☆と堕ちてもらったよ☆衣擦れでもかわいい声が上がると萌えちゃうね☆
卑怯者って言われたり名前を呼んで罵ってくれると最高だよね☆
でも僕は桔梗と違って平和主義者だから途中からは優しくしたよ☆
頭を撫でて髪を解いて涙を舐め取って楽しもうねって囁いて☆
それで名前を呼んでって言ったらプルネラ
(省略されました。続きを読むにはわおーんわおーんと書き込んでください)
[わずかに見開かれた目を合図に、セリナは歯を食いしばり、目を閉じた。
しかしやってきたのは衝動ではなく。引き寄せられてよろめき、ユリウスの身体に手をつく。]
あっ…。
[胸に触ってしまい、慌てて手を引いた。]
も、申し訳、ありません…。
……ユリウスさま、お優しすぎます…。逃がす、だなんて。そんな…。
[また涙が出そうになるのを、必死でこらえる。]
…私は、セリナです。最初からずっとセリナでした。
……戸籍も、女になっています……。
[本当は話すつもりはなかった。しかし、ユリウスの悲しい瞳には逆らえなかった。]
私は母の死と引き換えに生まれ、母を溺愛していた父は、私を最初から女として育てました。母は女の子を欲していたからです…。
やがて成長するにつれ、私は写真で見る母と、瓜二つの姿になってきました。父は…そんな私に特殊加工を施した付け胸までつけさせて、亡き母の服を着せて。
私は負い目を感じ、父の命令に逆らえませんでした。
しかし…やがて父は、母の願いの「娘のウエディング姿」まで望むようになりました。…父は、自分の言いなりになる男性を選び、結婚を…させると…。
[ひとつ、息をついた。]
私は、さすがにそれは、嫌でした。何もかもが女だとしても、本当は男なのです。
生まれて初めて、父に逆らいました。
そんな私に、父は言いました。「お前は男として、女が抱けるのか?」と。
そして、ここでそれを証明すれば…結婚を取りやめ、男としての生活に戻してやると。
間違っていることは、分かります。
自分のために他人を踏みにじる。でも、私には、これしかなかった。他の方法は、思い浮かばなかった。そう、育てられてきたから…。
もっと早く、ユリウスさまにお会いしたかった…。
[こらえていた涙が、ぽろりと落ちた。]
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