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[頭を撫でる優しい体温に落ち着いたのか、ようやく目を開ける。]
弾けるというか…あまり上手くありません…。
本番ではぼろぼろで、全く…ダメです…。
とてもお聞かせできるようなものでは、ありません。
[悲しげに笑うと、自信の塊のようなユリウスの姿をちらりと見て羨ましそうにため息をついた。]
[ユリウスからセリナを庇うように一歩前に出て]
喉が渇いたもんで、お水を貰いに立ち寄ったんです。
ケーキはユリウス様に食べてもらいたくて、用意してたんやけどお嫌いやったでしょうか?
[しょんぼりと申し訳なさそうな表情でユリウスを見つめると、ごめんなさいとぺこりと頭を下げる]
上手下手は関係あらへんよ。
まったく弾けへんうちから見れば、弾けるだけで十分凄い思うし。
いつかセリナはんが聞かせても良い思うたら、聞かせてな?
[ユリウスの怒声に、びくりと全身を震わせた。
しかし今度は隠れたりはしなかったが、ユリウスの言葉に蒼白になっている。]
ふ、太る…。
太って…しまいますか…。
[セリナは細い。かなり細いほうなので、むしろもうちょっと太るべき体格なのだろうが。]
これ以上太るということは…む、胸も…。
[思わず自分の手で胸を抱えるように抑えた。]
どうしましょう、まだ食べ終わっていないのに。
食べ残すと、ミサナさまに申し訳がありませんし…。
[庇われたカスミの陰で、いろんな意味で涙目になっている。]
は、はい。
お聞かせできるレベルになるよう、努力します…。
[カスミに返答しながらも、思考は胸に行っているようだ。押しつぶすように豊満な胸を抱え込んでいるが、むしろそれは単に谷間を強調する仕草にしか見えない。]
[前に出たカスミをキッと見たが、続く言葉に、ぴく、と眉を動かす。]
………なにっ ……
[小さく、喉の奥から声を出してから、]
…カスミ君だな?
きみ!私を馬鹿にするなっ!
……私が、人の行為を無碍にするような人間なわけなかろうがっ!!
早く頭を上げたまえっ!
[自分の正義論>太るであった。]
うち、可愛くなんかあらへんけど……。
でもおおきに。お世辞でも嬉しいわ。
[ヒカリの言葉にくすくすと笑って]
クリームが付いたままでも子供みたいで可愛かったけど。
[胸を強調するような仕草のセリナを不思議そうに見つめつつ]
うち、セリナはんのヴァイオリン楽しみにしとるから。
ふふ、楽しみやわ。
[ユリウスの言葉に頭を上げて、ケーキを一皿差出し]
良かった。ユリウス様、ケーキ嫌いやったらどうしようかと思うてました。
ほな、ミサナさんの手作りケーキが2(10)個残ってますさかい、たくさん食べてくださいね。
[蒼白になっているセリナへ歩み寄り、]
そうさ、太るさ!
恐ろしいことだ。全く…… ……しかし。
[グッとセリナに顔を近づける。]
君にはひょっとしたら、もっと魅力的になる手段かもしれないな!
なあ!?
[ニイイ、と笑った。相手の心情もつゆ知らず。]
[不意に視界に入った時計に目を止めて]
……と、もうこんな時間。
そろそろ寝んと、朝起きれんくなってまう。
ほな、うちもそろそろお暇させてもらいます。お休みなさい。
[ぐぐっと顔を近づけられると、ベビに睨まれたカエルのように硬直したまま動けない逃げられない状態に陥ってしまった。
血の気が完全に引いて顔が蒼白状態のところで、イニニっとした笑い顔を見せられ…緊張の限界に達したらしい。]
は…ぅ……。
[意識を手放した。
よりによって、そのままユリウスの方に倒れこみかける。]
[皿を受け取れば、おいフォークは何処だ、なんてがちゃがちゃ漁って、使われてないフォークを取り上げる]
おう、遠慮なくいかせて頂く!好意を無碍にするわけにはいかないからな!
[強調するように、二度繰り返す。去ろうとするカスミへ振り返り、]
おう、そういえば消灯時間なわけだ。
人に見つからぬよう、静かに!気をつけて帰れ![とか静かとは真逆な音声で]
[倒れ込みかけたセリナを、ぬぐおっと抱き受け止めて]
…お、おい、どうした!大丈夫かっ!
目を覚ませ!死ぬんじゃない!寝たら死ぬぞーっ!![大慌て。耳もとでうるさい]
ねむねむ…
セリナちゃんダイエット中なの?
ぜんっぜん太ってないのになぁ。
私に気使って無理に食べなくてもいいよぉ。
食べようとしてくれる気持ちはすっごくうれしいし
[失神したものの、耳元で叫ばれてすぐに意識を取り戻した。
しかし自分の置かれている状況を掴めず、単に抱きとめられていることだけ認識して。]
き、きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
[とても普段のセリナからは思いつかないような甲高い悲鳴を上げると、反射的にユリウスに平手打ちをしようとして手が動いた。そのはずみでユリウスの腕から逃げ出し、そのまま一切後ろを振り向かずに一目散に部屋から逃げ出した。
…途中で何度か派手に転んでいる音が聞こえたかもしれない。自分の部屋に駆け込むと、しっかり鍵をかけて閉じこもった…。]
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