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[てくてくと建物内を歩く]
・・・意外と大きいのねー。
あら、あれは・・・。
[見覚えのある、というか忘れるべくもない後ろ姿を見つけて]
・・・ごきげんよう、セリナ。昨日ぶりね?
[弱いらしい首筋を撫でてからそう話し掛けた。]
[小さな机に置いておいた一枚の書類を手に、よろよろと、部屋を出る。
一直線に、談話室へ。
談話室の扉を開ける。]
…… やあ。
[マレーネへ、軽く手を上げて挨拶。
適当な席につき、一枚の紙を机に置く。
それは、カーミラが副寮長として管理していた名簿。]
[嘗て、ここにいた人たちが、名前と共に顔写真として並んでいる。
右上の余白の部分にボールペンで、
▼…退寮 ▲…行方不明 ●…検査済 と記す。]
[それぞれの名前の隣に、印をつけてゆく。
何も印がつかないのは…5人。眉を顰めた。]
[確かに首筋が弱いのは確かだが、今までみたいな反応はもう望むべくもない。
小さく叫んで首筋を押さえ飛びのいたものの、振り返りミユキを睨むと。]
…ミユキさま、もうしないとお約束したではありませんか。
随分と軽く破るのですね。
/*戻ったー。*/
―――回想―――
[いつものように、自室で放送を聞く。]
……願わくは、本日票を投ずる義務なかれ。
[しかし願いに反して、放送は本日の犠牲者を告げる]
だめ、かぁ。
……やっぱり、まってるだけじゃ、来るのは残念な未来だけ、だね。
ともかく、まずは情報を集めないと何にもわかんないよね。
[すっくと立ち上がると、いつもより足早に談話室へ向かった]
[ミユキの言いざまに思わず噴き出して。]
ミユキさまは、相変わらず、言葉遊びがお上手ですね。
申し訳ありませんけれど、ミユキさまの「自分だけ正しいルール」にお付き合いする理由は、ありませんわ…。
私は、私の正義のために、戦いました。
[談話室へ入ると、マレウスの姿を見つけ少なからず驚いた]
……あり?
[思い返せば、本日の犠牲者はミユキ。手の早い同級生だ。風の噂で今度は下級生だとか。
……話を戻そう。]
なぜ、ユリちゃんじゃなくてミユっきーなんだろ?
[しかし、ユリウスが潔白であることは自明の理。解けない疑問を抱えたまま談話室を見回すと、マレーネとラヴィニアの姿]
ラヴィ、……泣いてたの?
[泣きはらした目を見て、気づく]
そっか……もしかして、ミユキのコトが。
……ほわぁい?ラヴィが男の人なら、ミユキを襲う……いや、襲えるのかな?しかも、こんなにミユキのこと想って泣くなんて、男の、ハズない、……よね?
これで、男の可能性は残り3人……マレーネと、アヤメと。……はぴテレっち。
[テレサの名前を出したところで、眉ねを寄せる。疑える気が、しなくなってきた。]
ふふ、それが年季の差というものよ。
貴方達の正義って、罪を犯すことを言うらしいわね・・・随分とはた迷惑な正義もあったものね?
ミユキさまは、本当に追い詰められた経験がないのですね。幸せな方…。
凄くお腹がすいて、今、目の前にある食べ物を口にせねば死んでしまう…。
そうなったとき。
その食べ物の所有者など、考える余裕などないのです。まずは食べる。全てはそれからです。
ミユキさまは仰いましたね。プルネラさまは「ベター」。しかしそれがラヴィニアさまだった場合は「首を切る」と。
それは単に、自分の家の庭に植わっている柿の木の実は食べたらいけないけれど、隣のうちなら盗んでも良いといっているようなもの。それは遍く正義ではありません…。
それに、首筋を触ること。程度の差こそあれ、人の嫌がることです。やめてといっても、屁理屈を重ねて開き直る…。
「嫌だからしないで」と言われれば、「分かりましたやめます」となるのが、本来のありようではありませんか?
それとも、自分だけは特別ですか?
酷いことをしている人には、自分も酷くしてもいい、それがミユキさまの考える「正義」ですか?……幼稚な正義ですわ……。
[セリナは、ミユキを可哀想な人だと思った。他人に対して可哀想だなどと思ったのは、初めてだった。]
/*
嫌いだったら続けてない(笑)。
ただねー、「セリナ」的にはもう「ミユキの正義」は「所詮は世間知らずのお嬢様の正義感ね〜ちゃんちゃらおかしいわ〜」としか思っていないから、これ以上は広がりませんよ。
*/
表現の誇張もここまでだと笑えてくるわね。貴方が凌辱しないと死んでしまう体質だったなんて知らなかったわ。
ええ、ベターですよ?被害を押さえるためにはそれ以外の方法があったとは思えない。ラヴィが出たとしても「ベター」であることは否定しないわ・・・「ベスト」ではないけど。プルネラさんについては、私はそう思わなかっただけ。プルネラさんは貴方のことを恨んでるんじゃないかしら?貴方のやってることは不幸な人間を増やしこそすれ、人を幸せになんてできはしない。まさかそのくらいの事、解らないはずはないわよね?
(机の上に置いてあるノートを開く。そこには男の正体を暴くべく、状況や推理をまとめた文が書いてあった)
やっぱ・・・セリナは男だったんかね・・・
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