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「これから、もっと恥ずかしいことをしたいんじゃなかったのか?」
そんなことを言われ、セリナはショックで少しよろめいた。
そうだ、ユリウスさまはほぼ間違いなく初めてで、そして自分は経験者。
なのにこの状態は、情けないにもほどがある。
そもそも、プルネラさまとやったときは、恥ずかしいなどとは微塵も思わなかったのに。
できうる限り優しく、傷をつけないように…経験の不足分は媚薬の力まで借りて…とにかく優しく大事に抱いた。それくらいの余裕があったのに。
因みにその媚薬は、痛みをも快楽に変えてくれるとかで、やたらと効き目が凄かった。仲間はあんなものどこから調達してきたんだろう?
それはともかくあのときのプルネラさまは美しかった。いつもの、色々な役割や義務に囚われて沈んでいることの多いプルネラさまが、そういったしがらみから解き放たれて快楽に身を任せる姿は…。
花を手折るのではなく、つぼみが花開いていく。
そんな感慨を得た、プルネラさまとの交わり。
その時は、ただただプルネラさまがいとおしく、勝手な考えだけど、幸せになって欲しいと、そう願った…。
……い、いや、いや、今はそういうことを考えている場合ではなくて、そんなことを考えたらゆりうすさまにしつれいでだからえっとあのあぁぁぁぁぁぁ…。
結局、始終ユリウスのペースで。
セリナは幸せを感じる間もないほどに、ユリウス色に*染まっていった…。*
でも、ね。私はこういう楽しいひと時を守りたい。
その気持ちに一切嘘偽りはないんだ。
だから歩みは止めない。私は私の正義を貫く。
それさえもやめたら・・・私は本物の共犯者に成り下がってしまうから。
明日からまた全員を洗いなおしてみるわ。
それが私たちに出来る事。頑張りましょう・・・ラヴィ。
[―回想・了―]
『おはよう』
[いつものように挨拶を掲げるものの、談話室はがらんとしていた]
『……しずかだね』
[ぽつりと認めて、椅子に座った]
――――……♪
[歌ではなく、ただの口笛が室内に響く。
即興でメロディを考えて、たどたどしく音にした。
歌いはしなかった。聞いてくれる人がいないと寂しいものだから。
しばしそんな一人遊びを繰り返した後、既に文が書かれたメモを一枚、破って机に置いた]
『ユキちゃん。三日前の続きになるけれど。
ユキちゃんは私の考えに意見したり、他の人にも色々質問していたけど。
ユキちゃん自身の考えは……公正にとかの方針じゃなくて、誰をどう思ってるかって考えを言ってくれないの。
ただ冷静に……冷静すぎるほどに、みんなの行動を見ているだけ。
それで、昨日は投票ミスって言ってたっけ。あんなに男の人対策をいっぱい言ってたユキちゃんが?
そんなの、変だと思うの。
こういう疑問があるから、今私はユキちゃんを疑ってるの』
[その日セリナは、ユリウスの腕の中で目覚めた。肌の温もりに包まれて、とろとろとまどろむ至福の時間…。しかし、はっと気づく。]
逆です…。逆すぎます…。
どうして男の自分が、女のユリウスさまに、腕枕してもらっているのでしょうか?
激しく逆すぎます…。
[しかしふと昨夜のことを思い出すと、もうどっちでもいいような気分になってきた。完全にリードを奪われて、なすがままだったのは、もう覆しようのない事実だったから。
「やめて」「恥ずかしい」「ダメ」
言えば言うほど、された。]
気持ちは分かります。私もそうでしたから。しかしまさか身に受ける側になるとは…。
[とはいえ、やはりユリウスは初めてだった。
絶対につらいのに、そんな表情出さずに、微笑んでくれた。
なんだかんだでその時は、ちゃんとユリウスの身体を気遣うことができたんじゃないかと…そう、勝手に思ってたりする。]
以前、仲間に「ユリウスにどうして欲しい?」と聞かれたことがありました。
その時は自分には全く経験がなくて、しかも受身思考で、「抱きしめて欲しい」って答えてしまってあきれられたのでした。
でも、本当に抱きしめられてしまいました…。
全身くまなくユリウスさまで包み込まれて、本当に本当に、死にそうなくらい気持ちよかったです…。
[規則正しく寝息を立てるユリウスの頬にかかる髪を掬い取ると、くるくると指先で弄んで、口づける。]
どうしましょう、幸せです。
幸せすぎます。こんなに幸せでいいの…?
[涙が零れそうだ。
ぽふりと、ユリウスの豊かな胸に顔をうずめる。そして胸元に口付けて、小さな紅い印を刻みこんだ。]
ユリウスさま、愛しています…。
[名残惜しいけれど、もう別れの時間。目を覚まさないように気遣いながら、腕の中からすり抜ける。
もう一度、今度は唇に口づける。触れるだけの優しいキス。
でもお姫様は目覚めない。]
…お疲れですよね、ごゆっくりお休みください…。
[布団を整えて身支度を済ませると、ユリウス宛てに書置きを残して、部屋を*出て行った。*]
こんにちは〜。
[...昨日までお昼になるとたこ焼きや見た目はすこし歪だったけど味わいがあったサンドイッチをもってきたり、オムライスを一緒に作ったほのかがいないことで寂しさを覚えた。]
今日のお昼用に簡単だけどポモドーロとペペロンチーノを作ったの。
良かったら食べてね。
[...給湯室から人数分のティーカップを持って、飲み物の準備をし終えると、今日の投票先のことを考える。]
今日辛いのはユリウスさんなのかなっ。。。
セリナさんのこと。。。
[...は投票用紙にセリナの名前を書くと投票箱に紙をいれ談話室から去っていった。]
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