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[ユリウスの俯く様子にも消え入るような語尾にも気づく様子はなく]
そう…。
あなたは…そうなの。
さすがは次期生徒会長さんね…。
[出て行くユリウスの背中に小さく皮肉を投げかけた]
[ずっと口を閉ざしていたが、重苦しい談話室の雰囲気に耐え切れなくなったらしい。先輩方に困ったような視線を投げかけながら、ついに口を開いた。]
……あ、あの。
明日の、投票なんですけれど、どう決めればよいのですの?
みなさま、素敵なお姉さまに見えますのよ。
ラヴィ、男の人のこと、よく知りませんので……どう決めたらいいか、分からないのですわ。
[後半は、先輩への気後れか、無知への気恥ずかしさか、尻すぼみに声が縮んでいった]
クレール。
彼女だって、好きで割り切ろうとしてるわけじゃないと思うよ。
[個人的感情より公人としての立場を選ぶ。
その辛さは容易に想像がつく。
果たして自分はどうだろうか…と、そのまま黙り込んだ。]
[ユリウスの出て行った扉の方をぼんやりと見つめる
…と、カーミラが自分の名を呼ぶのを聞いて、ゆっくりと振り返る]
……。
[好きで割り切ろうとしてるわけじゃない。
カーミラの言葉を心の中で繰り返してみる。
わからない。
ユリウスは、カーミラ先輩は…
一体何を言っているのだろう。
カーミラの目をじっと見つめ、わからないという風にゆっくりと首を左右に振った]
…ラヴィニアさん、お茶頂いて宜しいかしら。
[出来るだけ明るく振舞おうと、後輩の不安を拭おうと、僅かに笑顔を作ってみる。]
投票は、自分の思うように入れるのが一番良いと思いますわ。どうしても分からない場合には、誰か頼れると思う人物に委任して下さい。
…誰かを疑うのは辛いでしょうけれど、被害者が出ている以上、何らかの対処をしませんと…
決めないと、いけないのですわ。
[今日のバイオリンのレッスンは、全く身が入らなかった。気を緩めると、ユリウスの姿が脳裏に浮かび、自分の分身が現れ、その口元が近づいてゆく。
何度も先生に叱責され、時間を延長してレッスン三昧。]
さすがに、疲れました…。
昨日は寝てませんし…。
[談話室の扉を開ける。こんな時間だが、まだ誰か残っているだろうか?]
……は、はいですわ!
[プルネラの明るい声につられて笑顔を返し、紅茶のカップを手渡した]
思うように……難しいですわ。
あ、でも、誰かにお願いすることもできますのね?お願いしてもいいと思える人を探すのなら、ラヴィにもできそうですわ!
信じられる人、信じられない人……と考えればいいのかしら。考えてみますわね。
本当は、誰にも票を入れたくはないのですけれど……心苦しいのは、みなさま一緒ですわよね。
[プルネラの言葉をかみ締めるように、何度もうなずいた。]
確かに、な。
自分の想い人にわざわざ票を入れるなんて、立場関係なくおかしな話か……。
[クレールが言わんとしているのは、そういうことだろうか。]
ごきげんよう、カーミラさま、ラヴィニアさま。
…ありがとうございます。
[ラヴィニアからホットミルクのカップを受け取りながら、室内に視線をさまよわす。お目当ての姿が見えず、ため息をひとつ漏らしてから椅子に座った。]
さすがに、遅くなりすぎました…。
はい、今日は頑張って、ちゃんと、眠ります…。
[ミルクを一口。暖かい塊が喉の奥を滑り落ちていき、ほぅ、と息を吐いた。]
プルネラさまも、お疲れでは、ありませんか?
カーミラさまも、何だかお顔の色が、すぐれないように見えましたし…。
私のは単なる、寝不足です。
[そう言って、少し頬を赤らめて俯いた。]
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