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[ふと思い至ったのか、首をかしげてほのかを見つめて]
そういえば、ほのか様はどうしてこないな時間に?
ひょっとして朝ごはんを作りに来はったんですやろか?
[気付けば空になっていたカップを給湯室へと運び、手早く洗う。]
いえ、私は校内の見回りは、基本的に夜中を担当しているのですわ。だから見回りのために今起きたわけではないのよ。
…そろそろ部屋に戻って休むことにすしますわね。
[プルネラは机の上に広げたままの参考書やペンを、そしてアルバムを手早くカバンに仕舞いこんだ。]
カスミさんほのかさん、おやすみなさい。
[プルネラは笑顔で挨拶すると、――カスミと目が合った一瞬、笑みを強めた様子だった――*談話室から出て行った。*]
あ、お休みなさい、プルネラ様。
[ほのかに聞こえないように小声で「写真、ありがとうございます」と礼を述べて、部屋へ戻る後姿を見送ります]
[化粧室に向かうほのかさまに、苦笑しながら見送って。自分もそろそろ部屋に戻ろうかと思いつつ、時計の方へなんとなしに目をやり]
もうこないな時間なんやね。昨日はあれっきり会えへんかった……。
今日はお会いできると良いけど。
[写真をしまった浴衣の襟元に手を当て、声に出さずにそっとその名前を呟く]
[目は覚めてしまったものの、いい加減寝ないと明日の授業に差し支えてしまう。カスミは自室に戻ると、写真立てにプルネラから貰った写真を挟み、それを大事そうに抱きしめて眠りに付くのだろう]
[くらくらする頭を静めるため、目を瞑ってじっとする。そのうち思考も落ち着いてきた。
ヒカリがユリウスを「食う」。
それを止めることも怒ることも、自分には権利が無い。
なぜならば、自分も誰かの大切な人を「食う」ことを考えていたのだから。]
こんなことで、お父さまとの賭けに勝っても、私…。
私…そんな私…ユリウスさまに、守っていただく資格も、無い…。
[ぽろ。
涙が零れた。]
そもそも…。
[そう。そもそも、ユリウスが好意を抱いているのは、女性であるはずの自分。「セリナ」が女を止めたとき、全ては終わってしまう。
「原型留めぬまで成敗する」そう吠え立てるユリウスの姿を思い出す。]
なんだ…そう、なのね…。
私がユリウスさまと永遠を誓う日が来ることは、最初から無いのですね。
それこそ、ありえない、ことでした…。
ふ、ふふ…。
[とめどなく涙が零れた。ただ、はらはらと涙が零れた。
そして涙を流しながらも穏やかな笑みを浮かべ、マレーネに言った。]
コッペリウスさま、申し訳ありませんが、「お手本」の映像をもう一度最初から見せていただけませんか?
もう、逃げたりはしませんので…。
それに、何か…教本みたいなものがあれば、それも。
私には知識も経験も、無さ過ぎます。
このままでは、徒に相手に要らぬ傷をつけるだけ…。
自らの保身のためだけに、周りを踏みつけてゆく決心をしましたが…心の負担は、軽いに越したことはありません。
…ええ、ただの自己満足です……。
[その姿は、何かが半分抜けかけているようにも見えたかもしれない。やがて涙は止まるが、瞳の奥の色は、深い蒼に沈んだまま…。]
――深夜・ユリウスの部屋の前――
[そっと、部屋の扉に両手のひらをつけ、額を押し当てる。]
ユリウス…さま……。
[その名を、小さく、小さく、噛み締めるように呟く。語尾が熱い吐息で揺れる。]
ユリウス、さま…。
[今日は会えなかった。いや、合わす顔が無かった。
ただただ、心の中を彼の人で満たすように、繰り返す。]
……おやすみ、なさい…。
[思いを置き去るように、扉から身を引き剥がすと、自分の部屋へと*戻っていった。*]
・・・ふぁ。
おはようございます、ラティアさん。
何があったか、ですか。
[既に大勢の人間が話を聞いている、いずれは誰かから知るなら――]
実は昨晩、生徒会の方々に連絡があったみたいです。
[男が三人確認されたこと、ジェルトルーデが攫われたこと、そして疑わしいものを一人ずつ追放していく事を話した]
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