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[クレールを連れて、中へ戻る。近くの適当な椅子に腰かけて、]
冷静に、聞いてほしい。
[こうして、感情を挟まずに話す。ジェルトルーデが行方不明なこと、男が三人寮内に居ること、疑わしき者を投票し、多数決で一時寮から追放する処分を下すこと……]
[一拍置いてから、]
何より、投票、というものは辛いかもしれない。
しかし状況の解決には、冷たくなることも必要だ。わかるな?
[視線を落としたまま、静かにセリウスの話を聞く。
不思議なことに、思っていたほど感情の揺れは少なかった。
自分の中で、予感が既に確信に変わっていたからだろうか。
嫌な予感は、嫌な現実を引き寄せる。
ただ、そんな言葉が頭の中に重くのしかかっていた。]
冷たくなることも必要…。
なに…それ…?
どういう意味なの。
[状況を話し終えたセリウスの最後の言葉にひっかかる。
セリウスは何を言っているのだろう…全然わからない。]
[クレールを伴ったユリウスの言葉を聞きつつ。
自分は副寮長であり面倒見役でもあるという立場上、
寮生に対して、どうしても情が移りがちなのだ。
こういう場で毅然とした態度を保っていられるユリウスのことが、頼もしく感じられる。
今回のことは、彼女に主導してもらったほうがいいのかもしれない。
ぼんやりと、そう考えていた。]
[ふと携帯を開いて、閉じて、居る全員へ目をやって。]
…投票は記名投票。
投票結果は、開票時に一番先にここに来た副寮長、風紀委員…生徒会が伝えよ。と。
[どういうことなの、と、聞かれ、少し俯く。]
……
想い人であっても、割り切る必要が出る、ということだ………。
[語尾が消えてゆく。そして沈黙。]
[...は談話室に入り、不安そうな表情でお茶を淹れていた。
ユリウスとクレールの会話の端々や、廊下を通る寮生の噂から、何が起き、そして何が起ころうとしているのか、徐々に理解しつつあった。
しかし自分が誰かを疑う、ということにはピンとこない。ここの寮の人たちは、皆自分によくしてくれていると思う。
明日の投票……それがまだ、遠いことのような気がして、実感が持てずにいた。]
[立った。] また、見回りをしてくる。
…状況が伝わってない者には、誰でもいい、伝えてくれ。
[そうだけ言い残して、暗い表情を落としながら*出て行った*……。]
[プルネラは静かにドアを開き、談話室へ入る。]
こんばんは。
…ユリウスさん、カーミラさん…お2人ともいらっしゃるのね。
[部屋の中の重い空気を感じ取り、もうすでに寮の皆に真実が伝えられた事を悟った。]
[ユリウスの俯く様子にも消え入るような語尾にも気づく様子はなく]
そう…。
あなたは…そうなの。
さすがは次期生徒会長さんね…。
[出て行くユリウスの背中に小さく皮肉を投げかけた]
[ずっと口を閉ざしていたが、重苦しい談話室の雰囲気に耐え切れなくなったらしい。先輩方に困ったような視線を投げかけながら、ついに口を開いた。]
……あ、あの。
明日の、投票なんですけれど、どう決めればよいのですの?
みなさま、素敵なお姉さまに見えますのよ。
ラヴィ、男の人のこと、よく知りませんので……どう決めたらいいか、分からないのですわ。
[後半は、先輩への気後れか、無知への気恥ずかしさか、尻すぼみに声が縮んでいった]
クレール。
彼女だって、好きで割り切ろうとしてるわけじゃないと思うよ。
[個人的感情より公人としての立場を選ぶ。
その辛さは容易に想像がつく。
果たして自分はどうだろうか…と、そのまま黙り込んだ。]
[ユリウスの出て行った扉の方をぼんやりと見つめる
…と、カーミラが自分の名を呼ぶのを聞いて、ゆっくりと振り返る]
……。
[好きで割り切ろうとしてるわけじゃない。
カーミラの言葉を心の中で繰り返してみる。
わからない。
ユリウスは、カーミラ先輩は…
一体何を言っているのだろう。
カーミラの目をじっと見つめ、わからないという風にゆっくりと首を左右に振った]
…ラヴィニアさん、お茶頂いて宜しいかしら。
[出来るだけ明るく振舞おうと、後輩の不安を拭おうと、僅かに笑顔を作ってみる。]
投票は、自分の思うように入れるのが一番良いと思いますわ。どうしても分からない場合には、誰か頼れると思う人物に委任して下さい。
…誰かを疑うのは辛いでしょうけれど、被害者が出ている以上、何らかの対処をしませんと…
決めないと、いけないのですわ。
[今日のバイオリンのレッスンは、全く身が入らなかった。気を緩めると、ユリウスの姿が脳裏に浮かび、自分の分身が現れ、その口元が近づいてゆく。
何度も先生に叱責され、時間を延長してレッスン三昧。]
さすがに、疲れました…。
昨日は寝てませんし…。
[談話室の扉を開ける。こんな時間だが、まだ誰か残っているだろうか?]
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